企業概要と最近の業績
株式会社システムリサーチ
2025年3月期の連結業績は、売上高が24,360百万円(前期比6.4%増)、営業利益が2,654百万円(前期比7.3%増)となり、13期連続の増収増益で過去最高を更新しました。
経常利益は2,674百万円(前期比7.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,820百万円(前期比9.1%増)と、いずれも好調な結果となっています。
主力のSI事業において、企業の旺盛なIT投資やDX推進の流れを背景に、製造業、流通・サービス業、官公庁など幅広い顧客からの受注が堅調に推移したことが主な要因です。
商品販売事業においても、顧客のシステム更新需要などを捉え、増収に貢献しました。
利益面では、増収効果に加え、生産性の向上やプロジェクト管理の徹底による採算性の改善が進んだことで、各利益ともに過去最高を達成しています。
今後も継続的な成長を見込み、エンジニアの採用や育成に積極的に取り組む方針です。
ビジネスモデルの9要素
価値提案
システムインテグレーションサービスを通じて、高品質かつ安定したソリューションを提供
自社開発のソフトウェア製品やIT関連商品を組み合わせることで、顧客の多様な課題を包括的に解決
大手メーカーをはじめとする長期取引顧客向けに、カスタマイズ性の高いサービスを提案し、継続的な信頼を獲得
【理由】
大手メーカーとの長期的な協力関係を基盤に、要求精度の高いシステム開発や専門的なコンサルティング領域へ対応してきた結果、品質面や対応力への評価が高まったからです。
また、自社で開発したソフトウェア製品を持つことで、SIサービスだけでなくプロダクト販売からもソリューションを拡張し、幅広い顧客ニーズを満たす「総合力」が大きな付加価値となっています。
主要活動
顧客企業の業務課題を把握し、要件定義から開発、運用保守までを一貫して行うSIサービス
さまざまな業種・規模に合わせたソフトウェア開発
自社で企画・設計したソフトウェア製品の開発および販売
WEBサービスやECサイトの運営管理
【理由】
顧客企業によって求められるITソリューションは多岐にわたるため、ワンストップで対応できるサービス体制を整備してきた背景があるからです。
開発経験を積む中で各産業の業務フローや規制、技術動向などを深く理解するようになり、それを活かして新たな自社製品の開発やWEBサービス運営にも事業領域を拡大しました。
結果として、単なる受託開発に留まらず、顧客とともに課題解決を実現するパートナーとしての立ち位置を強固にしています。
リソース
約20社のグループ企業と1500名を超える従業員規模
デジタルマーケティングやインターネット関連サービスに関する高度な専門知識と技術
幅広い業界に対応できるノウハウと実績の蓄積
【理由】
なぜそうなったのかという背景には、インターネット広告やメディア事業で培った経験をグループ全体で共有し、組織として強化してきた歴史があるからです。
テクノロジー分野やデータ解析分野の専門家を積極的に採用し、広告運用だけでなくコンサルティングやプラットフォーム開発など、多岐にわたる領域をカバーできるような体制作りを行ってきました。
これにより、クライアント企業の多様なニーズに迅速対応できるリソースが整備されており、単なる受託業務にとどまらない総合的なソリューション提供を可能にしています。
パートナー
電通グループなどの広告会社や各種メディアとの連携
広告主企業との直接的な協業関係
テクノロジー系企業やIT系ベンチャーとの共同開発や技術連携
【理由】
デジタルマーケティングのフィールドでは広告枠の獲得からデータ分析まで、多数のステークホルダーとの協働が不可欠だからです。
特に大手広告会社や人気メディアとの提携によって、大規模かつ高品質な広告枠の確保や最新の広告テクノロジーをいち早く導入することができ、クライアントに対して常に最先端のソリューションを提供できます。
さらに、テクノロジー企業やITベンチャーとの提携により、新サービスの開発スピードやイノベーション創出を加速させている点も大きな強みです。
チャンネル
オンラインプラットフォームを活用した広告配信と販売促進支援
自社の営業チームによるコンサルティング型の提案活動
多様なメディアとのネットワークを駆使したマルチチャネル展開
【理由】
顧客企業のニーズが単一の広告手法だけでは満たしきれなくなっているためです。
オンライン広告のみならず、オフラインとの連動やSNS活用など複数のチャネルを使うことで、より包括的なマーケティングが実現します。
自社プラットフォームと営業チームを組み合わせることで、高いコンサルティング能力を活かし、クライアントが求める成果指標に合致した施策をワンストップで提供できる体制を強化しています。
顧客との関係
長期的なパートナーシップを重視するコンサルティング型のサービス提供
分析レポートや運用サポートを通じて、継続的に顧客課題を解決
顧客とのコミュニケーションを密にし、フィードバックを即時に施策へ反映
【理由】
