企業概要と最近の業績
株式会社セキチュー
群馬県を中心に、関東地方でホームセンターを展開している企業です。
DIY用品、園芸用品、ペット用品、家庭用品、インテリアなど、住まいと暮らしに関する幅広い商品を取り扱っています。
お客様の「より豊かな暮らしづくり」をサポートすることを経営理念としています。
ホームセンター事業のほかに、自動車の販売などを行うオートウェイ事業も手掛けています。
2025年2月期の通期決算によると、営業収益は407億95百万円となり、前の期と比べて0.4%の減少となりました。
利益面では、営業利益が前の期に比べて35.8%減の6億58百万円、経常利益が33.7%減の7億33百万円でした。
猛暑による季節家電の販売増などプラスの要因はあったものの、消費者の節約志向や競争の激化により、売上が伸び悩みました。
電気料金や人件費といった販売費及び一般管理費が増加したことも、利益を押し下げる要因となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前の期に比べて48.0%減の3億28百万円となっています。
価値提案
セキチューは多様な日用品から専門性の高いDIY用品まで幅広いラインナップをそろえ、地域住民が必要とする商品を「いつでも近くで手に入る」価値として提供しています。
園芸用品や生活必需品のように日常生活に欠かせないカテゴリーを扱うことで、地域の人々にとって頼れる存在として機能しているのです。
さらに店舗イベントの開催やスタッフによる相談対応など、商品のみにとどまらないサービス面でも付加価値を高めています。
【理由】
なぜそうなったのか セキチューはDIY市場の拡大や家庭菜園ブームなどを捉え、人々のライフスタイルを豊かにする商品群をそろえることで差別化を図ってきました。
競争が激しいホームセンター業界では品ぞろえだけでなく、地域住民とのコミュニケーションや暮らしをサポートする姿勢が重要だと考え、ここに大きな価値を置いているのです。
主要活動
店舗へ商品を仕入れて適切に陳列し、接客やイベントを通じて販売促進を行うことがセキチューのホームセンター事業の中心です。
不動産賃貸事業では、賃貸契約の管理やテナントの誘致を行い、空きスペースを減らして収益を最大化しています。
これらの活動を通して安定的なキャッシュフローを生み出し、企業としての持続的な成長をめざします。
【理由】
なぜそうなったのか ホームセンター市場では商品単価が比較的低い商材も多く、販売点数を伸ばすために魅力的な売り場づくりが欠かせません。
一方で不動産賃貸事業は安定収益をもたらすため、両事業をバランスよく進めることでリスクを分散する戦略を取っています。
店舗運営とテナント誘致の両面を強化することで、経営の安定化と収益拡大を同時に実現しているといえます。
リソース
最大のリソースは広大な店舗網と充実した在庫管理システムです。
地域特性に合わせた品ぞろえや、トレンドに合わせた仕入れによって顧客ニーズを的確につかみ、多様な商品をそろえる体制を整えています。
またスタッフの接客力も重要なリソースであり、DIYや園芸など専門性が問われる分野でのノウハウを継承し、店舗の付加価値を高めています。
さらに不動産賃貸向けのスペースを持つことで、テナント企業への貸し出しを通じた安定収益源も大きな強みです。
【理由】
なぜそうなったのか ホームセンター業界は店舗面積や在庫規模で優位性が生まれやすく、広い売り場を保有しながら地域性を反映させるノウハウが成長の鍵となります。
セキチューは創業以来、地域に密着した店舗運営を積み重ねてきたことでノウハウを蓄積し、大規模店舗のリソースを活かす方向へ進化してきました。
この結果、多角的に資産を活用しながら利益確保を狙う経営方針につながっています。
パートナー
商品仕入れ先である各種メーカーや卸売業者との連携が不可欠です。
豊富な商品ラインナップを実現するために、多岐にわたるカテゴリーの仕入れ先との取引を継続的に強化しています。
また、テナントを入居させる不動産賃貸事業ではテナント企業との良好な関係づくりも重視しており、共存共栄を目指す姿勢で協力を深めています。
【理由】
なぜそうなったのか 競合他社との価格競争が激しい市場環境の中で、より魅力的な商品を最適な価格で仕入れる必要があるため、信頼できる仕入れパートナーとの関係構築が重要になっています。
またテナント企業との関係を築くことで、安定的な賃料収入を得るだけでなく、地域の商業活性化にも貢献できるため、相互利益を見据えた連携が進められてきました。
チャンネル
主なチャンネルは地域密着型の直営店舗です。
実店舗ならではの対面接客や商品を直接手にとれる安心感は、ホームセンターならではの強みといえます。
またオンライン販売にも取り組んでおり、実店舗とECサイトの連携を深めることで、より多くの顧客との接点を得る方向を目指しています。
【理由】
なぜそうなったのか ホームセンター業界では、比較的大型で重たい商品や専門性の高いDIY資材を扱うことが多く、対面によるアドバイスや商品の直接確認が購入を後押しする重要な要素でした。
しかしEC利用も増加傾向にあるため、実店舗とオンライン双方での販路を確保し、顧客体験を向上させる必要が出てきたのです。
顧客との関係
店舗ではスタッフとの対面接客や、会員制度による優待サービスを行うことで顧客のロイヤルティを高めています。
