企業成長戦略を探るGMOリサーチのビジネスモデルとIR資料から読み解く最新トレンド

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企業概要と最近の業績

GMOリサーチ株式会社

2025年5月13日に発表された、2025年12月期第1四半期の決算についてお伝えしますね。

売上高は14億1,100万円で、前年の同じ時期と比べて11.2%の増加となりました。

営業利益は1億4,300万円で、こちらは31.2%の大幅な増益となり、増収増益を達成しています。

国内のインターネットリサーチ事業が堅調に推移したことに加えて、アジアを中心とした海外事業が大きく成長したことが、この好調な業績を牽引した主な要因のようです。

【参考文献】https://gmo-research.jp/

ビジネスモデルの9つの要素

価値提案

GMOリサーチは高品質な市場調査データと先進的なAI技術を組み合わせたソリューションを提供しています。

アンケート代行やサンプルサプライだけでなく、AI学習に必要な画像データ収集など幅広いサービスを展開している点が強みです。

【理由】
インターネット環境の普及とビジネスのデータドリブン化が加速する中、従来の調査手法では捉えきれない多面的な顧客インサイトを得る必要が生じたからです。

そこで膨大なパネルネットワークと高度な分析技術、さらにはAI活用による効率化を組み合わせることで、競合他社と差別化を図っています。

多国籍企業から国内の中小企業まで多彩なニーズに応える柔軟性が、高い付加価値を生み出す要因になっています。

主要活動

同社の主要活動は、国内外でのインターネットリサーチ、各種データの分析・活用支援、そしてAI技術を活かしたサービス開発です。

【理由】
オンライン調査市場は拡大を続ける一方で、顧客企業が求めるデータの質と量も高度化してきたためです。

これを満たすために、従来のアンケート代行やモニター提供に留まらず、AIが画像やテキストなど非構造化データを解析する技術を導入することで、より高い精度のインサイトを引き出すサービスへと進化しています。

また、ビジネスモデルを安定的に維持するには新技術や海外展開も欠かせないため、幅広い調査範囲とサービス内容をカバーする方向に進んだ経緯があります。

リソース

アジア最大級とされるパネルネットワーク、AI活用のための技術インフラ、そして専門人材がGMOリサーチの主要なリソースです。

【理由】
調査ビジネスでは大量のアンケート回答者を確保するパネルネットワークの充実度が信頼性と顧客満足度に直結するためです。

さらに,AIを活用したデータ分析や自動化が顧客ニーズを的確に満たすために必要となり、システムエンジニアやデータサイエンティストなど多様な専門家を社内に抱えることで、他社にないユニークなサービスを開発しやすい環境を整えています。

このように技術と人材の両面が、同社の付加価値を支える土台となっています。

パートナー

同社は国内外の調査会社や技術パートナーと連携してサービスを拡大しています。

【理由】
一社だけではカバーしきれない地域や業種別の専門知識、データ収集力を補完する必要があるからです。

特に海外調査では、現地の文化や消費トレンドを把握したパートナーとの協力が不可欠であり、これによって幅広い国と地域への進出を実現しています。

また、AI開発では外部の技術パートナーとの連携がイノベーションを加速し、独自のプロダクトやソリューションを市場に早期投入できる体制につながっています。

チャンネル

GMOリサーチの提供チャネルは、自社が運営するオンラインプラットフォームとパートナー経由の販売に大きく分かれています。

【理由】
調査案件の規模や目的に応じて柔軟なアプローチを可能にするためです。

直接取引ではカスタマイズ性の高いサービスを提供し、パートナー経由では幅広い顧客層にリーチできるメリットがあります。

また、セルフ型アンケートツールをオンラインで提供することで、小規模な企業や個人事業主でも手軽に利用できるよう工夫されており、これが新規顧客の獲得チャネルとしても機能しています。

顧客との関係

同社はクライアント企業との長期的かつ個別ニーズに応じた関係構築を重視しています。

【理由】
市場調査やAI分析などは一度で終わるものではなく、継続的に改善や追加データ収集が必要となるケースが多いためです。

そのため、調査プロジェクトごとのサポートだけでなく、データ活用や分析結果の応用方法に関するアドバイスも行い、クライアントのビジネス課題に寄り添う姿勢を打ち出しています。

こうしたアフターサポートやコンサルティング的な関わりが信頼関係を高め、リピート率の向上にも寄与しています。

顧客セグメント

主な顧客セグメントは国内外の事業会社や調査会社です。

【理由】
インターネットリサーチサービスやセルフ型アンケートなどを幅広い企業が必要としており、とりわけ製造業や小売業、サービス業など多岐にわたる業種で利用が進んでいるからです。