デジタルマーケティングでは単発の案件よりも、継続的なPDCAサイクルが成功のカギを握るからです。
広告運用やメディア支援は一度導入すれば終わりではなく、常に時流に合わせた最適化が必要になります。
そのため、顧客と一体となって施策を改善し続ける体制を整えることで、双方にとって高いROIを目指すことができています。
長期的な関係構築が業績の安定やリピート案件の獲得につながり、同社の強みになっているのです。
顧客セグメント
デジタル広告を活用したい幅広い業種の企業
ECや小売DXを推進する店舗や事業者
採用や新規事業開発を求めるスタートアップや大企業
【理由】
インターネットの普及とともに自社の販路拡大や効率化を狙う企業が増え、広告運用だけでなくECや人材関連など多面的なサポートが必要とされているからです。
CARTA HOLDINGSは既存の広告領域に加え、メディア運営やDX支援で培ったノウハウを他業種へ横展開することで、多様な顧客セグメントにアプローチしやすい仕組みを築いています。
その結果、ベンチャー企業から大手企業まで、業種を問わずに幅広いクライアント基盤を獲得している点が強みといえます。
収益の流れ
デジタルマーケティング支援の提供に伴う手数料収入
自社プラットフォーム利用による広告掲載料や利用料などの収益
ECや小売DXなどでのシステム導入支援費用やコンサルティングフィー
【理由】
広告業界での一般的な収益構造を取り入れつつ、独自のプラットフォームやサービス領域を拡大することで、収益源の多様化を図ったためです。
単に広告代理店的な役割だけでは価格競争に巻き込まれるリスクが高まりますが、プラットフォームやコンサルティング、DX支援など高付加価値サービスを組み合わせることで安定的な収益を生み出すビジネスモデルを確立しています。
その結果、売上高の拡大とともに利益率の向上を狙いやすい構造を築いていると考えられます。
コスト構造
人件費や営業活動にかかる経費
広告配信プラットフォームや各種システムの開発運営コスト
グループ企業間の連携に伴う内部投資や教育研修費など
【理由】
専門人材を数多く確保し、広告配信プラットフォームなどのテクノロジー基盤を自社で維持開発しているからです。
また、多角的な事業展開を行うには、それぞれの領域で専門知識やツールが必要になるため、一定の開発運用コストが発生します。
グループ規模が大きい分だけ連携メリットも生まれますが、逆に統合や調整にかかるコストも増える側面があります。
しかし、それらを上回る成果を出すことで、売上や利益の成長を確保している状況です。
自己強化ループ
株式会社システムリサーチが安定的な経営基盤と成長を両立できる理由には、自己強化的な好循環が大きく寄与しています。
大手メーカーとの長期取引を通じて獲得した実績が高い信用を生み出し、新規顧客や新規案件の獲得がしやすくなる流れを作り出しています。
さらに、従業員のスキルアップを重視し、研修制度やプロジェクト経験の蓄積で技術力を向上させる仕組みを整えているため、質の高いサービスが提供できるようになります。
この高品質なサービスに満足した顧客からのリピート受注や追加要望が生まれ、再度同社の技術力強化と信用度向上につながるという好循環が回り続けるわけです。
結果として、受注案件の幅が広がり、安定した売上と収益が確保されると同時に、新技術への挑戦や新製品開発への投資が可能となり、さらなる成長を促進しています。
採用情報
同社では初任給に関する具体的な情報は公表されていませんが、年間休日は120日以上で完全週休2日制を導入しています。
また、採用倍率に関しても公表情報はなく、詳細は不明です。
大手メーカーなど多様なクライアントに対応する技術力を身につけたい人材にとって、継続的なスキルアップの機会が得られる環境が整っていることが魅力といえます。
株式情報
東証プライムに上場しており、成長性と安定性を兼ね備えた企業として注目されています。
配当金や1株当たりの株価に関する詳細な情報は公表されていませんが、IT市場の需要拡大と企業のデジタル化が加速する中で、今後の株式動向にも期待が高まっています。
未来展望と注目ポイント
システムインテグレーション市場はクラウド化やIoT、AIといった新技術の普及に伴い、引き続き需要拡大が見込まれています。
その中で、株式会社システムリサーチは大手メーカー向けの大規模案件や自社ソフトウェア製品の成長を軸に、さらなる市場シェア拡大を目指すことが予測されます。
特に、ECサイトやWEBサービスへの展開は、デジタルトランスフォーメーションを加速させる企業にとって魅力的な領域であり、今後はこれらの分野で収益性を高めながら新技術開発に投資していく戦略が考えられます。
また、人材育成や働きやすい労働環境の整備を強化し、高い社員満足度を維持することで、高いレベルの技術を求める大手顧客のニーズに応え続けることができるでしょう。
このように安定感と成長意欲を兼ね備えた同社は、IT分野における長期的な成長戦略の一翼を担う企業として今後も注目される存在になりそうです。
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