企業概要と最新業績
株式会社クボテック
当社は、モノづくりの分野で事業を展開するテクノロジー企業です。
事業は大きく二つの柱で構成されています。
一つは、製品の設計や加工で使われる3次元CAD/CAMソフトウェアを開発・販売する「クリエイティブテクノロジー事業」です。
もう一つは、スマートフォンやテレビなどに使われる液晶・有機ELディスプレイの製造工程で、欠陥を検査する装置を開発・製造する「ディスプレイ検査装置事業」です。
独自の高度な技術力で、国内外の製造業を支えています。
2025年8月8日に発表された2026年3月期第1四半期の決算によると、売上高は8億3,000万円で、前年の同じ時期に比べて6.0%増加しました。
営業利益は5,900万円となり、前年同期の1,100万円の損失から黒字に転換しています。
経常利益は6,300万円(前年同期は900万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4,100万円(前年同期は800万円の損失)となりました。
主力であるディスプレイ検査装置事業において、海外向けの大型案件の受注があったことが、黒字転換の主な要因として報告されています。
【参考文献】https://www.kubotek.com/
価値提案
株式会社クボテックは、高品質かつカスタマイズ性に優れた電源装置や制御装置を提供しています。
一般的な規格品ではなく、顧客の要望に細かく応じる技術力が強みとなっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、半導体製造装置などの先端産業では独自仕様が多く、一般的な装置では対応しきれない場合があるからです。
同社は設計段階から顧客と密に連絡を取り合い、専用仕様を開発することで付加価値を高めてきました。
その結果、製品の品質や信頼性が評価され、顧客からのリピート受注につながりやすいビジネスモデルを築いています。
主要活動
同社の主要活動には、製品の設計や製造はもちろん、品質管理やアフターフォローなどが含まれます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、カスタマイズ品は量産型の商品と違って不具合が起きた際の修正やメンテナンス方法が複雑になることが多いからです。
そのため、製造の段階で細心の注意を払い、完成後も迅速にフォローアップできる体制を整えています。
また、顧客の声を取り入れた試作品の改良を繰り返すことで、より実用性の高い最終製品を送り出せる点が同社の強みになっています。
リソース
熟練した技術者と最新の製造設備、そして設計から出荷までの一貫生産体制が大きなリソースです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、外部に製造を委託すると品質のばらつきが発生しやすいため、自社内に生産設備を持つことで管理がしやすくなります。
さらに、技術者を社内で育成することでノウハウが蓄積されやすく、装置開発のスピードや精度を高めることが可能です。
このように、必要なリソースを社内に集約することで、顧客からの多様な要望に柔軟に対応しています。
パートナー
東洋電機製造グループや東京エレクトロンなど、大手企業との取引や協業が行われています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、電源装置や制御装置は幅広い産業分野で必要とされ、相互に強みを活かす連携が重要だからです。
大手企業との協業によって、最新の技術情報を共有しやすくなり、より高度な製品開発につなげやすいメリットも得られます。
また、取引が続くことで安定的な需要を確保しやすい面もあり、これらのパートナーシップが業績に大きく関わっています。
チャンネル
直接営業や公式ウェブサイト、展示会への出展などが主な販路です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、カスタマイズ品の特性上、顧客との対話を通じて具体的な仕様を詰める必要があるからです。
展示会や直接営業では製品の性能や実績を直接アピールでき、細かな技術的相談も受けやすくなります。
ウェブサイトでは基本的な製品情報や導入事例を示し、興味を持った企業をさらに深い商談へとつなげる役割を担っています。
顧客との関係
直接取引によるきめ細かいサポートが重視されています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、電源装置や制御装置は企業の生産ラインや通信ネットワークの心臓部になりやすく、トラブルの影響が大きいからです。
そのため、短期間での修理対応やカスタム仕様の調整など、密接なコミュニケーション体制が不可欠といえます。
同社はアフターフォローに力を入れることで、顧客満足度を高め、長期的な信頼関係を築いてきました。
顧客セグメント
半導体製造装置メーカーや通信機器メーカー、産業機械メーカーなどが中心的な顧客層です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、高い精度や安定性を要求される分野でこそ、同社のカスタマイズ技術や品質管理体制が必要とされるからです。
特に半導体分野は設備投資が活発な時期と停滞する時期の差が大きいため、その動向に業績が左右されやすい面もありますが、その分大口受注を獲得できれば一気に売上を伸ばす可能性があります。
収益の流れ
製品販売収入と保守メンテナンス収入が主な収益源となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、カスタマイズ品は導入後も長期的な保守契約が必要になることが多く、定期的なメンテナンスや部品交換を担うことで継続的な売上を確保できるからです。
また、高度な技術が求められる機器ほどユーザー企業が自社内で整備しきれない部分が増え、その分メンテナンス契約の重要性が高まります。
こうしたストック型の収益が企業の安定経営を支えています。
コスト構造
材料費や人件費、製造設備の維持管理費などが中心的なコスト要素です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、カスタマイズ品の開発には高度な設計技術が必要であるうえ、設備投資や人員育成にも資金がかかるからです。
さらに、品質を安定させるための検査体制や不具合発生時の修理・交換対応などもコストとして組み込まれています。
こうしたコストを最小限に抑えながら、顧客が求める品質を提供するバランス感覚が経営上のポイントになっています。
自己強化ループ(フィードバックループ)
株式会社クボテックでは、一貫生産体制とアフターフォローを中心に、顧客からの要望や不具合情報を次の開発に活かす仕組みを整えています。
顧客の現場で生じた問題を素早く把握し、技術者同士で共有することで、同じトラブルを再発しないよう対策を講じるのです。
このループが続くと製品の品質が向上し、顧客満足度も高まります。
その結果、リピート受注が増えて売上の安定にもつながり、さらに収益が改善されれば新たな設備投資や研究開発への予算が増やせます。
こうしたプラスの循環を回すことで、同社の競争力が自己強化されていくのです。
採用情報
株式会社クボテックでは、具体的な初任給額は公表していませんが、年間休日は125日以上とされています。
募集人数は1~5名程度で、そのうち残り2名を採用予定との情報があります。
製造分野とはいえ休日数が多めのため、ワークライフバランスを大切にしたい方にとっては働きやすい環境と言えるでしょう。
株式情報
同社は証券コード7709で上場しており、2024年3月期の年間配当は0円の無配を予定しています。
株価は2025年2月24日時点で185円となっており、今後の業績回復に伴う株価上昇を狙う投資家にとっては注目の銘柄と言えます。
ただし、配当がない点や半導体関連の投資動向に左右されやすい点も踏まえたうえで検討する必要があるでしょう。
未来展望と注目ポイント
株式会社クボテックの強みは、顧客ごとのニーズに合わせて装置を作り上げるカスタマイズ技術です。
半導体分野の設備投資サイクルには波がありますが、世界的なデジタル化やIoTの普及により、半導体の需要は長期的には成長が見込まれています。
そのため、需要が再び盛り上がる局面では、同社の装置が活躍する場面も増える可能性があります。
また、通信や産業機械などの幅広い顧客層を持つことで、ある程度のリスク分散も図っています。
今後は成長戦略として、より高機能な装置の開発や新規市場への参入がカギになるでしょう。
カスタマイズ技術を活かして省エネルギー性能や環境対応をアピールできれば、国内外の企業から一層注目を集めることが期待されます。
さらに、既存の顧客に加えて新たな分野の需要を開拓できれば、業績の安定化と将来的な成長が見込まれるでしょう。


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