企業概要と最近の業績
テスホールディングス株式会社
テスホールディングス株式会社は、「エンジニアリング事業」と「エネルギーサプライ事業」の2つを主な事業としています。
エンジニアリング事業では、省エネルギーや再生可能エネルギー(太陽光、バイオマスなど)関連のプラントや設備の設計、調達、施工(EPC)を行っています。
エネルギーサプライ事業では、発電所の運営・保守(O&M)や、自社で再生可能エネルギー発電所を所有・運営し電気を販売する売電事業、電力の小売供給などを行っています。
これらを通じて「再生可能エネルギーの主力電源化」や「省エネルギーの徹底」などを目指しています。
最新の決算である2025年6月期の通期業績が公表されています。
2025年6月期の通期売上高は366億8,400万円でした。
営業利益は25億4,800万円でした。
経常損益は6億4,100万円の赤字(損失)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は2億400万円でした。
直近の第4四半期(2025年4月~6月)の連結経常損益は8億6,000万円の赤字となり、前年同期の38億8,000万円の黒字から赤字に転落しました。
同四半期の売上営業損益率も、前年同期の3.8%からマイナス1.2%へと悪化しています。
価値提案
テスホールディングスは、企業が抱えるエネルギーコストや環境負荷の問題を総合的に解決する提案を行っています。
具体的には、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用、エネルギープラントの設計・調達・施工まで一気通貫で支援することにより、顧客の負担を大きく減らしつつ、環境面での付加価値も高めます。
こうした包括的なソリューションを提供することで、顧客企業はエネルギー使用量の削減だけでなく、イメージ向上やCSRにもつなげることができます。
【理由】
再生可能エネルギーや省エネルギーの需要が急速に増えている中で、部分的な支援ではなくワンストップで対応できる企業が求められてきました。
そこでテスホールディングスは、高い技術力と実績をもとに幅広い領域をカバーし、付加価値の高いサービスを提供する「価値提案」を重視するようになったのです。
主要活動
テスホールディングスの主要活動は、大きくエンジニアリング事業とエネルギーサプライ事業に分かれます。
エンジニアリング事業では、エネルギープラントやユーティリティ設備を設計から施工まで一貫して手がけ、効率的な省エネシステムを構築します。
エネルギーサプライ事業では、再生可能エネルギー発電所の所有・運営と売電、さらに電力の小売供給やO&Mサービスなど、安定した収益を生み出す仕組みを確立しています。
これらの活動を組み合わせることで、多様な顧客ニーズに応えられる体制を整えています。
【理由】
省エネソリューションだけでなく、自社で発電所を保有し、エネルギーを安定供給する力を備えることで、顧客への提案力が一層高まると考えられたからです。
受注型ビジネスに加えてストック型ビジネスを展開することで、景気に左右されにくい安定基盤を築こうという戦略が背景にあります。
リソース
同社のリソースとしては、まずは高い専門知識と経験をもつエンジニアが挙げられます。
省エネや再生可能エネルギーの技術は多岐にわたり、設計・施工・運営まで一気通貫で携わるには豊富な人材とノウハウが必要です。
さらに、再エネ発電所などのインフラ資産を保有している点も大きな強みです。
こうした実物資産と技術力の両方を兼ね備えることで、幅広い顧客の要望に応えやすくなっています。
【理由】
脱炭素ニーズの高まりに伴い、単に機器を売るだけではなく、運営管理も含めたトータルサービスが重視されるようになりました。
そのため、専門性の高い人材の確保と、再エネ施設などの資産を自社で持つことが、顧客満足度と事業の安定性を高めるカギだと認識したためです。
パートナー
テスホールディングスは、エネルギー関連機器メーカーや建設業者、電力会社と強い連携を築いています。
省エネ設備の開発・導入には、最新技術をもつメーカーとの協力が欠かせません。
また、施工の段階では建設業者との密接な連携が必要です。
さらには電力会社との取引を通じて、売電や小売電力供給の面でも協力体制を整えています。
【理由】
省エネや再エネ事業は単独では完結しづらい領域であり、多様な専門家や企業との連携が必要不可欠です。
そこで、複数のパートナーと協力しながら技術・情報を共有することで、より高度なサービス提供を可能にし、顧客満足度と事業効率を同時に向上させようとしたのです。
チャネル
同社は主に直接営業やパートナーシップによって顧客を開拓しています。
企業向けの省エネコンサルや再エネ導入の相談は、個別に要望をヒアリングしてから最適なプランを提案するケースが多いため、直接営業が重要なチャネルとなっています。
さらに、一部ではオンラインプラットフォームを活用し、問い合わせや情報提供を効率的に行う工夫も進められています。
【理由】
高額かつ専門性の高い設備投資に関しては、企業が慎重な検討を行うため、直接のコミュニケーションによる信頼構築が欠かせません。
その一方で、インターネットを活用した情報収集が当たり前になっている現代では、オンラインでの認知拡大も無視できず、複数のチャネルを融合する必要があったのです。
顧客との関係
テスホールディングスは長期的なパートナーシップを重視しています。
