企業概要と最新業績
ヤプリ株式会社
2025年12月期第1四半期の連結業績は、売上収益が21億6,800万円となり、前年の同じ時期に比べて17.2%の増収となりました。
営業損益は1億2,800万円の損失を計上しましたが、前年同期の1億8,300万円の損失からは赤字幅が縮小しました。
税引前四半期損失は1億2,700万円、親会社の所有者に帰属する四半期損失は1億2,800万円でした。
増収の主な要因は、主力であるノーコードのアプリ開発プラットフォーム「Yappli」の契約社数が順調に増加したことです。
一方で、機能開発や顧客基盤拡大のための人材投資などを継続しているため、営業損失が続いていますが、収益性の改善は進んでいます。
【参考文献】https://yappli.co.jp/ir/
価値提案
ヤプリの価値提案は、ノーコードで簡単にアプリを開発し、運用までトータルにサポートできる点にあります。
専門的なプログラミングスキルが不要であるため、中小企業や非IT部門でもスムーズにアプリをリリースできることが最大の魅力です。
これはビジネスのスピードが求められる昨今の市場ニーズに合致しており、リリースまでの期間短縮と更新コストの軽減を実現しています。
さらに、デザインのカスタマイズ性やプッシュ通知などの付加機能を活用することで、顧客とのコミュニケーションを深めることが可能です。
【理由】
なぜこうした価値が生まれたかというと、スマートフォンアプリの需要が飛躍的に高まる中、企業が自社アプリを作りたいというニーズが急速に増えた一方、開発・運用コストやエンジニア不足が深刻化している現状が背景にあります。
そこで同社は、自社の独自プラットフォームを提供することで、技術的なハードルを下げ、アプリの企画から公開までを一気通貫で行える仕組みを構築し、企業が抱える課題に対して包括的なソリューションを打ち出すことに成功したのです。
主要活動
ヤプリの主要活動は、大きく分けてプラットフォーム開発・運用、そして顧客サポートに特化したカスタマーサクセスの2軸があります。
まずプラットフォーム開発においては、ノーコード技術をさらに進化させるための機能拡充や安定性向上が重要視されています。
外部環境が絶えず変化するモバイル領域で、最新のOSアップデートやアプリストア規約に対応するための開発リソースを継続的に注いでいます。
加えて、顧客企業が運用を円滑に進められるように、サポート体制を整えるカスタマーサクセス活動が重視されています。
【理由】
なぜこうした活動が選ばれたかというと、SaaSモデルでは継続利用こそが安定収益をもたらす鍵であり、顧客が使いこなせるよう支援することで解約率を下げることができるからです。
また、新規導入企業を増やすためのマーケティングと営業活動も欠かせない要素となっています。
リソース
同社のリソースは、独自に開発したノーコードプラットフォームの技術基盤と、それを支える高度な専門知識を持った人材に集約されます。
特にエンジニアリングチームは、アプリ開発や運用における最先端のノウハウを日々アップデートしながら、スピード感のある改修や新機能追加に取り組んでいます。
ヤプリのプラットフォームは、一見シンプルに見えても、裏側では多くのAPI連携や拡張機能を支える堅牢なアーキテクチャが存在します。
こうした技術力が、企業の多様なニーズに柔軟に応えながら拡張性を担保する大きな強みとなっているのです。
【理由】
なぜこうしたリソースを重視するようになったかというと、ノーコードという利便性を高める一方で、アプリの品質やユーザー体験を保つためには、徹底したプロダクト開発とアップデートが必要だからです。
そのため、開発リソースに積極的に投資し、安定稼働とユーザー満足度向上を図る戦略を採用しています。
パートナー
ヤプリはアプリストアを運営するAppleやGoogleとの連携はもちろん、デザイン会社やマーケティングエージェンシーなどとの協業も重視しています。
アプリ開発の初期段階からロゴやUIデザインを外部パートナーとスムーズに進めることができ、企業が抱えるクリエイティブ面の課題にも対応可能となるのです。
