株式会社チームスピリットのビジネスモデルがもたらす成長戦略

情報・通信業

企業概要と最近の業績

株式会社チームスピリット

2025年8月期の第3四半期連結決算では、売上収益が53億20百万円となり、前年の同じ時期に比べて19.2%の増加となりました。

営業利益は5億17百万円で前年同期比10.8%の増加、税引前四半期利益は5億16百万円で前年同期比10.7%の増加となり、増収増益を達成しています。

ARR(年間経常収益)は2025年5月末時点で69億53百万円となり、前年から17.6%増加し、SaaS事業の成長が継続していることが示されました。

主力サービスである「TeamSpirit」のライセンス単価は上昇傾向にあり、契約社数は2,000社、契約ユーザー数は47万人をそれぞれ突破しています。

費用面では、事業拡大のための人件費や採用費、広告宣伝費が増加しましたが、増収効果により吸収し、増益を確保しました。

【参考文献】https://corp.teamspirit.com/ja-jp/

価値提案

勤怠管理や工数管理、経費精算、稟議などの複数の業務を一元管理

Salesforceプラットフォームを活用した高い拡張性と安定性

直感的な操作画面と継続的なアップデートで業務効率を向上

【理由】
国内企業の人事労務や総務部門において、複数のシステムを併用して作業する非効率性が課題とされてきました。

そこで、株式会社チームスピリットは勤怠や経費などバラバラになりがちな機能を「TeamSpirit」に集約させ、会社全体の生産性を向上させる方法を確立しました。

この一体型アプローチは、働き方改革とDXを進める企業にとって非常に魅力的な価値となり、安定的な利用企業数の増加につながっています。

主要活動

「TeamSpirit」の開発・保守・運用

新規事業としてAI議事録ソリューションなどのサービス拡充

顧客サポートやコンサルティングを通じた導入支援

【理由】
同社は単にソフトウェアを提供するだけでなく、長期的な顧客満足を得ることを重視してきました。

特に企業のDX化が進む中で、単なるパッケージ販売ではなく、運用サポートや追加要望への対応まで一貫して支援することが差別化のポイントとなっています。

また、新たなニーズにあわせてAIやクラウド技術を活用した新規事業の立ち上げも積極的に行い、顧客満足度とサービス領域の拡大を同時に図っています。

リソース

Salesforceプラットフォーム上の開発技術

高度なクラウド運用ノウハウ

専門性の高いエンジニアリングチーム

【理由】
クラウドサービスの安定稼働は技術者の腕にかかっているため、同社はエンジニアを中心とした人材育成と確保を重視してきました。

Salesforceをベースとしたサービス構築により、世界的に利用されているプラットフォームの恩恵を受けつつ、独自の開発経験やノウハウを蓄積しています。

これによってユーザーの多様な要望に応えられる拡張性や、セキュリティ面での信頼感を得ることができ、結果的にサービスの付加価値向上に貢献しています。

パートナー

Salesforceをはじめとする技術パートナーとの連携

導入支援や販売代理を行う外部企業とのアライアンス

マーケティング面で協力するコンサルティングファーム

【理由】
自社単独での開発や営業には限界があり、効率的に事業を拡大するためにはパートナー企業との協働が必要です。

Salesforceの技術基盤を活用することで、グローバルなベストプラクティスを取り入れやすくなり、顧客企業に対してもスムーズな導入や追加機能の提供が可能になりました。

