ナルミヤ・インターナショナルのビジネスモデルから見る成長戦略

小売業

企業概要と最近の業績

株式会社ナルミヤ・インターナショナル

当社は、ベビー・子供服の企画、製造、販売を手がけるアパレル専門企業です。

新生児からジュニアまで、幅広い年齢層を対象とした多様なオリジナルブランドを展開しています。

代表的なブランドには「メゾピアノ」や「プティマイン」、「ラブトキシック」などがあります。

販売チャネルは、百貨店、ショッピングセンター、自社公式オンラインストア「ナルミヤオンライン」など多岐にわたります。

最新の2026年2月期第1四半期の決算によりますと、売上高は112億1,700万円となり、前年の同じ時期と比較して8.3%増加しました。

営業利益は13億2,400万円で、こちらも前年同期から2.6%の増加となっています。

ショッピングセンター業態やeコマースの売上が好調に推移し、全体の増収を牽引しました。

一方、円安の進行や原材料価格の高騰が原価を押し上げる要因となり、利益の伸びは売上の伸びに比べて緩やかになったと報告されています。

【参考文献】https://www.narumiya-net.co.jp/

価値提案

子供服というカテゴリーでありながら、ベビーからティーンズまで幅広い年代に対応できる豊富なブランドラインナップを備えていることが大きな特徴です。

カジュアル、フォーマル、スポーティなどさまざまなテイストを用意することで、子供たちの年齢や好みに合わせて選べる点が強みになっています。

親しみやすさに加え、世代を超えて受け継がれるような愛着を育むデザインを追求し、顧客に「長く着られる服」「思い出に残る服」を提供していることが同社の価値提案の核心です。

【理由】
なぜそうなったのかというと、子供服は成長に伴いサイズアウトが早い一方で、思い入れを持った家族も多いジャンルです。

そのため、機能面や品質だけでなく感情的な価値も重視される傾向があります。

こうした背景を踏まえて、同社はデザインやブランドの世界観を明確化し、長期的に支持される商品を生み出そうとしているのです。

主要活動

ファッション企業として、商品企画と製造、そして全国の店舗やオンラインを通じた販売が主な活動になっています。

各シーズンのトレンドやキッズならではの着用シーンを分析し、新ブランドの開発や既存ブランドのリブランディングにも力を入れています。

店舗だけでなくEC販売にも注力し、SNSや動画コンテンツなどのマーケティング施策も展開しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、少子化による市場縮小のリスクがある中で、顧客を継続的に獲得するには魅力的な新商品やブランドを生み出し続ける必要があるからです。

顧客接点を店舗だけに頼らず、オンラインでもブランドの魅力を伝えることが成長戦略の一環になっています。

リソース

同社のリソースとしては、幅広いブランドポートフォリオ、全国に展開する実店舗ネットワーク、そして自社ECサイトや提携モールなどのオンラインチャネルが挙げられます。

また親会社との連携による生産・物流面のノウハウも重要なリソースです。

これにより、顧客のニーズに合わせて柔軟に企画や生産を調整できる体制を保っています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、ファッション業界では在庫リスクの管理が大きな課題になります。

複数ブランドを持ち、全国規模で展開している同社は、売れ筋と不振商品のデータを素早く収集し、適切な在庫コントロールを行う必要があります。

そのため、親会社の支援を含めた豊富なリソースが欠かせません。

パートナー

親会社であるアパレル大手の存在はもちろん、生地メーカーや縫製工場、ECプラットフォーム運営企業なども同社にとって重要なパートナーです。

また、コラボレーション企画や外部クリエイターとの協業を行う場合には、ブランドの世界観に合うパートナーを選定し、話題性を高めることにも注力しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、子供服は安全性や品質面で厳しい基準が求められます。

そのため、生地選びや製造工程に信頼できる外部パートナーの協力が必要不可欠です。

また、新しいブランドやコンセプトを打ち出す際に協業を取り入れることで、話題性や付加価値を高める狙いもあります。

チャンネル

同社は百貨店、ショッピングセンターなどの実店舗と、自社EC、モール型ECなどのオンラインショップを活用しています。

実店舗ではブランドの世界観を直接体験してもらい、オンラインでは気軽な購入と豊富な在庫を提供することで、顧客の利便性を高めている点が特徴です。

【理由】
なぜそうなったのかというと、子供服はサイズ感やデザインの好みなど実際に見て選びたいニーズが根強い一方、忙しい保護者層は自宅でも購入したいというニーズもあります。

店舗とオンラインの双方を充実させることで、顧客が自分に合った方法で買い物ができるよう工夫しているのです。

顧客との関係

ブランド公式サイトやSNS、メールマガジンなどを活用し、顧客と継続的なコミュニケーションを図っています。

LINEやアプリを使った会員サービスでは、購入履歴をもとにおすすめ商品やクーポンを配信するなど、CRM機能を強化しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、子供服はリピート購入が非常に多いジャンルだからです。

