ビジネスモデルとIR資料から探る成長戦略 株式会社グローバルインフォメーションの魅力

情報・通信業

企業概要と最近の業績

株式会社グローバルインフォメーション

2025年12月期第1四半期の連結業績は、売上高が24億2,400万円となり、前年の同じ時期に比べて17.2%の増収となりました。

営業利益は3億3,800万円で、前年同期比で11.9%の増益でした。

経常利益は3億2,800万円(前年同期比10.4%増)、親会社株人に帰属する四半期純利益は2億2,600万円(前年同期比11.3%増)と、増収増益を達成しました。

この好調な業績は、企業の投資意欲や研究開発活動が活発なことを背景に、主力である市場調査レポートの販売が国内外で順調に推移したことが主な要因です。

特に、円安が進行したことにより、海外レポートの円建て売上が増加したことも業績を押し上げる一因となりました。

【参考文献】https://www.gii.co.jp/ir/

価値提案

同社の価値提案は、企業が必要とする市場情報をタイムリーに、かつ多言語対応で提供できる点にあります。

世界の調査出版会社と連携し、産業界の最新トレンドや技術動向を網羅したレポートをそろえているため、意思決定のスピードアップや新規事業開発のヒントを得やすい仕組みを整えています。

さらにIoT領域では、高品質なLPWA通信機器を通じて顧客企業の省エネ・コスト削減をサポートし、業務効率向上にも寄与しています。

【理由】
なぜそうなったのかという背景には、企業がグローバル規模で新規事業を検討する時代に突入し、海外の動向を早期に把握するニーズが高まったことが挙げられます。

また、IoT技術の普及によりセンサーや通信機器の需要が世界規模で増加する中、国内外の幅広い顧客に対応するために事業を多角化する必要があったことも理由となっています。

主要活動

同社の主要活動は、大きく分けると「世界各国の市場調査レポートの収集・販売」と「IoT用無線通信機器の製造・販売」の2つです。

市場調査レポートでは、多数の国際的な調査会社からデータを集め、それを日本語・英語・韓国語・中国語など複数の言語で編集・翻訳し、オンラインや営業活動を通じて企業に提供しています。

IoT機器では、LPWAに代表される低消費電力かつ広域通信が可能な製品の開発や販売を行い、企業のデジタル化ニーズに対応しています。

【理由】
これがなぜそうなったのかという点では、市場調査分野で築いてきた信頼関係や顧客基盤をさらに拡大するうえで、IoTの成長市場に参入する意義が大きかったことが挙げられます。

また、市場調査とIoT通信機器の両方を扱うことで顧客接点が広がり、一つの企業内で複数のソリューションを提案できる総合力を高めることができると判断したことも理由です。

リソース

同社のリソースとしては、まず世界中の調査出版会社と長年培ってきたネットワークが挙げられます。

これは単なる契約関係にとどまらず、迅速なデータ提供や質の高いレポート制作を可能にする重要なアセットです。

さらに、25年以上の経験から積み上げてきた顧客との信頼関係や、翻訳・編集に携わる専門スタッフのスキルも大きな強みと言えます。

IoT事業においては、技術者の開発力や製造ラインの確保もリソースとして不可欠な存在になっています。

【理由】
なぜこうしたリソースが整っているのかというと、まず市場調査事業での信頼獲得が他国の調査企業からの提携要請を呼び込み、ネットワークが拡大してきた歴史があります。

また、国内外のメーカーや大学との協力により、IoT事業に必要な技術スタッフや開発環境を確保することができ、従来の情報提供業とハードウェア開発の両立が実現しているのです。

パートナー

同社のパートナーには、海外の調査出版会社や国内外のIoT技術ベンダー、通信インフラ企業などが含まれます。

これらのパートナーシップを通じて、多数の最新レポートをそろえるだけでなく、LPWA機器の共同開発や新技術の実証実験などが可能になります。

各領域の専門家と協力することで、自社内でカバーできない技術やサービスを補完し、顧客への付加価値を高めています。

【理由】
こうしたパートナー関係がなぜ構築できたのかについては、同社が長年にわたって蓄積してきた実績と、海外企業との交渉力を持つ人材を確保してきた点が大きいと考えられます。

また、自社がIoT分野を成長戦略の一つに掲げる中で、関連する企業との協業を積極的に推進した結果、多彩な提携先と深い関係を築けるようになったことも理由となっています。

チャンネル

主なチャンネルとしては、同社ウェブサイトやオンラインカタログ、そして営業スタッフによる直接提案があります。

ウェブサイトでは豊富な市場レポートを検索・閲覧できる仕組みを整えており、顧客は必要な情報を手軽に入手できます。

また、営業担当によるビデオ会議でのプレゼンテーションや、電話・メールを通じたコンサルティング的な販売も行われています。

IoT機器の場合は、製品サンプルの展示やデモを通じて導入メリットを訴求することが多いです。

【理由】
このように複数のチャンネルを組み合わせている背景には、幅広い業界の顧客に対応する必要があるためです。

特に国内外の大手製造業やシンクタンクなどでは、具体的な課題に合わせた個別相談が求められることから、オンラインの手軽さと対面(オンライン会議含む)の深いコミュニケーションをうまく組み合わせる体制が重要と考えられています。

顧客との関係

同社は顧客との関係を構築するにあたり、メールや電話を通じた丁寧なサポートを基本としています。

市場調査レポートの使い方のアドバイスや、英語での問い合わせ対応にも柔軟に応じることで、顧客が抱える課題やニーズを的確に把握し、最適な情報や機器を提案していくことを重視しています。