一度導入した省エネ設備や発電施設は継続的なメンテナンスや運用が必要になるため、アフターサービスやO&M(運営・保守)で顧客をフォローする体制を整えています。
これにより、顧客との関係性が深まり、追加の導入やリプレースなどの受注機会も増えやすくなります。
【理由】
省エネルギーや再エネ設備は導入して終わりではなく、その後の運用が企業の費用対効果や環境負荷に大きく関わります。
そこで、長期的な視点で顧客をサポートする仕組みを整えることで、継続的な信頼関係を築き、安定的なリピート需要や新規案件の獲得につなげようと考えられたのです。
顧客セグメント
エネルギー消費量の大きい工場や事業所、また再生可能エネルギー導入に意欲的な企業が主な顧客層です。
電力コストを削減したい製造業や、環境負荷軽減を求められる大規模施設のオーナーなど、多岐にわたる業界が対象となっています。
さらに、企業の環境配慮や脱炭素ニーズが進む中で、今後は中小規模の事業所でも同社サービスへの関心が高まると期待されています。
【理由】
もともと大規模工場などは電力消費量が大きく、省エネルギー対策の投資効果もわかりやすいため、最初の顧客セグメントとして取り組みやすかったのです。
しかしSDGsやESG投資などで環境への配慮が重視される時代になり、より幅広い企業からの問い合わせが増えていることが理由といえます。
収益の流れ
同社の収益源は、EPC事業のプロジェクト収益に加え、再生可能エネルギー発電所からの電力売却やO&Mサービスからのストック型収入があります。
EPC事業による売上はプロジェクト単位で波があるものの、高い技術力で受注拡大を図ることで、確実に収益をあげています。
一方、エネルギーサプライ事業では、保有発電所の売電や企業向け電力供給から持続的な収益を見込めます。
【理由】
エネルギー業界は市場価格や規制の影響を受けやすい半面、安定した需要も見込める分野です。
そこで、受注型とストック型の両輪を回すことで、単年度の業績変動を抑えつつ、長期的な成長を狙える体制を確立しようとしたのです。
これにより、安定した収益基盤と成長性の両立が期待できるようになりました。
コスト構造
コストの大部分を占めるのは、エンジニアや作業員を含む人件費、そして再生可能エネルギー発電所などの設備投資や維持費です。
新しいエネルギー技術の研究開発費も重要なコスト要素となっています。
効率的な設計や施工によってコスト削減を図りつつ、品質や安全性を保つための投資も欠かせません。
【理由】
環境技術の進歩は早く、新しいシステムを自社で取り入れるためには継続的な投資と人材育成が必要です。
特に高度なエンジニアリングを要する分野では人的コストが高くなりますが、同社はこれを「将来の競争優位を保つための必要経費」と位置づけ、長期的視点で投資を続けてきたのです。
自己強化ループ
テスホールディングスが強みとしているのは、エンジニアリング事業とエネルギーサプライ事業の相乗効果による自己強化ループです。
エンジニアリング事業で築いた技術力や導入実績をもとに、顧客に対して再生可能エネルギーの導入やO&Mサービスを提案しやすくなります。
そこから得られる安定収益により、新たな研究開発や設備投資にも資金を回すことができ、さらに高い技術力を生み出す好循環が生まれます。
また、ワンストップでの省エネ・再エネ提案によって顧客満足度が高まり、口コミや評価が広がって新規案件が増えるのも大きなメリットです。
こうした流れが持続するほど同社の知見は蓄積され、現場での施工スピードや品質も向上し、結果として追加案件や別事業のチャンスにつながります。
長期的に見ると、この自己強化ループが企業のブランド力と収益基盤を安定化させ、市場の変化にも柔軟に対応できる組織を作る原動力になっているといえます。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な情報は公表されていません。
しかし省エネ・再エネ分野は今後さらに需要が見込まれるため、エンジニアや技術者を中心に募集が拡大する可能性があります。
環境に関心が高く、実践的なスキルを身につけたい方にとっては、魅力的なキャリアパスを描ける企業だと考えられます。
株式情報
テスホールディングスの銘柄コードは5074です。
現時点で配当金の具体的な情報は確認されていませんが、1株当たりの株価は2025年2月7日時点で291.0円となっています。
脱炭素や再エネルギーへの注目が高い市場環境を踏まえると、投資家からの関心も引き続き集まりそうです。
未来展望と注目ポイント
今後、カーボンニュートラルへの取り組みが世界的な潮流となる中で、テスホールディングスの提供する省エネ・再エネソリューションは一層の需要が見込まれます。
特に製造業や大規模施設だけでなく、中小企業や自治体など幅広いセグメントに対しても導入ハードルが下がってきており、同社の成長戦略がさらに加速する可能性があります。
また、政府の支援策や補助金制度の拡充によってエネルギー関連技術への投資がしやすくなる点も追い風です。
今後は新たな再エネ技術やデジタル技術の活用がカギを握ると考えられ、同社がどのように新技術を取り入れ、どのように顧客ニーズに応えていくかが注目されます。
自己強化ループによる事業拡大をさらに強固なものとし、国内外の脱炭素ニーズに応えることで、継続的な成長を実現していくでしょう。
脱炭素社会をリードする存在として、これからのテスホールディングスの動きに目が離せません。



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