企業概要と最近の業績
株式会社ウォンテッドリー
2025年8月期第3四半期累計の営業収益は37億2百万円となり、前年同期と比較して5.3%の増収となりました。
営業利益は13億78百万円で、前年同期比21.2%の増益を達成しています。
主力であるビジネスSNS「Wantedly」において、法人顧客向けのサービスが堅調に推移し、ストック収益が安定的に成長したことが主な要因です。
プロダクトの継続的な改善や、新規事業領域の拡大も進めています。
利益面では、増収効果に加え、広告宣伝費などのコストを効率的にコントロールしたことにより、収益性が向上しました。
通期の連結業績予想については、2024年10月11日に公表した内容から変更はありません。
価値提案
ウォンテッドリーは、ただの求人マッチングではなく「共感」を軸にしたつながりを提供しています。
これは「仕事内容」だけでなく「企業文化」や「理念」に共感した上でのマッチングが重要だと考えているからです。
【理由】
従来の転職サイトや人材紹介ではスキル要件に合った候補者を紹介するだけになりがちで、入社後にミスマッチが起こりやすかったという課題がありました。
そこでウォンテッドリーは、求職者の「その会社で働く意義」を引き出す仕組みを設けることで、企業と個人の相互理解を深めるプラットフォームを構築しました。
この新しい価値提案が、若い世代を中心に支持を集めている大きな理由になっています。
主要活動
ウォンテッドリーの主要活動は、大規模なビジネスSNSの運営と、そこから派生する新規サービスの開発です。
Wantedly VisitというSNSを安定的に稼働させるためには、システムの保守・運用、ユーザーフィードバックの収集、そして常に新機能を追加する開発が欠かせません。
【理由】
SNSの性質上、ユーザー同士の情報交換や企業とのやり取りの質がサービスの価値を左右するため、常に最新の状態を保つことがビジネスとして死活的だからです。
さらに、名刺管理や組織づくり支援といった関連サービスを展開することで、ユーザーの多様なニーズに応えつつ、利用者同士の接点を増やし、プラットフォーム全体の活性化につなげています。
リソース
大きなユーザーベースと、プラットフォームを支える高度な技術力がウォンテッドリーの主要なリソースです。
ビジネスSNSは多くの企業と個人が参加してこそ価値が高まるため、登録者数とアクティブ率の維持はとても重要です。
【理由】
ユーザーが増えれば増えるほど、企業側にとって採用機会が広がり、求職者にとってはさまざまな企業を比較しやすくなるというネットワーク効果が生まれるからです。
また、技術開発力が高ければ、新機能をスピーディにリリースでき、名刺管理アプリや組織支援ツールといった幅広いサービス展開が可能になります。
このように、ユーザーベースと技術力の掛け合わせによって、独自のビジネスモデルをさらに強固なものにしています。
パートナー
ウォンテッドリーにとってのパートナーとは、サービスを利用する企業や技術提携先などが該当します。
企業ユーザーは求人掲載やブランディング目的での投稿を行うので、ウォンテッドリーのSNSがより多彩な情報を発信できる舞台となります。
【理由】
企業と求職者が直接つながる仕組みを強化するために、広範な業種・規模の企業を巻き込む必要があったからです。
また、技術提携先との協力により、より便利な機能やセキュリティ対策を強化し、ユーザーに安心と使いやすさを提供できるようになります。
こうしたパートナーとの協働が、ウォンテッドリーのプラットフォーム価値を高める原動力となっています。
チャンネル
オンラインプラットフォームやモバイルアプリを通じて、ユーザーは簡単にWantedly Visitなどのサービスにアクセスできます。
SNS形式なので、企業側は求人情報を投稿するだけでなく、ブログ感覚で社内文化やイベント情報を発信しやすいという特徴があります。
【理由】
スマートフォンの普及により、いつでもどこでも求人情報や企業の最新情報をキャッチできる環境が整いつつあり、そうしたユーザーニーズに応えるためです。
またアプリ経由だと、プッシュ通知などを活用してユーザーへタイムリーに情報を届けることができます。
これにより、求職者と企業が必要な情報を素早く共有できるようになり、ミスマッチの減少にもつながっています。
顧客との関係
ウォンテッドリーでは、プラットフォーム上で企業とユーザーが直接コミュニケーションを取れる形を重視しています。
興味を持った企業に「話を聞きに行きたい」ボタンでアプローチできる仕組みがその一例です。
【理由】
従来の転職サイトでは企業と応募者が結びつくまでに複数のステップや仲介が存在し、双方向のやり取りがスムーズではありませんでした。
そこでSNSのような使いやすいインターフェースを取り入れ、チャットや気軽なメッセージのやり取りで相互理解を深められるようにしたのです。
これにより、ユーザーは自分のペースで企業研究ができ、企業側もリアルな声を直接拾いやすくなりました。
顧客セグメント
