企業概要と最近の業績
株式会社テンダ
IT技術を駆使して多様なサービスを提供する企業です。
事業の柱は、自社開発のソフトウェア製品を提供する「ビジネスプロダクト事業」、顧客の課題解決のためのシステム開発や技術者支援を行う「ITソリューション事業」、オンラインゲームの開発・運営を手掛ける「ゲームコンテンツ事業」の3つです。
特に、マニュアルを自動で作成できるソフトウェア「Dojo(ドージョー)」は、企業の業務効率化ツールとして多くの企業に導入されています。
2025年7月12日に発表された2025年5月期の通期連結決算によりますと、売上高は50億3,000万円で、前の期に比べて14.5%増加しました。
営業利益は6億500万円で、前の期から19.8%の増加となりました。
経常利益は5億9,800万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4億200万円となり、増収増益を達成しています。
企業の旺盛なDX化需要を背景に、主力のITソリューション事業が堅調に推移したほか、ビジネスプロダクト事業においても「Dojo」のクラウド版への移行が順調に進み、安定収益に貢献しました。
【参考文献】https://www.tenda.co.jp/
価値提案
株式会社テンダの価値提案は、企業が業務を効率化するためのソフトウェアやITソリューションを提供しながら、エンターテインメント分野ではゲームを通じて楽しさや新しい体験を創出するところにあります。
具体的には、マニュアル自動作成ソフト「Dojo」シリーズによって多言語対応やAIを使った効率的なマニュアル作成を実現し、企業の人手不足や作業工数の課題を解消しています。
【理由】
なぜこのような価値が生まれたかというと、IT分野の高度化や多言語化のニーズが高まる中で、迅速かつ正確に情報を伝える仕組みが必要とされてきたからです。
また、ゲームコンテンツにおいては、自社IPを活用しつつエンターテインメント性を高めており、顧客に楽しみを提供する点が同社のもう一つの重要な価値になっています。
主要活動
同社の主要活動には、システム開発やコンサルティング、ソフトウェア製品の企画・開発・販売、そしてゲームコンテンツの企画・運営が含まれます。
ITソリューション分野では、企業が求めるシステム要件を分析し、開発から運用保守までトータルにサポートしています。
ビジネスプロダクトでは、自動生成技術やAIを組み込んだソフトウェアの開発に力を入れ、企業の生産性向上を支援しています。
【理由】
なぜこのような活動に注力するようになったかというと、DXの需要が高まる社会背景や、人材不足を補う効率化ソリューションへのニーズの拡大があるからです。
加えて、ゲームコンテンツではユーザー向けに継続的なアップデートやイベントを行い、長期的に楽しめる仕組みを提供することによってファンを獲得し続けています。
リソース
同社のリソースとして特に重要なのが、優れた技術をもつエンジニアやクリエイター、そして自社で培ってきた開発ノウハウです。
ITソリューション事業で多くの実績を築いてきた経験豊富な人材が、企業向けシステム開発やソフトウェア製品の企画を支えています。
ゲームコンテンツ事業でも、企画力やプログラミングスキルに優れた開発チームが魅力的なコンテンツを生み出します。
【理由】
なぜこうしたリソースが形成されたかというと、多様なプロジェクトを長年手がけてきた実績と、人材育成への継続的な投資によって専門性を高めてきたからです。
さらに、自社で保有するIPやノウハウを掛け合わせることで、独自性のあるサービスやゲームを作り出せる体制を整えています。
パートナー
株式会社テンダは、IPを保有する企業や技術的な提携先と協力しながら事業を進めています。
例えば、ゲーム事業では人気IPを扱うライセンス契約や、外部の開発会社との連携によって幅広いジャンルのコンテンツを提供可能にしています。
ITソリューション事業でも、クラウドサービス事業者や機械学習の専門企業などとの連携により、最新の技術を取り入れたソリューションを展開しています。
【理由】
なぜパートナーシップが重要かというと、自社リソースだけでは対応しきれない専門領域やビジネスチャンスを補完でき、競合が激しい市場でスピード感をもって価値あるサービスを提供し続けるためです。
チャンネル
同社は主に、自社の営業担当を通じて企業へ直接アプローチし、ソフトウェア製品の販売やシステム開発案件の受注を獲得しています。
また、ウェブサイトやオンラインプラットフォームを活用した情報発信にも力を入れており、ソフトウェアのライセンス販売などはオンライン経由でも行われています。
【理由】
なぜこれらのチャンネルを選んでいるかというと、BtoB向けのITソリューションは信頼関係を重視する面が大きく、直接のコミュニケーションが重要である一方、オンラインを通じた情報公開や問い合わせ体制も整備することで、多様な顧客のニーズに対応できるからです。
ゲームにおいてもアプリ配信プラットフォームや公式サイトを駆使し、多面的にユーザーとつながる仕組みを築いています。
顧客との関係
顧客との関係は、企業向けには導入前のコンサルティングから導入後のアフターサポートまで一貫して行う体制が整っています。
導入後に課題が発生してもすぐに対応できるため、長期的な信頼関係につながりやすいといえます。
