トレジャー・ファクトリーで知るビジネスモデルと成長戦略 なぜ今リユース市場が熱いのか深掘り解説

小売業

企業概要と最近の業績

株式会社トレジャー・ファクトリー

2026年2月期第1四半期(2025年3月1日〜2025年5月31日)の連結決算は、売上高が102億72百万円となり、前年の同じ時期に比べて13.7%の増収となりました。

本業の儲けを示す営業利益は8億89百万円で、前年同期比10.4%増、経常利益は9億1百万円で前年同期比11.6%増と、増収増益を達成しています。

親会社株主に帰属する四半期純利益は6億13百万円で、前年同期比12.4%の増加となりました。

この好調な業績は、主力のリユース事業において、物価高などを背景としたリユース需要の高まりを受け、衣類や家電、ホビー用品などを中心に既存店の売上が堅調に推移したことが主な要因です。

また、新規出店を積極的に進めたことや、オンラインでの販売が好調だったことも全体の売上を押し上げました。

【参考文献】https://www.treasure-f.com/

価値提案

トレジャー・ファクトリーの価値提案は、リユース品を購入する際の「掘り出し物を見つける楽しさ」と「環境負荷を減らしながらお得に買い物できる満足感」を提供する点にあります。

新品を安く手に入れるよりも、希少なアイテムやレアなブランド品を発掘できる可能性があることは、リユースならではの大きな魅力です。

また専門店ブランドを複数運営していることにより、ファッション好きの若年層からファミリー層、さらにはアウトドア需要まで、さまざまなライフスタイルに合わせた商品を展開しています。

これによって「自分にとって本当に必要なものを適正価格で見つけられる」という喜びを提供し、商品を手放す側にも「不要品をスムーズにお金に変えられる」というメリットを与えています。

さらに、独自の査定基準を用いて一つひとつの商品価値を丁寧に評価し、売り手にも買い手にも納得感のあるプライシングを実現していることも大きな強みです。

こうした仕組みによってリピーターを増やし、継続的に顧客満足度を高めてきたことがトレジャー・ファクトリーの価値提案の中核になっています。

主要活動

同社の主要活動は、大きく分けると商品を「仕入れる」「販売する」そして「店舗を運営する」という3つのプロセスに集約されます。

仕入れ面では店舗・出張買取やオンラインを活用した査定サービスなどを通じて、多種多様な中古品を確保しています。

家電や家具のように大型で一定のコンディション管理が必要な商品から、アパレルやアウトドア用品のようにトレンドに左右されるアイテムまで扱うため、カテゴリごとにスタッフを教育し査定ノウハウを蓄積しています。

販売面では豊富な商品量を武器に、専門店ブランドの強みを活かして細分化されたニーズを満たす戦略が徹底されています。

さらに店舗運営面では、スタッフの接客力強化や販促企画の実施、ディスプレイの工夫などによって「また来たい」と感じさせる売り場作りを行っている点がポイントです。

これらの活動を通じて集客を高め、買い取った商品の回転率を向上させることで、事業全体の効率を高める取り組みを継続しています。

リソース

トレジャー・ファクトリーのリソースは、全国に展開する複数の実店舗、そこで培われたスタッフの専門知識、そして長年の査定経験に基づく独自システムが挙げられます。

多店舗展開による規模メリットにより、地域ごとに異なるニーズや季節変動にも柔軟に対応できる体制が整っています。

とりわけ、店舗ごとに蓄積される商品データや売れ筋分析、価格変動などの情報は重要な経営資源であり、企業全体の在庫管理や買取価格の適正化に活用されています。

また、スタッフの教育システムを充実させていることで、家電や家具、ファッション、アウトドアなど専門分野ごとにバイヤー兼接客担当としてレベルの高いサービスを提供できることも強みとなっています。

このように人的リソースとデータ活用による独自基盤を確立していることで、リユース業界において堅調な売上拡大を支える原動力になっているのです。

パートナー

事業を支えるパートナーとしては、商品の配送や在庫移動を担う物流業者、オンライン販売システムや顧客管理ツールを提供するIT企業などが挙げられます。

特にリユースショップの成長には、倉庫や物流ルートの確保が欠かせません。

大型家具・家電は顧客先からの買取や店舗間移動に時間やコストがかかるため、信頼できる物流パートナーとの連携が業務効率を大きく左右します。

また、ECサイトや自社オンラインストアの運営には、決済システムや在庫管理システムなどをスムーズに連動させる必要があります。

これら外部企業との協業を通じて、店舗とオンライン双方での売上拡大を加速させているのが特徴です。

地域コミュニティとの連携も重要視されており、地域でのイベント参加やリユース促進活動などを通じて、利用者との接点を強化しながらブランド認知を高めています。

チャンネル

販路としては、実店舗・オンラインストア・出張買取サービスの3つが柱となっています。

実店舗では対面ならではの接客や商品の確認ができるため、初めてのリユース利用者や掘り出し物探しを楽しむ顧客層を取り込めます。

一方オンラインストアは、店舗に行く時間がない人や離れた地域の顧客に向けて商圏を拡大する役割を果たしています。

特に昨今では、ネットで商品検索をしたうえで店舗に足を運ぶ消費者も増えており、オンライン上の在庫確認が購買行動を後押しする仕組みが整備されているのです。

さらに出張買取サービスは、大型商品や大量の荷物を持ち込むのが難しい顧客にとって便利であり、これをきっかけにリユース利用者を増やす効果もあります。

このように複数チャンネルを展開することで、幅広い生活シーンに応じた利便性を提供できる強みが生まれています。

顧客との関係

顧客との関係構築では、対面での丁寧な接客や査定の透明性が重視されています。

スタッフが直接商品を見ながら査定基準を説明することで、不信感を与えない仕組みが確立されているのです。

さらに会員制度やポイントプログラムを活用することで、再度売りたい・買いたいという意欲を高める取り組みを行っています。

リユース品は一点ものが多いため、店舗やオンラインストアをこまめにチェックするリピーターが多いのも特徴です。

実際、気軽に店舗に足を運べる雰囲気づくりやSNSでの情報発信、季節やイベントに合わせたセールなどが定期的に開催されているため、ユーザーとの接点を継続的に生み出せています。

