ビジネスモデルとIR資料から見るグッドパッチの成長戦略

企業概要と最近の業績
グッドパッチはデザインを軸に、企業のプロダクト開発からブランド構築までを包括的に支援している会社です。近年、UIやUXへの意識が高まっていることもあり、多くの企業がデザインの専門知識を必要とするようになりました。こうした背景を追い風に、2025年8月期第1四半期の売上高は約18億円で、前年同期比15パーセントほど増加し、営業利益も約2億円で前年同期比20パーセントほど伸びています。この実績からは、クライアント企業との継続的なプロジェクトが順調に拡大していることがうかがえます。特にデザインパートナー事業とデザインプラットフォーム事業の両輪によって、受託のプロジェクト収益と自社プロダクトのサブスクリプション収益をバランスよく伸ばしている点が大きな特徴となっています。今後もデザイン需要の高まりを受けて、さらに業績を積み上げていくことが期待されています。

ビジネスモデルの9つの要素

価値提案
グッドパッチはデザインを通じて企業のビジネス課題を解決し、利用者が使いやすいプロダクトやサービスを提供することで、顧客企業の付加価値を高めています。具体的にはアプリやウェブサービスのUI/UX向上に限らず、ブランド戦略の策定や組織づくりの支援まで幅広く手掛けている点が強みです。なぜそうなったのかというと、市場全体がデジタル化やユーザビリティを重視する流れになり、デザインが競争力の源泉になると認識されたからです。そこで同社は、あらゆる企業の「デザインがわからない」や「どう進めればいいかわからない」という課題に対してソリューションを提示し、分かりやすく実行支援する価値を提供しています。
主要活動
同社の主要活動は、大きく分けてデザインコンサルティングと自社プロダクト開発です。前者ではクライアント企業の要望に沿ってブランド構築、UI/UX設計、サービスローンチなどをトータルでサポートします。後者では、プロトタイピングツールやデザイナー向けキャリア支援サービスの開発・運用を行い、継続的な収益源を確保しています。なぜそうなったのかというと、単なる受託業務だけでは安定した収益を確保しにくいため、サブスク型の自社サービスを導入し、事業の安定性を高める必要があったからです。受託と自社開発の両軸により、同社は柔軟かつ多面的にクライアントのニーズに応えています。
リソース
グッドパッチのリソースとして最も重要なのは、経験豊富なデザイナーやエンジニアの存在です。複雑な課題を解決するためのノウハウや、プロダクト開発を具体化するスキルは同社の根幹を支えています。さらに、自社で開発したツールやプラットフォームも、競合との差別化に大きく貢献しています。なぜそうなったのかというと、デザイン力を武器にするには、優秀な人材が必要不可欠であり、彼らの専門知識や実績が会社のブランド価値を高めるからです。また、自社ツールを使うことでプロジェクトを効率化し、リソースを有効に活用していることもポイントになっています。
パートナー
多様な業界のクライアント企業や技術提携先との連携が、グッドパッチのパートナー関係を支えています。IT企業やスタートアップだけでなく、大手メーカーやサービス業とも協業し、それぞれの業界知識とデザイン力を組み合わせることで新しい価値を創造しています。なぜそうなったのかというと、デザインの価値は特定の業界に限らず、あらゆる業種で必要とされるものだからです。各業界のパートナーと組むことで、幅広い領域への展開が可能になり、新たなビジネス機会を生み出し続けています。
チャネル
グッドパッチは主に直接営業とオンラインプラットフォーム、自社ウェブサイトを通じて顧客とつながっています。直接営業では、顧客企業の課題をヒアリングし、具体的なデザイン支援策を提案します。一方、自社ウェブサイトやSNSなどでは事例やノウハウを発信し、潜在的な見込み顧客との接点を広げています。なぜそうなったのかというと、デザインは依頼内容が多岐にわたるため、顧客との密なコミュニケーションが欠かせないのです。同時に、オンライン経由での問い合わせも増えており、両面から顧客獲得を進める必要があったのです。
顧客との関係
顧客企業とはプロジェクト単位で契約し、デザインコンサルティングやUI/UX改善を進めながら緊密なコミュニケーションを取ります。さらに、自社プロダクトを導入している顧客に対しては、継続的なサポートを通じて満足度を高め、長期的な関係を築いています。なぜそうなったのかというと、デザイン改善は一度で完了するものではなく、改善後の使い心地やユーザーフィードバックの検証が大切だからです。そのため、コンサルティングからアフターケアまで一貫して対応する体制が求められています。
顧客セグメント
新規事業を展開する企業、既存プロダクトを改良したい企業、デザイン人材を強化したい企業など、多様な顧客セグメントを持っています。スタートアップから大企業まで、その規模や業種を問わずに支援できる柔軟さが特徴です。なぜそうなったのかというと、デザインの重要性が広く認識されるようになり、あらゆる企業がUI/UX向上やブランド価値の向上を求めるようになったためです。この幅広いセグメントをカバーすることで、安定的な受注機会を確保しています。
収益の流れ
グッドパッチの収益は大きく分けて二つあり、一つはデザインコンサルティングやプロジェクト支援による受託型の収益、もう一つは自社プロダクトのサブスクリプションや利用料によるストック型の収益です。なぜそうなったのかというと、受託だけに依存すると案件が途切れるリスクがあり、経営が不安定になりやすいためです。そこで、自社プロダクトの提供によって定期的な売上を確保し、経営の安定度を高める戦略を採用しています。
コスト構造
もっとも大きなコストはデザイナーやエンジニアなどの人件費であり、その次にプロダクト開発費やマーケティング費用が続きます。特に優秀な人材を確保するには、研修やチームビルディングなどのコストも必要になります。なぜそうなったのかというと、質の高いデザインを提供するには、高度なスキルを持つ人材が欠かせないためです。プロダクト開発費や宣伝費も、競争の激しい市場でサービスをアピールし続けるための投資として必要になっています。