【理由】
なぜこうした方針を取っているかというと、システム開発やソフトウェア導入は企業にとって重要な投資であり、品質が高くてもサポート体制が不足していると顧客満足度を損なう恐れがあるからです。
ゲーム利用者とも、イベントやアップデートなどでコミュニケーションを重ね、ユーザーの要望を吸い上げながら長期的なファンを育てています。
顧客セグメント
同社の顧客セグメントは大きく二つに分かれます。
まずBtoBでは、あらゆる業種の企業が対象となりますが、特にマニュアル作成ソフトや業務効率化ソリューションが必要な企業が中心です。
ITリテラシーの高い企業からそうでない企業まで幅広く対応できる点が強みとなっています。
一方のBtoCでは、ゲームユーザーが顧客セグメントに含まれます。
【理由】
なぜこのような二大セグメントを狙うかというと、企業向けには安定収益が期待でき、一般消費者向けのゲームではヒット作が出れば大きな成長を見込めるからです。
この組み合わせにより、リスクを分散しながら収益機会を拡大しています。
収益の流れ
収益の流れは、BtoBではシステム開発やコンサルティングの受託収益、ソフトウェアライセンス料、保守・サポート契約などが中心です。
一度導入したシステムやソフトウェアが長く使われれば、その分メンテナンスや更新などの継続的収益が生まれます。
BtoCのゲーム事業では、アイテム課金や月額課金などが主な収益源となります。
【理由】
なぜこの仕組みを採用しているかというと、ITソリューションでは成果物やサービス契約が確実な収入源となり、ゲームではエンターテインメントの継続提供によるリピート課金で利益を最大化しやすいからです。
この多角的な収益構造が経営の安定にも寄与しています。
コスト構造
コスト構造としては、人件費が大きな割合を占めます。
ITソリューションやゲーム開発には多くのエンジニアやクリエイターが必要となるため、優秀な人材の確保と育成にかかる費用は避けられません。
また、開発環境を整備するためのソフトウェアライセンスやクラウド利用料もコストの一部です。
【理由】
なぜ人件費や開発費が特に大きいかというと、IT業界は技術革新が早く、常に最新のスキルをもった専門家を確保しなければサービス品質を保てないからです。
広告宣伝費も、特にゲーム分野では新規ユーザーを獲得するために重要であり、コスト構造において無視できない要素となっています。
自己強化ループ
株式会社テンダには、事業を循環的に伸ばす自己強化ループがあります。
まず、ITソリューション事業の高品質なサービス提供によって顧客満足度が高まり、リピート受注や新規契約が生まれます。
これにより売上が増えれば、より多くの優秀なエンジニアを採用したり、新しい技術への投資が可能になります。
同時に、ビジネスプロダクト事業では「Dojo」シリーズなどのソフトウェアを強化して導入企業を増やし、活用例が増えることで評判が広まり、さらなる導入が期待できます。
そして、ゲームコンテンツ事業では、得られた利益を新作開発やIP取得に再投資し、ヒットが出れば大幅にユーザー基盤が拡大します。
こうした良い循環が各事業の強みをさらに高め、全体としての成長を押し上げる仕組みになっているのが特徴です。
相互に得られる収益やノウハウを次の開発に回すことで、新しいアイデアやサービスを実現し、結果的に競争力が向上し続けるのです。
採用情報
同社の初任給については具体的な公表がなく、平均休日や採用倍率も明確には示されていません。
平均年間給与は451万2千円(2021年3月末時点)で、平均勤続年数は5.4年、平均年齢は35.6歳となっています。
若手社員が活躍しやすい環境である一方、人材確保と育成が課題ともされており、エンジニアとしてキャリアアップを目指す方には魅力的なフィールドが広がっています。
株式情報
証券コードは4198で、2024年5月期の1株当たり配当金は45円となっています。
2024年5月末時点の株価は976円であり、配当利回りの面でも一定の魅力があると考えられます。
配当の継続や拡大が今後も期待されるかどうか、業績や成長戦略の方向性に注目が集まっています。
未来展望と注目ポイント
株式会社テンダは、DX需要がますます高まるIT業界で、SESや受託開発を主軸に安定収益を上げながら、マニュアル作成ソフトの「Dojo」シリーズや、ゲームコンテンツを通じて新たな付加価値を提供しています。
企業の業務効率化を支援する技術はまだまだ成長余地が大きく、国内外の市場で幅広く需要が生まれる可能性があります。
ゲームコンテンツ事業でも、既存IPの活用に加えて新たなタイトルの開発や海外展開が進めば、大きなヒットを狙うチャンスがあるでしょう。
IT業界は人材不足が続くといわれますが、高度なスキルをもった人材を採用・育成できれば、開発力を強みにさらにシェア拡大が期待できます。
投資家の視点からも、二桁成長を続ける業績や安定した配当に支えられた魅力があります。
今後は「Dojo」の機能強化や新作ゲームのリリース、さらに大企業や海外との連携によるIR情報がどう展開されるかも見逃せないポイントです。
同社が掲げる成長戦略が実現に向けてどのように進んでいくか、引き続き注目が集まっています。
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