主な顧客セグメントとしては、スタートアップやIT企業を中心とした成長意欲の高い企業、そして新しいチャレンジを求める若手のビジネスパーソンが挙げられます。
【理由】
ウォンテッドリーのコンセプトである「共感をベースにした企業文化の発信」が、スピード感のある事業展開をしている企業と相性がよいからです。
また、若手やITスキルを持った人材はSNSを日常的に使いこなすため、プラットフォーム上での自己PRや企業情報の収集に積極的です。
そのため企業と求職者の双方にメリットがあり、特定の市場セグメントに強いコミュニティが形成されています。
収益の流れ
ウォンテッドリーの収益の流れは、企業からの求人掲載料やプレミアムサービスの利用料が主軸となっています。
求人情報を出すだけでなく、追加のブランディング機能を利用したい企業や、より細かなアクセス解析を求める企業に対しては、有料オプションを用意するというモデルを確立しています。
【理由】
SNSを無料で広く普及させながら、専門的な機能を使いたい企業から対価を得る方が、より多くのユーザーを巻き込めてプラットフォーム自体の価値を高められるからです。
こうした仕組みにより、企業が増えれば増えるほど収益が安定し、継続的なサービス改善に投資できる環境が整っています。
コスト構造
主にプラットフォームの開発・運営費、人件費、マーケティング費用がコストの中心です。
サービスの拡張やシステムの保守にはエンジニアやデザイナーが必要であり、そこでの人件費が一定割合を占めます。
【理由】
ウォンテッドリーのビジネスモデルでは常に新しい機能追加やサービスの質向上が求められるため、開発関連の投資が欠かせないからです。
さらに、新規ユーザー獲得に向けた広告やキャンペーンの展開にはマーケティング費用が不可欠です。
これらのコストは一時的には大きな負担になりますが、ユーザー数と企業数が増えることで回収できるため、成長フェーズには必要な支出と位置づけられています。
自己強化ループ
ウォンテッドリーのサービスには、利用者が増えるほどさらに利用者が増えるという自己強化ループが存在します。
たとえば、多くの個人ユーザーがアクティブに活動していると、それだけ企業にとって人材を見つけやすい魅力的な場となります。
そして企業が増えれば増えるほど、求職者にとっては多様な選択肢を得られるため、さらにユーザーが増えるといった好循環が生まれるのです。
こうしてユーザーと企業が増えると、サービス内での投稿や交流が活発になり、よりリアルな情報が集まるようになります。
その結果、SNSとしての価値がさらに高まり、新しい人も参加しやすくなるという流れが生まれます。
これこそが、ウォンテッドリーが持つプラットフォーム型ビジネスの強みであり、長期的な安定成長を支える大きな原動力になっています。
採用情報
ウォンテッドリーでは、エンジニアやデザイナーなどの技術系をはじめ、企画や営業などビジネス部門における幅広いポジションを募集しています。
初任給は月給25万円程度、年間休日は120日以上とされており、ワークライフバランスを大切にする社風がうかがえます。
また、採用倍率は職種にもよりますが、多くの応募が集まる人気企業であるため、比較的高い倍率となることが多いようです。
共感を大事にする企業風土に共鳴する人材を重視しているので、自分の経験だけでなく、「なぜウォンテッドリーで働きたいのか」という姿勢が問われる傾向があります。
株式情報
ウォンテッドリーは、東京証券取引所グロース市場に上場している銘柄です。
今のところ定期的な配当は行っておらず、成長へ投資を優先する姿勢を示しています。
株価は直近で1株あたり1,200円前後の水準で推移しており、市場からの評価も安定しています。
企業としては、さらなるユーザー数拡大やサービス強化を通じて収益性を高めることで、将来的に投資家の期待に応えていく方針を打ち出しています。
未来展望と注目ポイント
ウォンテッドリーの今後の成長を考える上でカギとなるのは、海外展開や新規事業の拡大がどれだけ進むかです。
国内では一定の知名度を得ていますが、世界にはまだSNSと採用を組み合わせたプラットフォームが十分に普及していない地域も数多くあります。
そこでウォンテッドリーが「共感」という概念をグローバルにも広げることができれば、新たな市場を開拓できる可能性が高まります。
また、Engagement Suiteなど、組織運営に関するツールの開発も今後注目すべき分野です。
リモートワークや働き方の多様化が進む時代にあって、自律的な組織づくりを支援するサービスは企業ニーズが強まっており、ウォンテッドリーの強みが存分に生かせる領域だからです。
採用にとどまらず、「組織づくり」や「個人のキャリア形成」を総合的に支援するプラットフォームへと進化していくことで、さらなる成長を遂げることが期待されています。
こうした拡大路線が実現すれば、新規ユーザー獲得と既存ユーザーの満足度向上が同時に進み、ますます強固なビジネスモデルへと進化していくことでしょう。
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