この先が期待できる株式会社JMSのビジネスモデルと成長戦略

精密機器

企業概要と最近の業績

株式会社JMS

当社は、広島県に本社を置く、医療機器や医薬品のメーカーです。

「かけがえのない生命(いのち)のために」を企業理念とし、安全で高品質な製品を世界中の医療現場に提供しています。

主力製品は、点滴に使われる輸液セットや、人工透析(とうせき)治療で使われる血液回路など、治療で一度だけ使われるディスポーザブル製品です。

国内だけでなく、東南アジアやヨーロッパ、アメリカなどにも拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。

2025年8月6日に発表された2026年3月期第1四半期の決算によると、売上高は196億2,400万円で、前年の同じ時期に比べて6.2%増加しました。

営業利益は6億9,600万円で、前年同期比で11.4%の増加となりました。

経常利益は10億800万円(前年同期比10.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7億1,400万円(前年同期比10.5%増)と、増収増益を達成しています。

海外での透析関連製品や輸液セットの販売が好調だったことに加え、為替レートが円安で推移したことも業績を押し上げたと報告されています。

【参考文献】https://www.jms.cc/

価値提案

株式会社JMSの価値提案は、高品質で信頼性の高い医療機器を医療現場へ届けることです。

たとえば血液浄化装置や輸液ポンプなど、人命に直結する製品を手掛けているため、安全性や正確性が求められます。

【理由】
なぜそうなったかというと、医療の高度化に伴い、高い精度と安全対策を備えた機器でなければいけないからです。

さらに、日本国内の厳しい品質基準をクリアしてきた経験が海外でも評価されるようになり、結果として信頼性の高さがブランドイメージの向上につながっています。

医療機関としては安心して使える機器を選ぶ傾向が強いため、この価値提案が同社の強みになっています。

また、高度医療の現場で求められるニーズを常に研究し、開発段階から品質を厳しくチェックしていることが、顧客との長期的な信頼関係を生む背景になっています。

主要活動

主要活動としては、研究開発、製造、販売、アフターサービスの4つが大きな柱です。

まず研究開発では、新しい医療技術を取り入れたり、より使いやすい製品に改良したりと絶えず製品のブラッシュアップを行っています。

製造においては、自社工場を活用して厳格な品質管理を行うことで、高い安全基準を維持しています。

販売では国内だけでなく海外の医療機関にも積極的にアプローチしており、代理店や現地法人を活かして販路を拡大しています。

アフターサービスも重要な活動であり、機器のメンテナンスや修理体制を整えることで、顧客満足度を高めることに注力しています。

【理由】
なぜそうなったかというと、医療機器は導入した後のサポートが特に大切だからです。

トラブルが起きたときに素早く対応できるかどうかが、医療機関の信頼獲得に直結します。

リソース

リソースとしては、高度な技術を持つ人材、自社工場、研究施設などが挙げられます。

医療機器は安全性や精密性が求められるため、エンジニアや科学者など専門的なスキルを持つ人材の確保が欠かせません。

自社工場では、徹底した品質管理と安定供給を実現するための生産ラインが整えられており、厳しい検査基準を満たす仕組みがつくられています。

研究施設では、新製品の開発や既存製品の改良に必要な実験や検証を行い、市場のニーズに即した技術革新を追求しています。

【理由】
なぜそうなったかというと、医療機器市場で生き残るには独自性や技術力が鍵となるからです。

他社との差別化を図るには、強固な研究体制と製造技術を確保しなければ競合に埋もれてしまう可能性があるため、このようなリソースに投資を続けているのです。

パートナー

パートナーは主に医療機関、研究機関、販売代理店などが中心です。

医療機関との連携では、実際の臨床現場の声を製品開発に取り入れて改良することで、使い勝手の良い機器を作り出すことができます。

研究機関や大学との協力では、先端技術や新素材を活用するチャンスを得られますし、学術的なエビデンスが製品の信頼性を裏付ける形にもなるため、ブランド力が強化されます。

