大塚商会のビジネスモデルを徹底解説 成長戦略に迫る魅力とは

情報・通信業

企業概要と最近の業績

株式会社大塚商会

複合機やサーバー、パソコンといったIT機器の販売と、それらを組み合わせたシステムの構築を手掛けるシステムインテグレーション事業を主力としています。

中小企業を主な顧客基盤とし、多様なメーカーの製品を扱う独立系のマルチITベンダーであることが特徴です。

また、導入後の保守やサポートを提供する「たよれーる」や、オフィス用品の通信販売「たのめーる」といったサービス&サポート事業も展開しています。

2025年12月期第1四半期の決算短信によりますと、売上高は3,155億41百万円となり、前年の同じ時期と比較して18.3%増加しました。

営業利益は211億75百万円で、前年同期比で22.8%の増益となっています。

経常利益は218億52百万円(前年同期比23.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は144億91百万円(前年同期比24.1%増)と、第1四半期として過去最高の業績を達成しました。

この好調な業績は、主にパソコンが更新需要を捉えて高い伸びを示したことによるものです。

【参考文献】https://www.otsuka-shokai.co.jp/

価値提案

株式会社ICは、お客様が抱えるIT課題を幅広いソリューションで解決することを大切にしています。

具体的には、独立系の強みをいかした柔軟な技術選定や、ソフトウェア開発からインフラ構築、運用支援までを一括でサポートする体制が挙げられます。

また自社開発のパッケージソフトを提供することで、導入から運用までスムーズに行える点も独自の価値につながっています。

【理由】
単なる受託開発だけでは価格競争や労働集約型の制約が大きい一方で、自社パッケージや包括的な支援を行うことで、顧客満足と収益性の両立が図れると判断したからです。

