企業概要と最近の業績
株式会社ディーエムエス
ダイレクトメールの企画・印刷・発送代行を主力とするダイレクトマーケティング支援企業です。
また、キャンペーン事務局の運営代行や、商品の保管・梱包・発送を行うロジスティクスサービスも展開しています。
Webサイトの制作やデジタル広告の運用など、デジタル領域のマーケティング支援も手掛けています。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が65億8,300万円(前年同期比3.5%増)と増収でした。
しかし、営業利益は1億5,200万円(同15.8%減)、経常利益は1億6,500万円(同16.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は9,800万円(同20.5%減)と減益になりました。
主力のダイレクトメール事業において、金融機関や通販業界からの受注が堅調に推移し売上は増加しました。
一方で、用紙価格や配送費などのコスト上昇分を価格転嫁で十分に吸収できなかったことや、デジタル分野への戦略的な投資費用が先行したことが、利益を圧迫する要因となりました。
価値提案
株式会社ディーエムエスが提供する価値は、デジタルとリアルを組み合わせたダイレクトマーケティングの実現にあります。
単にDMを発送するだけではなく、顧客データを分析してターゲットを絞り、個々のニーズに応じた最適な情報やサービスを届ける点が強みです。
これにより、企業は広告効果を高め、コストを抑えながら顧客とのつながりを深めることができます。
オンライン施策だけでは接点が持ちにくい層にも訴求できるため、売上増やブランド認知度アップを狙う企業にとっても大きなメリットがあります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、消費者の情報収集手段が多様化したことで、従来のマスマーケティングでは限界が見え始めたからです。
そこで、個別の興味や行動履歴を反映したDMが効果を発揮し、企業に確かな成果をもたらす仕組みへと進化していきました。
主要活動
主要活動としては、DMの企画・制作に加え、物流サービスやセールスプロモーション施策の実行、新規事業の開発が挙げられます。
DM事業においては、コピーライティングやデザイン、データベース管理などの専門スキルが必要となり、綿密なマーケティング戦略に基づいて実施されます。
物流においては、EC事業者向けの倉庫管理や配送の最適化が重要です。
また、BPO案件の拡大に対応するための業務プロセス設計や、自治体向けの委託業務にも力を入れています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、企業が抱えるマーケティング課題は多岐にわたり、単一のサービスだけでは十分な解決が難しくなったからです。
ディーエムエスは複数のサービスを横断的に提供することで、クライアントにワンストップのソリューションを提示し、長期的な関係性を築きやすくしています。
リソース
デジタル技術に精通した人材や、長年にわたるDM制作で培われたノウハウ、さらには全国規模の物流インフラがリソースとして挙げられます。
特に、大量のデータを扱うDM事業ではシステム構築とデータ解析が欠かせないため、IT部門への投資も怠りません。
物流領域では、倉庫や配送ネットワークの拡充により、迅速かつ正確な発送を可能にする体制が整備されています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ダイレクトマーケティングを総合的に支援するには、個々の専門領域に加えて全体を統合するためのリソースが必要だったからです。
IT技術、人材、インフラなどに戦略的な投資を行うことで、顧客企業の多様なニーズに応えられる体制が築かれました。
パートナー
物流パートナーやECサイト運営企業、デジタルマーケティング企業などと連携し、幅広いソリューションを共同で提供するのが大きな特徴です。
たとえば、大手ECプラットフォームとの連携を通じて、受注から発送、決済までの流れを効率化することも可能となります。
また、BPO関連企業との提携で、自治体の事務処理や企業のバックオフィス業務をアウトソーシング化し、クライアントのコスト削減やサービス品質向上にも貢献しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、マーケティング領域は非常に専門性が高く、かつ多くの工程が関わるため、すべてを自社単独で補うことは難しいからです。
強みをもつ企業と協力することで、サービスを拡張しながらも効率よく提供できるようになりました。
チャンネル
主なチャンネルには、DMの郵送による直接アプローチ、物流ネットワークを活用した製品発送、さらにオンラインプラットフォームやデジタル広告を通じた接点があります。
顧客企業がターゲット層にリーチする際に、オフラインとオンラインを組み合わせることで、より高い訴求力が期待できます。
EC利用者には宅配物を通じて情報を届けたり、DM受け取り後にウェブサイトへ誘導したりするなど、複数の導線を設計するのが得意分野です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、現代の消費者はスマホやPC、紙媒体など複数の情報ソースを使い分けるため、単一チャネルだけではカバーしきれない面が増えたからです。
そこで、ディーエムエスは統合的なマーケティングチャネルを確立し、クライアントの多様なニーズに応えられるようになりました。
顧客との関係
BPOを含む長期的なコンサルティング関係が築かれやすいことが大きな特徴です。
DM施策や物流サービスを単発で提供するだけでなく、顧客企業のマーケティング戦略そのものに深く関与し、継続的な改善提案を行います。
