企業概要と最近の業績
株式会社丹青社
商業施設や文化施設、イベント空間など、さまざまな空間づくりの専門家集団です。
事業の企画・構想からデザイン・設計、制作・施工、運営までを総合的に手掛けています。
「こころを動かす空間創造のプロフェッショナル」として、博物館や美術館、百貨店、専門店、ホテル、企業ショールームなど幅広い分野で実績を持っています。
2026年1月期第2四半期の連結業績は、売上高が385億4,300万円（前年同期比5.8%増）、営業利益は18億2,100万円（同15.2%増）と増収増益でした。
経常利益は18.5億円（同14.9%増）、親会社株主に帰属する四半期純利益は12億5,800万円（同16.1%増）となっています。
主力の商業施設分野では、百貨店や専門店の改装案件、インバウンド需要の回復を背景とした空港内店舗の案件が堅調に推移しました。
また、文化施設分野においても、博物館のリニューアルや資料館の新築案件などが業績に貢献しました。
価値提案
丹青社の価値提案は、高品質な空間デザインと施工を一貫して提供できる点にあります。
単に見た目を飾るだけでなく、集客力や施設の使いやすさなどをトータルで考えながら計画を進められるのが特長です。
ショッピングモールから博物館、イベントブースなど幅広い分野をカバーしているため、さまざまな要望を実現できるノウハウが豊富に蓄積されています。
こうしたノウハウは長年の実績で培われたものであり、単発のプロジェクトだけでなく継続的な改装や追加工事などの案件にもスムーズに対応できるのが魅力です。
【理由】
なぜこうした価値提案が可能になったかというと、社内にデザイナーから施工管理者まで多様な専門人材を擁していることが理由のひとつです。
加えて、お客様が抱える課題を整理し、空間を「人を呼び込む仕掛け」として機能させる企画力も大きな強みとなっています。
これらの積み重ねが、丹青社に対する高い評価を生み出しているのです。
主要活動
丹青社の主要活動は、企画・設計・施工管理という空間づくりの一連のプロセスを包括的に担うことです。
クライアントの要望をヒアリングし、デザインのコンセプトを固め、具体的な図面やプランに落とし込み、最終的には現場での工事を取り仕切ります。
一方で、施主が抱える費用面やスケジュール管理上の不安を少しでも減らすように、細部まで徹底した調整を行う点も重要な活動です。
【理由】
なぜこのような活動スタイルを採用しているのかというと、空間デザインは非常に多くの工程や協力会社が絡むため、全体を統括できる存在が欠かせないからです。
初期段階で完成イメージを共有し、現場での作業までをワンストップで請け負うことで、手戻りが少なく納期やコストの管理もしやすくなります。
結果として顧客満足度が高まり、次の新規案件の受注につながる循環が生まれるのです。
リソース
丹青社のリソースとしては、まず高いスキルを持つ人材が挙げられます。
デザイナーやプランナー、現場の施工管理スタッフなど、空間づくりを担う専門家が数多く在籍しているのが強みです。
さらに、長年の実績により蓄積されたノウハウや技術的な知見も大切な財産となっています。
豊富な事例を踏まえたプラン提案ができることは、初めて依頼する顧客にとっても安心感を与える大きな要素です。
【理由】
なぜここまで人材とノウハウが充実しているのかというと、創業以来、幅広いジャンルの案件を積極的に手がけ、そこで得た成功と失敗の経験をしっかりと社内に蓄積してきたからです。
また、新卒や中途採用を通じて定期的に新しい人材を獲得し、教育や研修に力を入れているため、社内での技術継承や育成も効果的に進められていると考えられます。
パートナー
丹青社は、建材メーカーや施工業者、デザイン事務所など多岐にわたるパートナーと連携しています。
空間づくりは建材の選定やディスプレイの細部、また電気・空調工事など専門知識が必要な作業が多いため、強力な協力会社が欠かせません。
【理由】
なぜこれほど多くのパートナーを持つようになったのかというと、プロジェクトごとに求められる仕様や規模が異なり、幅広い選択肢を持つことが高品質の施工を実現する近道だからです。
また、長年にわたって築いてきた信頼関係によって、スムーズなやり取りやコストメリットが得られることも、競合他社との差別化に一役買っています。
パートナーとの強固な連携を続けることで、多種多様な依頼に柔軟に対応し、依頼主のニーズを最大限に満たす体制が作られているのです。
チャンネル
チャンネルとしては、直接営業による新規顧客の開拓や、既存顧客との継続取引が挙げられます。
営業担当が商業施設や企業の広報・施設管理部署と接点を持ち、改装や新規プロジェクトが立ち上がるタイミングを逃さないことがポイントです。
また、業界ネットワークや展示会への出展なども、新たな引き合いを獲得する重要な手段となっています。
【理由】
なぜチャンネルを多様化しているかというと、空間デザインの需要は店舗のリニューアルや新規オープンだけでなく、イベントブースや特設コーナーなど短期的・一時的なニーズも存在するからです。
幅広いチャンネルを持つことで、顧客からの依頼を見逃さずキャッチし、受注機会を増やせる仕組みになっています。
顧客との関係
丹青社は、顧客との長期的な信頼関係を重視しています。
空間デザインは完成して終わりではなく、運用中の修繕やリニューアル、追加施工といったフォローアップが必要だからです。
一度大きなプロジェクトを任せてもらった後、施設の運用状況を踏まえながら改良案を提示し、継続的な案件を獲得することが多い傾向にあります。
【理由】
なぜそうした関係構築が進んでいるのかというと、一度デザインや施工の品質を体験した顧客から「またお願いしたい」と思わせるだけの実績を残しているためです。