お客様の企業規模や業種に合わせた最適解を提案することで、継続的な信頼関係を築きやすいのも理由となっています。

主要活動

同社の主要活動には、顧客向けのシステム開発やインフラ設計、運用サポートが含まれています。

このように開発から運用までをワンストップで担うのは、長期的な安定収益を確保すると同時に、顧客との関係を深めるうえで有効だからです。

また自社パッケージソフトの開発と販売にも注力し、チケット管理などの業務を効率化する製品をリリースしています。

【理由】
受託開発はプロジェクトごとの収益変動が大きいのに対し、自社製品が普及するとライセンス収入や保守費用によるストックビジネスが可能になるためです。

こうした多面的な活動を並行して行うことで、ビジネスモデルの安定化と継続成長を実現しようとしています。

リソース

株式会社ICが持つリソースの中心は、高度な技術を備えた人材です。

独立系SIerとして、様々なメーカーやプラットフォームに精通するエンジニアを育成し、対応力を高めています。

また100社を超えるパートナー企業との関係性も重要なリソースといえます。

【理由】
IT業界は技術の進歩が速く、特定ベンダーだけでは解決できない課題が多数あるため、社内人材と外部パートナーの協力体制が不可欠だからです。

さらに独立系であるメリットを最大限に生かし、複数ベンダーの製品を最適に組み合わせる力は、他社との差別化を図るうえで大きな強みとなっています。

パートナー

同社は100社以上の企業とパートナーシップを結んでおり、大手ITベンダーやクラウドサービス事業者も含まれます。

これにより大規模案件や専門性の高い分野にも迅速に対応できます。

【理由】
自社だけで完結できるサービスには限界があるからです。

多様な顧客ニーズに応えるには、セキュリティやクラウド、AIなど各領域に強い企業との連携が欠かせません。

また、パートナー企業の営業網を活用することで新規顧客獲得のチャンスも広がり、双方にとってメリットが大きいことから、協力関係を継続的に強化してきました。

チャンネル

同社は直接営業による顧客開拓と、パートナー企業を経由した間接的な案件獲得の両面を活用しています。

【理由】
既存顧客との取引を深めるには自社営業が重要である一方、新規領域への参入や規模拡大を目指すにはパートナー企業のネットワークが有効だからです。

これによって幅広い業種・業態の企業へアプローチできるため、新しい分野の案件にも対応しやすくなっています。

また直接営業を通じて顧客のニーズを深く理解し、その情報をパートナー企業にも共有して連携を強化している点も大きな特徴です。

顧客との関係

株式会社ICは、長期的な取引を重視する姿勢をとっています。

具体的には、契約が終わった後も運用やメンテナンス、追加開発などで継続的にサポートすることで、高いリピート率を実現しているのです。

【理由】
一度構築したシステムは長く使われることが多く、追加の機能改善や運用支援が必要になる場合が多いためです。

また顧客とのコミュニケーションを密に行い、新たな課題をいち早く把握することで次の提案につなげやすいというメリットもあります。

これにより、信頼関係が育まれると同時に、安定した受注が見込める循環を確立しています。

顧客セグメント

主に情報・通信・メディア業界の企業からの受注が多いですが、金融や製造、小売など業種を問わず支援を行っています。

【理由】
近年はあらゆる業界でIT化が進んでおり、特定の業種に特化するよりも幅広く展開したほうがリスクヘッジにもなり、成長のチャンスを得やすいからです。

また、独立系として業種を絞らないことで、様々なソリューション経験を蓄積し、他業界に応用できる強みを蓄えている点も背景にあります。

多彩な業界との取引実績が信頼につながり、新規顧客の獲得にも好影響をもたらします。

収益の流れ

同社の収益は主にITソリューション事業からの受託収益と、自社製品の販売収益によって成り立っています。

具体的には、システム開発のプロジェクトごとの請求や、インフラ構築・運用支援のサービス料金、自社パッケージソフトのライセンス料と保守サポート費用などが収益源です。

【理由】
受託開発だけでは需要の変動に左右されやすいため、安定収益源としてパッケージ販売や保守契約を組み合わせることが重要だと判断したからです。

これにより、業績全体の安定を図りながら、新たな技術やサービスへの投資余力を生み出すことが可能になっています。

コスト構造

同社のコストは人件費が大きな割合を占めています。

エンジニアを多数抱えるため、給与や教育コストが経営上の重要なポイントです。

【理由】
ITソリューションビジネスは高度な専門知識を持つ人材が不可欠であり、優秀なエンジニアを確保するには相応の投資が必要だからです。

そのほかにもシステム開発や自社製品開発における研究開発費、パートナー企業への支払いなどがコスト構造に含まれます。

ただし、自社製品の販売が拡大するとライセンス収入などの効率的な収益が増えるため、同時にコスト構造の最適化につながる可能性も高まると考えられています。

自己強化ループの仕組み

株式会社ICが生み出す自己強化ループとは、高い顧客満足度を維持しながら新たな契約を獲得し、そこから得た利益を再投資することでさらに技術力を高め、次の顧客により良いサービスを提供するというサイクルを指します。

具体的には、長期的な取引関係を結んだ顧客から追加開発や運用の要望が出てきた場合、同社のエンジニアやコンサルタントが素早く対応することで信頼性を高め、それが口コミや評判を通じて別の顧客獲得につながるのです。

こうした流れが続くと、安定した収益が得られるだけでなく、自社のパッケージ開発に充てるリソースや研究開発への投資も増やすことができ、企業全体の競争力をさらに強化できます。

これは受託開発中心のビジネスにありがちな売上の変動リスクを緩和し、パートナー企業との協業を促進する好循環を生む重要な仕組みとして機能します。

採用情報

同社の初任給や平均休日、採用倍率などの詳細は公表されていませんが、IT業界では人材獲得競争が激しさを増していることから、一定水準以上の待遇改善や教育制度が整備されていると考えられます。

新卒だけでなく中途採用も積極的に行っており、専門性の高いエンジニアやプロジェクトマネージャーなどを幅広く募集している点が特徴です。

未経験者向けの研修を用意するなど、多様なバックグラウンドの人材を受け入れる姿勢を見せている可能性が高く、今後も採用の拡充が期待されています。

株式情報

株式会社ICの銘柄コードは4769で、2025年2月7日時点の株価は1株あたり966円となっています。

配当金については、2024年9月期の年間配当が35円、2025年9月期には34円を予定しています。

これは1円の減配予想ですが、事業投資や研究開発に充てる資金確保のためとも考えられるため、長期的な経営戦略の一環として理解される面もあります。

IT業界は投資サイクルが速いため、成長余地が大きいプロジェクトへ資金を振り向ける判断は株主の期待にも応える施策になる可能性があります。

未来展望と注目ポイント

今後の成長に向けて、株式会社ICはITソリューションだけではなく、自社パッケージソフトのさらなる拡販を目指す方針と考えられます。

自社製品を導入することで、顧客企業はシステムの仕様把握から運用保守までを一元化でき、同社にとってはライセンス収入やストック型の保守費用が積み上がるメリットがあるからです。

また、DX需要が高まるなか、クラウドやAIなど新しい技術への積極投資も期待されます。

こうした領域への対応力を強めるために、人材確保とパートナーシップの拡大が重要になりそうです。

加えて、受託開発と自社製品のバランスをどう保つかは、業績の安定化や利益率の向上に直結します。

労働集約型の客先常駐中心から少しずつ脱却し、高付加価値のサービスを提供できる体制を整えることが、今後の成長を左右するポイントとなるでしょう。

IT投資が活発な企業には同社が提供する総合ソリューションが高く評価される可能性があり、同社のビジネスモデルがどのように進化するかが注目されます。

さらにIR資料でも言及されているように、新規顧客の開拓や既存顧客とのリピート契約を安定的に確保することで、長期的な企業価値向上につなげる見通しです。

今後の動向を継続的にウォッチしていくことをおすすめします。

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