自己強化ループ
グッドパッチは、受託型のデザインパートナー事業を通じて数多くのクライアントと接点を持ち、多種多様な課題に取り組んでいます。そこで培われたノウハウやユーザーニーズに対する深い理解が、自社プロダクトの改良に活かされ、より使いやすいサービスを作り出すきっかけになっています。一方、自社プロダクトが成長すれば、それを導入しているクライアントの満足度が高まり、追加の開発依頼や新たなプロジェクトの拡大につながります。こうしたサイクルが繰り返されることで、同社はクライアント企業と自社プロダクトを同時に成長させています。さらに、その事例が評判を呼び、新たな顧客を獲得する効果が生まれます。これが自己強化ループとして働き、経営の安定とさらなる成長を促進しているのです。

採用情報
グッドパッチの初任給は公表されていませんが、ITやコンサル業界と同程度、もしくはやや上回る水準と推測されます。休日は年間で120日以上あるとみられ、ワークライフバランスにも配慮した働き方を実現しようとしています。採用倍率は明らかにされていませんが、デザイン分野の注目度が高いことから競争率は高めだと考えられます。優秀なデザイナーやエンジニアを確保するための研修制度やスキルアップ支援も整えており、入社後の成長環境が整備されていることがうかがえます。

株式情報
同社は上場企業で、銘柄コードは7351です。現時点で具体的な配当方針については大きく発表されておらず、配当金については最新のIR資料を確認する必要があります。1株当たりの株価も日々変動するため、投資を検討する際には証券会社や金融情報サイトで最新情報を入手することが重要です。デザインコンサル領域の需要拡大が続いているため、中長期的な成長を期待して投資している個人投資家もいるようです。

未来展望と注目ポイント
グッドパッチは、デザインの力を通じてクライアント企業の競争力を高める姿勢を貫いてきました。今後はデジタルトランスフォーメーションへの注目度がさらに高まり、多くの企業がプロダクトやサービスのユーザー体験に予算を投じると考えられます。そうした環境下では、同社の専門性の需要が引き続き増していく可能性があります。また、自社プロダクトのグローバル展開や新規機能のリリースによって、ストック型の収益を拡大できれば、受託収益と自社収益のバランスがさらに良くなるでしょう。人材確保に関しては、優秀なデザイナーやエンジニアの引き合いが増えて採用コストが上昇するリスクもありますが、同社は組織づくりとブランディングに力を入れることで、優秀な人材を引き寄せる土壌を整えているようです。これからも需要拡大が見込まれる市場でどのような成長戦略を描くのかが注目されます。