企業概要と最近の業績
株式会社ベルテクスコーポレーション
株式会社ベルテクスコーポレーションは、ゼニス羽田とホクコンが経営統合して誕生したコンクリート二次製品の総合メーカーです。
主に、マンホールや擁壁、防災・減災に関連する製品など、私たちの生活に不可欠な社会インフラを支える事業を展開しています。
また、建物の基礎となるパイル（杭）事業なども手掛けており、国土強靭化に貢献する製品を全国に供給しています。
2025年5月に発表された2025年3月期の通期決算によると、売上高は389億18百万円で、前の期に比べて5.7%の増加となりました。
営業利益も62億85百万円で、前の期から9.8%の増加となり、増収増益を達成しています。
主力であるコンクリート事業や斜面防災事業、そしてパイル事業がいずれも好調に推移したことが、この好業績に繋がったと報告されています。
価値提案
株式会社ベルテクスコーポレーションが提供する価値の中心は、耐久性や施工効率が高いプレキャストコンクリート製品によるインフラの安全性と機能向上です。
道路や下水道などのライフラインだけでなく、防災設備や基礎杭など、社会に欠かせない部分をサポートしています。
近年では防災への意識が高まっており、道路の浸水対策や土砂崩れ対策など、多角的なニーズに応えることで顧客に「安心」「効率」「高品質」という付加価値を届けています。
こうした価値提案が生まれた背景には、建設現場での人手不足や施工時間の短縮ニーズ、さらには自然災害リスクの増大があり、これに応える形でプレキャスト技術の研究開発や高付加価値化を進めてきた経緯があります。
実際、顧客にとっては現場作業の負担が減ることや災害対策の安心感が得られるため、この価値提案が大きな支持を得ているのです。
主要活動
同社の主要活動は、プレキャストコンクリート製品の設計、製造、販売、そして工事後のアフターサービスに至るまで多岐にわたります。
工場で大量生産するプレキャスト製品は品質の安定に直結し、顧客のニーズに合わせた設計も可能です。
これには社内の技術者が主体的に新製品開発を進めることが不可欠であり、市場動向を先読みしながら高度な製造プロセスを構築しています。
また、完成後の保守メンテナンスを通じ、製品寿命を延ばす取り組みも重要視しています。
こうした活動が強化されたのは、インフラ分野での製品トラブルが社会的信用を大きく左右すること、そして顧客が長期にわたり安全を確保できるようなサービスを求めているからです。
結果として、品質管理から販売・施工、アフターケアまでを一括で提供できる体制が大きな競争力につながっています。
リソース
同社が強みとしているリソースは、高度な技術力と全国展開が可能な生産・販売ネットワーク、そして長年培ってきた業界での信頼関係です。
プレキャストコンクリート製品は地域に根付いた工場や拠点があることで、迅速な供給や現場サポートが実現しやすくなります。
また、研究開発部門が新素材や新工法の開発を進めており、これが差別化につながっています。
人材面でも建設・土木に精通した熟練のエンジニアや営業担当者がいることが大きなアドバンテージです。
こうしたリソースは一朝一夕では築けず、長年の実績や投資の積み重ねが背景にあります。
そのため、他社が参入しづらい独自の強みを発揮しやすいというメリットが生まれています。
パートナー
建設業者や自治体、そして関連企業との連携は不可欠です。
建設プロジェクトは単独で完結することが少なく、多数の利害関係者が関わります。
同社はその中でもプレキャスト製品の安定供給と技術サポートの役割を担い、元請けや下請け企業と綿密に連携を取ることでプロジェクト全体を円滑に進めています。
自治体との協力関係も重要で、防災やインフラ整備の計画段階から同社の製品コンセプトが取り入れられるケースも少なくありません。
こうしたパートナーシップが強化された背景には、公共事業での実績と信頼が蓄積され、さらなる継続受注が生まれるという好循環があります。
チャンネル
同社のチャンネルは、直接営業や代理店営業が中心です。
大口顧客である自治体や大手建設会社に対しては、担当者が直接訪問し、製品導入から施工プランまでを提案します。
また、地域密着型の代理店網や協力会社を通じて細かな案件にも対応しています。
オンライン上の情報提供も拡充しており、製品カタログや導入事例をわかりやすく発信することで、新規顧客の獲得にも力を入れています。
なぜそうしたチャンネルが確立したかといえば、大型インフラ案件では直接コミュニケーションが重要になる一方で、地方の小規模案件では代理店の柔軟性と現地対応力が求められるからです。
顧客との関係
長期的なパートナーシップを築き、製品導入後も保守点検や改良のサポートを行う点が特徴です。
特に公共工事の場合、製品の耐久性とメンテナンス体制が問われるため、購入後のアフターサービスが信頼関係の基盤となります。
