プレシジョン・システム・サイエンスが描くビジネスモデルと成長戦略

精密機器

企業概要と最近の業績

株式会社プレシジョン・システム・サイエンス

当社は、遺伝子検査や免疫検査といった、バイオサイエンスの分野で使われる自動化装置や試薬、ソフトウェアなどを開発・製造・販売している会社です。

特に、DNAを自動で抽出する独自の「Magtration(マグトレーション)」技術を強みとしています。

当社の製品は、医療機関での診断や、研究機関での基礎研究、創薬の研究開発など、幅広い場面で活用されています。

生命科学の発展に貢献し、人々の健康的な暮らしを支えることを目指しています。

2025年8月13日に発表された2025年6月期の本決算によると、売上高は109億4,800万円で、前の期に比べて21.6%の大幅な増加となりました。

営業利益は10億6,800万円で、前の期の1億8,900万円の損失から大幅な黒字転換を達成しています。

経常利益は10億8,900万円(前の期は1億2,200万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億8,900万円(前の期は1億3,100万円の損失)となりました。

欧米の大口のOEM取引先向けの体外診断用自動化装置や、消耗品の販売が好調だったことが、業績を大きく牽引したと報告されています。

【参考文献】https://www.pss.co.jp/

価値提案

プレシジョン・システム・サイエンスは、誰でも簡単に扱える自動化装置を提供することで、バイオや医療の現場における遺伝子検査のハードルを下げています。

これにより専門知識を持たないスタッフでも操作が可能になり、病院や研究施設の時間やコストを削減できるメリットを生み出しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、従来の遺伝子検査は手作業が多く、熟練した技術者が必要だったため、高度な自動化は市場から強く求められていた背景があります。

同社の独自技術「Magtration」を活用することで、検査の信頼性と作業効率を同時に高めたことが大きな差別化要因となっています。

主要活動

事業の中心は装置・試薬・消耗品の開発と製造、販売、それに付随するメンテナンスサービスです。

【理由】
なぜそうなったのかというと、同社が得意としている核酸抽出技術や検査装置は、一度導入されると試薬や定期的なメンテナンスが必須となるからです。

さらに新しい技術開発にも力を入れているため、研究開発を通じて競合他社との差別化を図りつつ、OEM先や自社ブランドでの販売拡大につなげる戦略をとっています。

リソース

リソースとしては、大館工場という生産拠点と、独自の「Magtration」技術、そしてELITech社などとのパートナーシップが挙げられます。

【理由】
なぜそうなったのかというと、製品の品質と供給安定性を両立するために自社工場を整備し、実際に装置や試薬を一貫生産できる体制を作り上げてきたからです。

また、長年の研究開発で培った核酸抽出技術は、他社には真似できない独自性を発揮しており、OEM供給先からの信頼を得やすい基盤となっています。

パートナー

主なパートナーはELITech社をはじめとする診断薬メーカーやグローバル医療機器企業です。

【理由】
なぜそうなったのかというと、プレシジョン・システム・サイエンスが持つ高度な自動化技術を、より大きな販売網やブランド力を持つ企業と組み合わせることで、市場拡大をスムーズに実現できるからです。

相手企業としても、自社で全工程を開発するよりも専門企業と提携した方が早く新製品を提供できるメリットがあります。

チャンネル

製品の流通経路は大きく分けてOEM/ODM提供と自社ブランド販売の2つがあります。

【理由】
なぜそうなったのかというと、OEMやODM形態なら相手先ブランドで世界中の医療機関に浸透でき、自社ブランドでは「magLEAD」や「geneLEAD」といった独自製品の認知度を高められるからです。

この2つのチャンネルを使い分けることで、企業としてのリスク分散にもつながっています。

顧客との関係

長期供給契約を締結することで、安定的な取引を確保しています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、医療機器や検査装置は長期間にわたり使われるため、メンテナンスや試薬供給を継続的に行う必要があるからです。

これによって顧客との結びつきが強化され、装置を売った後も継続的に収益を得られる仕組みが構築されています。

顧客セグメント

医療機関、研究機関、そして診断薬メーカーが主要な顧客層です。

【理由】
なぜそうなったのかというと、核酸抽出装置や検査機器は、病院でのウイルス検査や大学・研究所での遺伝子解析、診断薬メーカーの開発プロセスなど、幅広い用途で必要とされるからです。

こうした顧客層は品質や精度を重視するため、高い技術力を持つ同社の製品と相性が良いのです。

収益の流れ

装置販売に加え、試薬・消耗品の継続的な供給とメンテナンスサービスからの収入があります。

【理由】
なぜそうなったのかというと、一度装置が導入されると、その装置で専用の試薬や消耗品を継続的に使う必要があるため、リピート収益が発生しやすい構造になっているからです。

さらにメンテナンス契約によってアフターサービスも充実させることで、安定した収益源を確保しています。

コスト構造

研究開発費や製造コスト、販売・メンテナンス費用が中心となっています。

【理由】
なぜそうなったのかというと、装置開発や試薬開発には高度な技術と設備が必要であり、常に新しい検査方法への対応や規制対応も求められるからです。

また、大館工場など生産拠点を維持するための費用もかかりますが、自社で生産をコントロールすることで品質とコストの両立を図っているのが特徴です。

自己強化ループ(フィードバックループ)

プレシジョン・システム・サイエンスが構築している自己強化ループのポイントは、大きく分けて2つあると考えられています。

まず1つ目は、核酸抽出プラットフォームの普及が進むことで試薬や消耗品の使用量が増え、装置の販売だけでなく継続的な収入が伸びるという仕組みです。

2つ目は、大館工場の稼働率が高まることで生産効率が上がり、コスト削減を通じて利益率が向上するサイクルです。

このサイクルが安定して回り始めると、さらなる研究開発への投資や海外展開への資金が確保でき、新規分野への進出がしやすくなります。

その結果、市場シェア拡大につながり、さらに収益が増加するという好循環を生み出します。

採用情報

初任給や平均休日、採用倍率などの具体的な情報は公開されていませんが、高度なバイオ技術や医療機器開発の経験を持つ人材を中心に、新卒・中途採用を積極的に行っているようです。

研究開発と生産技術だけでなく、グローバル展開を見据えた人材育成も視野に入れており、専門知識を活かしたキャリア形成を望む方には魅力的な企業と言えます。

株式情報

銘柄コードは7707で、東証グロース市場に上場しています。

配当金や1株当たり株価の情報は現時点では未公表となっており、今後の成長性や研究開発への投資姿勢などを見極めながら、株主への還元策をどうするかが注目されるところです。

上場企業としてはIR資料を通じて中期経営計画などを公開しており、その内容をチェックすることで同社の将来ビジョンを確認できます。

未来展望と注目ポイント

プレシジョン・システム・サイエンスの将来を考えるうえで重要になるのは、世界的に高まる遺伝子検査や分子診断への需要をどう取り込むかです。

同社が開発する自動化装置や試薬は、新型ウイルスや難病の早期発見などにも活用される可能性があり、医療分野に留まらず幅広いバイオ産業でも利用されることが期待されます。

さらに、OEMパートナーとの長期契約による安定した収益基盤があるため、研究開発への投資や新製品の発売スピードを維持しやすい点も強みです。

また、大館工場の生産効率を高めることでコスト面を抑え、海外展開に必要な認証取得や販売チャネルの拡充に経営資源を振り向ける可能性があります。

こうした取り組みが進めば、今後の成長戦略がさらに強固になると考えられ、今まさに大きな飛躍のタイミングを迎えている企業として注目されています。

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