さらに、ビデオ会議システムを使ったプレゼンテーションでは、リアルタイムに質疑応答を行いながらニーズを掘り下げる仕組みを整えています。

【理由】
なぜこのような顧客対応が必要かというと、市場調査レポートは高額になる場合もあるため、導入前に詳細な内容確認や活用方法の相談が不可欠です。

また、IoT機器の導入には設備投資やシステム連携が伴うため、疑問点を都度解消しながら進められるようなフォローアップ体制が求められています。

その結果、対話を重視した顧客対応が同社の強みとして活かされているのです。

顧客セグメント

同社の顧客セグメントは、製造業、シンクタンク、コンサルティング企業など多岐にわたります。

市場調査レポートに関しては、新製品開発の動向や競合動向を調べたい製造業、投資戦略や市場予測を行うシンクタンク・コンサル企業、さらに学術機関や官公庁なども含まれます。

IoT機器に関しては、物流やインフラ管理などで遠隔監視や制御を求める企業が多くを占めています。

【理由】
こうしたセグメントになぜ至ったのかという背景としては、グローバル化に伴い多様な業種が海外市場の情報を必要としていることや、IoT化の流れであらゆる産業が通信機器を活用しはじめたことが挙げられます。

幅広い顧客基盤を獲得できるよう、同社は多言語対応や幅広い分野のレポート展開に力を入れてきた結果、このような多彩な顧客セグメントを持つに至りました。

収益の流れ

収益の主な柱は、市場調査レポート販売とIoT通信機器の販売です。

レポート販売では、単品販売や複数レポートを組み合わせたパッケージ販売など、顧客のニーズに合わせた料金体系を用意しています。

企業単位で閲覧ライセンスを取得するサブスクリプションモデルも存在し、継続的な売上源になっています。

IoT機器では製品自体の販売収益に加え、保守や関連システムとの連携サポートなどの付随サービスも収益源としています。

【理由】
なぜこのような収益構造になったかというと、市場調査レポートだけでは顧客の情報ニーズを満たすだけにとどまりがちですが、IoT機器や関連サービスを展開することで、実際の業務改善やコスト削減に貢献できる領域まで手が届くようになるからです。

新しいビジネスチャンスを掘り起こすために事業を多角化し、レポート販売で培った顧客ネットワークをIoTの販売に活かすという戦略が背景にあります。

コスト構造

同社のコスト構造には、大きく分けて情報収集や翻訳にかかる費用と、IoT機器の製造・開発コスト、そして販売管理費があります。

情報収集・翻訳コストは海外の調査出版会社からレポートを仕入れる費用や、社内外の翻訳者による編集・制作費が中心です。

IoTでは製品の設計・製造工程、仕入れ部材のコスト、試作品の開発コストなどが重くなります。

販売管理費としては営業活動に必要な人件費やマーケティングコスト、ウェブサイト運営費などが含まれます。

【理由】
こうした構造になった理由は、もともと情報提供サービスを主力としていたため、翻訳・編集の専門スタッフやシステムの維持に一定の固定費が必要だったことが挙げられます。

さらにIoT事業を開始したことで、ハードウェア開発やテスト、在庫管理など新たなコスト項目が増えました。

しかし、それによってレポート販売にとどまらない収益源の多角化を狙えるため、一定の投資として位置づけられています。

自己強化ループ

同社では、市場調査レポートを導入した企業が新商品の企画や海外市場参入に成功すると、その成功事例がさらに評判を呼び、新たな顧客が同社のサービスに興味を持つという好循環が生まれやすくなっています。

また、IoT通信機器を導入した企業がコスト削減や品質管理の向上に成功した場合、ユーザー企業内だけでなく業界内で導入メリットが共有され、結果的に同社のIoT事業の知名度が高まります。

このように、情報提供とIoT技術が掛け合わさることで顧客が得る成果が広く知られ、それが同社の新規顧客開拓と既存顧客の深耕を加速させるフィードバックループが形成されています。

さらには、そこで得られた実績やノウハウが新たなレポート制作に生かされ、より的確な情報や製品の開発につながるという自己強化のサイクルが今後も期待されています。

採用情報

同社では営業職を中心に人材を募集しています。

初任給は面談時に決定される仕組みですが、営業経験や英語力を考慮しながら柔軟に対応しているとされています。

完全週休二日制(土日祝休み)を基本としており、年間の平均休日数は比較的充実していると考えられます。

採用倍率は公表されていないものの、多言語スキルやITリテラシーを持つ人材が歓迎される傾向にあります。

業務内容としては英文データベースサービスや市場調査レポートの提案をはじめ、ビデオ会議システムでのプレゼンテーションなど、グローバル要素を伴う仕事も多いです。

株式情報

銘柄は4171で上場しており、配当金は2024年12月期で1株当たり60円が予想されています。

2025年1月31日時点での株価は1,500円前後となっており、配当利回りは約4パーセントと比較的高い水準です。

今後の業績動向や成長戦略の進捗によっては、投資家からのさらなる注目を集める可能性があります。

未来展望と注目ポイント

同社が提供する多言語対応の市場調査レポートは、企業の海外進出やグローバル戦略を検討する上で欠かせない情報源となる可能性があります。

また、IoT通信機器分野ではLPWA技術の普及に伴い、遠隔監視やスマートシティ関連の需要が一層高まることが予想されています。

そのため、同社が持つノウハウやパートナーシップの広がりが、今後の成長を大きく左右すると考えられています。

足元ではやや減益予想とはいえ、長期的にはIoT市場の拡大や企業の情報ニーズの多様化を的確にとらえ、事業を拡充していく余地が大きい点が魅力です。

株主にとっては配当利回りの高さも見逃せないポイントであり、さらなるIR資料の充実や成長戦略の実行が業績にどう反映されるか、今後も動向を注視していく価値があると言えます。

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