販売代理店や海外の流通パートナーについては、自社だけではカバーしきれない地域や市場へのアクセスを広げる大きな役割を担っています。

【理由】
なぜそうなったかというと、医療機器は規制や安全性の観点から各国独自のルールがあるため、信頼できるローカルパートナーが必要不可欠だからです。

チャンネル

チャンネルは、直接販売と代理店経由に加えて、近年ではオンラインプラットフォームも活用しています。

直接販売では主要都市の病院やクリニックに営業担当が訪問し、製品の説明や導入相談を行うことで、現場の声を反映させています。

代理店経由では、自社でカバーしきれない地域や専門領域に効率的に製品を広めることができるメリットがあります。

オンラインプラットフォームはまだ医療機器で一般的とはいえませんが、カタログ情報や問い合わせの窓口としての役割が大きくなっています。

【理由】
なぜそうなったかというと、新型感染症拡大の影響やIT化の進展により、遠隔での情報提供や取引が求められるケースが増えたからです。

対面とオンラインの両方を活かしつつ、より多くの医療機関にアプローチしようとする戦略が見られます。

顧客との関係

顧客との関係では、定期的なフォローアップや技術サポートを行う体制が重視されています。

医療機器は導入後の使い方やメンテナンスが複雑な場合も多く、専門家によるサポートが欠かせません。

同社ではトレーニングプログラムを用意し、医療スタッフが正しく機器を扱えるよう指導を行うことも重要な取り組みです。

【理由】
なぜそうなったかというと、製品の性能が高くても使用方法がわからなければ、医療現場でのトラブルや安全上のリスクが生じる可能性があるからです。

アフターサービスや顧客対応の質が評判となり、次の製品導入や長期的な取引にもつながります。

こうした信頼関係を築くことがブランド力を高める大きな要素になっています。

顧客セグメント

顧客セグメントは主に病院やクリニック、医療研究施設などが中心となります。

病院には大規模な急性期病院から地域医療を担う中小規模の病院まで幅広いニーズがあり、それぞれ必要とする製品や数量が異なります。

クリニックでは、よりコンパクトで扱いやすい機器が求められる場合が多く、パーソナルなサポートも大切です。

研究施設の場合は、最新技術や特殊な研究に対応できる機器が必要とされるため、高度な技術開発力やカスタマイズ性が求められます。

【理由】
なぜそうなったかというと、医療の現場は多様化が進んでおり、単一の製品だけではすべてのニーズを満たすことが難しいからです。

同社は多岐にわたる製品ラインアップを用意し、この多彩な顧客層に応えているのが特徴です。

収益の流れ

収益の流れとしては、製品販売が最も大きな柱になっています。

血液浄化装置や輸液ポンプなどの本体販売に加えて、それらに付随する消耗品の供給でも収益を得ています。

また、保守サービスも重要な収益源です。

定期メンテナンスや修理などのサービスを契約ベースで提供することで安定的なキャッシュフローが生まれます。

【理由】
なぜそうなったかというと、医療機器は長期的に使われるため、導入後のメンテナンスニーズが必ず発生するからです。

消耗品に関しては、定期的な交換が必要なケースが多く、本体と合わせた継続的な売上が見込めます。

こうした仕組みにより、一度の販売で終わるのではなく、長期的に安定した収入を生み出しやすいビジネスモデルになっています。

コスト構造

コスト構造は主に研究開発費、製造コスト、販売・マーケティング費用から成り立っています。

研究開発には、安全性や性能の向上を目的とした試験や実験が欠かせないため、多額の投資が必要になります。

製造コストは原材料費や生産ラインの維持、品質検査などによって大きく変動します。

販売・マーケティング費用では、営業マンの人件費だけでなく、展示会や学会への出展、さらに海外展開の費用も考慮する必要があります。

【理由】
なぜそうなったかというと、医療機器は規制や承認手続きが厳しく、開発から販売までに多くのプロセスを踏まなければならないからです。

その分コストもかかりやすく、利益率を確保するために効率化と差別化が同時に求められます。

自己強化ループについて

