企業概要と最近の業績
笹徳印刷株式会社
2026年3月期第1四半期の連結売上高は85億30百万円となり、前年同期比で3.5%の増収となりました。
営業利益は3億50百万円(前年同期比10.2%増)、経常利益は3億60百万円(同9.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億40百万円(同11.5%増)と、増収増益を達成しました。
主力のパッケージ関連事業において、食品業界やトイレタリー業界向けの軟包装材の販売が堅調に推移しました。
また、紙器事業においても、顧客の需要を的確に捉えた製品供給が進みました。
利益面では、生産性の向上や経費削減などのコストコントロールが奏功し、原材料価格の上昇分を吸収して増益を確保しました。
価値提案
パッケージングとコミュニケーションツールを一貫して提供
企画やデザインから製造、販促までワンストップ対応
顧客の要望に合わせたカスタマイズや特殊加工の実現
【理由】
パッケージそのものだけでなく、その後の販促や宣伝までを一気通貫でサポートできる体制を構築することで、顧客により大きな価値を提供しようという理念から生まれています。
企業が製品を作る段階では、どのように売り出すかといったコミュニケーション戦略まで見据えることが求められます。
そこで笹徳印刷は、印刷技術だけでなくデザイン力やプロモーションのノウハウまで備えることで、商品をより魅力的に見せるための付加価値を創出しています。
お客様のニーズを深く理解し、多角的なソリューションを提案することによって、単なる印刷会社の枠を超えたサービス企業としての位置づけを確立しているのです。
こうした包括的なサービスによって顧客の手間を削減できる点や、企業ブランドの向上に寄与できる点が大きな強みとなっており、結果として長期的なリピートや高い顧客満足度を獲得する要因につながっています。
主要活動
パッケージ企画・設計・製造
カタログやWeb制作を含むコミュニケーションツール作成
販促イベントやキャンペーンの企画立案
【理由】
笹徳印刷は印刷技術をコアとしながらも、そこから派生するさまざまな活動領域を拡大してきました。
元々、パッケージの企画・設計から印刷、加工まで一貫して行うことでコスト削減や品質管理の向上を図ることができ、それがクライアントの評価を高めてきました。
さらに時代の変化とともに紙媒体だけでなくWebやデジタルマーケティングなどの領域にも進出し、イベントの企画立案などオフラインを含むコミュニケーション支援を行うまで活動の幅を広げています。
これによりクライアントは多角的なプロモーション戦略を一本化でき、効率の良いブランディングが可能となります。
同社の主要活動が多岐にわたるのは、顧客ニーズに合わせて柔軟に展開することで付加価値を高めるという経営戦略の成果といえます。
リソース
高度な印刷技術と加工技術
デザイン力やプロモーションに関するノウハウ
東京、横浜、大阪といった主要都市における営業拠点
【理由】
同社は長年の印刷業としての実績から、高度な技術と設備を有し、大手企業からの受注にも対応できる体制を整えてきました。
また、パッケージデザインや企画提案の段階から関わることで、単なる製造だけでなくクリエイティブ面のサポートも行っています。
こうしたクリエイティブ領域への積極的な投資と人材育成により、顧客が求めるデザインクオリティやブランディング戦略に合わせた柔軟な提案が可能になります。
さらに主要都市に営業拠点を構えることで、幅広い業界や地域の顧客と直にコミュニケーションを取ることができる点も大きなリソースです。
こうした人材、設備、営業ネットワークが複合的に機能することで、継続的な受注と顧客満足度の向上が図られています。
パートナー
詳細は非公開(サプライヤーや外部クリエイターなどとの協業が想定)
他の印刷会社や素材メーカーとの連携の可能性
【理由】
パッケージングからコミュニケーション支援までを網羅するには、自社だけで完結するのが難しい場面もあります。
