企業概要と最近の業績
株式会社ネオマーケティング
2025年9月期第2四半期の連結決算が発表されました。
売上高は24億5300万円となり、前年の同じ時期に比べて13.8%増加し、過去最高の売上高を更新しました。
営業利益は2億700万円で、前年同期比で24.5%の減少となりました。
経常利益は2億500万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億3200万円で、こちらもそれぞれ25.8%と23.8%の減益となっています。
顧客基盤の拡大や既存顧客との取引深化により売上は順調に推移しました。
一方、事業拡大のための積極的な人材採用に伴う人件費の増加や、オフィスの増床に伴う賃借料の増加が、利益を圧迫する主な要因となりました。
【参考文献】https://neo-m.jp/
価値提案
ネオマーケティングの価値提案は、あらゆる業種・業界の企業が抱える「顧客を正しく理解したい」というニーズに対し、生活者起点のリアルなデータを提供することにあります。
自社保有の生活者パネル「アイリサーチ」を活用して、迅速かつ的確なマーケティングリサーチや分析を行う点が特徴です。
これにより、顧客企業は市場の声を深く理解し、商品企画やブランド戦略に活かすことができます。
さらにネオマーケティングは単にデータを提供するだけでなく、コンサルタントが伴走しながら施策の実行や効果測定まで総合的にサポートします。
こうしたトータルな支援によって、顧客企業は自社のビジネス課題を早期に発見し、最適なソリューションを実行しやすくなるのです。
近年はデジタルマーケティングの重要性が高まっているため、オンライン調査やSNS分析を組み合わせるなど、多角的な手法で価値提案の質を向上させています。
【理由】
消費者行動がネット環境で大きく変化し、そのデータ取得と活用が企業の成長戦略において不可欠になったからです。
主要活動
主要活動としては、まずマーケティングリサーチ事業が挙げられます。
アンケートやグループインタビュー、オンラインコミュニティなど多彩な手法で生活者の本音を収集し、分析・レポーティングを行います。
また、デジタルマーケティング支援も大きな柱です。
ウェブ広告の最適化やSNS運用、コンテンツマーケティングなど、オンラインでの顧客接点強化に関わる実務サポートを提供します。
さらにPRサービスの領域にも力を入れており、商品の発売前調査から話題づくりまで、一連の流れを支援できる体制を整えています。
これらの活動を一気通貫で行うことで、顧客企業が抱える課題を総合的に解決する点が強みです。
【理由】
なぜこうした活動が展開されているかというと、単発のリサーチだけでは顧客企業の課題解決が部分最適に終わりやすく、成果につながりにくいという課題があったからです。
そこでネオマーケティングはリサーチから施策実行、効果検証までを手がけることで、長期的な顧客ロイヤルティとリピート案件を獲得し、ビジネスを拡大しているのです。
リソース
ネオマーケティングの主なリソースとしては、まず独自の生活者パネル「アイリサーチ」が挙げられます。
これは多様な属性を持つ生活者から定期的に回答を得られる仕組みで、顧客企業に対して深いインサイトを提供できることが大きな武器です。
次に、人材も重要なリソースです。
マーケティングリサーチやコンサルティングに精通した専門家が在籍しており、顧客企業のニーズに合わせた柔軟な提案が可能となっています。
さらに、デジタル施策を支えるシステムや分析ツールなどのITインフラも欠かせない要素です。
【理由】
なぜこうしたリソースが整備されているかというと、企業がマーケティングで成果を出すには幅広いデータ収集と専門知識が求められる一方、一般企業が自前でこれらをすべて保有するのは難しいためです。
ネオマーケティングは蓄積したデータとノウハウ、人材を組み合わせることで、顧客企業の負担を軽減しながらスムーズな意思決定をサポートしています。
パートナー
パネル連携先や広告代理店、メディア企業など、多方面との連携がパートナーとして重要な役割を果たしています。
特にパネル連携先との協力により、自社パネルを補完する形で幅広いセグメントへのリサーチが可能になります。
また、広告代理店やメディア企業との関係は、調査結果をもとに実際の広告展開やPR活動につなげる上で欠かせません。
【理由】
なぜこのような幅広いパートナーシップを築いているかというと、マーケティング支援は単独の企業が完結できるものではなく、データ収集やプロモーションなど多彩な領域との連動が必要だからです。
より多くのデータを活用でき、顧客企業へワンストップで最適な施策を提供するためにも、パートナーとの連携はビジネスモデル上の要となっています。
チャンネル
チャンネルとしては、自社の営業チームを通じた直接提案が大きな比率を占めています。
顧客企業のマーケティング担当や経営層と直接コミュニケーションを取りながら、課題をヒアリングしてソリューションを提案する流れです。
また、ウェビナーやレポート配信などを通じたオンラインチャネルも活用し、見込み顧客に自社の強みや事例をアピールしています。
さらに、イベントやセミナーへの登壇を通じて新規顧客との接点を増やす動きも積極的に行っています。
【理由】
なぜこのように多様なチャンネルを構築しているかというと、マーケティング業界はサービスの差別化が難しく、同業他社との競争が激しいからです。
複数のチャンネルから継続的に情報を発信し、ネオマーケティングならではの強みを伝えることで、潜在顧客を育成すると同時に、既存顧客との関係も深化させています。
顧客との関係
顧客との関係は、伴走型のコンサルティングスタイルが中心です。
単発の調査だけでなく、課題の明確化や戦略立案、実際のプロモーション施策まで、一括してサポートすることで中長期的な関係を築いています。
顧客担当となるコンサルタントが専任でつき、コミュニケーションを密に行うことで、顧客企業の内部事情や組織構造にも踏み込んだ提案を実現しているのです。
【理由】
