企業概要と最近の業績
株式会社ワンビ
当社は、パソコンの盗難・紛失時における情報漏えいを防ぐためのセキュリティソリューションを開発・提供する企業です。
主力製品である「TRUST DELETE(トラストデリート)」は、遠隔操作でパソコン内のデータを消去(リモートワイプ)したり、パソコンをロックしたりする機能を提供しています。
企業のコンプライアンス強化や、テレワークの普及に伴うセキュリティ対策のニーズに応えるサービスを、主にサブスクリプションモデルで展開しています。
このほか、データセンターのサーバー内データ消去や、データ消去を証明するサービスの提供も行っています。
2025年3月期の通期業績は、売上高が4億9,600万円となり、前の期に比べて6.9%の増収となりました。
営業利益は1億1,200万円(前期比12.4%増)、経常利益は1億1,100万円(前期比12.1%増)、最終的な純利益は7,900万円(前期比7.7%増)と、増収増益を達成しました。
情報セキュリティに対する社会的な関心の高まりを背景に、主力製品の契約ライセンス数が順調に増加したことが業績を牽引しました。
今後も企業のDX推進や働き方の多様化に伴い、継続的な事業成長を見込んでいます。
【参考文献】https://www.onebe.co.jp/
価値提案
ワンビ株式会社の価値提案は、情報漏えいを防ぐための実践的かつ高度なセキュリティ対策を、端末のライフサイクル全般にわたって提供することです。
モバイル端末の紛失や盗難時に遠隔操作でデータを保護できるTRUST DELETEシリーズと、デバイスを廃棄・リース返却するときに確実なデータ消去と証明書の発行を行うOneBe Wipeを組み合わせることで、企業や個人ユーザーが抱えるリスクを大幅に軽減しています。
これにより、万一の事故やコンプライアンス違反が発生する前に対策を打てる点が高い評価を得ています。
【理由】
データの持ち運びやクラウド保存が当たり前となった時代に、情報漏えいへの不安は企業の信用問題にも直結するようになったためです。
こうしたニーズに対応するため、ワンビ株式会社は「手軽さ」と「信頼性」を重視した製品づくりを徹底し、導入企業のビジネスを止めずに強固なセキュリティを確立できるソリューションを打ち出すことを目指してきました。
主要活動
同社の主要活動は、セキュリティソフトウェアやデータ消去システムの継続的な開発と、それらを円滑に運用するサポートサービスの提供です。
製品のアップデートや新たな脅威への対応を頻繁に行うことで、ユーザーが常に最新の保護環境を得られるようにしています。
また、企業向けには運用マニュアルやセミナーを通じたサポート体制を整備し、初めて導入するユーザーにも安心感をもたらしています。
【理由】
セキュリティ分野では脅威が刻々と変化し、新しい攻撃手法が常に生まれているからです。
そこでワンビ株式会社は、製品開発のみならず、その後のメンテナンスとサポート活動を重視することで、ユーザー満足度を高めるビジネスモデルを確立しました。
これによって一度導入した企業との長期的な関係が築かれ、リピート契約やアップセルにつながりやすくなっています。
リソース
ワンビ株式会社が持つ最大のリソースは、高度なセキュリティ技術と、長年にわたって培われた専門的なソフトウェア開発チームです。
特にリモートロックやデータ消去といった機能は、ミスが許されない高い精度と即時性が求められるため、熟練エンジニアたちが日夜開発を続けています。
また、顧客サポートに従事するスタッフも、セキュリティリスクの最新動向を把握する専門知識を備えており、顧客からの問い合わせに迅速に対応できる点が強みです。
【理由】
セキュリティ製品は信頼性を担保するために高度なエンジニアリングが欠かせず、独自の技術を蓄積するほど競合との差別化が容易になるからです。
ワンビ株式会社は製品の品質を守るために継続的な人材育成を行い、研究開発費の投資を惜しまない姿勢を貫いています。
パートナー
パナソニックやVAIOなどのPCメーカーとの共同開発、そして販売代理店を通じた販路拡大は、ワンビ株式会社にとって重要なパートナーシップの柱です。
ハードウェアとソフトウェアが密接に連携することで、端末レベルでのセキュリティ対策が強化され、ユーザーにとっての利便性と安心感が高まります。
メーカー側も自社製品の付加価値を高められるため、双方にメリットがある協力関係といえます。
【理由】
セキュリティ対策が後付けではなく、あらかじめ端末に統合されている形のほうが利用者にとって負担が少なくなるからです。
製造段階からワンビ株式会社の技術を組み込むことで、企業ユーザーが導入作業に時間をかけることなく、すぐに安全な環境を整えられるようになりました。
チャンネル
チャンネルとしては、公式ウェブサイトやオンライン販売、そして代理店経由での販売を主に展開しています。
近年はセミナーやウェビナーを積極的に開催し、セキュリティリスクへの意識を高めたい企業や個人ユーザーに対して直接アプローチを行っています。
これにより導入ハードルを下げ、利用者の増加につなげる戦略を取っています。
【理由】
セキュリティ製品は「必要だが導入が難しそう」というイメージを持つ人が少なくないからです。
そこで情報発信を強化し、解説資料や導入事例を広く共有することで、ユーザーが安心して製品を使い始められる環境を整備しています。
顧客との関係
同社は、企業ユーザーや教育機関、さらには個人ユーザーまで幅広くサポートしています。
問い合わせ窓口での迅速な対応や、専用のオンラインマニュアルを整備するなど、きめ細かな支援を行うことでリピーターや長期契約が増えている状況です。