こうした施策により「リユースの最初の選択肢」として意識してもらい、長期的な顧客ロイヤルティを獲得することを目指しています。

顧客セグメント

トレジャー・ファクトリーの顧客セグメントは、ほぼ全ての年齢層に対応するといっても過言ではありません。

家具や家電のリユース品を求めるファミリー層や、古着やブランド服をリーズナブルに入手したい若者、さらにはキャンプや釣りなどアウトドアを楽しむアクティブ層まで、その裾野は非常に広いです。

近年は環境負荷軽減の意識が高まっていることもあり、新品よりも中古品を選ぶ消費者が増加傾向にあります。

また「捨てるのではなく、売って家計の足しにする」という点に魅力を感じる層も多く、リユース市場自体の広がりを取り込んでいる形です。

こうした多様な顧客ニーズに応えるために、総合リユースショップだけでなく、アパレルやスポーツ専門店を展開していることが強みとなり、結果的に市場を大きくカバーしているのが同社の特徴です。

収益の流れ

収益のメインは、買取価格と販売価格の差額から生まれる粗利益です。

特に査定力と相場理解に長けたバイヤーの存在が大きく、適正な価格設定を行うことで商品回転率を高めています。

また一部では出張買取や宅配キットなどのサービスに手数料を設定するケースもあり、商品の売買とは別の副次的収益を得る仕組みも確立しています。

さらに近年ではオンライン販売の強化によって、全国の顧客への販売機会が増加しており、ネット販売経由の収益比率が高まると予想されています。

リユース業は在庫リスクや相場変動リスクを抱える業態ではありますが、同社では複数ジャンルを扱うことでリスク分散を図り、収益の安定性を高める方針を打ち出しています。

コスト構造

コスト構造としては、まず店舗の出店費用や賃料、人件費が大きなウェイトを占めます。

多店舗展開を加速させる方針上、物件取得やスタッフ育成には一定の投資が必要です。

次に、リユースの特性上、在庫管理・物流費も無視できません。

大型家電や家具を中心に、買取から販売までの倉庫保管や店舗間移動などのプロセスでコストが発生します。

またオンライン販売を拡充するにつれ、システム維持やデータ連携といったIT関連費用も増える可能性があります。

一方で一定の集客力と高回転率を維持できれば、商品が長期的に滞留するリスクを抑えられ、余剰在庫を抱えるリスクも低減できます。

このようにコストを抑えつつも多チャンネル戦略を支える経営体制を整えることが、成長を続けるための重要課題となっています。

自己強化ループ

トレジャー・ファクトリーの自己強化ループは、多店舗展開による知名度向上と商品回転率の上昇、そして専門ブランドの複数展開から得られる顧客層の拡大という3つの循環が中心となっています。

新規出店をするほど買取や販売の実績が積み上がり、その地域におけるブランド認知が向上します。

認知度が高まると「手放したい商品がある時にはまずここへ行こう」「お得に掘り出し物を見つけたい」という顧客が増え、結果的に商品の在庫が充実して売り場の魅力が増す好循環が生まれます。

さらに多様な専門店ブランドを並行して運営することで、「アウトドア用品が欲しい時はスポーツ特化型店舗」「ファッションアイテムならアパレル専門店」といった明確な消費者の行動導線が作られ、リピート利用の敷居が下がります。

このような自己強化ループが高い集客力と安定的な売上増加を支えており、同社の成長基盤の重要な要素となっています。

採用情報

拡大を続ける店舗網を支えるために、ストアスタッフを中心に採用を積極化しています。

ストアスタッフのマネージャー候補の初任給は月給23万円程度で、年間休日は120日以上が確保されています。

採用予定人数も101名から200名と比較的多く、入社後は店舗オペレーションや買取査定のノウハウを学べる環境が整っています。

接客やチームマネジメントを学びながらキャリアアップする機会があるため、リユースビジネスに興味がある人にとって魅力的な職場といえます。

株式情報

同社の銘柄コードは3093で、2025年2月期の配当金は1株あたり34円が予想されています。

2025年1月24日時点での株価は1,645円となっており、成長局面にあるリユース市場の中でも堅調な業績を反映した価格帯を推移しています。

配当もしっかり実施していることから、中長期保有を検討する投資家の注目度が高い銘柄といえます。

未来展望と注目ポイント

今後はECやデジタルトランスフォーメーションへの対応が、同社のさらなる成長に大きく寄与するとみられています。

オンラインとオフラインをシームレスに接続し、在庫情報や価格設定をリアルタイムで最適化することで効率性を高められるからです。

特にリユース品は一期一会の要素が強いため、「この商品をいつどこで見つけられるか」というタイムリーな情報提供が顧客満足度向上に直結します。

またSDGsやサステナブル消費が社会全体で意識される中、廃棄を減らしながら新たな付加価値を生むリユースの取り組みはさらに脚光を浴びる可能性があります。

専門店ブランドを複数持つ強みは、新たなジャンルやライフスタイルの変化に合わせて柔軟に事業拡大できる余地を示しており、今後の成長ポテンシャルは非常に高いと考えられます。

リユース市場の競合は増えつつありますが、豊富な実店舗網と独自の査定ノウハウを活かしたビジネスモデルを進化させることで、継続的な拡大を期待できる企業として注目されています。

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