企業概要と最近の業績
株式会社アイスコ
当社は、アイスクリームや冷凍食品を専門に取り扱う卸売会社です。
神奈川県を地盤とし、関東・甲信越エリアで事業を展開しています。
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどに対し、専門商社として国内外のメーカーから仕入れた商品を供給しています。
また、一般家庭向けに、生協(コープ)の個人宅配事業も手掛けています。
食の「おいしさ」「楽しさ」「豊かさ」を提供し、地域社会の食生活を支えることを目指しています。
2025年8月8日に発表された2026年3月期第1四半期の決算によると、売上高は143億3,200万円で、前年の同じ時期に比べて6.2%増加しました。
営業利益は3億9,100万円で、前年同期比で64.3%の大幅な増加となりました。
経常利益は4億1,400万円(前年同期比61.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億6,900万円(前年同期比60.1%増)と、大幅な増収増益を達成しています。
猛暑の影響で主力のアイスクリームの販売が好調だったことに加え、冷凍食品の需要も堅調に推移したことが業績を牽引したと報告されています。
【参考文献】https://www.iceco.co.jp/
価値提案
株式会社アイスコの価値提案は、アイスクリームや冷凍食品を高品質かつ安定的に供給しながら、フルメンテナンスサービスを通じて販売先の売場づくりまで支援しているところにあります。
この仕組みによって、小売店は冷凍ケースの故障対応や商品陳列の効率化などを一括して依頼できるため、運営の手間やコストを抑えつつ魅力的な売場を維持しやすくなります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、消費者の多様な需要を満たすために冷凍関連商品が増加する一方で、小売店側のノウハウ不足やメンテナンス負荷が大きかった背景があります。
そこでアイスコは、自社配送網と専門スタッフによる総合サポートを価値提案とし、取引先の課題を解消することで競合他社との差別化に成功しています。
主要活動
アイスや冷凍食品の卸売では、メーカーから商品を安定的に仕入れるための交渉や調達ルートの整備が重要です。
そこに加えて、自社配送網を活用した効率的な物流や、小売店の売場で必要とされる冷凍ケースのメンテナンスなどの付加サービスを提供することが大きな活動となっています。
これらの工程を自前で担うことで、販売先へスピーディな納品や故障対応を実現しているのが強みです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、アイスや冷凍食品は温度管理が難しく、保管や輸送の品質保持が厳格に求められるからです。
業務を一括管理するには専門的なノウハウが不可欠であるため、同社は配送から売場ケアまでを総合的に行う活動を強化し、他社には真似しにくい仕組みを築いています。
リソース
リソースとして大きな役割を果たすのが、自社配送網とセールスドライバーです。
自社で配送を行うことで温度管理や商品品質を厳密にコントロールできるうえ、店舗の冷凍ケースに関するトラブル発生時にも迅速な対応が可能となっています。
さらに、サプライチェーン全体を管理するシステムを導入しており、在庫や受注状況をリアルタイムで把握できる点も大きな強みです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、冷凍商品の取り扱いは鮮度や安全面で高い水準が求められるため、外部の物流会社だけに頼らず、自社でコントロールできるリソースを整える必要があったからです。
こうしたリソースが同社の競争優位を支えています。
パートナー
同社のパートナーには、ドラッグストアやディスカウントストアなどの主要取引先をはじめ、アイスクリームや冷凍食品を製造するメーカー、さらには補助的に協力している物流業者も含まれます。
これらとの協力関係を深めることで、効率の良い仕入れ価格やキャンペーン企画の連携などが可能となり、最終的には顧客満足度の向上につながっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、フローズン事業は商品をただ卸すだけでなく、店舗の販売状況や季節の需要を踏まえた展開が求められるため、メーカー側との連携や流通網の最適化が欠かせません。
そのため、アイスコは多様なパートナーと協力しながら、製造から販売までをシームレスにつないでいます。
チャンネル
主なチャンネルには、自社配送を通じた小売店への直接納品と、同社が運営する食品スーパーマーケット店舗の店頭販売があります。
直接納品によって小売店側は新商品や季節商品をスピーディに導入しやすく、トラブル対応も速やかに行えるメリットを得ています。
一方、自社店舗では地域密着型の品揃えを強みに顧客の信頼を得ています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、冷凍食品は売場の温度管理から陳列の配置まで細かいノウハウが必要であり、単に商品を預けるだけでは小売店にとって負担が大きいからです。
そこで自社配送と店舗運営というチャンネルを活用し、売場づくりまでをトータルにカバーする流れが構築されました。
顧客との関係
顧客との関係で特に力を入れているのが、セールスドライバーによるフルメンテナンスサービスです。
