株式会社しずおかフィナンシャルグループのビジネスモデル徹底解説

銀行業

【企業概要と最近の業績】
株式会社しずおかフィナンシャルグループは、静岡銀行を中心とした総合金融サービスを提供する企業グループです。銀行業務やリース業務、コンサルティングや証券取引などを幅広く手掛け、地域密着で培った信頼をベースに事業を展開しています。近年は地域だけでなく、異業種企業との連携も積極的に行い、新たなビジネスモデルを構築しながら成長戦略を進めている点が特徴です。2024年3月期の売上高は3,465億円となり、前年同期比で約20パーセント増と堅調に拡大しています。さらに経常利益は1,022億円、純利益は577.6億円と、大きな利益を確保しながら経営の安定性を高めていることがうかがえます。こうした成果は、法人営業関連や預り資産関連の収益拡大など、グループ内の連携と多角化がうまく機能していることを示しています。今後も地域金融を超えた総合サービス提供の取り組みが続くと予想されており、強固な営業基盤を活かしたさらなる成長に注目が集まっています。

【ビジネスモデルの9つの要素】

価値提案
しずおかフィナンシャルグループの価値提案は、地域の総合金融パートナーとして質の高いサービスを提供し、人々の暮らしや事業の成長を支えることにあります。金融機関として預金や融資だけを行うのではなく、経営相談や資産運用、さらにはリースや投資など幅広いメニューで顧客をサポートする点が大きな特長です。なぜこうした価値提案になったのかというと、少子高齢化や地域経済の変化に伴い、銀行単体での利益拡大が難しくなってきた背景があります。地域企業や個人の多様なニーズに応えるためには、銀行業務にとどまらない包括的な金融サービスが求められます。そこで同社はグループ全体の強みを活かして「ワンストップで経営と生活をサポートする」ビジョンを掲げ、地域のあらゆる資金ニーズや課題解決に対応できる体制を整えているのです。

主要活動
同社の主要活動としては、銀行業務を中核に置きながら、リース業務や経営コンサルティング、証券取引やキャピタル投資などを幅広く手掛けている点が挙げられます。こうした多角化路線を取っているのは、単に融資の金利収入に依存するのではなく、手数料収入や投資利益など多面的な収益を確保して、経営を安定させる狙いがあるからです。特に法人向けコンサルティングなどは、地域の中小企業に深く入り込むことができるため、顧客満足度を高めながら収益源を拡大できる利点があります。また証券業務やキャピタル投資をグループとして行うことで、大企業だけでなくスタートアップやベンチャー企業との関係性も構築し、地域経済に貢献しつつ新たなビジネスチャンスを確保しているのです。

リソース
しずおかフィナンシャルグループのリソースは、何と言っても静岡県を中心とする地域で培ってきた強固な営業基盤と、グループ各社の多彩な機能にあります。銀行だけでなくリースや証券、コンサルティング部門など多角的に展開しているため、あらゆる金融ニーズに対応できる人材やノウハウが蓄積されています。地域密着を重視することで、多くの顧客情報や市場動向を把握しやすくなることもリソースの一つです。こうした豊富な知見やネットワークがあるからこそ、地元企業の課題解決に向けた戦略を提案しやすくなり、結果的にグループ全体の収益力が底上げされます。少子高齢化やデジタル化の進展など厳しい環境変化はありますが、長年地域に根ざしてきた信頼関係と、人材教育の継続によって、高い専門性と適応力を保っているのが大きな強みです。

パートナー
同社はマネックスグループやマネーフォワード、ほけんの窓口、アルヒなどの異業種企業との連携を積極的に行っています。これはテクノロジーやオンラインサービスなど、多方面の専門性を取り入れることで、顧客にとって利便性の高いプラットフォームを構築しようとしているからです。なぜこうなったかというと、金融サービスだけでなく、保険や住宅ローン、資産管理といった多岐にわたるニーズに応える必要があり、一社単独ではカバーしきれない領域があるためです。そこでFinTechなど新しい分野を手掛ける企業と組むことで、サービスの幅を拡大して差別化を図り、地域の顧客が一度にさまざまな手続きを完結できる利便性を追求しているのです。

チャンネル
チャンネルとしては、従来の店舗網に加え、オンラインサービスや提携企業のネットワークを活用しています。店舗に足を運べる顧客には対面で細やかな相談を提供しつつ、忙しい人や遠方の顧客にはオンラインバンキングやデジタルツールを通じてサービスを届ける工夫をしているのです。なぜこうした二段構えのチャンネル戦略をとるのかというと、地域の高齢者から若年層まで幅広い年齢層に対応するためには、対面とデジタルの両面でサポートする必要があるからです。また提携企業のサイトやアプリケーションを経由して新規顧客を獲得することで、地域外にもビジネスを拡大できる点が大きなメリットとなっています。