また、マーケティングエージェンシーとのパートナーシップを活用することで、アプリリリース後のプロモーションやユーザー獲得支援を行うなど、単なるプラットフォーム提供にとどまらない総合的なサポート体制を築いています。
【理由】
なぜ多様なパートナーシップが重要になるかというと、企業のアプリ活用にはデザインや宣伝、データ分析などさまざまな専門領域が関わるため、自社だけですべてを完結させるのは非効率になりがちだからです。
外部パートナーの専門力を活用し、プラットフォームの価値を最大化する仕組みを構築することで、顧客満足度と継続利用率を高めることに成功しています。
チャンネル
ヤプリは自社ウェブサイトや展示会への出展、オンラインセミナーなど多彩なチャンネルを通じて新規顧客との接点を広げています。
特にノーコードやSaaSに興味を持つ企業や個人が参加するイベントでは、実際の操作画面をデモンストレーションし、スピード感あるアプリ開発のメリットを直接体験してもらう場を設けています。
さらに、パートナーとの共同プロモーションも有効なチャンネルとなっており、顧客企業がアプリ開発やマーケティングをワンストップで相談できる仕組みが支持されています。
【理由】
なぜこのようにチャンネルを多角化するのかというと、アプリ開発の必要性を感じながらも従来の開発手法にハードルを感じている潜在顧客層が多いからです。
より多くの場でプラットフォームの操作感やメリットを周知することで、導入検討のハードルを下げ、契約獲得につなげる戦略が採られています。
顧客との関係
ヤプリの顧客との関係は、単なるシステム提供だけでなく、導入後の運用支援やノウハウ共有を行うカスタマーサクセスが中心的な役割を果たします。
アプリが公開された後も、機能追加やデザイン変更の要望を吸い上げ、プラットフォーム全体の進化に生かす仕組みが整っています。
顧客企業にとっては、自社の課題や要望がスピーディーに反映されるため、パートナーとしての信頼を築きやすくなっているのです。
【理由】
なぜこうした顧客関係を重視するかというと、サブスクリプションモデルでは長期的な契約継続が売上の安定に直結するからです。
そのため、アプリ公開後の運用フェーズで成功事例を作り出し、顧客満足度を高めることにより、口コミや紹介、追加機能の利用といった新たなビジネスチャンスも生まれやすくなります。
顧客セグメント
顧客セグメントとしては、ITリソースに限りがある中小企業から、大規模なアプリプロジェクトを複数同時に進行させたい大企業まで幅広くカバーしています。
特に自社に専任のエンジニアがいない企業でも、ノーコードの仕組みを活用してスムーズにアプリをリリースできることが大きなメリットです。
ECショップやイベント運営、社内コミュニケーションなど、目的別にアプリを利用するニーズが拡大しているため、多様な業種への横展開が期待できます。
【理由】
なぜこれほど幅広いセグメントを取り込めるのかというと、コスト予測が明確なサブスクリプション型で提供されるため、導入障壁が低く、試しに使ってみたいという企業にも敷居が高くないからです。
結果として、ビジネスモデルが持つ拡張性が大きく、さまざまな規模や業態の顧客に対応しやすい特徴があります。
収益の流れ
収益の流れは月額もしくは年額でのサブスクリプションモデルに集約されています。
初期導入費用を低く抑え、導入ハードルを下げることで、検討中の企業が気軽にスタートしやすいプランを用意しているのが特徴です。
さらに、運用期間中に追加機能やサポートレベルを上げたい場合、アップセルやオプション料金などで収益機会を創出できる仕組みになっています。
【理由】
なぜサブスクリプションモデルを選択しているかというと、アプリ開発や運用には継続的なアップデートが欠かせず、一度導入した企業が長期的に利用し続けるほど収益が安定しやすいからです。
月額課金形式ならば、顧客もコストを予測しやすく、企業との関係性も長期視点で築きやすいというメリットが生まれています。
