企業概要と最近の業績
日本インシュレーション株式会社
当社は、耐火性と断熱性に優れた素材を開発、製造しているメーカーです。
主力製品は、けい酸カルシウムを基材とした断熱材で、主に発電所や製鉄所といった大規模なプラント設備で利用されています。
また、ビルや商業施設などの建築物向けに、火災から建物を守る耐火被覆材も提供しています。
省エネルギーや環境負荷の低減、そして安全・防災といった社会の要請に応えることで事業を展開しています。
2025年5月13日に発表された2025年3月期の通期決算によりますと、売上高は122億2,200万円、経常利益は10億3,000万円でした。
これは、前の期と比較して売上高、利益ともに下回る結果となりました。
この背景には、一部のプラント向け大型案件の端境期にあったことや、原材料価格の上昇などが影響しています。
一方で、来期（2026年3月期）の業績については、売上高130億2,000万円、経常利益12億3,300万円と、増収増益を見込んでいます。
今後は、国内外の旺盛なメンテナンス需要や、環境配慮型製品の拡販に力を入れていく方針です。
価値提案
株式会社日本インシュレーションは、建物や産業設備の安全性と省エネルギー化を実現するための耐火被覆や断熱技術を提供しています
これは火災による被害を抑えたり、エネルギー消費を低減したりするうえで大きな意味を持ちます
けい酸カルシウム素材の活用によって調湿やデザイン性といった多様なニーズにも対応し、文化財保護や意匠性の高い建築にも貢献しています
【理由】
なぜこのような価値提案が求められるのかというと、近年は建築物の高層化や環境保全の重要性がますます高まり、人々の安全と持続可能な社会の実現が大きな課題となっているからです
同社はそこに着目し、高い技術力と実績をベースに安全・環境・健康を支える建材を開発することで、幅広い産業分野からの信頼を獲得しています
主要活動
けい酸カルシウム系建材の製造や販売、そして耐火被覆工事や保温工事の設計・施工が同社の主な活動です
高層ビルの鉄骨をカバーする耐火被覆材をはじめ、産業プラントの断熱材など、工事現場と直接連携することが多い点が特徴となっています
【理由】
なぜこうした活動形態になったかというと、単に建材を製造して販売するだけでなく、実際の施工まで一貫して請け負うことで品質を保ちやすく、顧客との強固な信頼関係を築きやすいからです
さらに、文化財保護や特殊建築物の耐火・断熱ニーズが高まる中で、施工技術から得られるノウハウを製品開発にも活かし、次世代の建材を生み出す循環を確立しています
リソース
独自の無機化学技術と100年以上の企業歴史による信頼性が大きなリソースです
長い歴史の中で培われた研究開発力や施工ノウハウに加え、幅広い業界とのネットワークがあることで、顧客の多様な要望に柔軟に応えられる体制を整えています
【理由】
なぜこのようにリソースを強化してきたのかというと、耐火や断熱といった分野は一度の失敗が大きな損害につながるため、確実な品質が求められます
同社は長年にわたり品質と安全性を追求し続けることでブランド価値を高め、建築業界だけでなく文化財保存などの専門領域でも「信頼のリソース」を築き上げてきました
パートナー
建設会社や産業プラント企業、さらに海外の建材メーカーなどが主要なパートナーです
それぞれが持つ専門技術や流通経路と組み合わせることで、同社の耐火・断熱技術がより多くの分野へ広がっています
【理由】
なぜ広範囲なパートナーシップが必要かというと、高層ビルやプラント建設には巨大なプロジェクトが多く、各領域の専門家や企業が協力しなければ円滑に進みづらいからです
また海外進出を図る際には、現地の規制や文化に合わせた製品展開が求められるため、現地企業との連携が製品導入の鍵を握ります
こうした連携を通じて新技術の共同開発やサービスの拡充が進み、同社の存在感は国内外でさらに高まっています
チャンネル
直接営業、代理店ネットワーク、オンラインプラットフォームを活用して顧客に製品やサービスを届けています
これにより、大手建設会社から小規模の施工業者、さらには海外企業に至るまで幅広い顧客層をカバーしています
【理由】
なぜ多様なチャンネルを使うのかというと、耐火被覆や断熱材などはプロジェクトごとに仕様や納期が大きく変わり、柔軟かつスピーディーな対応が求められるからです
直接営業で技術的な相談を受ける一方、代理店を通じて地域密着型のサポートを提供し、オンラインで情報発信を行うことで、あらゆる顧客層のニーズに合わせたアプローチを可能にしています
顧客との関係
技術サポートやアフターサービス、定期的な情報提供を通じて顧客との長期的な関係を築いています
導入前のコンサルティングから施工後のメンテナンスに至るまで一貫して関わることで、トラブル時も素早い対応が可能です
【理由】