これによってクライアントは安定したサポートを受けられ、ディーエムエス側もリピート案件や追加受注のチャンスを得ることができます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、マーケティング成果を高めるには、長期的な視点で顧客データや市場動向を分析し続ける必要があるからです。
単発の発注にとどまらず、伴走型で支援を行うことで、企業の継続的な成長をサポートし、信頼関係が強化されていきました。
顧客セグメント
企業、自治体、EC事業者など幅広いセグメントをターゲットとしています。
企業向けには新商品プロモーションのDM発送やキャンペーンの管理を行い、自治体向けには住民向けのお知らせや事務処理の代行などを提供しています。
また、EC事業者に対しては、注文から発送・顧客対応まで包括的に支援するサービスを展開しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、DMや物流、BPOといったサービスは多くの業界・業種の課題にマッチしやすいためです。
経営資源を自社で抱え込まずにアウトソースしたいというニーズが高まり、さまざまな顧客セグメントに対して柔軟に対応する体制が整備されました。
収益の流れ
収益は大きく分けて、DMサービスによる制作や発送手数料、物流サービスによる保管・配送手数料、SP(セールスプロモーション)施策による企画・運営報酬などから成り立ちます。
自治体向けのBPOなどの長期契約から安定収益が生まれるほか、新規事業や特別案件で追加収益を得るチャンスもあります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ディーエムエスがカバーするサービス範囲が広がるにつれ、単一のサービスフィーだけでなく複数の収益源を確保することができるようになったからです。
安定性と成長性を両立するビジネスモデルとして構築されてきました。
コスト構造
コスト面では、DMの印刷・発送にかかる費用や、物流拠点の維持費、人材の育成コストなどが大きなウェイトを占めます。
さらに、デジタル技術の導入やシステム開発にも投資が必要となり、一時的に利益率を圧迫するケースもあります。
一方で、物流拠点のスケールメリットやIT活用による効率化が進めば、コスト削減につながる可能性も高いです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、総合的なマーケティング支援を行うためには設備投資や専門人材の確保が不可欠であり、コスト構造がやや重くなりやすい背景があります。
しかし、その分だけ他社にはない包括的なサービス提供が可能となり、顧客から選ばれる要因にもつながっています。
自己強化ループ(フィードバックループ)
ディーエムエスでは、深い1対1のコミュニケーションを提供するDMや、EC時代に欠かせない物流サービス、自治体や企業の業務委託を担うBPO領域をそれぞれ強化することで、相乗効果を生み出そうとしています。
たとえば、DMによって顧客企業の販促効果が高まれば、その顧客企業から追加の受注や新たなキャンペーン案件を獲得できる可能性が広がります。
そして、その案件においても物流サービスやBPO機能を組み合わせることでより大きな付加価値を提供できるようになります。
こうした流れがさらに企業内でのノウハウ蓄積を促進し、新規クライアント獲得時の提案力強化へとつながっていきます。
結果として、DM事業だけではなく、物流やBPOといった周辺事業も一緒に成長していく好循環を生み出すのです。
この自己強化ループを回し続けることで、同社は単なるDM発送企業にとどまらない総合マーケティング支援企業としての地位を確立していこうとしています。
採用情報
現時点では、初任給や平均休日、採用倍率といった具体的な数値は公式な情報が見当たりません。
ただ、ダイレクトマーケティングや物流、BPOなど幅広い事業領域をカバーしているため、職種も多岐にわたると予想されます。
新卒採用や中途採用ともに、マーケティングやIT、データ分析に強い人材を必要とする傾向にあり、今後も専門スキルを持った人材の採用を積極的に進めることが考えられます。
株式情報
ディーエムエスは、証券コード9782として上場しており、2025年3月4日時点の株価は1,930円となっています。
配当金は年間1株あたり86円を予定しており、一定の配当利回りを重視する投資家からも注目を集めています。
ただ、直近の利益水準が前年同期比で減少していることを踏まえると、今後の業績回復が株価にも大きな影響を与える可能性があります。
未来展望と注目ポイント
今後はEC市場のさらなる拡大に伴い、物流機能の強化が大きな成長ドライバーとなることが予想されます。
企業や自治体における業務のアウトソーシング化が進むことから、BPO領域での高収益案件獲得も見込まれます。
また、デジタル技術を活かしたDMの高度化や、オンラインとオフラインを組み合わせた複合的な施策が一般化していく中で、ディーエムエスのノウハウは一層の価値を持つでしょう。
ポイントとしては、減益要因となっている事業をどのように立て直すか、あるいは撤退や再編を行ってより収益性の高いサービスに注力するかが注目されます。
もし適切にコスト構造の見直しや事業ポートフォリオの再構築を進められれば、DMにとどまらず新たな成長戦略を次々と打ち出す可能性があります。
今後のIR資料や経営方針発表を通じて、同社がどのような打開策をとるのか、投資家や取引先企業にとっては重要な関心事となるでしょう。
特にBPOや物流の拡充による安定収益を得つつ、高い付加価値を提供できるビジネスモデルを深化させる動きが見られれば、中長期的な成長に期待が集まります。
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