サイズアップや季節の変わり目など定期的に需要が発生するため、こまめな情報提供と接点づくりが重要になります。

リピーターを育成することで安定的な売上を確保できます。

顧客セグメント

乳幼児からティーンズまでの子供と、そのファミリー層全般が主な顧客セグメントです。

実際には祖父母によるギフト需要も無視できず、誕生日や入学祝いなどのイベントシーンでの利用も多いです。

ブランドごとに異なる年齢やスタイルをターゲットに細かく設定しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、子供服市場は一枚岩ではなく、成長段階や用途に応じてニーズが細分化しているからです。

特にお祝い需要はブランドの認知度やイメージによって売上が左右されるため、それぞれのブランドが明確なコンセプトを打ち出しているのです。

収益の流れ

主な収益は店舗およびオンラインでの商品販売です。

シーズンごとの新作投入やセール時期の設定によって売上が波打ちますが、ベーシックなアイテムは通年で安定した売上を得られます。

オンラインセールの活用も大きな収益源になっています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、ファッション業界は季節要因とトレンド要因で収益が上下しやすい構造です。

子供服であっても同様であり、定番アイテムを上手く配置して収益の基盤を整えながら、トレンドアイテムでシーズンごとの集客を図る収益モデルを構築しているのです。

コスト構造

大きなコスト要素としては製造にかかるコスト、人件費、店舗運営費、そして物流コストなどが挙げられます。

新規出店のための投資が発生すると、短期的には利益が圧迫されるものの、中長期的な売上増につなげる狙いがあります。

【理由】
なぜそうなったのかというと、ファッションビジネスは季節ごとの在庫リスクも大きい分、売れ筋予測が外れるとコスト回収が難しくなります。

そこでリスク分散のために複数ブランドを展開し、全国規模のチャンネルを持つことで、余剰在庫をできるだけ減らしながらコスト構造を安定化させているのです。

自己強化ループ

同社の自己強化ループは、多様なブランド展開とリピート購入の促進によって生み出されています。

まず、複数のブランドを用意することで幅広い顧客層を取り込み、それぞれのブランドファンを育成します。

ブランド同士で顧客が行き来する場合もあり、結果的に売上全体が底上げされます。

さらに子供服はリピート需要が定期的に発生するため、良質な商品と適切なコミュニケーションでファンを継続的に増やしていくことができます。

こうした継続購入が在庫リスクを軽減し、安定したキャッシュフローを生むことで、新規出店やEC投資などの成長戦略に再投資が可能になります。

すると、さらに魅力的なブランドやサービスが生まれて顧客が増え、収益が拡大するという好循環が形成されるのです。

最終的にはこうした循環が企業全体の成長に寄与し、市場環境が厳しい中でも収益力を維持・拡大できる体質づくりが進んでいるといえます。

採用情報と株式情報

採用面では、初任給や平均休日などの詳細情報は2026年度採用向けに2025年3月に発表される予定です。

現段階では具体的な数値は公開されていません。

新卒採用倍率についても現時点では非公表ですが、ファッション業界を志望する学生には根強い人気があります。

株式に関しては、同社の銘柄コードが9275で、2025年2月期の配当金は1株あたり53円を予想しています。

株価は2025年2月28日時点で1株あたり1318円となっており、比較的高い配当利回りが注目されています。

少子化のリスクが叫ばれる中でも、独自のブランド力やEC戦略を武器に安定した株主還元を行っている点が評価されています。

未来展望と注目ポイント

国内市場は少子化の影響で縮小が懸念される一方、ファミリー層のライフスタイルの多様化やギフト需要の増加など、新たな商機も生まれています。

ナルミヤ・インターナショナルは既存ブランドの強化に加え、新規ブランドや海外展開なども検討することでさらなる成長を図っていく可能性があります。

特にオンラインへのシフトが加速する時代背景を踏まえ、ECサイトの利便性向上やデジタルマーケティングの進化がどこまで収益に貢献するかが大きなポイントになるでしょう。

親会社との連携によって得られるスケールメリットや、新規ブランドの立ち上げに伴うコスト負担を抑えられるかなど、IR資料で発信される今後の取り組みにも注目が集まります。

今後はファッション性と品質、さらにデジタル技術を組み合わせる形で、新しい顧客体験を提供する企業に進化できるかどうかが鍵を握ると考えられます。

ファッションとテクノロジーを掛け合わせた新しい子供服ビジネスの在り方を提案できれば、少子化という課題を抱えつつも魅力ある企業としてさらに成長していくことが期待されます。

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