コスト構造
コスト構造としては、大部分を占めるのがプラットフォーム開発と運用に関する投資です。
日々のシステムメンテナンスや新機能追加、セキュリティ強化などに要するエンジニアリングコストが発生します。
さらに、顧客サポートやカスタマーサクセスに配分される人件費も軽視できません。
【理由】
なぜこのようなコスト構造になっているかというと、ノーコードの使いやすさを保ちながらも、最新のモバイル技術や市場ニーズに追随し続けるためには、開発投資を惜しまない姿勢が必要とされるからです。
マーケティングや営業活動にも一定の予算が割り当てられていますが、リカーリング収益が拡大すれば開発・サポート体制をさらに強化できるため、スケールメリットが生まれやすいという特長もあります。
自己強化ループ（フィードバックループ）
ヤプリの自己強化ループは、顧客数の拡大と顧客満足度の向上が相互に作用する好循環を指します。
多くの企業がYappliを導入すると、それだけ多様な要望や利用事例が集まり、プラットフォーム側では改善ポイントが鮮明になるメリットがあります。
これにより機能が拡充され、使いやすさが向上し、新たな企業にとっての導入ハードルがさらに下がるという流れが生まれます。
加えて、既存顧客に対してはカスタマーサクセスが積極的に運用支援を行うことで利用満足度を高め、解約率を低下させます。
すると、安定的なサブスクリプション収入が生まれ、開発やサポートに再投資しやすい環境が整います。
こうした継続的なアップデートとサポート強化が、さらに新規顧客の獲得と既存顧客の満足度向上につながるため、ビジネス全体が持続的に拡大するのです。
この好循環が成立するのは、ノーコードプラットフォームという技術的ハードルを下げる仕組みと、顧客の声を迅速に反映できる柔軟なサービス設計を両立している点が大きいといえます。
採用情報
ヤプリでは、初任給は一律ではなく応募者の役割や経験・能力などを総合的に考慮して決定しています。
完全週休二日制が基本で、土日や祝日のほか、リフレッシュ休暇や年末年始休暇、有給休暇などの制度が整備されており、ワークライフバランスを重視する企業姿勢がうかがえます。
採用倍率については公表されていませんが、ノーコードやSaaSなど注目度の高い領域で成長中の企業とあって、エンジニアやセールス、カスタマーサクセスなど多様なポジションを募集しているため、多くの応募が予想されます。
成長市場でキャリアを積みたい方にとっては魅力的な選択肢になりそうです。
株式情報
銘柄はヤプリで証券コードは4168です。
現時点で配当金は出しておらず、主に事業成長へ投資を行う方針をとっています。
2025年1月31日時点での株価は1株当たり839円となっており、市場からはノーコード分野の成長性やSaaS銘柄としての将来性に注目が集まっています。
配当目的よりもキャピタルゲインや長期的な株価上昇を視野に入れた投資判断が多いと推測されます。
未来展望と注目ポイント
ヤプリは今後もアプリ市場の拡大に伴って、さらなる導入企業の増加が見込まれます。
アプリ開発への投資意欲が高まる背景には、顧客とのコミュニケーションを強化したいというニーズがますます強まっていることが挙げられます。
ノーコードプラットフォームの需要は海外でも高まる傾向にあり、同社が国際展開を進める可能性にも注目です。
さらに、既存顧客の解約率を低く抑えられれば、サブスクリプション収益による安定的なキャッシュフローが積み上がり、利益率の向上が期待できます。
競合他社が増える中でも、ユーザー体験やサポート体制を強化することで、先行優位を維持できるかが焦点となりそうです。
開発のスピードと顧客の声を反映する柔軟性を武器に、幅広い業種の企業を取り込めれば、ヤプリのビジネスモデルはさらに拡張していくでしょう。
成長戦略の要であるカスタマーサクセスの充実度合いも、今後の業績を大きく左右するポイントとして注目されます。
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