企業概要と最近の業績
L is Bは現場向けのコミュニケーションやノウハウ継承をサポートするサービスを中心に事業を展開している企業です。社内のやりとりを効率化するビジネスチャットや、現場のノウハウを動画で共有できるソリューションなど、使いやすさと実用性を両立した製品が高い評価を得ています。特に建設業界に強みを持ち、4,000社以上で導入実績を積み上げている点が特徴です。2024年12月期第2四半期には、売上高が7億58百万円まで伸び、前年同期比で25.6パーセントの成長を記録しました。さらに営業利益も24百万円を計上し、前年同期の15百万円の赤字から黒字転換を果たしています。これらの数字からは、同社が着実に顧客基盤を拡大しながら収益性を高めている様子がうかがえます。今後は新しく導入したナレッジ動画や生成AIボット導入支援サービスを軸に、幅広い業界への拡大を目指していくと予想されます。サブスクリプション型のビジネスモデルを採用しているため、導入企業が増えるほど安定的に売上が積み上がり、長期的な視点での成長が見込まれる点にも注目したいところです。
ビジネスモデル
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価値提案
L is Bの価値提案は、現場スタッフから管理部門まで多彩なコミュニケーションニーズを1つのプラットフォームでカバーし、業務効率を高める点にあります。例えば建設現場では、分かりやすいチャットツールで写真や図面を共有しながら意思決定をスピーディーに進めることが求められます。ナレッジ動画の機能によってベテラン社員の知見を分かりやすく保存し、新人教育や技術継承をスムーズに行える仕組みも提供しています。こうした現場に寄り添う形でのソリューションは、他社製品との差別化に大きく寄与していると考えられます。なぜそうなったのかという背景には、長年にわたり現場ユーザーを中心にヒアリングや実証実験を繰り返し、具体的なニーズを細かく反映した機能を実装してきた経緯があります。その結果、「専門的だけど使いやすい」という絶妙なバランスを実現し、導入ハードルを下げることに成功しています。 -
主要活動
同社の主要活動には、ソフトウェア開発と顧客サポート、そして積極的なマーケティングが含まれます。自社内で製品を開発しながら、導入企業との関係性を大切にし、導入後のフォローアップや新機能のトライアルに力を入れています。こうすることで、ユーザー目線からのフィードバックをいち早く収集し、製品の品質や機能性を向上させています。また、オンラインセミナーや展示会への出展など、マーケティング面でも露出を増やし、新規顧客の獲得に努めています。なぜそうなったのかというと、競合企業が増える中で、機能面の優位性だけではなく、サポート体制やサービスの利便性といった総合的な顧客体験が重要視されるようになったからです。この方針を徹底することで、長期的な信頼関係を築きつつ、安定収益を得る体制を確立しています。 -
リソース
同社の主要なリソースは、優秀なエンジニアやサポートスタッフといった人材、そしてその人たちが培った技術ノウハウです。コミュニケーションツールと動画ソリューションを開発運営するには、クラウド技術やAI関連の専門知識が必要になります。L is Bでは平均年齢が30代半ばという比較的若い組織であり、最新技術を積極的に取り入れられる柔軟性が強みとなっています。なぜそうなったのかについては、IT業界特有のスピード感に対応するために、新卒から中途まで幅広く採用を行い、社内研修やOJTを通じて専門知識の底上げを図ってきたからです。その結果、現場の声を活かした迅速なアップデートや新サービスの開発が可能になり、顧客満足度を高める原動力となっています。 -
パートナー
L is Bは自治体や信用金庫などにOEM提供を行うことで、製品を広く展開するパートナーシップを築いています。特に自治体との連携では、防災や地域イベントなどに活用できるコミュニケーションツールとしての導入が進められており、企業以外の領域にもビジネスチャットを拡大できる点が強みです。なぜそうなったのかという背景には、ビジネスチャットが災害時の連絡手段としても有用であることが分かり、自治体側からの引き合いが増えたという経緯があります。信用金庫などに対しても、顧客との連絡手段や内部コミュニケーションを円滑化したいというニーズが強く、OEM提供を通じて機能をカスタマイズしつつ導入を促進してきました。こうしたパートナー関係の拡大は、自社のブランド力を高め、さらなる新規顧客獲得にもつながっています。 -
チャンネル
同社の主な顧客接点は、直販とOEM、そしてオンライン経由の問い合わせです。自社で営業チームを構築し、直接アプローチする方法は、建設業界など特定業界に対してきめ細かな説明と導入支援が行いやすいメリットがあります。また、OEM提供によってパートナー企業経由での導入が拡大し、自治体や金融機関といった多様な分野にも展開しやすくなっています。オンライン経由では、ウェブサイトやウェビナーを活用して見込み顧客を獲得し、簡単な問い合わせからスムーズに導入までつなげる仕組みを整えています。なぜそうなったのかについては、コロナ禍を経て非対面での営業活動が一般化したことと、幅広い業種の潜在顧客を狙うためにオンラインマーケティングの強化が必要とされたことが大きな要因です。 -
顧客との関係
L is Bは導入支援から継続的なアフターサポートまでを手厚く行うことで、長期的な信頼関係を築いています。特に現場での運用ノウハウを共有し、導入初期の定着をサポートする取り組みが評価されており、利用満足度が高いことが特徴です。チャットツールや動画ソリューションは、現場スタッフが実際に日常業務で使ってこそ価値が生まれるため、アカウント設定のサポートから運用マニュアルの提供まで、一貫した伴走支援を行っています。なぜそうなったのかというと、現場からの抵抗感を最小限に抑えるには、操作面での不安を解消し、すぐにメリットを感じてもらうことが欠かせないと考えているからです。これを実践することで、導入企業内での利用拡大や新サービスの追加購入にもつながり、結果的に安定収益を確保しています。 -