また、販売代理店やコンサルティング会社などと協力することで、より多くの潜在顧客にリーチしやすくなり、導入効果の説明もしやすくなるというメリットがあります。

チャンネル

自社営業チームによる直接提案

パートナーアライアンスを活用した販路拡大

オンラインを中心としたマーケティング施策

【理由】
クラウド型のサービスは導入コストの明確化や導入プロセスの簡略化が求められることが多いです。

そのため、直接営業によるきめ細かいサポートと、オンラインでの情報発信によるセルフリード獲得を両立させる手法を選択しています。

また、パートナー企業との協業で新たな販路を開拓しつつ、WebサイトやSNSを活用して製品情報を発信することで、より幅広い企業層にリーチしているのです。

顧客との関係

カスタマーサクセスチームによる導入後サポート

定期的なアップデートや機能追加によるフォロー

利用企業コミュニティを通じた意見交換や情報共有

【理由】
クラウドサービスは導入後の運用フェーズにおいても、顧客からのフィードバックや要望への対応が非常に大切です。

同社ではカスタマーサクセスチームが企業ごとの状況を把握しながら問題解決やアップデート情報の提供を行うことで、顧客離れを防ぎ、長期的な契約維持につなげています。

さらに、利用企業同士が交流する場を設けることで、自社のサービスだけでなく働き方改革や経費削減といった社会的課題への取り組みも進めやすくなる利点があります。

顧客セグメント

中小企業から大手企業まで幅広い業種

本社機能を持つ管理部門への導入が多い

多店舗や多拠点展開をする企業にも適した機能性

【理由】
勤怠や経費精算などのバックオフィス管理は、規模や業種を問わずどの企業にも必要な領域だからです。

特に日本では働き方改革や従業員管理の高度化が求められているため、企業規模を問わず「TeamSpirit」が役立ちます。

また、Salesforceをベースにしていることで、拠点が多い大手企業にも対応しやすく、一元管理がしやすい点が支持を集めています。

こうした幅広いニーズに対応できるサービス構成が、ユーザー数拡大の原動力になっています。

収益の流れ

サブスクリプション型モデルによる継続収入

オプション機能や追加ユーザー数に応じた料金プラン

顧客企業からのカスタマイズ要望に応じたコンサル費用

【理由】
クラウドサービスのビジネスモデルとしては、月額や年額の定額課金方式が最も安定しやすいためです。

勤怠管理などの業務システムは企業運営に欠かせないため、一度導入すれば長期にわたって利用される可能性が高いこともサブスクリプションを選ぶ理由の一つです。

また、追加機能やユーザー数によって段階的に料金が変わる仕組みにすることで、企業の成長段階や業務ニーズに合わせた柔軟なプラン提案が可能になり、結果的に収益の安定と拡大を両立しています。

コスト構造

開発人件費とクラウド運用費用

カスタマーサクセスやサポート部門の人件費

広告宣伝費やマーケティング関連費用

【理由】
「TeamSpirit」のようなクラウドサービスは常に機能改善やアップデートが求められるため、開発と運用体制を維持するコストが一定以上かかります。

また、サブスクリプションモデルでは新規顧客獲得が事業拡大に直結するため、広告やマーケティングにも投資を行わなければなりません。

一方で、多くの企業が利用し始めるとスケールメリットが生まれ、アプリケーション改修のコストや運用ノウハウが集約されていくので、効率的にコストを抑えつつサービスの質を高められるという利点もあります。

自己強化ループ

クラウドサービスは利用者が増えるほど、顧客からの要望や使い方の事例が蓄積され、製品の改善サイクルが速くなるという特徴があります。

「TeamSpirit」も多くの企業に使われることで、勤怠管理からプロジェクト管理まで幅広い現場の声が集まります。

これにより、実際のユーザーが求める新機能や操作性の向上をスピーディーに行えるため、さらに顧客満足度が高まり、新たな企業の導入も促されるという好循環が生まれます。

加えて、日本の働き方改革の潮流やDXブームも拍車をかけているため、このフィードバックを積極的に取り入れられる企業ほど、市場で優位に立ちやすいです。

こうしたサイクルが強まると、他社が追随しようとしてもユーザーコミュニティの厚みや開発ノウハウの蓄積が大きな参入障壁となり、サービスがさらに選ばれやすくなるという自己強化ループが進むのです。

採用情報

開発やマーケティング、セールスなど幅広いポジションを募集しているようです。

初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な数値は公開されていない部分があるようですが、エンジニアや新規事業担当など専門性の高い人材の獲得に力を入れているとされています。

クラウド技術を駆使したシステム開発に興味のある方は、最新の募集要項を確認しながらチャレンジしてみると良いでしょう。

株式情報

株式会社チームスピリットは証券コード4397で上場しており、IR資料を通じて業績や成長戦略を定期的に公表しています。

配当金や1株当たりの株価については、その時々の業績や市場環境によって変動します。

安定したサブスクリプション収益をベースに、サービス強化や新規プロジェクトへの投資を行っている企業として、投資家からも注目を集めています。

未来展望と注目ポイント

今後は国内だけでなく海外を視野に入れた事業展開や、AI技術を活用した新たなサービスの登場が期待されています。

働き方改革やDXの潮流はますます加速しているため、バックオフィス業務の自動化や効率化へのニーズは途切れないでしょう。

特に「TeamSpirit」のように複数の機能を一体化したプラットフォームは、大手企業や多拠点展開の法人にも対応しやすく、その利用価値がさらに高まる可能性があります。

また、Salesforceプラットフォームを軸にした拡張性により、顧客独自のカスタマイズにも柔軟に対応できる点が強みです。

新規事業としてAI議事録などのサービス拡充を積極的に進めることで、単なる勤怠管理や経費精算にとどまらない総合的な業務ソリューション企業として認知度を高め、さらなる成長が期待されています。

ビジネスモデルの拡大と技術革新をどのように両立させるかという点も注目されており、今後も企業のIR資料やニュースリリースから目が離せない存在になりそうです。

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