企業概要と最近の業績
株式会社ラクーンホールディングス
企業間取引(BtoB)を支援するEC事業とフィナンシャル事業を展開する会社です。
主力のEC事業では、アパレルや雑貨のメーカーと小売店とを繋ぐ、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」を運営しています。
フィナンシャル事業では、企業間の取引で発生する売掛金を保証する決済サービス「URIHO(ウリホ)」などを提供しています。
Eコマースと金融(フィンテック)の両面から、中小企業のビジネスをサポートしています。
2025年6月13日に発表された2025年4月期の通期連結決算によりますと、売上高は50億5,000万円で、前の期に比べて14.8%増加しました。
営業利益は10億円で、前の期から19.5%の増加となりました。
経常利益は10億1,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益は7億円となり、増収増益を達成しています。
フィナンシャル事業において、企業の与信管理意識の高まりを背景に売掛金保証サービス「URIHO」の契約が順調に拡大したことが、業績を強力に牽引しました。
価値提案
企業間取引を効率化するECプラットフォームを提供し、メーカーと小売店がスムーズにつながる場を創出
売掛債権保証や後払い決済サービスにより、取引リスクや回収リスクを大幅に軽減
与信管理から請求業務までを一括サポートし、取引にかかる手間を削減
【理由】
なぜそうなったのかというと、BtoB市場では事務作業や資金回収の不安が中小企業にとって大きな負担となっているからです。
そこでラクーンホールディングスは、自社のECプラットフォームやフィナンシャルサービスを活用し、取引の流れ全体をワンストップで最適化する仕組みを作り出しました。
顧客企業にとっては本業に集中しやすくなるため、自然と利用頻度や満足度が高まり、同社の価値提案が評価される結果につながっています。
主要活動
スーパーデリバリーなどのプラットフォーム運営
BtoB取引に特化した与信管理や決済代行の仕組みの開発・運用
請求書発行や入金管理などのバックオフィス支援
【理由】
これらを重視する理由は、BtoB取引のスムーズな成立と安全性の確保が企業間のビジネスを発展させるカギとなるからです。
競合他社との差別化を図るためにも、多数のメーカー・小売店が集まるECサイトの運営だけでなく、決済リスクや事務工数を減らすフィナンシャルサービスに継続して注力しています。
こうした主要活動を支えることで、利用企業の利便性と安心感を高め、顧客との長期的な関係を築きやすくしている点が同社の特徴となっています。
リソース
自社開発のシステムとプラットフォーム技術
幅広い顧客基盤と高いリピート率
フィナンシャル分野における与信管理ノウハウ
【理由】
これらのリソースが重要となった背景には、企業間取引においてIT基盤や信用リスク管理の仕組みが大きな競争優位をもたらすという考え方があります。
ラクーンホールディングスは、スーパーデリバリーの運営を通じて長年にわたり中小事業者を中心とした取引データを蓄積してきました。
その膨大な取引実績から得られるノウハウをフィナンシャル事業にも応用することで、より正確な与信管理や利用者ごとのカスタマイズを実現しています。
こうした包括的なリソースがあるからこそ、多面的なサービス提供が可能になり、顧客企業の満足度も向上しているといえます。
パートナー
メーカーや小売店などのサプライヤー企業
決済や保証を協力する金融機関や保険会社
各種業務支援ツール提供企業
【理由】
企業間取引のEC事業は単一企業だけで完結できるものではありません。
商品の供給元であるメーカーや卸、サービスを利用する小売店など、多様なパートナーとの連携を強化することでビジネスの幅が広がります。
さらに、後払い決済や売掛債権保証を提供するには、金融機関や保険会社との提携が不可欠です。
ラクーンホールディングスがパートナーとの協力関係を深めるのは、取引全体のリスクを抑えながら規模拡大を図るうえで必要不可欠な戦略といえます。
こうした幅広いパートナーとの連携体制が整っている点は、同社のサービス展開を下支えし、顧客企業に対して多角的なメリットを提供できる要因となっています。
チャンネル
スーパーデリバリーを中心としたオンラインプラットフォーム
営業チームや代理店を活用した直接アプローチ
ウェブ広告やセミナーなどの認知拡大策
【理由】
チャンネルを多様化する理由は、潜在的な顧客層へ幅広くアプローチするためです。
中小企業はITリテラシーや経営課題が企業ごとに異なります。
オンラインだけでなく、リアルな場での説明やサポートを強化することで、サービスの利用ハードルを下げています。
特にEC事業の場合、商品ラインナップを実際に確認したり、支払い方法を理解したりするプロセスが導入の決め手となるため、オンラインとオフライン双方のチャンネル整備が顧客獲得に大きく貢献します。
こうした総合的なチャンネル戦略を取ることで、利用企業数の拡大と売り上げの継続的な成長を可能にしているのです。
顧客との関係
カスタマーサポートによる取引や請求業務のフォロー
アカウントマネジメントを通じた顧客ニーズの収集
リアルイベントやウェビナー開催によるコミュニティ形成
【理由】
なぜ顧客との関係強化が重視されるかというと、企業間取引では特に信頼が欠かせないからです。
