企業概要と最近の業績
株式会社メディカル一光グループ
2025年2月期の連結業績は、売上高が483億93百万円となり、前期と比較して21.3%の増収となりました。
営業利益は24億55百万円で前期比42.7%増、経常利益は25億44百万円で前期比42.8%増と、いずれも大幅な増益を達成しています。
親会社株主に帰属する当期純利益も10億39百万円となり、前期から36.9%増加しました。
事業セグメント別に見ると、主力の調剤薬局事業では、新規出店やM&Aによる店舗数の増加、後発医薬品の数量シェア目標達成に伴う調剤基本料の評価向上、さらに処方箋単価の上昇が寄与し、増収増益となっています。
医薬品卸事業においては、株式会社四国薬業の完全子会社化が大きく貢献し、売上高・利益ともに大幅に増加しました。
ヘルスケア事業では、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う需要の落ち着きが見られたものの、有料老人ホーム等の既存施設の入居率が堅調に推移したことや、施設の新規開設により増収を確保しました。
一方で、ヘルスケア事業の利益面では、人件費や水道光熱費の増加が影響しています。
ビジネスモデルの9つの要素
価値提案
メディカル一光グループの価値提案は、調剤薬局・介護サービス・医薬品卸といった多角的な事業を通じて、地域医療と福祉を包括的にサポートすることにあります。
調剤薬局事業では、患者の健康状態を支える薬学的な専門知識と地域のクリニックとの連携が強みとなっています。
ヘルスケア事業では、高齢者が安心して暮らせる施設や在宅サービスを提供しており、医薬品卸事業では安定したサプライチェーンの構築に注力しています。
【理由】
なぜそうした価値提案になったのかというと、高齢化社会の進展や医療ニーズの多様化が進む中で、単一のサービスに依存するのではなく、医療と福祉の両面で包括的に価値を届ける必要性が高まっているからです。
結果として、調剤薬局・ヘルスケア・卸の三位一体のサービスを整備し、地域住民が切れ目なく必要な医療・介護を受けられる体制を築いています。
主要活動
主要活動は、大きく分けて調剤薬局の運営、介護施設の運営、そして医薬品の卸売です。
調剤薬局の運営では、処方箋応需や在宅訪問を通じた医薬品提供のほか、地域の薬剤師会や医療機関との連携を重要視しています。
ヘルスケア事業では、入居型施設やデイサービスなど多様な介護サービスを展開し、医療依存度が高い利用者にも対応できる環境を整えています。
医薬品卸事業では、事業統合を通じたコストの適正化と販売網の拡充を図ることで、安定した医薬品供給を実現しています。
【理由】
なぜそういった活動が行われるようになったのかというと、高齢化や医療費抑制政策などの外部環境の変化に対応するためには、単なる薬局経営だけでなく、卸事業や介護施設運営など多面的な活動を総合的に行う必要があったからです。
リソース
全国に展開する調剤薬局の店舗網、介護施設や在宅サービスの拠点、そして医薬品卸としての供給ネットワークが代表的なリソースです。
さらに、薬剤師や看護師、介護スタッフなど専門性の高い人材を多数抱えていることも大きな強みとなっています。
【理由】
なぜそうしたリソースが整備されたのかというと、地域医療や介護のニーズは地域ごとに異なり、その対応には現場レベルでの柔軟性と専門性が不可欠だからです。
各地域に根差した店舗・施設を整備し、そこに高度な専門知識を備えた人材を配置することで、利用者の多様なニーズに応えられる体制を構築しています。
また、M&Aによって新たに加わった拠点や人材が互いにシナジーを生み出し、総合的なケアの提供を可能にしています。
パートナー
医療機関、介護施設、製薬会社、卸売業者など、多岐にわたるパートナーとの連携を築いています。
調剤薬局事業では処方箋のもととなる医療機関との情報共有が欠かせず、介護施設や在宅介護サービスでは地域の自治体や福祉関連団体との協力が必要です。
【理由】
なぜそういった多様なパートナーシップが重要視されるのかというと、医療と介護を一体化したサービスは、一社単独では完結しにくいからです。
連携先とのネットワークを強固にすることで、スムーズな情報伝達や新たなサービス開発が可能になり、利用者が安心して医療・介護サービスを受けられる環境を整えられます。
チャンネル
調剤薬局や介護施設などの対面サービスだけでなく、在宅支援やオンラインでの情報発信なども重要なチャンネルとなっています。
地域に根差した店舗で直接利用者と接することで信頼関係を築き、さらにオンライン上では医薬品や健康情報の提供を拡充しています。
【理由】
なぜそういったチャンネルが多様化しているのかというと、利用者の医療や介護に関する情報収集手段が広がり、在宅での生活を選択する高齢者も増えているからです。
複数のチャンネルを使い分けることで、幅広い層にアプローチできる体制を整えています。
顧客との関係
メディカル一光グループは、薬局や介護施設での対面対応を通じて利用者の信頼を得るほか、地域密着型の活動を行うことでリピーターや紹介を増やしています。
