ネクソンのビジネスモデルを深堀り成長戦略とIR資料から見る急成長企業の秘密

企業概要と最近の業績
オンラインゲーム業界をリードするネクソンは、長年にわたりグローバル市場で多数の人気タイトルを展開してきた企業です。PC向けのオンラインゲームからスタートし、現在ではスマートフォンやコンソールといった多様なプラットフォームにも力を入れています。最近発表された2024年12月期第3四半期の連結売上収益は1から9月累計で1,356億円となり、前年同期比で13パーセント増加という好調な伸びを示しました。営業利益は515億円で、こちらも前年同期比11パーセント増という二桁成長を記録しています。特に中国市場におけるアラド戦記モバイル版の売上増加や、新作タイトルThe First Descendantの寄与が売上を押し上げたことが大きなポイントです。メイプルストーリーをはじめとする既存フランチャイズの海外展開もうまく奏功しており、今後もオンラインゲーム市場の拡大とともに持続的な成長が見込まれます。

ビジネスモデルの9つの要素

価値提案
ネクソンが提供している価値は、高品質なオンラインゲームを通じてユーザーに魅力的なエンターテインメント体験を届けることにあります。長期運営が前提となるオンラインゲームでは、コンスタントなアップデートやイベント企画、ユーザーコミュニティへのサポートが欠かせません。これにより継続的に新規プレイヤーを獲得すると同時に、既存プレイヤーに飽きのこないコンテンツを提供し続けられる点が強みです。なぜそうなったのかというと、オンラインゲーム特有の競争環境において、常に新鮮なコンテンツを追加しなければユーザー離れが起こりやすいため、豊富なリソースとノウハウを活用して継続的な価値創造を図る必要があるからです。
主要活動
ネクソンの主要活動は、ゲームの開発、運営、そしてマーケティングです。自社スタジオや提携スタジオで新作やアップデートを常に開発し、定期的にリリースすることでユーザーを楽しませる運営体制を整えています。さらに、広告展開やイベントの企画など多角的なマーケティング活動を行うことで、新規ユーザーの獲得とブランド力強化を同時に進めています。なぜそうなったのかというと、オンラインゲームにおけるライフサイクルは長期に及び、運営コストやマーケティング費用をかけ続けることで初めて大きなリターンを得られるビジネスモデルだからです。
リソース
ネクソンは自社開発チームや知的財産をはじめ、長期運営に必要なノウハウやインフラをしっかりと保有しています。人気フランチャイズであるアラド戦記やメイプルストーリーなどが成功しているのも、大規模サーバーを安定稼働させる技術力や、新規コンテンツを生み出すクリエイティブ人材の存在が大きいといえます。なぜそうなったのかというと、多くのタイトルを長期的に開発・運営する中で培った経験値が重なり、安定的なサービス提供と新作のヒット創出を両立できる体制が構築されてきたからです。
パートナー
世界各国の外部開発スタジオやプラットフォーム提供企業、さらには地域ごとのローカルパートナーとの連携が重要です。とりわけ中国や韓国といったオンラインゲーム市場の大きな国では、現地企業との協業によってユーザー獲得をスムーズに進めることができます。なぜそうなったのかというと、市場の文化や嗜好にあわせた最適な運営とマーケティングを実現するには、信頼できる現地パートナーの存在が不可欠であり、ローカライズや決済システムの面でも効率が高まるからです。
チャンネル
主なチャンネルは公式ウェブサイトやモバイルアプリストア、PCゲームプラットフォームです。またSNSを活用したユーザーコミュニケーションも重要で、アップデート情報やイベント告知などを通じてユーザーの興味を維持します。なぜそうなったのかというと、オンラインゲームはデジタル上で完結するサービスであり、ユーザーとの接点を多面的に確保しつつ、最も利用しやすい場所からアクセスしてもらう必要があるからです。
顧客との関係
ネクソンはコミュニティマネジメントやカスタマーサポートを重視しています。運営チームがSNSやゲーム内掲示板を通じてユーザーの声を拾い、アップデートの方向性に反映させるなど、双方向のコミュニケーションが行われています。なぜそうなったのかというと、オンラインゲームはリアルタイムでプレイヤーの満足度が大きく変動するため、ユーザーとの信頼関係を築き、長く遊んでもらうことが収益向上につながる重要な鍵となるからです。
顧客セグメント
主にアジア地域の若年層ユーザーをコアとしつつも、世界各地に幅広いプレイヤー層を持つ点が特徴です。韓国や中国などのオンラインゲーム大国はもちろん、北米やヨーロッパ、東南アジアにも展開しており、地域ごとに人気タイトルやプレイスタイルが異なるため、多角的なアプローチが求められます。なぜそうなったのかというと、オンラインゲームの市場規模は国や地域によって異なり、それぞれに特化した運営やプロモーションを行うことでリスク分散と売上増加を同時に図ることができるからです。
収益の流れ
課金アイテムの販売を中心としたゲーム内マイクロトランザクションが主要な収益源となっています。さらに、プレミアムサービスの提供やIPライセンス契約、広告収入など、複数の収益モデルを組み合わせることで安定的な売上を確保しています。なぜそうなったのかというと、オンラインゲーム市場では基本プレイ無料（Free to Play）のスタイルが浸透しており、継続して遊ぶほど課金コンテンツの需要が高まる構造になっているからです。
コスト構造
ゲーム開発費やクリエイターやエンジニアといった人件費、さらには大規模なサーバー保守費用が大きな割合を占めます。マーケティングにも積極投資を行い、新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの維持に注力しています。なぜそうなったのかというと、オンラインゲームの長期運営には常時安定したネットワークや魅力あるコンテンツが欠かせず、それらを支えるための人的リソースとインフラコストが必要不可欠だからです。

自己強化ループ
ネクソンでは、新作タイトルの投入と既存フランチャイズの強化を同時に行うことで、自社のIPやユーザーベースが拡大し、さらなる投資余力が生まれる好循環を形成しています。たとえばアラド戦記やメイプルストーリーといった既存の大型タイトルで安定的な収益を確保しつつ、その収益をもとに新作の開発やグローバルマーケティングに投じることで、新たなユーザー獲得や売上成長につなげています。さらに、ゲーム内イベントやSNSを活用したコミュニティ