ビジネスモデルを徹底解説 株式会社レカムのIR資料から読み解く成長戦略の鍵とは

卸売業

企業概要と最近の業績
株式会社レカムは、ビジネスホンやデジタル複合機などを扱うITソリューションに加え、LED照明などのカーボンニュートラルソリューションも展開している専門商社です。国内外に拠点を持ち、中小企業から大企業まで幅広い法人顧客のニーズに応えています。2024年9月期の売上高は116億8,700万円に達し、前年同期比で22.9%増と大きく伸びました。一方で営業利益は2億6,900万円と前年比40.2%減となり、経常利益や当期利益もそれぞれ3億700万円(前年比37.3%減)、8,300万円(前年比73.6%減)と減少傾向にあります。海外ソリューション事業の拡大が売上の伸びを牽引している一方、国内市場での価格競争やコストの増加が利益面に影響を与えていると考えられます。それでも成長戦略の一環として、海外の拠点強化や脱炭素ニーズを捉えた環境商材の拡販により、さらなるビジネス拡大を目指している点が注目されます。

ビジネスモデルの9つの要素

  1. 価値提案
    レカムの価値提案は、オフィスに必要なIT機器やセキュリティ設備をワンストップで提供し、同時に省エネルギー化や環境負荷低減にも寄与できる点にあります。具体的にはビジネスホン、デジタル複合機、LED照明などを組み合わせることで、顧客企業のコスト削減と業務効率化を同時にサポートしています。なぜそうなったのかという背景として、国内外で進むデジタルトランスフォーメーションの潮流と、カーボンニュートラルに対する社会的要請が挙げられます。従来のオフィス機器販売だけでは差別化が困難になっているため、環境配慮型の商材を取り入れながらトータルソリューションを提案することで、より大きな付加価値を生み出す戦略を打ち出しているのです。また、複数の製品・サービスをセットで提供することで顧客との長期的な関係を築きやすく、保守やコンサルティングの契約につなげられる点も大きなメリットとなっています。

  2. 主要活動
    主要活動としては、各種製品の販売から設置工事、アフターサポートや保守サービスに至るまで、顧客が必要とする業務環境を総合的に整備するプロセスが中心です。これに加え、オフィス環境やエネルギー使用状況のコンサルティングも行い、光熱費や通信費の削減、セキュリティ強化など多面的な支援を展開しています。なぜそうなったのかという点については、単なるハードウェアの販売に留まらない「サービスの提供」が事業継続と差別化の鍵となっているからです。特にITソリューション分野では、導入後の運用管理やサポート体制が顧客満足度に直結します。保守やサポートを確実に行う仕組みを構築し、安心して長期利用してもらうことで継続収益が見込めるうえ、追加受注や新製品の提案もしやすくなる仕組みを整えているのです。

  3. リソース
    レカムが保有するリソースとしては、専門知識を持つスタッフや全国および海外に広がる営業・サービス拠点、そして大手メーカーとのパートナーシップが挙げられます。なぜそれが重要なのかというと、オフィス機器や環境商材の導入・保守には高い専門性と迅速な対応力が求められ、さらに最新技術や製品情報を常にアップデートする必要があるからです。また、国内のみならず海外にも展開していることで、多様な地域のニーズを把握しながらグローバル規模でビジネスを展開できる強みを持っています。特に、海外進出する日系企業へのサポートや現地企業のITインフラ整備を担うことで、安定的かつ継続的な収益を生み出しやすい体制が構築されている点が大きな特長です。

  4. パートナー
    レカムのパートナーには、京セラやコニカミノルタ、シャープ、NTTなどの大手メーカーが名を連ねています。メーカーと直接取引することで、顧客の多種多様なニーズに合わせた製品ラインナップを提案できるだけでなく、技術支援や新製品の提供などもスピーディーに行えます。なぜそうなったのかというと、ITや通信、エコ商材の各分野で実績あるメーカーと連携することにより、信頼性の高い製品群を自社のソリューションに組み込む必要があるからです。また、大手メーカーとしても海外市場における販路拡大や、中小企業を中心とした顧客開拓をレカムと協業することで効率的に進められる利点があります。両者がWin-Winの関係を築くことで、レカム自身もより充実したソリューションを展開できる土台を確保しているのです。

  5. チャンネル
    営業チャンネルは国内の主要都市や海外拠点を通じた対面型の提案活動がメインですが、近年はオンラインプラットフォームやウェブを活用した情報提供にも力を入れています。なぜそのような形態になったかといえば、コロナ禍以降、オンラインでの商談や資料請求が増えたことや、海外の顧客・パートナーとやり取りする機会が増加している背景があります。さらには、業務のデジタル化が進む中で、顧客が場所を問わず簡単に製品やサービス情報を得られる手段を求めるようになりました。レカムとしても対面とオンライン両面のチャネルを最適化することで、潜在顧客の取りこぼしを防ぎ、迅速な商談成立と契約後のフォローを実現しているのです。

  6. 顧客との関係
    顧客との関係は、導入前のコンサルティングから設置工事、アフターサポートに至るまで一貫したサービス提供が軸となっています。なぜそうなったのかというと、多くの企業がIT化や省エネ化に対する知識不足を抱えており、複数ベンダーとのやり取りを煩雑と感じているからです。レカムは大手メーカーからの製品調達力に加え、自社スタッフの保守・サポート体制を充実させることで、ワンストップで顧客が必要とするソリューションを提供できる環境を整えています。これにより、顧客はシステムや機器の相互接続性や導入後の運用管理に関する不安を最小限に抑えられ、長期的なパートナーシップを築きやすくなるメリットがあります。