また、納品後のアフターケアや営業担当とのスムーズなコミュニケーションも、長期的なパートナーシップを築く大きな要因になっています。
顧客セグメント
顧客としては、商業施設のオーナーや博物館の運営者、イベント主催者などが多くを占めています。
さらに、企業のショールームやオフィスの改装を任されるケースも増えており、公共施設のインスタレーションなど幅広い分野から依頼が寄せられています。
【理由】
なぜ多様な顧客セグメントに対応できるのかというと、丹青社が培った空間づくりのノウハウは、建築規模や分野を問わず応用が利くからです。
例えばショッピングモールの空間構成で得た来店者の動線計画の知識を、博物館の展示ルート設計に応用するといった具合に、さまざまな業態から重宝されています。
顧客のターゲット層が異なる案件であっても、同社が持つ専門性を生かした提案ができるので、多彩な依頼に対応しているのです。
収益の流れ
収益は、主にプロジェクトごとの請負契約によって得られます。
企画や設計だけを請け負うケースもありますが、多くは施工管理や内装仕上げまで含めた一括契約です。
一部では施主支給の設備や材料を組み込む場合もありますが、同社が調達から施工管理までを担うことが多いため、全体の請負額が大きくなる傾向にあります。
【理由】
なぜこのような収益構造になっているのかというと、空間づくりには多岐にわたる工程があり、それをトータルで任せたいという顧客ニーズが高いからです。
また、大規模案件ほど、企画提案から完成までを一貫して行う方がプロジェクト管理が容易で、品質確保に有利になります。
こうした理由から、丹青社は請負金額をトータルで請求する方式が主流となっており、結果として安定的な収益源になっています。
コスト構造
同社のコストは、人件費や材料費、外注費を中心に構成されています。
デザイナーや施工管理スタッフなどの人件費は重要な投資ですが、一方で人材の質を維持しないとプロジェクトの完成度や顧客満足度が下がってしまうため、惜しまずに人材育成に注力する姿勢を取っています。
【理由】
なぜこうしたコスト構造になっているかというと、空間づくりはカスタマイズ要素が多く、プロジェクトごとに必要な職種や手間が異なるからです。
さらに建材や設備のグレードによって材料費が大きく変動するため、受注時点でのコスト見積もりが非常に重要になります。
外注費については、専門の協力会社をうまく活用することで品質を保ちつつ効率化を図っており、長年の取引実績によるコストメリットも期待できます。
自己強化ループ
丹青社の自己強化ループは、サービス品質の向上とブランド価値の上昇が相互に作用する仕組みがポイントです。
高品質な空間デザインを提供すると、顧客満足度が上がり、リピート受注や口コミによる新規顧客獲得が期待できます。
さらに受注が増えることで、案件数に応じたノウハウや技術が蓄積し、また利益を新たな人材や設備の投資に回すことで、より高度なサービスを生み出せるようになります。
こうした循環が続くと、丹青社のブランド力が高まり、顧客は「空間づくりなら丹青社に任せたい」と考えるようになるのです。
結果として、受注高や利益の増加がさらに強化される好循環が生まれます。
競合が増える業界であっても、長年にわたり築いてきた実績と信頼に加え、この強化ループをしっかり回すことで、同社は安定した成長を維持しているといえるでしょう。
採用情報
丹青社の採用情報としては、初任給や採用倍率は公開されていませんが、年間休日が124日と比較的多めであることが特徴です。
土日祝休みがベースに設定されているため、プライベートとの両立を考える学生や社会人にも魅力的だといえます。
空間デザインというクリエイティブな仕事の性質上、繁忙期には残業も発生しますが、それを支えるやりがいと充実感を重視する人には向いている環境です。
人材不足が叫ばれる時代とはいえ、丹青社のように多彩なプロジェクトを経験できる企業は貴重な存在であり、設計やデザイン、施工管理など専門スキルを磨きたい人にとっては大きなチャンスとなるでしょう。
株式情報
同社の株式は東証プライム市場に上場しており、銘柄コードは9743です。
2025年2月28日時点で1株当たりの株価は875円となっています。
さらに2025年1月期の配当金は年間40円と予想されており、今後の業績次第では配当方針にも注目が集まるかもしれません。
安定的な受注と堅調な業績が見込まれる企業だけに、株主としても安心感があるでしょう。
もっとも、建築や内装市場の景気変動や人材コストの上昇リスクなども考慮する必要がありますが、空間デザインの需要が高まりつつある中で、同社の成長に期待を寄せる投資家は少なくありません。
未来展望と注目ポイント
今後は商業施設や博物館だけでなく、オンラインとオフラインを融合させた新しい空間演出や企業のDX推進にともなうオフィスリニューアルなど、さまざまな需要が生まれると考えられます。
丹青社は長い歴史の中で培った企画提案力と施工ノウハウを持ち、こうした新たなニーズにも柔軟に対応できる基盤が整っています。
さらに、グローバル化が進むなか、国内だけでなく海外の展示会やイベントブースを手がける機会が増加する可能性もあるでしょう。
少子高齢化による労働力不足やコスト上昇といったリスクはあるものの、同社が確立してきたパートナーとの連携と積極的な人材育成がそれをカバーすると期待されます。
これからもビジネスモデルやIR資料を通じて成長戦略の実現度をウォッチしながら、空間デザイン業界をリードしていく丹青社の動向に注目していきたいところです。
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