取引条件や与信、決済などの重要情報を扱うため、一度獲得した顧客を継続的に支援し、満足度を維持することがリピート利用につながります。
ラクーンホールディングスでは、単にプラットフォームを提供するだけでなく、各企業が安心して利用できるようきめ細やかなサポートを整備しています。
これにより、利用者同士が新たなビジネスのアイデアを共有したり、追加サービスの導入を検討したりする循環が生まれ、顧客との結びつきが強固になっています。
顧客セグメント
中小企業のメーカーや卸売業者
全国各地の小売店や個人事業主
新規起業したばかりのスタートアップやベンチャー企業
【理由】
これらのセグメントに焦点を当てる理由は、大手企業に比べてITや金融のインフラがまだ整備されていないケースが多く、同社の提供する利便性やリスク削減が大きく評価されやすいからです。
特に地方の小売店や新規参入のメーカーにとっては、販路拡大や安定的な資金繰りが事業継続の最重要課題となります。
ラクーンホールディングスのサービスはこうしたニーズを的確に捉えているため、多くの中小企業が顧客として参加しているのが特長です。
その結果、プラットフォーム上の商材やサービス範囲が広がり、さらに新規の顧客を呼び込む好循環が生まれています。
収益の流れ
ECプラットフォーム利用料や月額会費
取引手数料や請求代行手数料
売掛債権保証や後払い決済によるサービスフィー
【理由】
こうした収益モデルが確立している理由は、企業間取引の各プロセスで付加価値を提供しているためです。
例えばスーパーデリバリーでは、出店企業や利用企業が安定して商機を得られることに対して利用料を支払う構造です。
PaidやURIHOなどのフィナンシャルサービスでは、企業に代わってリスクや事務工数を負担するため、その価値に応じた手数料が発生します。
各サービスを組み合わせることで収益源を多角化でき、利用企業が増えれば増えるほど手数料収入も拡大するのが強みです。
コスト構造
システム開発と保守運用にかかる開発費やサーバー費
営業やカスタマーサポートなどの人件費
プラットフォームやサービスを周知するためのマーケティング費用
【理由】
なぜこのようなコスト構造になるかといえば、同社がITサービス企業としての側面と金融関連業務を代行するサービス面を持ち合わせているからです。
EC事業ではスピーディな機能改善や拡張が求められ、システム開発費が大きなウエイトを占めます。
また、フィナンシャル事業では信用調査のための人件費や保証リスクを管理するための追加コストが発生します。
さらに、新規顧客を獲得するためのマーケティング費用も重要な投資であり、売上拡大とコスト増加のバランスを取りながら成長を目指しているのが特徴です。
自己強化ループ
ラクーンホールディングスの自己強化ループは、EC事業とフィナンシャル事業の相乗効果によって生まれます。
スーパーデリバリーを利用するメーカーや小売店が増えるほど、取扱商品数が拡充し、さらに多くの小売店が集まるメリットが強調されます。
その結果、新規出店を検討している企業がプラットフォームに参加しやすくなり、顧客基盤が拡大します。
顧客が増えることで決済代行や売掛債権保証サービスへのニーズも高まり、PaidやURIHOの利用件数が増える好循環が形成されるのです。
フィナンシャル事業の利用拡大は与信データの蓄積につながり、より精度の高いリスク管理を実現します。
これがまたEC事業の安心感を高め、ユーザーが増加するというループが回り続けるのです。
このように、相互補完的なサービス構造が同社の大きな強みとなり、高い継続利用率と新規顧客開拓の両面を支えています。
採用情報
同社の初任給は月給26万7千円となっており、基本給21万6千304円とみなし残業手当5万696円で構成されています。
平均休日は公開されていませんが、ワークライフバランスやキャリアアップの機会を意識した制度整備が行われている可能性があります。
採用倍率については情報が公開されていませんが、ECとフィナンシャルの融合という先進的なビジネスモデルに関心を持つ求職者は一定数見込まれるため、応募者数が増加傾向にあるかもしれません。
株式情報
銘柄コードは3031で、配当金に関しては現時点で特に公表されていません。
2025年1月30日時点での株価は1株あたり872円です。
ビジネスモデルを広げる投資フェーズのため、配当よりも事業拡大を優先する方針の可能性もあります。
未来展望と注目ポイント
今後はEC事業とフィナンシャル事業がさらに密接に連動し、企業間取引のあらゆるシーンを網羅するトータルプラットフォームへと進化していくことが期待されます。
特に、中小企業のデジタルトランスフォーメーション需要が高まるなか、オンラインでの取引機会拡大と資金繰り支援の両面をカバーできる体制は魅力的です。
さらに、IR資料から読み取れるように海外展開や新規サービスの投入など、成長戦略を加速させる計画も見据えているかもしれません。
投資による一時的なコスト増は見込まれますが、新規顧客の獲得と既存顧客への追加サービス提供を通じて収益基盤を強固にすることで、中長期的には利益率の改善が期待されます。
こうした拡大路線がどのように実行されるかが、同社の株価や業績動向を占う重要なポイントです。
競合他社との差別化と認知度向上を図りながら、持続的なビジネスモデルの発展を目指す同社の取り組みに今後も注目が集まりそうです。
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