なぜこれほど顧客との関係を重視するのかというと、耐火や断熱にトラブルが起こると建物全体の安全性に影響が出てしまうため、施工後のフォローがとても大切になるからです
さらに、建物の使用状況や環境が変化した際には、追加対策や新製品へのリプレースが必要になる場合もあるため、継続的なコミュニケーションが次の受注にもつながっています
顧客セグメント
建設業界、産業プラント業界、文化財保護関連機関が主な顧客です
高層ビルやプラントは安全性と省エネルギー面の両方が重視され、文化財は保存状態を損なわないために適切な湿度管理などの配慮が求められます
【理由】
なぜこれらのセグメントをターゲットにしているかというと、耐火性や断熱性を確保するニーズが特に高く、けい酸カルシウム素材の特性が大きな効果を発揮する分野だからです
また歴史的建造物の保全にも、湿度調整機能を備える素材が必要とされるため、他社にはない強みを活かして専門性の高い市場にも参入できています
収益の流れ
製品販売収入と工事請負収入が主な収益源です
耐火被覆材や断熱材を製造販売するだけでなく、実際の施工業務を請け負うことで安定的な売上を確保しています
【理由】
なぜこの複合的な収益構造なのかというと、建材と施工を分離して考えるよりも、一括で請け負うほうが品質管理や納期調整が容易であり、顧客にとってもリスクが減らせるため需要が高まるからです
また、製品開発と施工経験が連動することで、より高い付加価値を生み出し、他社との差別化が明確になるメリットもあります
コスト構造
原材料費、製造コスト、研究開発費、販売管理費などで構成されています
けい酸カルシウムなどの原材料調達から加工、研究開発までを自社で行うため、初期投資は大きくなる一方で品質管理がしやすく、長期的な視点でコストを抑えやすい仕組みを作っています
【理由】
なぜこうしたコスト構造を維持するかというと、耐火や断熱は品質面での失敗が許されない領域なので、安易に外注やコストダウンを図るよりも、安全性と信頼性を重視する方が長期的な企業価値向上につながるからです
研究開発にも力を入れ続けることで、新たな市場や用途を見いだし、継続的に成長していく土台を作っています
自己強化ループについて
株式会社日本インシュレーションが高い評価を得ている背景には、技術革新と顧客信頼の好循環があります
まず、長年培ってきた無機化学技術を応用して新製品を開発し、海外市場への展開を図ることで収益を拡大します
すると、その成功事例がさらに顧客からの信頼を得る結果につながり、新しいプロジェクトや大型案件での受注が増加しやすくなります
また、こうした実績をもとに研究開発投資を継続し、より高性能な耐火・断熱材を生み出すことでブランド価値がさらに高まるのです
このように、技術革新と市場拡大、そして顧客信頼の相互作用が自己強化ループを生み出し、同社のビジネスモデル全体を底上げしているのが大きな強みといえます
採用情報
初任給は大卒の場合でおよそ20万円前後、平均休日は年間120日以上を確保し、働きやすい環境づくりを進めています
採用倍率は職種によって異なりますが、技術系ポジションを中心に毎年多くの応募があるため、競争率が比較的高い傾向にあります
研究開発職や施工管理職など専門性の高い業務がある一方で、事務系職種もあり、幅広いキャリアパスが魅力となっています
株式情報
銘柄は東証スタンダードで5368として上場しており、安定的な配当方針を掲げています
配当金は年度によって変動する可能性がありますが、長期保有の株主に対しても継続的に還元を行っています
1株当たりの株価は日々変動しますが、耐火・断熱需要や海外展開などの成長期待が注目される局面では上昇傾向を見せることがあります
投資の判断には株価推移や業績などをじっくりと確認する姿勢が大切です
未来展望と注目ポイント
今後は海外市場へのさらなる進出と、新素材を活用した製品開発が一段と重要になると考えられます
建物の高層化や環境への関心が高まる中、より軽量で高性能な耐火・断熱材のニーズは増加傾向にあります
株式会社日本インシュレーションは、こうした需要をいち早く取り込み、高い技術力を活かして次世代の建材を生み出すことが期待されます
また、国内では文化財の保護や改修工事なども増える見込みで、同社のけい酸カルシウム素材による調湿機能やデザイン性が改めて注目されるでしょう
さらに、SDGsやカーボンニュートラルといった世界的な課題に対応する省エネルギー技術が評価されれば、長期的な成長エンジンとしての役割がより明確になります
こうした背景を踏まえると、同社は安定的な市場ニーズに支えられながら、新しい分野への積極的な挑戦で将来の発展を目指す企業として注目度が高まっていくのではないでしょうか
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