なぜこうした形をとるかというと、マーケティング活動は調査だけでは完結せず、その後の実行や検証が極めて重要だからです。
伴走型であれば、プロジェクトの途中経過やマーケットの変化に即時対応し、必要に応じて施策を修正していけるため、顧客満足度を高めながら継続受注につなげることが可能になります。
顧客セグメント
主な顧客セグメントは、製造業や官公庁・自治体、大学など幅広い業種にわたります。
製造業では新製品のコンセプト検証や消費者リサーチが多く、官公庁や自治体の場合は住民の意識調査や広報戦略の検討に活用されるケースが多いです。
大学などの教育機関では社会調査や研究の一環としてパネルデータを使うことがあり、活用範囲は多岐にわたります。
【理由】
なぜこうした多様な顧客セグメントに対応しているかというと、リサーチやマーケティング支援のニーズはあらゆる分野に存在し、生活者の生の声を把握することが活動の基礎になるからです。
ネオマーケティングは業種を問わず、データとノウハウを組み合わせて課題解決につなげる姿勢を持っています。
収益の流れ
収益の流れは大きく分けると、マーケティングリサーチ案件の受注とコンサルティング関連のフィーが中心です。
顧客ごとに課題に合わせた調査メニューや施策を提案し、その都度プロジェクトベースで契約を結ぶスタイルを取っています。
さらにデジタルマーケティング支援やPRサービスなど、追加の施策を組み合わせることにより、付加価値を高めて収益を拡大するモデルです。
【理由】
なぜプロジェクトベースの収益形態をとるかというと、マーケティング領域は企業ごとに抱える課題や目的が異なるため、パッケージ化された一律のメニューでは対応しきれない場合が多いからです。
この柔軟な収益モデルにより、顧客ニーズに合ったカスタマイズや長期契約の形成を図っています。
コスト構造
コスト構造としては、人件費が大きな割合を占めています。
リサーチやコンサルティングには専門知識が必要であり、人材の採用と育成が欠かせません。
さらに、デジタルマーケティングの拡大に伴って、ツール導入費用やインフラ整備などのマーケティング投資も増えています。
加えて、営業活動や新規顧客獲得に向けた広報費用も必要となります。
【理由】
なぜこのように人件費や教育投資が重視されるのかというと、知識集約型のビジネスモデルだからです。
高品質のコンサルティングを提供するためには、熟練したコンサルタントやリサーチャーを数多く抱える必要があり、それが競合との差別化にもつながります。
ただ、人材育成の遅れによる新規案件獲得の停滞は、現状の業績に大きな影響を与えているため、今後は人件費の適正化と同時にスピーディな人材育成を進めることが大きな課題となっています。
自己強化ループの重要性
ネオマーケティングの事業は、継続的なデータの収集と活用があってこそ成り立ちます。
生活者パネルを通じた豊富な調査実績が新たな顧客を呼び込み、さらに多様な業界での事例が積み重なることで、より精度の高いノウハウが蓄積されます。
これが、追加の調査依頼やコンサルティング案件につながり、業績の拡大に貢献する好循環です。
顧客企業は成功体験を得ると再びリピート案件を発注し、同時に新たなニーズを提示することも少なくありません。
そこでさらに高度な分析や施策を提供することで、顧客満足度とリピート率が上昇し、同社のコンサルタントも経験を積んでスキルアップを図れるのです。
こうした双方向の相乗効果が自己強化ループとして作用し、他社との差別化をもたらす源泉になっています。
目下では大口案件の終了や人材育成の遅れで勢いがやや落ちている面もありますが、長期視点で見れば、この自己強化ループが企業価値向上のカギを握っています。
採用情報
現在はマーケティングコンサルタントを中心に採用を強化しており、リサーチャーやデジタル施策に対応できる人材も募集しています。
推定される初任給は業界の平均水準に準じており、月給で20万円から25万円程度が目安と考えられます。
年間休日数は120日以上とする企業が多いため、同社もこれに近い形態を整えている可能性が高いです。
採用倍率については公式には公表されていませんが、専門性が求められる職種であるため、書類選考や面接でのハードルは比較的高いと推測されます。
人材育成の遅れが業績に影響しているだけに、積極的な教育・研修プログラムの整備が進むことが期待されます。
株式情報
銘柄はネオマーケティング(証券コード4196)です。
2024年9月期は配当が実施されず、無配となっています。
1株当たり株価は2025年2月2日時点で1,066円をつけており、現時点では配当収入よりもキャピタルゲインを重視する株式と言えるでしょう。
ここ数期は業績の伸び悩みから株価がやや停滞気味である可能性もあり、将来の成長戦略やIR資料での具体的な取り組みが投資家の注目を集めています。
未来展望と注目ポイント
業績の下振れが目立つ現状ですが、マーケティング支援の重要性は今後も揺るがないと見られます。
リサーチ手法の高度化やデータドリブン経営が当たり前になっていく中で、生活者パネルを活用した実証データは企業にとって大きな武器となります。
ネオマーケティングは、リサーチからコンサルティング、デジタル施策までを一気通貫で提供できるため、コロナ禍を経てリモートやオンライン調査のニーズが増加する今こそ、新たなサービス開発や業務効率化を進めるチャンスです。
今後は人材育成の課題をクリアしていくことで、より多くの案件を獲得し、売上の安定化を図ることが期待されます。
また、パネルの規模拡大やAI・ビッグデータ分析との連携強化によって、より高度なインサイトを提供できれば、マーケティング支援企業として独自のポジションを確立できるでしょう。
成長戦略としては、大型案件の獲得と継続的なリピート案件の増加に注力し、安定収益を確保しながら新規事業や海外展開に踏み切る可能性も考えられます。
厳しい局面ではありますが、強みを活かした新しい動きに注目が集まっています。
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