ビジネスモデルから読み解く成長戦略 株式会社オロの潜在力に迫る最新考察

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企業概要と最近の業績

株式会社オロ

クラウドソリューション事業とデジタルトランスフォーメーション事業を柱とするテクノロジー企業です。

主力のクラウドソリューション事業では、広告業やIT業といった知的サービス業向けに、クラウド型ERP(統合基幹業務システム)「ZAC」を開発・提供しています。

「ZAC」は、プロジェクトの管理から販売、会計、勤怠管理までを一元化し、企業の生産性向上に貢献しています。

また、デジタルトランスフォーメーション事業では、企業のWebサイト構築やデジタルマーケティングの支援を行っています。

2025年8月13日に発表された2026年3月期第1四半期の連結決算によりますと、売上高は30億5,000万円で、前年の同じ時期に比べて19.8%増加しました。

営業利益は5億200万円で、前年の同じ時期から24.5%の大幅な増加となりました。

経常利益は5億800万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億5,100万円となり、大幅な増収増益を達成しています。

主力のクラウドERP「ZAC」の導入企業数が順調に増加し、安定的なストック収益が積み上がったことが業績を強力に牽引しました。

【参考文献】https://www.oro.com/

価値提案

株式会社オロが提供する価値は、企業の業務効率を高めるクラウドソリューションと、デジタル時代に対応したマーケティング戦略の両軸から成り立っています。

具体的にはクラウドERPのZACを活用することで、受注管理や在庫管理、会計処理といった複数の業務プロセスを一元化し、経営判断のスピードを加速させるメリットを提供します。

さらに、クラウドPSAのReforma PSAはプロジェクト型ビジネスでよく見られる工数管理や人員配置の課題を可視化し、効率的な運用を実現することに寄与します。

また、これらのソリューション導入だけでなく、企業のデジタルマーケティング支援も手がけることで、事業活動のオンライン化やブランディングを包括的にサポートし、顧客企業が成果を出しやすい環境を整備する点が大きな強みです。

このように業務改革とデジタル推進を一体的に支援する姿勢が、他社との差別化につながっています。

主要活動

株式会社オロの主要活動は、自社開発のクラウドソリューションを継続的にアップデートする研究開発と、それを顧客企業に導入・運用するコンサルティングサービスの提供です。

自社製品であるZACやReforma PSAは、クラウド環境で常に機能拡張やバグ修正を行うため、最新の業務要件にも対応しやすくなっています。

また、顧客企業に対しては、導入時のプロセス分析や要件定義だけでなく、実運用後のサポートに至るまでを一貫して行うことで、現場の声をフィードバックしながらソリューションを最適化していくのが特徴です。

加えて、マーケティングコミュニケーション事業では、企業のデジタル戦略の立案からWebサイトやSNSなどの運用支援、効果測定に至るまでを包括的に行います。

これによってシステム導入とマーケティングの双方にわたるノウハウが蓄積され、顧客の業務効率だけでなく、成長戦略やブランディング施策にも貢献できる仕組みを確立しています。

リソース

オロが競争力を維持するうえで重要なリソースとなっているのは、高い専門知識を有するエンジニアやコンサルタント、さらにはクリエイティブ人材です。

自社開発のクラウドソリューションは、外部製品のOEMではなくオロ自身が技術的に深く理解していることから、要望に応じて柔軟にシステムをカスタマイズできる強みを持ちます。

また、マーケティングコミュニケーション事業においてはクリエイティブディレクターやデジタルマーケターが連携し、顧客企業が求めるデザインやコンテンツを迅速かつ的確に制作しています。

こうした専門人材の育成と確保はオロの事業拡大を支える必須要件となるため、定期的な研修制度やキャリアパスの整備を強化し、技術トレンドに追随する仕組みを内製化している点が大きな特徴です。