また、自前で調査パネルを保有していない調査会社に対してもサンプルサプライを提供することで、BtoB向けの顧客基盤を拡大してきました。

海外子会社や現地調査パートナーとの連携により、外資系企業や海外に拠点を持つ日本企業からの需要にも対応しやすくなっています。

収益の流れ

GMOリサーチの収益は、主にリサーチ案件の受注、セルフ型アンケートツールの利用料、サンプルサプライの提供などから生まれます。

【理由】
調査に付随する付加価値を細かく区分し、複数の収益源を確保することで安定した売上構造を目指しているためです。

個別の大型案件が減少すると影響は受けやすいものの、セルフ型ツールなどのストック型収益を強化することで、変動リスクを緩和する狙いがあります。

また、AI関連の新サービス開発が進むことで、従来のリサーチ案件だけでなく高度な分析サービスによる収益拡大も期待されています。

コスト構造

コスト構造は大きくパネル維持費、技術開発費、人件費によって成り立っています。

【理由】
継続的に回答者を確保し、高品質のデータを得るためにはパネルネットワークへの投資が不可欠だからです。

また、競争が激化する中でAIや新ツールの開発を怠るとサービスの陳腐化を招きかねないため、技術投資が不可欠となっています。

さらに、高度なデータ分析や調査設計を担う専門人材を確保し続けるために人件費も高いウェイトを占めますが、この投資が同社の競争力の源泉になっているといえます。

自己強化ループ

GMOリサーチのビジネスでは、AI技術や豊富なパネルネットワークがサービス品質を高め、その結果として顧客満足度が向上する好循環が期待されています。

例えば、AIを活用してアンケートデータや画像データを効率的に集積・分析することで、リサーチのスピードや精度が飛躍的に向上します。

そうした成果物を受け取った顧客企業からはさらに複雑な調査ニーズや高度な分析依頼が持ち込まれ、追加の売上機会につながっていきます。

こうした反復的な改善プロセスが、さらに多くのデータを集める力となり、AIモデルの精度を高めるためのフィードバックループを構築します。

その結果、新しいサービスや調査手法の開発が促進され、同社自体の成長エンジンとして持続的に機能していくのです。

このようにAI技術の活用とパネルネットワーク拡大が互いに強化し合うシステムは、競争優位を維持するうえで欠かせないポイントといえます。

採用情報

公開されている情報によると、初任給や平均休日、採用倍率などの詳しい数値は公表されていません。

募集要項や求人サイトなどで随時確認することが必要ですが、専門性の高い業務が多いため、エンジニアやデータサイエンティスト、マーケティングなど多職種での採用が期待できそうです。

AI開発や海外調査など多岐にわたる業務があるため、グローバルに活躍したい方や新たな技術を取り入れたい方にとってはやりがいのある環境といえます。

株式情報

GMOリサーチの銘柄コードは3695で、東証グロースに上場しています。

2024年12月期の年間配当予想は114.84円と発表されていますが、1株当たりの株価は公開されていません。

株価は市場動向や会社のIR資料、成長戦略などに左右されるため、投資判断の際は最新の情報を確認することが大切です。

配当方針も企業業績や経営状況によって変動の可能性があるので、定期的なチェックが求められます。

未来展望と注目ポイント

今後の注目ポイントとして、まずAI領域へのさらなる投資とサービス拡充が挙げられます。

既存のリサーチビジネスは競合が増加する一方で、AI技術を含む高度な分析や自動化ニーズはますます高まっています。

このトレンドに合わせて、同社がどれだけ新サービスを迅速に立ち上げ、付加価値を訴求できるかが成長のカギとなるでしょう。

また、海外事業の伸びしろも大きいと考えられます。

アジア・オセアニア16の国と地域へ調査サービスを展開しているため、グローバル企業のニーズを取り込みながら地域特有の調査にも対応しやすい体制をさらに整備することで、新規案件の獲得チャンスが増える可能性があります。

さらに、ネットリサーチの枠を超えたBtoB向けのデータソリューション提供や、他社と連携したプラットフォーム構築など、関連分野へ広がりを持たせることも期待されます。

大型案件の減少リスクを乗り越えるためには、包括的な成長戦略を継続的に打ち出し、ビジネスモデルの強化を図っていく必要があります。

こうした取り組みが実を結べば、GMOリサーチはさらなる企業価値向上へ向かう可能性が十分にあるといえます。

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