企業概要と最近の業績
株式会社西日本フィナンシャルホールディングス
当社は、福岡県に本店を置く西日本シティ銀行などを傘下に持つ金融グループです。
銀行業務を中核としながら、証券、クレジットカード、コンサルティング、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援など、幅広い金融サービスをワンストップで提供しています。
「地域の発展なくして、当社の発展なし」という考えのもと、九州地域に根差した総合力の高い金融グループとして、地元経済の活性化に貢献しています。
最新の2026年3月期第1四半期決算では、グループ全体の業務粗利益にあたる経常収益は1,102億円となり、前年の同じ時期と比べて32.2%の増加となりました。
本業の儲けを示す経常利益は216億円で、前年同期比で41.0%増、最終的な利益である親会社株主に帰属する四半期純利益も160億円で同37.7%増と、大幅な増収増益を達成しています。
これは、金利の変動など市場環境の変化に対応した資金利益の増加や、お客様の課題解決に向けたコンサルティング手数料などが好調だったことによります。
【参考文献】https://www.nnfh.co.jp/
価値提案
地域密着型の金融サービスを一括提供することで個人や企業の多様なニーズに応える仕組みを整えています。
銀行だけではなく、リースや証券、クレジットカードなどをワンストップで利用できる体制があり、この総合力が大きな魅力です。
また、対面相談を中心にした丁寧なサポートが、地域住民や中小企業との信頼関係を深めています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、大都市圏とは違い、地方では事業者や個人が複数の金融機関を使い分ける手間を嫌い、一度に解決できる方法を求める傾向が強いからです。
そこで同社は、銀行の枠にとらわれずグループ全体で幅広い商品やサービスを用意し、ワンストップソリューションを実現することで、地域の暮らしやビジネスを継続的に支援できる体制を築いてきました。
この総合金融力によって競合他社との差別化を図り、顧客満足度を高めている点が価値提案の中心にあります。
主要活動
銀行業務を中心に、融資や預金管理、資金運用などのコアサービスを行いながら、リース、証券、クレジットカードなどの子会社事業を総合的に運営しています。
グループ内での顧客情報やノウハウを共有し、お客さまが求める金融サービスを一括で提供することにより、シナジー効果を高めています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、各サービスをバラバラに展開するよりも、顧客情報を集約しクロスセルを推進したほうが、効率的に顧客満足度を高められるからです。
銀行窓口で住宅ローンの相談を受けた後に、グループのクレジットカードや証券取引などを提案すれば、顧客一人ひとりのニーズに合わせた提案が可能になります。
これにより売上の多角化が期待でき、地域の金融課題を包括的に解決する体制を確立しています。
リソース
多くの支店網と地域に根差したブランド力、そして専門知識を持つ人材が同社の重要な資源です。
地元に強く根付いた企業として、顧客との直接的な接点を豊富に持っており、対面相談を重視する地方の顧客に対して安心感や信頼感を提供しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、地方ではデジタルチャネルが普及してもなお、対面での相談を求めるお客さまが根強く存在するためです。
そこに支店網が充実し、地域での知名度も高い同社が頼りにされる構造があるといえます。
さらに専門知識を持つスタッフによるコンサルティングが信頼を生み出し、金融商品だけでなく、経営相談や家計相談など幅広い領域にわたってサポートを行っています。
これらリソースを最大限活用することで、地域に貢献しながら持続的な収益確保に貢献しています。
パートナー
自治体や地元企業、他の金融機関など、さまざまな組織との連携を図りながら地域経済を支えています。
特に地方創生プロジェクトに積極的に参加し、官民一体となって地域企業の資金需要や事業拡大をサポートするパートナーシップを築いています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、地域金融機関としての使命感と共に、地方経済を活性化させることが自社の収益基盤を強化する最良の方法でもあるからです。
地元企業の成長や雇用拡大が進めば、金融サービスを利用する層も増え、お互いにプラスをもたらす関係が成立します。
こうしたパートナーシップが同社の強みとして、今後の成長戦略やビジネスモデルに大きく寄与していきます。
チャンネル
支店窓口、オンラインバンキング、モバイルアプリなど、複数のチャンネルを通じて顧客にアプローチしています。
とくに店舗での手続きや相談を重視するお客さまと、インターネットで完結させたいお客さまの両方のニーズに合わせる構造を整えています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、金融サービスは安心感や手軽さが同時に求められるためです。
地域においては対面接点の価値が高い一方で、若年層や忙しいビジネスパーソンはオンライン完結を望むことが増えています。
そのため支店とデジタル両方のチャンネルを強化することで、より多くのお客さまにリーチしやすくなり、利便性の向上と顧客満足度のアップを同時に図っています。
顧客との関係
対面でのコンサルティングやカスタマーサポート、定期的な情報提供など、長期的な信頼関係を築く活動が重視されています。
地域の行事やイベントへの参加を通じて地元住民とのつながりを深め、お客さま一人ひとりのライフステージに合わせた提案を行っています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、地方銀行系の金融グループとして、日常の資金管理や企業経営のサポートをするうえで、お客さまとの信頼関係が重要だからです。