このようにエンジニアリングとマーケティング、クリエイティブの三位一体を実現できる組織構造こそが、オロのビジネスモデルを下支えしています。

パートナー

オロが提供するサービスは幅広い分野に及ぶため、必要に応じて技術提携先やマーケティング領域の協力会社と連携を深めながらプロジェクトを進めています。

例えばクラウドプラットフォームのインフラ面では大手クラウドサービス事業者を活用し、安定性とセキュリティを確保するとともに、最先端の機能を活用しやすい体制を築いています。

また、顧客企業が海外展開を視野に入れる場合には、現地でのマーケティングやローカライズに精通したパートナー企業と協業することで、スピーディーに対応できる利点を持ちます。

このような多面的なパートナーシップによって、オロは自社の強みである製品開発力とコンサルティング力をより効率的かつ広範に活用し、顧客企業が求める成果を最大化する環境を用意しているのです。

チャンネル

オロでは主に自社営業チームによる直接的なアプローチと、オンラインプラットフォームを活用した認知拡大によって顧客との接点を作っています。

具体的には自社公式サイトやWebセミナー、ホワイトペーパーのダウンロード施策などを通じて、クラウドソリューションやマーケティング支援サービスの有用性を訴求しています。

また、製品導入を検討する企業向けにはデモやトライアルを積極的に提供しており、導入メリットを実感してもらうことで成約率を高める仕組みも整えています。

さらに、一部の市場では代理店契約や販売パートナーを介した導入支援も行い、潜在顧客へリーチするチャンネルを多層的に確保しています。

このようにオンラインオフライン双方のチャンネルを組み合わせることで、顧客が製品導入を検討する際の障壁を下げ、スムーズな意思決定を後押ししている点が特徴です。

顧客との関係

ソフトウェアやマーケティングサービスは導入後のサポートが非常に重要です。

オロではコンサルティングを通じて顧客企業の経営課題や運用上の問題点を深く把握し、それに応じた最適なクラウドソリューションやマーケティング施策を提案しています。

さらに、導入後の運用フェーズでは専任チームが定期的にヒアリングを行い、追加機能の提案や改善要望への対応を迅速に行うことで、顧客満足度を高める仕組みを築いています。

また、マーケティングコミュニケーションの支援ではキャンペーン後の効果測定やレポーティングを行い、次の施策に生かすサイクルを回すことも大きな特長です。

これらの取り組みによって顧客企業からのリピート契約や追加サービスの導入が進み、長期的に安定した収益モデルを形成しています。

顧客セグメント

オロが特に強みを発揮しているのは、プロジェクト型のビジネスを展開する中堅・大手企業です。

広告代理店やITサービス企業など、プロジェクトごとに人員管理・予算管理が必要な業態では、クラウドPSAのReforma PSAが大きな効果を発揮しやすいです。

一方、製造業や小売業など幅広い業種の企業向けには、ZACを中心としたERPソリューションの導入を提案し、在庫管理や受発注管理の効率化をサポートしています。

さらに、マーケティングコミュニケーション領域ではBtoB・BtoCを問わず、デジタルマーケティングの導入フェーズで課題を抱える企業を対象に、戦略立案からクリエイティブ制作、運用まで一貫した支援を行っています。

これらの取り組みにより、オロは顧客セグメントを拡大しながら、各業界の特性に合ったソリューションを提供している点が大きな特徴です。

収益の流れ

収益の大きな柱となっているのはクラウド製品のライセンス収益と、導入コンサルティング費用です。

ライセンス収益はサブスクリプションモデルが中心であり、顧客が継続的に利用するほど安定したストック収益源となります。

また、導入初期の要件定義やカスタマイズなどコンサルティングフェーズから得られるプロジェクト収益がフロー収益として加わり、両者のバランスが収益基盤を支えています。

マーケティングコミュニケーション事業では、コンサルティングや制作費用、運用代行費用などが中心であり、デジタルマーケティングの効果が高まるにつれ、追加施策や新規案件の受注につながることも特徴的です。