例えば、特殊な素材が必要なパッケージを扱う際には専門の素材メーカーとの連携が求められますし、大規模なイベントの企画・運営では外部のイベント会社やクリエイターとの協力が不可欠です。
また、納期やクオリティを厳守するために、緊密なパートナーシップを築くことが重要になります。
こうした協業体制を上手に活用することで、自社にない技術やアイデアを取り入れることが可能となり、結果的に顧客に対してより魅力的で最先端のソリューションを提供できるようになります。
パートナーとの連携が強固であればあるほど、複雑で多様化する市場のニーズにも対応しやすくなり、企業競争力を高める大きな要因となります。
チャンネル
東京、横浜、大阪などの営業拠点
オフィシャルWebサイトやデジタルマーケティング
【理由】
地方の印刷会社が大都市圏の顧客を取り込むためには、積極的に拠点を構えることが必要です。
笹徳印刷は主要都市に営業拠点を設けることで大企業や多業種の顧客と直接やり取りし、ニーズの変化を素早く掴むことを可能にしています。
さらに、Webサイトやデジタルマーケティングを活用した情報発信により、新規顧客の獲得にも力を入れています。
この二つのチャンネルをバランスよく活用することで、既存顧客との関係強化と新規市場の開拓を同時に実現している点が特徴といえます。
また、パッケージや販促ツールの実物を見せながら商談を行う必要がある場面では、現地に拠点があることでクイックな対応が可能になるのも強みです。
顧客との関係
直接取引を重視
カスタマイズへの柔軟な対応による長期的なリレーション構築
【理由】
パッケージや販促ツールといった製品は、顧客のブランドイメージやプロモーション戦略にも大きく関わります。
そのため、細かな仕様やコンセプトをすり合わせる直取引のスタイルが重要視されます。
代理店などを挟まないことで、要望をダイレクトに受け取り、修正や追加注文にも柔軟に応じることが可能です。
これにより、顧客はスピーディーかつ的確な対応を期待でき、結果として長期的な信頼関係が構築されます。
また、同社としても顧客の声を直接フィードバックとして受け取りやすくなるため、新たな製品開発やサービス改善につなげやすいメリットがあります。
このように直接取引を重んじる企業文化が、リピートオーダーやクロスセルの増加に寄与しています。
顧客セグメント
幅広い業界の企業(食品、化粧品、日用品など)
大手から中小企業まで多岐にわたる
【理由】
パッケージングは多くの業種で必要とされるため、特定の業界に偏りすぎない顧客構成を築くことでリスク分散が可能になります。
食品や化粧品、日用品などは特に需要が高く、消費者に手に取ってもらうためにパッケージのデザイン性や機能性が求められます。
笹徳印刷はこの分野で多彩な実績を持ち、顧客の要望に合わせたパッケージを企画設計できる体制を整えています。
また、コミュニケーションツールの作成分野ではカタログやWeb制作を中心に、多様な規模の企業が対象となります。
これにより業績が一部の業界の景気に左右されにくく、安定的な収益基盤を築きやすいという利点があります。
さらに、幅広い業界からの要望やトレンドを吸収することで、新しいアイデアや技術を取り入れる機会が増え、同社の事業領域が継続的に広がっていく要因にもなっています。
収益の流れ
パッケージやカタログ制作などの製品売上
イベント企画やWeb制作などのサービス収益
【理由】
印刷加工による製品売上は、伝統的に同社を支えてきた収益源です。
紙媒体への需要はデジタル化の影響で縮小傾向がある一方、パッケージの重要性は依然として高く、特にブランドイメージを左右するようなデザインパッケージや高級感のある箱などは付加価値が大きいため利益率も期待できます。
また、カタログやポスターの作成、イベント企画、Web制作といったサービス領域を拡充することで、印刷関連以外からの収益も確保しています。
複数の収益源を持つことはリスクヘッジになるだけでなく、各分野で得られたノウハウを横断的に活用するシナジー効果も期待できます。
こうした多角的な収益モデルにより、市場環境の変化に応じて柔軟に対応しながら持続的な成長を目指しているのです。