建築基礎杭や防災設備など、安全に直結する分野では、施工後のトラブルが起きないよう定期的な点検や相談対応が欠かせません。
こうしたフォロー体制を整えることで、リピート受注や口コミによる紹介につなげているのです。
これが一度限りの取引に終わらない理由であり、企業としてのブランドイメージを高める要因にもなっています。
顧客セグメント
同社の顧客は、主に公共事業を担当する自治体や国交省関連の機関、さらには大規模建設プロジェクトを手がけるゼネコンなどが中心です。
一方で、民間の再開発や商業施設の基礎工事など、土木工事が必要なあらゆる業種とも取引があります。
最近では防災や減災対策の需要が増えており、山間部や沿岸部のインフラ整備を手がける企業や自治体からの問い合わせも増加傾向にあります。
こうした幅広い顧客層を持つに至った理由は、プレキャスト製品が多目的に活用できる点と、近年の自然災害リスクに対する対応力が評価されているからです。
収益の流れ
主力となるのはプレキャストコンクリート製品の販売収益です。
道路資材や下水道管、防災設備など、多種多様な製品を提供し、それぞれのプロジェクト規模や納期に応じた契約方式をとっています。
さらに、製品導入後のメンテナンス契約からも一定の収益を得ています。
納入後の保守や定期的な検査に対応することで、新たな追加工事の依頼を受けることも少なくありません。
こうした流れは安定したキャッシュフローをもたらす要因となり、次の研究開発への投資余力を生む源泉にもなっています。
コスト構造
製造工程にかかる原材料費や人件費、設備投資が大きな割合を占めます。
さらに品質管理や研究開発にもしっかりと投資しており、これが新製品リリースや高付加価値化に直結します。
また、営業活動やアフターサービスを充実させるための販売管理費も無視できません。
ただ、プレキャスト製品特有の大量生産効果や自動化の進展により、製造コストを抑える取り組みが進んでいます。
このように投資とコスト削減のバランスを意識してきたのは、価格競争だけでなく品質面で優位性を保つことが企業存続に不可欠だと認識しているからです。
【自己強化ループ】
同社は高付加価値製品への転換を進めたことで、利益率向上と顧客満足度アップの好循環を生み出しています。
たとえば、独自開発のコンクリート素材を使った道路製品や、施工期間を短縮できる設計の下水道製品を投入すれば、自治体や建設業者からの評判が高まります。
すると、さらなる案件が舞い込み、新たな売り上げを研究開発や設備投資に再投資できるようになります。
投資先が充実すると、製品ラインナップが一層豊富になり、新規顧客への提案力や既存顧客への追加提案の幅が拡大します。
このサイクルが繰り返されることでブランド力が高まり、市場での競争優位を保ちやすくなるのです。
結果として、売上が多少減少局面を迎えても、利益面で堅調さを維持できる経営体質へとつながっています。
この繰り返しが同社の成長を支えている重要なポイントといえます。
【採用情報と株式情報】
採用については、現時点で初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な数字は公表されていません。
興味をお持ちの方は公式の採用ページを確認すると、最新の募集要項や選考スケジュールが確認できます。
一方、株式情報では、同社の銘柄コードが5290であることと、2025年3月期の配当金は1株あたり50円を予定している点が特徴です。
2024年11月26日時点の株価は1,955円で推移しており、インフラ投資や防災需要への期待感も相まって、今後の成長戦略に注目が集まっています。
【未来展望と注目ポイント】
プレキャストコンクリートは、建設現場での作業効率を高め、人手不足や工期短縮の課題解決に貢献すると期待されています。
さらに防災や減災への意識が高まる中で、落石防護柵や土砂対策関連製品の需要は引き続き拡大が見込まれます。
株式会社ベルテクスコーポレーションは、これらの需要にいち早く対応できる技術力と生産体制を持ち合わせており、IR資料でも高付加価値製品の拡充に力を入れる方針が示されています。
また、環境に配慮したコンクリートやスマート施工技術の開発も進行しており、従来のインフラ整備にとどまらない新分野への進出が期待されています。
公共事業だけでなく、民間の都市開発や地域活性化プロジェクトへの参入機会も増えると考えられるため、安定的な収益源とさらなる成長の両立が見込まれます。
今後も時代のニーズに合わせた製品開発やパートナーシップを強化しながら、国内のみならず海外展開も視野に入れた取り組みを加速させることで、より大きな飛躍を目指していくことでしょう。
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