これらの多様な収益源を組み合わせることで、同社は事業リスクを分散しながら成長戦略を進めているといえます。

コスト構造

オロのコスト構造では、研究開発費と人件費が主要なウエイトを占めます。

自社でクラウドソリューションを開発・更新し続けるためには、エンジニアリング部門への継続的な投資が必要となりますし、マーケティングコミュニケーション事業もクリエイターやコンサルタントといった専門人材の確保と育成が重要です。

また、市場認知度を高めるための広告宣伝費や、展示会・セミナー参加などのマーケティング費用もかかります。

しかし、クラウドベースのサービス提供であることからオンプレミスのような大規模設備投資が抑えられ、規模拡大に合わせてコストの効率化が図りやすい点はメリットとなっています。

こうした人材投資とR&D投資をどの程度バランスよく行うかが、オロの成長率と利益率を左右するカギとなっています。

自己強化ループについて

オロのビジネスモデルは、クラウドソリューション事業とマーケティングコミュニケーション事業の相乗効果によって自己強化ループが機能しやすい構造になっています。

まず、クラウドERPやPSAを導入した企業に対しては、業務効率化やコスト削減による成功体験を通じて高い顧客満足度を提供します。

ここで蓄積された顧客データや運用上の課題は、マーケティングコミュニケーション事業側にも有用なインサイトを与え、デジタル施策やプロモーション戦略の最適化につながります。

逆にマーケティング施策の結果として新規顧客が拡大すれば、クラウドソリューションの導入需要も増加するため、両事業が互いに見込み顧客を送り込む好循環が生まれます。

このフィードバックをうまく回していくことで、導入企業からの機能要望やマーケティングの新手法がさらに洗練され、次の製品改良や新規サービス拡充につながるのです。

こうして自己強化ループを回し続けることで、オロは他社との差別化を継続しながら成長を加速させる基盤を整えています。

採用情報

初任給や平均休日、採用倍率などの詳細は現時点では公表されていません。

ただし、自社開発製品とコンサルティングを組み合わせたビジネスモデルであるため、エンジニアやコンサルタント、デザイナーなど多彩な職種が活躍できる環境があります。

新卒や中途採用で専門知識を深めたい方にとっては、クラウドソリューションとデジタルマーケティングを同時に学べる点が魅力といえるでしょう。

最新の採用情報は随時更新される可能性があるため、応募を検討する際は公式情報を確認することをおすすめします。

株式情報

同社の銘柄コードは3983であり、1株当たりの株価は2025年1月22日時点で2,227円です。

予想配当利回りは1.57パーセントとされています。

クラウドソリューションをはじめとするITセクター企業は市場の成長性が高い一方で、技術革新や競合環境の変化により株価が変動しやすい面もあります。

業績の動向や市場の評価を継続的にチェックしつつ、中長期的な視点で投資判断を行うことが大切です。

未来展望と注目ポイント

オロはクラウド製品とマーケティング支援を統合することで、顧客企業が抱える複雑な課題をワンストップで解決できる強みを有しています。

この総合力は、AIやデータ分析技術の進化に伴ってさらに重要性を増していくと考えられます。

また、国内でのシェア拡大だけでなく、海外展開を望む顧客企業に向けたサポートを拡充する余地も大きいです。

実際に海外進出を視野に入れる日系企業が増加している今、現地でのマーケティング戦略や多言語対応のシステムが求められる場面は多岐にわたります。

こうした環境変化に柔軟に適応できるよう、人材育成とR&D投資を続けることで、さらなる成長が期待できるでしょう。

加えて、デジタルマーケティング領域は常に新技術が台頭してくるため、最新の手法を取り入れつつ顧客の成果最大化に貢献していくことが、今後の収益拡大とブランド力強化の大きなポイントとなりそうです。

クラウドサービスの利用が当たり前になりつつある中で、オロの独自性と総合力がどのような飛躍を生み出すのか、今後も注目が集まります。

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