顧客セグメント
同社は主に建設業、プラント、鉄道、自治体、信用金庫などの幅広い顧客セグメントをターゲットにしています。特に建設業界では、現場とオフィスの距離が大きく、情報共有が課題になりやすい背景から、ビジネスチャットのニーズが高いとされています。さらに公共セクターや金融機関との協業を通じて、安全管理や緊急連絡、顧客情報管理などの用途にもソリューションを展開しています。なぜそうなったのかについては、同社が最初に強みを発揮した建設業向けの導入実績が評価され、近しい業界や公共分野への横展開がしやすくなったことが大きな要因です。業務プロセスをデジタル化し、人の移動や書類のやり取りを最小限に抑えたいという要望が各業界で高まっているため、導入領域がさらに拡大する可能性があります。 -
収益の流れ
L is Bの収益モデルは月額利用料とOEM提供料を柱としています。サブスク型のビジネスモデルを採用しているため、契約企業が継続的に利用し続ける限り、安定した収益を得られるのが強みです。さらにナレッジ動画や生成AIボット導入支援サービスなどの追加サービスを契約することで、1社あたりの売上を増加させる狙いがあります。なぜそうなったのかという点では、ITサービス全般がサブスク化する流れが一般的になっており、顧客企業も初期投資を抑えながらスモールスタートできる方法を求めているためです。これに合わせて自社も月額制を選択し、継続的にアップデートやサポートを行うことで、ライフタイムバリューの最大化を図っています。 -
コスト構造
同社のコストは開発人件費やクラウド運用費、そしてマーケティング費用が大きな割合を占めています。製品を常にブラッシュアップしていくためのエンジニアリングコストは欠かせませんし、新機能を追加するごとにテストやサーバー拡張にも費用がかかります。マーケティングでは営業担当の人件費やオンライン広告の運用費もあり、認知度を高めるための投資が必要です。なぜそうなったのかについては、競合他社がひしめく市場の中で、優位性を確保し続けるには、継続的な製品改良とブランド露出が不可欠だからです。高品質なサービスを提供するためには人材を充実させることが重要となり、その分のコストは避けられませんが、長期的にはサブスクモデルで回収できるという見立てのもと、積極投資を行っていると考えられます。
自己強化ループ
L is Bは自己強化ループ、いわゆるフィードバックループを上手に活用している企業だといえます。具体的には、導入企業が増えれば増えるほど、ユーザーからの声が集まりやすくなり、新機能の開発や既存機能の改良に生かすことができる仕組みがあります。これにより製品の使い勝手がさらに向上し、評判が高まることで追加の導入企業が生まれるという好循環です。また、新しいサービスを投入すると、既存顧客が追加導入するだけでなく、相乗効果で全体のブランド力が強化されます。さらに、開発人員やサポートスタッフを拡充するための投資も、長期的な視点でのサービスクオリティ向上につながるので、顧客満足度がさらに上がり、口コミや事例紹介が増える可能性も高まります。こうした流れが持続的に循環することで、収益性と顧客基盤をともに伸ばし続けることが期待できます。
採用情報
L is Bは、2024年4月末時点で従業員数が101名、平均年齢は35.8歳で、平均年収は672.4万円となっています。初任給はおおむね月給23万円程度が想定されており、年間の休日数は120日以上を確保しているようです。各部門ともに専門性の高い業務が多いため、採用倍率は比較的高めですが、未経験分野であっても意欲を持った人材を積極的に受け入れる社風があるといわれています。研修やOJTも整備されているため、IT業界への転職を考えている方にとっては魅力的な環境といえます。
株式情報
同社は東証グロースに上場しており、銘柄コードは145Aです。2024年3月に上場したばかりということもあり、今後の業績成長が投資家から注目されています。配当金は2023年12月期時点では0円と公表されており、成長投資を優先する姿勢がうかがえます。1株当たりの株価に関しては具体的な情報が見当たりませんが、グロース銘柄として将来的な株価の伸びを期待する声もあります。
未来展望と注目ポイント
L is Bはビジネスチャットを基盤としつつ、ナレッジ動画や生成AIボット導入支援サービスなど幅広いDXソリューションを展開することで、成長戦略をさらに加速させる可能性があります。特に製造業や運輸、自治体などまだデジタル化が進んでいない領域を開拓することで、今後の売上拡大が見込まれます。また、若い組織であることを生かして、最新技術の研究開発や柔軟な働き方の導入を積極的に行えば、優秀な人材を確保しやすくなり、技術力の向上を継続的に実現できそうです。さらに、サブスク型のビジネスモデルは企業との長期的な関係を築きやすく、アップセルやクロスセルの余地も多分にあります。定期的なバージョンアップや顧客要望に合わせた機能追加などが続けば、高い満足度を維持しやすいでしょう。株式市場からも、業績の拡大とサービスラインナップの拡充による収益性向上が期待されており、今後はIR資料で示される数字にも一層注目が集まると考えられます。すでに黒字転換を果たした同社が、さらなる事業拡大と安定収益の確保をどう進めていくのか、今後の動向を追っていく価値は十分にあるといえます。
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