さらに、定期的なフォローアップや在宅訪問などの取り組みにより、医療・介護の両面できめ細かなサポートを実現しています。
【理由】
なぜそういった顧客との関係を重視しているのかというと、医療や介護は安心・安全が不可欠であり、利用者の継続的な信頼が事業基盤の安定化につながるからです。
顔の見えるコミュニケーションを大切にすることで、地域からの支持を得ているといえます。
顧客セグメント
顧客セグメントは、調剤薬局を利用する一般患者、高齢者向け介護サービスの利用者、そして医薬品卸としては医療機関や他の調剤薬局など多岐にわたります。
高齢化の進展に伴い、要介護度が高い方へのサービス強化や、医療機関との取引拡大が求められています。
【理由】
なぜそういった多様な顧客セグメントを対象にしているのかというと、高齢者人口の増加とともに医療や介護サービスに対する需要が拡大し、同時に医薬品の流通を支える卸の役割もより重要になっているからです。
幅広い顧客層をカバーすることで、リスク分散と同時に安定した成長を実現します。
収益の流れ
主な収益は調剤薬局の調剤報酬、介護サービスの利用料、医薬品卸の販売収益から成り立っています。
調剤薬局では保険診療による調剤報酬が柱となり、介護サービスでは入居費や施設運営による利用料が中心です。
医薬品卸では多様な医療機関や薬局に薬剤を供給することで、取引量に応じた収益を得ています。
【理由】
なぜそういった収益構造かというと、医療保険制度のもとで安定的に収入を得られる調剤事業を軸としつつ、高齢化の加速で需要が拡大する介護サービスと、医療機関に欠かせない医薬品卸を組み合わせることで、経営基盤を強固にする狙いがあるからです。
コスト構造
コストとしては人件費や医薬品仕入れコスト、介護施設や薬局の運営費が大きな割合を占めています。
調剤薬局や介護施設を運営するには多数の専門職スタッフが必要となり、人件費の上昇が収益を圧迫する要因になることがあります。
また、医薬品卸事業では仕入れコストのほか、温度管理など厳格な物流体制を維持するための経費もかかります。
【理由】
なぜそういったコスト構造がこのようになっているのかというと、医療と介護の質を維持するうえで専門人材の確保と施設運営が不可欠であり、さらに薬価改定や流通コストの変動にも対応しなければならないからです。
自己強化ループについて
メディカル一光グループの自己強化ループは、調剤薬局・ヘルスケア・医薬品卸のそれぞれが事業拡大によってもたらすシナジー効果を絶えず再投資し、さらなる成長に結びつける点にあります。
調剤薬局のM&Aによって店舗数や地域カバー率が増えれば、同時に医薬品卸事業の取引先が拡大し、流通コストの削減や仕入れ条件の向上が期待できます。
また、ヘルスケア事業で入居者数が増えれば、医療や介護のニーズに合わせた薬局連携が強化され、地域密着型の評価がさらに高まります。
これらの好循環を推し進めることで、売上・利益の両面で拡大を続ける仕組みを作り上げています。
こうした自己強化ループを維持するには、常に新たな成長戦略を模索するとともに、既存事業間の連携や新規参入のチャンスを見極める経営判断が求められます。
採用情報
採用では、新卒採用において薬剤師や介護職などの専門職を積極的に募集しています。
初任給は職種によって異なりますが、薬剤師は資格の専門性が評価される傾向があります。
平均休日は年間を通じてしっかり確保されており、ワークライフバランスに配慮した勤務体制を目指しています。
採用倍率は業界のニーズが高まる中で比較的高水準にあるものの、専門知識や人柄を重視する選考プロセスを通じて、地域医療・福祉に貢献したいという志を持つ人材を幅広く採用しています。
株式情報
銘柄は株式会社メディカル一光グループで、証券コードは3353です。
東証スタンダード市場に上場しており、2024年2月期の配当金は1株当たり45円が予定されています。
株価は市場の状況や企業の業績によって変動するため、常に最新の情報を確認する必要があります。
医療や介護分野へのニーズ拡大を背景に、投資家からは医療関連銘柄としての成長性にも注目が集まっています。
未来展望と注目ポイント
今後は、高齢化社会のさらなる進展により、調剤薬局とヘルスケア事業の需要が拡大することが見込まれます。
特に、在宅医療や介護ニーズが増加する中で、調剤薬局の訪問服薬指導や在宅介護サービスとの連動がますます重要になります。
また、医薬品卸事業では、事業統合に伴う効率化やコスト削減の効果が継続して利益貢献につながると期待されます。
さらに、M&Aや新規出店など成長戦略を加速させることで、地域密着型の医療と介護をワンストップで提供する企業としての存在感を高める可能性があります。
医療・介護分野の規制や薬価改定などのリスク要因もある一方で、ニーズの増加は大きなビジネスチャンスでもあるため、今後の経営判断やグループ内連携の強化が大きなポイントとなるでしょう。
こうした取り組みを通じて、メディカル一光グループが地域社会に貢献しながら持続的な成長を実現していく点に注目が集まっています。
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