株式会社JMSの自己強化ループは、製品品質の高さと研究開発力によって回っています。

高品質な医療機器を市場に提供すればするほど、医療機関からの信頼が向上し、さらに販売が拡大していきます。

その結果、売上が伸びて新たな研究開発への投資資金が確保でき、新製品を生み出すサイクルが強化されるのです。

こうした好循環が、同社のビジネスモデルを支える大きな要素になっています。

ただし、その一方で研究開発や品質維持には多額のコストがかかりやすいです。

もし競合他社との競争が激しくなり売上が落ち込むと、研究開発に投じる余力が下がり、新製品の投入が遅れてしまう可能性があります。

そうなるとシェア拡大が止まり、さらに売上が伸び悩むという悪循環に陥るリスクも否定できません。

ここで重要になるのが、いかに早期に製品の改良や次世代技術の開発を行い、顧客ニーズに柔軟に対応できるかという点です。

JMSが自己強化ループを維持するためには、市場動向をいち早く察知し、それを製品開発に反映するマインドセットが必要だと考えられます。

すでに医療現場で築いたブランド力をさらに強化していくためには、この正のフィードバックループを絶やさず回し続けることが欠かせないのです。

採用情報と働きやすさ

株式会社JMSの初任給は具体的には公表されていませんが、医療機器メーカー全体の水準を参考にすると、比較的専門性の高い職種が多いことから相応の待遇が見込まれます。

年間休日は約120日程度と考えられており、研究職や開発職を中心に長期的なキャリア形成を支援する体制があるようです。

採用倍率については公表されていませんが、医療機器分野の知識や製品開発の経験が求められるため、募集枠に対して応募者数が多くなる傾向があると推測されています。

実際に働く場では、医療の安全を守る責任感が必要とされる一方、社会貢献度の高い仕事ができるやりがいの大きさが魅力のひとつです。

株式情報のポイント

同社は証券コード7702として上場しており、1株当たり純資産は2024年3月期末で1,657.29円、1株当たり当期純利益はマイナス1.48円となっています。

配当金については2024年3月期の実績が確認できず、投資家としては安定配当があるかどうかを見極める必要があります。

株価は医療機器市場全体の動向や、同社の業績改善の見通しに大きく左右されるでしょう。

経常利益はプラスとはいえ、営業利益がマイナスの状況が続く場合、投資家心理にはマイナス要素となる可能性があります。

一方、売上高が伸びていることは企業としてのポテンシャルを示しているといえます。

未来展望と注目ポイント

今後の展望としては、さらなる成長戦略をどう描いていくかが大きな鍵になります。

まず、新製品の開発を加速させることで売上高をさらに引き上げ、営業利益の改善を目指す取り組みが重要になるでしょう。

輸液関連や血液浄化分野は安定需要が見込まれますが、競争も激しいため、付加価値の高い技術やサービスを打ち出すことが求められます。

さらに海外市場の拡大も大きなチャンスです。

医療水準の向上が進んでいる国や地域では、より品質が高く、安全性の確立された機器が必要とされています。

そこに日本基準で開発された製品を投入できれば、市場シェア拡大のきっかけになる可能性があります。

一方、課題としては研究開発費や販管費が膨らむ中で、どのようにコストをコントロールしながら利益を生み出せるかが挙げられます。

営業利益がマイナスの状況が続くと、将来的な投資にも影響が出るおそれがあります。

そこで、効率的に研究開発を進める仕組みや、製造工程での自動化や合理化などによるコストダウンが急務となるでしょう。

今後も医療業界への貢献度合いや、新しい技術への対応力が注目されます。

中長期的には、高品質な医療機器を継続的に提供しながら海外展開を強化し、安定収益を確保することが期待されます。

株式市場でも業績の回復が明確に示されれば、投資家からの評価が高まるでしょう。

今後のIR資料でどのような成長戦略や新製品情報が公開されるかが、見逃せないポイントとなりそうです。

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