また地域のイベントやワークショップに協賛することで、住民との直接的な交流を積極的に行い、企業イメージの向上やファンづくりにつなげています。
【理由】
なぜそうなったのか ホームセンターは日々の生活に密着した商材を扱っているため、顧客とのコミュニケーションが品質や信頼感につながると考えられています。
店舗スタッフによる専門的なアドバイスは、ネット検索では得にくいリアルな価値を提供し、顧客満足度を高める大きな要素になっているのです。
顧客セグメント
地域住民を中心に、DIY愛好者や園芸愛好者など幅広い層を対象としています。
とくにDIYやガーデニングブームが後押しとなり、若い層からシニア層までまんべんなく利用されていることが特徴です。
建材や工具も扱うため、プロの職人や小規模工務店なども一定数の顧客として存在します。
【理由】
なぜそうなったのか ホームセンターは「近所で何でもそろう」という利便性を求める人たちに重宝されやすく、地域の生活インフラ的な役割を果たすことで来店頻度を上げています。
またDIYや園芸は趣味としての市場規模が拡大傾向にあるため、商品バリエーションを充実させることで幅広い顧客を獲得できるようになりました。
収益の流れ
収益の主体はホームセンター事業での商品販売収入と、不動産賃貸事業での賃貸収入です。
商品販売は売上高の大半を占めていますが、テナント賃貸からの賃料収入は安定的に企業の利益に寄与しており、リスク分散にもなっています。
経常利益の中で、不動産賃貸事業の割合は決して小さくないといえます。
【理由】
なぜそうなったのか ホームセンター事業だけでは景気や消費者マインドの変化に影響を受けやすく、収益が安定しにくい面があります。
そこで既存の店舗スペースを活用してテナント誘致を行い、固定的な賃貸収入を確保するモデルへとシフトしました。
これにより不況期でも一定の収益を見込める体制を作り上げているのです。
コスト構造
商品仕入れコスト、店舗維持費、人件費が大きな割合を占めます。
大型店舗を運営するには土地や建物の維持にかかるコストも高額になりますが、それを不動産賃貸事業の賃料収入で一部相殺することで、総合的なコスト負担を抑える仕組みです。
地域の事情に合わせた店舗展開をするため、出店リサーチや改装費なども重要なコスト要素です。
【理由】
なぜそうなったのか ホームセンター事業は店舗規模が大きいため運営コストも大きくなりがちですが、それを上回る売上高を得られれば収益化しやすいという面もあります。
セキチューの場合、テナント賃貸収入で店舗運営費の一部を補うことで、安定的な利益構造を確立する方針を打ち出してきました。
自己強化ループ
セキチューでは不動産賃貸事業の拡大が自己強化ループを生み出しています。
具体的には、テナント誘致によって賃貸収入が増加することで、新たな店舗改装や設備投資に資金を回せる余力が生まれます。
その結果、より魅力的な店舗スペースや環境を整備しやすくなり、新たなテナント候補を呼び込む好循環が形成されます。
ホームセンター事業においても、テナントが入居する商業施設としての集客力が向上すれば来店者数が増えやすく、さらなる売上アップが見込まれるのです。
このように賃貸収入が投資原資となり、投資効果が再び収益増加につながるフィードバックループを活かし、安定した成長を実現しています。
採用情報
公開されている情報では、初任給や採用倍率は明らかにされていません。
年間休日は108日で、一般的な企業の休日数と比べて平均的な水準といえます。
サービス業や小売業という性格上、土日や祝日に出勤し平日に休むシフト制を採用している可能性が高いです。
働き方の柔軟性や研修制度などは随時見直しを行っているようで、スタッフ一人ひとりのスキルを高めることに注力していると考えられます。
株式情報
セキチューの銘柄コードは9976です。
2024年2月期の配当金は1株当たり30円で、安定的な配当を継続する方針を打ち出しています。
2025年1月17日時点での1株当たり株価は1,013円となっており、不動産賃貸事業の拡大やホームセンター事業の動向が今後の株価にも影響するとみられます。
未来展望と注目ポイント
これからはホームセンター事業の競合がさらに厳しくなる中で、セキチューがどれだけ地域に根差した店舗運営を進化させられるかが大きなポイントになります。
実店舗とオンライン販売を融合させたオムニチャネル戦略を強化すれば、顧客体験の向上だけでなく、遠方の顧客にも商品を届けるチャンスが増えるでしょう。
また、不動産賃貸事業のテナント誘致を継続的に成功させることで、賃貸収入をさらに積み上げ、投資余力を高めることが期待されます。
これらの収益源をもとに設備投資や新規店舗の拡大を進めることで、ビジネスモデルをより強固にしていく可能性があります。
地域住民の声を丁寧に拾い上げることでサービスの質を上げ、長期的な顧客獲得につなげる姿勢を維持できるかどうかも注目するべき点です。
今後のIR資料でも、事業戦略や投資計画の方向性が提示されると思われるため、投資家にとっても魅力ある情報が公開されていくと考えられます。
今後の取り組みにより、安定した配当とさらなる企業価値向上が期待されるでしょう。
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