コスト構造
製造コストと営業費用
研究開発費用や設備投資
【理由】
製造業としては、原材料費や人件費、設備維持費などの製造コストが大きな割合を占めます。
特にパッケージ製造では紙やインクなどの素材価格、さらには特殊加工にかかる設備投資がコストの要因となります。
また、主要都市に複数の営業拠点を持つため、営業活動にかかる固定費や人件費も無視できません。
一方で、独自の加工技術や新しい印刷技術を開発する研究開発費用も重要な投資要素となります。
高度な技術を持つことで競合他社との差別化が図れるため、この部分への投資は将来の収益を拡大するうえで必要不可欠といえます。
こうしたコスト構造を最適化するために、同社は一貫生産体制を敷くと同時に、拠点の戦略的配置やデジタルツールの活用による効率化を図ることで、利益率の向上を狙っていると考えられます。
自己強化ループ
パッケージングとコミュニケーション分野を手掛けることで得られるシナジーが、同社における自己強化ループを生み出していると考えられます。
具体的には、パッケージ製造の顧客との深い関係性が、追加でカタログやWeb制作などのコミュニケーションツール需要を生み出す可能性があります。
また、コミュニケーション分野で獲得したノウハウやデザインセンスは、パッケージの企画開発にもフィードバックされ、より洗練された商品提案が可能になります。
この両領域を有機的に結びつけることで、顧客満足度が上がり、リピート発注やクロスセルが増加する正の循環が生まれます。
さらに、こうした顧客との直接的なやり取りを通じて新たな改善点や要望をキャッチし、それをまた製品やサービスに反映することで、質の高い提案力とブランドイメージを維持し続けることができるのです。
このように、両方の事業分野が互いを強化し合う構造が、同社の持続的な成長を支える大きな要因となっているといえます。
採用情報
笹徳印刷は初任給や採用倍率などの具体的な数値は公表していませんが、完全週休2日制を導入しているのが特徴です。
印刷業界のなかでもパッケージングやコミュニケーションツールといった幅広い業務に携われる点は、就職希望者にとって多様なキャリア形成が期待できる魅力といえます。
今後、デザインやWeb関連の知識を持つ人材が求められる傾向が一段と高まる可能性があり、幅広いスキルを持つ学生や転職希望者にとって選択肢となり得る企業でしょう。
株式情報
同社は証券コード3958で上場しています。
配当金は2024年6月期で1株当たり20円を予定しており、2025年2月2日時点で株価は1株当たり509円となっています。
業績が安定している印象がある一方で、売上高がわずかに減少している点などから、今後の市場動向やコスト管理の状況によって株価が変動する可能性が考えられます。
配当金を重視する投資家にとっては、安定的な配当利回りが魅力となることが多く、成長戦略とのバランスをどう取るかが今後注目されるポイントといえます。
未来展望と注目ポイント
今後は国内外における環境意識の高まりやデジタル化の進展を背景に、パッケージングとコミュニケーション分野のあり方が大きく変わる可能性があります。
例えば、環境に配慮した素材の採用やリサイクルに適したパッケージ設計など、サステナビリティを重視した製品開発が進むことが予想されます。
また、デジタルツールを活用した販促やブランド体験の充実など、リアルとオンラインを融合させた新たなマーケティング手法が求められる時代になっています。
笹徳印刷は両分野の強みを活かして、紙媒体とデジタルを組み合わせた複合的なソリューションを提供できる点が優位性となるでしょう。
今後はさらに高度な技術やデザイン力を持つ人材の確保、AIやデジタル技術の積極的な導入といった施策を進めることで、一層の競争力強化が期待されます。
市場の変化に柔軟に対応しながら、従来の印刷企業の枠を超えて新しい付加価値を生み出す戦略が、多くの投資家や就職希望者から注目を集めるポイントになると考えられます。
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