短期的な利益追求ではなく、長い目で顧客ニーズを把握し、必要な時に必要なサービスを提供できる体制を整えることで、地元での評判を高めています。
信頼をベースにした関係構築が、融資や投資商品などややリスクのあるサービス提案の際にも大きな安心感を生み出し、安定した収益に結びついています。
顧客セグメント
個人顧客、中小企業、地方自治体など、幅広い層を対象としています。
特に中小企業への融資や経営支援、個人向けの住宅ローンや資産運用提案など、地域の生活と経済活動を支える役割を担っています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、九州地方では中小企業が地元経済の中核であり、個人も高齢化やライフステージの多様化によって、従来以上にきめ細かな金融サービスを必要としているからです。
また、地方自治体との連携は公共性の高いプロジェクトや地域活性化事業への融資に直結し、幅広いセグメントにアプローチできるようになります。
このような多面的な顧客層をカバーすることで、地域全体への貢献度を高めつつ、収益機会を分散し安定的な経営を実現しています。
収益の流れ
融資利息や手数料収入、リース料、投資収益など、多様な収益源を持っています。
銀行業務に依存しすぎず、証券やクレジットカードなどの部門からの手数料収入を伸ばすことで、低金利環境への対応を進めています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、金利収入が伸び悩む中で銀行頼みのビジネスモデルでは収益リスクが高まるからです。
そこでグループ全体で非金利収入を積極的に取り込む体制を作り、支店やオンラインで付随するサービスを顧客に提案しています。
たとえば融資利用の企業にリースを合わせて提案するケースや、預金顧客に投資商品の購入やクレジットカードを利用してもらうなどのクロスセルが一例です。
こうした収益の多角化が業績安定につながり、厳しい経済環境でも成長を目指せる基盤になっています。
コスト構造
人件費や店舗運営費、システム維持費などが主なコストですが、デジタル化や業務効率化を通じて見直しを図っています。
支店数やATMの配置を最適化しながらオンラインチャネルを強化することで、長期的には固定費削減が見込まれます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、長期的な低金利環境と人口減少で既存のビジネス形態が持続しにくくなっているからです。
特に地方銀行などでは支店網が広いほどコストがかさみやすい一面があります。
そこでデジタルチャネルを活用することで、利用者数に合わせた店舗見直しや業務プロセスの効率化を進めています。
またシステム投資を行うことで、将来的な運用コストを削減し、利益率を維持していく狙いもあります。
自己強化ループ
西日本フィナンシャルホールディングスは、地域密着型の総合金融サービスを提供することで地域企業や個人の経済活動を活発化させ、再び金融需要が高まるという好循環を目指しています。
具体的には、融資によって地元企業の設備投資や雇用拡大を後押しし、そこで生まれた新たな経済活動がさらに消費を増やすことで、リースやクレジットカード、証券取引など周辺事業の利用が拡大する仕組みですです。
このように一度ポジティブな循環が起これば、地域経済の成長とともに金融サービス需要も増え、同社の業績がさらに伸びる効果が期待できます。
ただし、人口減少や競合の進出など外部要因も多いため、オンラインチャネルや非金利収入の強化を組み合わせながら、自己強化ループを維持する戦略が重要になっています。
採用情報
西日本フィナンシャルホールディングスは、新卒採用の際に初任給を公式に大きく公表していませんが、同業界と比べて平均的な水準と推測されています。
年間休日はおよそ120日ほどあり、オンとオフのメリハリを大切にしながら働ける環境づくりが行われています。
採用倍率も特別高いわけではないようですが、対面相談や総合金融サービスに興味を持ち、地域に貢献したいという志向の学生が集まる傾向があります。
地方銀行や金融グループとしてはITやデジタル領域にも力を入れ始めているため、多彩なスキルを活かせる可能性があります。
株式情報
同社の銘柄コードは7189です。
株主還元に力を入れており、2025年3月期には1株当たり75円の配当金を実施する予定です。
配当利回りは3パーセント台後半とされ、比較的魅力的な水準となっています。
また株価は2025年2月21日時点では2,033円で推移しており、安定性と成長余地のバランスが注目されています。
純利益の一時的な減少は気になる点ですが、非金利収入の拡大やコスト削減努力などによって、中長期的には持続的な配当政策が期待できそうです。
未来展望と注目ポイント
同社は低金利環境や人口減少という地方の厳しい現実を踏まえつつ、積極的な成長戦略を描いています。
特にデジタル化や業務効率化によるコスト削減が進めば、利益体質が改善され、地域だけでなく都市部やオンライン上で新たな顧客層を獲得するチャンスも生まれます。
さらにリース、証券、クレジットカードなどの周辺事業を組み合わせたビジネスモデルは、競合他社との差別化につながり、安定的な収益源を確保できる強みがあります。
また地方創生プロジェクトに積極的に参加することで、自治体や企業との連携が強化され、貸出先や投資機会が拡大する可能性があります。
こうした施策によって地域経済の発展と同社の事業拡大が両立すれば、ポジティブなフィードバックループをさらに加速させるでしょう。
今後はデジタル施策の進捗や新規ビジネス領域への進出状況などに注目が集まり、IR資料や決算発表の内容も大きな判断材料となりそうです。
西日本フィナンシャルホールディングスが持つ地域密着の姿勢と総合金融力が、次の成長ステージをどのように切り開いていくかが見どころです。
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