配送の際には売場の陳列状況を確認し、商品の補充やケースの故障チェックまで行うため、小売店にとっては大きな助けとなっています。
さらに、地域密着のスーパーでは地元のニーズを汲み取りながら商品ラインナップを調整し、リピーターを獲得しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、同社は競合他社との差別化を図るために、単なる卸売だけでなく、顧客に寄り添うサービス提供を重視する戦略を選んできたからです。
その結果、長期的な信頼関係が築かれやすく、安定した取引基盤ができあがっています。
顧客セグメント
顧客セグメントとしては、ドラッグストアやディスカウントストア、食品スーパーマーケットなどの法人顧客が中心です。
これらの業態はアイスや冷凍食品の需要が高く、しかも定期的な補充が必要なため、同社の強みであるフルメンテナンスが活かされやすい市場となっています。
また、食品スーパーマーケット事業を通じて一般消費者にも直接販売しており、地域住民の食卓ニーズをカバーしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、多店舗展開する法人顧客は定期的な大量注文の見込みがあり、物流やサポートをセットで提供するアイスコのモデルと相性が良かったことが背景にあります。
これに加えて自社店舗の運営によって、各地域で独自の市場を開拓しています。
収益の流れ
収益は主に卸売収入とスーパーマーケットでの小売収入という二本柱で成り立っています。
卸売事業ではアイスや冷凍食品を小売店へ届ける際に、商品の仕入れ価格と販売価格の差が利益となります。
スーパーマーケット事業では消費者向けの小売で利益を獲得する仕組みです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、フローズン事業を中心に安定した売上が見込める一方、自社店舗を通じて消費者の動向やニーズを直接把握することで、仕入れや商品の拡充に反映しやすくなるというメリットがあります。
結果的に、市場トレンドをいち早く察知しながら卸売と小売の両面で利益を得る収益構造が出来上がっています。
コスト構造
コストとしては商品の調達費や物流コスト、人件費、店舗運営費などが挙げられます。
特にアイスや冷凍食品を扱うための温度管理や配送体制を維持するには設備費用やメンテナンス費がかさみやすいのが特徴です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、低温物流を円滑に行うには専門の車両や倉庫が必要になり、それを運営できる人材の確保と教育も不可欠だからです。
また、スーパーマーケットの運営ではテナント料や光熱費などの店舗運営コストも重なります。
こうしたコストをカバーできるだけの付加価値を提供するため、アイスコはフルメンテナンスを含む高付加価値サービスを展開しながら、スケールメリットを追求することでコスト管理にも注力しています。
自己強化ループ
アイスコの自己強化ループは、フローズン事業で築いた参入障壁の高さと顧客満足度の向上が相互に作用していることにあります。
具体的には、自社配送と売場メンテナンスを組み合わせたサービスが取引先にとって大きな利点となり、リピートオーダーや新規取引先の獲得へとつながります。
この売上増加によって企業としての安定感が高まり、さらなる設備投資や人員拡充を可能にします。
結果として、より幅広い店舗へ効率的に製品を届けられる配送網が発達し、参入障壁がますます大きくなる好循環が生まれています。
こうした正のフィードバック構造によって、同社は競合が追随しづらいサービス品質と安定した収益基盤を実現しており、成長が加速するのです。
採用情報と株式情報
同社はフローズン事業やスーパーマーケット事業を通じて幅広い職種を募集しています。
ただし初任給や平均休日、採用倍率などの詳細な数値は公表されていません。
興味のある方は最新の求人情報や公式の採用サイトをチェックしてみると良いでしょう。
株式情報としては、銘柄が7698であることに加え、2024年3月期の年間配当が1株当たり38円となっています。
さらに2025年2月20日時点の株価は1株あたり1814円で推移しており、安定した業績拡大が期待される銘柄として注目を集めています。
未来展望と注目ポイント
同社はフローズン事業を中心に収益を拡大してきましたが、今後はさらに物流コストの低減や人手不足への対応が鍵を握ると考えられます。
自社配送網の効率化が進めば、商品の価格競争力を高めながら売上を伸ばす好循環が生まれやすくなります。
また、ドラッグストア以外の新規顧客開拓や、スーパーマーケット事業の再建にも注力することで、多面的な収益源を確立する方針が注目されます。
アイスコが持つフルメンテナンスサービスやサプライチェーン管理のノウハウをさらに生かせば、地域密着型ビジネスと全国規模の卸売ネットワークの両方を強化できる可能性があります。
業績の拡大に伴う配当の増加や投資余力の拡大にも期待がかかり、今後の経営戦略やIR資料の発表が投資家や業界関係者から注目を集めるでしょう。
さらに冷凍食品市場の拡大傾向が続く中で、同社が独自のサービスをどのように進化させるかが、長期的な成長を左右すると考えられます。


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