  7. 顧客セグメント
    中小企業から大企業まで、幅広い規模の法人顧客をターゲットとしています。特に、中小企業に対しては「初期導入コストを抑えつつ効果的なIT環境を構築したい」というニーズに応え、大企業に対しては「高度なセキュリティや大規模拠点へのスピーディーな導入」をサポートすることが求められます。なぜこうしたセグメントを扱うようになったのかというと、オフィス機器の導入や環境負荷低減策は企業規模を問わず必須になっており、かつ新興企業からの需要も高いからです。海外事業においても現地企業や現地法人をターゲットとすることで、多角的な顧客層を取り込むことで売上を拡大しています。

  8. 収益の流れ
    収益の流れは、主に製品販売による収益、設置・保守といったサービス契約、コンサルティングによるフィーが中心です。なぜ複数の収益モデルを併用しているのかというと、ITソリューションやカーボンニュートラル関連製品は導入時に大きな売上を生むものの、その後の保守サービスや追加コンサルティングによって継続的なストック型収益を獲得する仕組みを確立することが重要だからです。これにより、景気変動などの外部要因に左右されにくく、長期的に安定した経営基盤を築くことができます。また海外事業においては現地企業との契約形態も多様化しており、現地パートナーを通じた契約獲得や長期保守契約など、新たな収益源を開拓しやすい環境が整っています。

  9. コスト構造
    コスト構造としては、主に製品仕入れコスト、人件費、営業・マーケティング費用などが大きなウェイトを占めます。なぜこのような構造になっているかというと、IT機器や環境商材をメーカーから調達し、顧客への販売・導入まで行うため、仕入れ価格が企業活動の基本コストとして発生するからです。さらに、導入後のメンテナンスやサポートを支える専門スタッフの人件費も欠かせません。営業やマーケティング面では新規顧客開拓や海外展開を積極的に進めているため、広告宣伝や現地スタッフの採用・教育コストが増加傾向にあります。ただし、こうしたコストは将来的にさらなる収益増を見込める投資と捉えられ、海外拠点の拡大や環境商材の開発強化に生かされているのです。

自己強化ループの流れ
レカムの成長を後押しする自己強化ループは、海外事業と環境商材の需要拡大が大きなドライバーになっています。海外事業では新たな市場に進出することで売上が伸び、得られた資金を再投資してさらなる海外拠点の拡充や現地企業との連携を強化できます。また、環境意識が高まる社会においてはカーボンニュートラルを支援する商品群の需要が急増し、それに応じた製品ラインナップの充実や新技術の開発が進むことで、より高付加価値の提案が可能になります。こうして一度確立した好循環は、「売上拡大→投資増強→新規顧客獲得→さらなる売上増加」というサイクルを描き、同時に国内外のブランド力向上につながります。さらに、既存顧客への追加提案や長期的なパートナーシップの強化により安定収益も確保できるため、景気の変動によるリスクを緩和しつつ、着実な成長を続けられるループを形成しているのです。

採用情報と魅力
レカムでは、初任給として月給301,000円以上(固定残業代30時間分を含む)を提示しており、年間休日は120日以上を確保しています。採用倍率は非公開ですが、IT関連や環境ビジネスに関心のある方にとって、幅広い事業領域をカバーする同社は魅力的なキャリアステージを提供しているといえます。設置工事やコンサルティングなど実務の幅が広いため、さまざまなスキルを身に付けることができる職場環境が整えられています。

株式情報と投資のポイント
銘柄名はレカム(3323)で、2024年9月期の配当金は1.6円が予定されています。2025年1月27日時点で株価は1株あたり65円と手頃な水準であり、個人投資家にも注目されているようです。海外事業の伸びやカーボンニュートラルへの対応は中長期的な成長期待が高いテーマであり、経営面では利益率改善や国内市場でのシェア拡大も今後の焦点となります。現時点では利益面での課題も見られますが、投資先としてはさらなる成長戦略を見極める余地がある企業といえるでしょう。

未来展望と注目ポイント
今後はITソリューション分野とカーボンニュートラルソリューションを中心に、企業のDX推進や環境規制強化といった社会的背景が追い風になることが予想されます。特に海外市場では人口増加と経済発展に伴い、インフラ整備や環境対策への需要が急拡大しており、それに合わせて拠点を拡大することで海外売上のさらなる上積みを狙う動きが見込まれます。また、国内市場では中小企業のIT化ニーズが依然として高く、競合が増える一方で需要も堅調に推移すると考えられます。レカムは大手メーカーとの連携や独自の保守サービス体制を武器に、このニーズを的確に捉えていく姿勢です。利益率改善のためにはコスト構造の最適化と高付加価値商材の拡販が急務ですが、環境意識が高まる潮流の中で、LED照明やエコ商材による省エネ効果を広く提案できる強みを活かして、安定的な成長軌道を描く可能性は十分にあると考えられます。今後のIR資料や事業報告において、海外展開の成果や新たなサービス開発の進捗に注目していきたいところです。

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