顧客との関係
顧客との関係は、地域密着型のきめ細かいサービスとコンサルティングを通じた長期的な信頼構築を重視しています。銀行は身近なお金の相談役として欠かせない存在ですが、そこにリースや証券、投資といった幅広い金融サービスを加えることで、顧客が抱える課題をワンストップで解決できる体制を整えています。こうした対応が必要になったのは、地域の企業や個人が抱えるニーズが多様化しており、ライフステージに合わせた総合的なサポートが求められるようになったからです。いつでも頼れるパートナーとして信頼されることで、顧客が別の金融機関を探す手間を減らし、結果としてグループ全体のリピート率や紹介率向上につながっています。

顧客セグメント
顧客セグメントは、静岡県を中心とする個人や法人が主軸ですが、最近では県外の法人や個人富裕層、さらにはベンチャー企業やスタートアップなどにも手を広げています。地元密着からスタートしているため、まずは地元で強固なシェアを持つことが大前提です。しかし少子高齢化により地域市場が縮小傾向にあるため、収益機会を拡大するために、デジタルチャネルを活用した県外進出や、投資事業を通じた新分野へのアプローチも模索しています。こうした戦略が必要になった背景には、これからの時代は銀行間競争だけでなく、多種多様なフィンテック企業との競争も激化していることが挙げられます。そのため幅広い層を取り込みながら、顧客基盤を維持拡大しているのです。

収益の流れ
主な収益の流れは、銀行業務による利息収入や手数料収入が中核となりますが、グループの特徴としてリース料やコンサルティングフィー、証券取引手数料、投資収益など多角的な収入源を確保している点が挙げられます。なぜこうした形に進んだのかは、金利環境の変化によって利息収入のみでは安定的な収益を見込みにくくなった背景があります。そこで複数の収益柱を育てることでリスクを分散し、市場変動や地域経済の影響を受けにくい経営構造をつくっているのです。さらに投資銀行業務や証券ビジネスへの力を入れることで、企業の資金調達ニーズにも対応し、グループ全体で相乗効果を生み出しています。

コスト構造
コスト構造としては、店舗網の維持や人件費、システム投資などが中心となります。とくに銀行業務では、厳格なセキュリティや大規模なITインフラが必要になるため、システム維持費が大きな負担となりがちです。ただし、なぜこれで経営が成り立つのかというと、地域の信頼をベースに安定した預金と融資を確保できているほか、業務効率化のためのデジタル投資にも力を入れ始めているからです。店舗の統廃合やオンラインサービスの強化を進めることで、長期的には固定費の削減につなげようとしています。こうしたバランスの取り方が同社の持続的成長において重要なポイントとなっています。

【自己強化ループのポイント】
しずおかフィナンシャルグループの自己強化ループは、グループ会社間の情報共有と顧客紹介がスムーズに行われることで生まれています。たとえば銀行部門のお客様が新たな設備導入を検討する際にリース部門へ連携すれば、スピード感のある資金調達とリース契約が実現します。また投資や証券のニーズがあれば、グループ内の専門チームが相談に乗る仕組みが整っているのです。こうした横連携は顧客満足度を高めるだけでなく、新たな収益源を積み重ねるサイクルを生み出します。結果として経常利益や純利益の向上につながり、それをさらなるサービス開発やデジタル投資へ再投資することで、顧客体験の向上と収益拡大が再び強化されるという好循環を生んでいるのが強みです。地域社会の支援とビジネス成長が両立しやすい仕組みをつくることで、長期的な信頼関係とブランド力が高まっています。

【採用情報】
初任給や平均休日、採用倍率などの詳しいデータは公表されていません。ただし地域に根ざした金融グループということで、安定感や多様なキャリアパスを求める学生にとって魅力があると考えられます。銀行業務だけではなく、リースや証券など多角的な業務を経験できる環境が整っているため、幅広いスキルを習得できる可能性があります。

【株式情報】
しずおかフィナンシャルグループの銘柄コードは5831で、東証プライム市場に上場しています。2024年度は年間で1株当たり50円の配当が予定されており、配当利回りは約3.60パーセントと比較的高水準です。2025年2月20日時点での株価は1,540円となっています。地方銀行セクターの中では、安定した財務基盤と地域におけるブランド力を背景に、投資家からも一定の注目を集めています。

【未来展望と注目ポイント】
今後は地方銀行全体が直面する人口減少やデジタル化などの課題をどのように乗り越えるかが大きなテーマになりそうです。しずおかフィナンシャルグループは既に異業種企業と連携してオンラインサービスを強化するなど、新しい形の地域金融を模索しています。これは地域に住む人々や企業の多様なニーズに対応しながら、収益源を拡大していくために重要な戦略といえます。また環境意識の高まりに合わせたグリーン投資や、企業のESG支援なども注目を集める可能性があります。グループ内で連携を強化することにより、預り資産などの販売額が増え、再投資がさらに進む好循環を生み出せるかどうかがカギになるでしょう。こうした新たな成長戦略が実を結べば、単なる地方銀行にとどまらず、地域の課題解決に貢献できる総合金融グループとして存在感を高めると期待されています。今後の業績やIR資料の動向にも注目が集まっており、地域経済を支えながらどのように革新を続けていくかが見どころとなりそうです。

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