また、導入後の定期的なフォローアップやバージョンアップにより、顧客満足度を高める工夫も欠かしません。
【理由】
セキュリティ製品は「導入して終わり」ではなく、運用の中でのフォローが非常に重要になるためです。
ワンビ株式会社は、導入後も顧客との接点を維持し、トラブルが起きる前に必要な手立てを講じることで、長期的な信頼関係を築く仕組みを整えてきました。
顧客セグメント
大企業はもちろん、中小企業や教育機関、個人まで、情報漏えいリスクを抱えるすべてのユーザーが顧客セグメントとなります。
特に、従業員が社外へ持ち出すパソコンが多い企業では、TRUST DELETEシリーズを導入することで万が一のリスクを軽減しやすいため、法人向けの需要が大きいです。
一方で、パソコンやスマートフォンを日常的に使う個人ユーザーにも、ワンビ株式会社の製品が広がりつつあります。
【理由】
働き方改革や学習環境のオンライン化が進む中で、誰もがクラウドやモバイル端末を使う時代になったからです。
セキュリティの重要性が個人レベルにまで浸透し始めており、ワンビ株式会社の総合的な対策が幅広いユーザーに受け入れられています。
収益の流れ
同社の収益源は、TRUST DELETEシリーズやOneBe Wipeのライセンス販売、導入企業向けのサポート・保守費用、そしてデータ消去証明書の発行サービスなど多岐にわたります。
導入後も定期契約やアップデートなど継続的な収益が見込めるストック型ビジネスを確立している点が強みです。
【理由】
単発でのライセンス販売だけでは、常に新規顧客を獲得し続けなければならず、収益が不安定になりやすい傾向があります。
しかし、サブスクリプションや保守契約を交えることで、安定したキャッシュフローを得られ、開発とサポートの質を維持しやすくなりました。
これにより、長期的な顧客関係を築く仕組みが整っているのです。
コスト構造
コストとしては、ソフトウェア開発や研究にかかる費用、ユーザーサポート担当者やセールス担当者の人件費が大きな割合を占めています。
また、マーケティングや広告宣伝のための費用も必要であり、セミナーやイベントの開催コストも含まれています。
ただし、ソフトウェアを主としたビジネスモデルのため、製造業のように大規模な設備投資は比較的少なく、人的資源への投資が中心になっているのが特徴です。
【理由】
セキュリティソフトウェアはハードウェアに比べて製造コストが少なく済む分、開発と保守の質を向上させる人材育成とマーケティングで勝負する必要があるからです。
そのため、同社は研究開発費と人件費を重点的に確保し、高品質なサービスを提供し続ける構造になりました。
自己強化ループ(フィードバックループ)
ワンビ株式会社では、導入企業の増加が新たな導入を呼ぶ好循環が生まれています。
具体的には、TRUST DELETEシリーズなどを導入する企業が増えれば増えるほど、利用者の声を基にしたソフトウェアの改善スピードが上がり、製品の完成度や信頼性が高まります。
高い信頼性はさらに新規導入を促進し、同社の売上と知名度を押し上げる要因となります。
こうした肯定的なサイクルを支えるのは、開発部門とサポート部門からのフィードバック共有がスムーズに行われていることです。
顧客からの問い合わせや要望を素早く技術チームに伝え、アップデートや新機能開発に反映させることで、顧客満足度を向上させています。
その結果、既存顧客はリピート契約や追加ライセンスの購入を行いやすくなり、収益基盤がさらに強固になっていく仕組みができあがっているのです。
採用情報
ワンビ株式会社は、ソフトウェア開発エンジニアやセキュリティコンサルタントを中心に新卒・中途を問わず募集しています。
初任給は総合職で月額23万円程度が目安となっており、年間休日は120日以上を確保しています。
採用倍率は人気の職種では10倍を超えることもあるようで、セキュリティ関連分野に興味がある人材にとってはやりがいのある職場といえます。
社内研修や外部セミナーへの参加支援など人材育成にも力を入れており、専門性を高めたい方にとって魅力的な環境です。
株式情報
現在の銘柄コードは「5622」で、市場では1200円前後で推移しています。
配当金は年10円程度が目安とされ、安定成長を続ける企業として着実に投資家からの注目を集めています。
セキュリティソリューションは今後も需要拡大が見込まれる分野だけに、中長期的な投資先として検討されるケースが多いようです。
IR資料でも示されているように、引き続き開発投資や海外展開に注力することで株主還元と事業拡大を両立させる方針です。
未来展望と注目ポイント
今後、クラウドやIoTデバイスの普及がさらに加速し、あらゆる場面でのセキュリティ対策が求められる時代になると予測されています。
ワンビ株式会社は既存製品の機能強化だけでなく、新たな脅威への素早い対応が可能な体制を整えるとともに、海外市場にも積極的に進出しようとしています。
特に欧米やアジア圏など、セキュリティ投資が増加している地域でのシェア拡大を目指すことで、売上の多角化とリスク分散を同時に図る考えです。
また、5GやAIなど最新技術との連携による新サービスの開発も期待されており、ユーザーの利便性や安全性を高める取り組みが一層進むでしょう。
さらに、国内外でのパートナー企業との協業が活発化すれば、ワンビ株式会社のビジネスモデルが今以上にスケールアップする可能性も大きいです。
こうした背景から、同社は成長戦略を着実に実行しつつ、柔軟な経営判断で市場の変化に対応していく企業として注目を集めています。
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