企業概要と最近の業績
株式会社イーエムシステムズは、医療や介護の現場で使われるシステムを開発し、販売や保守サポートまで手がけている企業です。調剤薬局向けのシステムやクリニック向けの電子カルテなど、現場の働きやすさを高めるツールを幅広くそろえています。最近の業績としては、売上高が203億5,500万円と前の期より20.3パーセント増えており、事業がしっかりと伸びているのが特徴です。一方で、営業利益は23億3,000万円と前期比で2.7パーセント減少しており、開発費や販管費の増加によって利益率がやや圧迫されているようです。経常利益は28億6,900万円（前期比2.8パーセント増）で、当期純利益は19億6,200万円（前期比3.6パーセント増）となっています。調剤薬局向けの「MAPs for PHARMACY DX」やクリニック向けのクラウド型電子カルテ「MAPs for CLINIC」などが成長を支えており、関連会社との連結効果も業績拡大に貢献しています。
ビジネスモデルの9つの要素
価値提案
- 医療や介護の現場で必要とされる処方管理や患者情報の共有などを効率化することで、スタッフの負担を減らしつつ安全性を高める点が大きな価値です。
- 「MAPs」シリーズを通じて、操作が分かりやすく導入しやすいシステムを提供し、現場のデジタル化を支援しています。これは、高齢化社会の進行に伴い、患者数や処方量が増える中、現場がスムーズに業務を行えるようにするためです。
- なぜこのような価値を打ち出したかというと、医療や介護の現場では手作業や紙ベースの作業負担が大きく、業務効率化が強く求められているからです。結果として、システム導入によるメリットを明確に示すことが、イーエムシステムズの価値提案になりました。
主要活動
- システム開発においては、薬局やクリニックなど各現場の声を取り入れながら、操作性や安全性を高めるソフトウェアの改良を続けています。
- 販売・導入支援では、担当スタッフが現場に足を運んで説明や設定サポートを実施するほか、オンラインでのサポート体制も用意しています。
- こうした活動がなぜ必要になったかというと、医療や介護の現場はIT機器が苦手なスタッフもいるため、導入サポートが欠かせないからです。加えて、法制度変更への迅速な対応やシステムの定期アップデートなども、主要活動のひとつとなっています。
リソース
- 自社で開発チームを持ち、ソフトウェア面だけでなくハード面の技術もあるため、柔軟なカスタマイズが可能です。
- 営業やサポート部門も強化しており、現場からのフィードバックを素早く吸い上げ、次の開発につなげる体制が整っています。
- なぜこのようなリソースが必要になったのかというと、医療や介護の領域では法規制や現場のニーズがよく変化するため、スピード感ある対応が求められるからです。関連会社との連携を活かして専門領域のノウハウを取り込み、より幅広いサービスを展開できる点も強みになっています。
パートナー
- 調剤薬局やクリニック、介護施設など、直接システムを利用する機関との連携が不可欠です。彼らとの継続的なコミュニケーションによって実際のニーズをつかんでいます。
- 関連会社や医療機器メーカーなどとも協力し、新たなサービスや製品の開発につなげています。
- なぜこうしたパートナーシップが重要かというと、医療機関や福祉施設は複雑な業務フローや制度に縛られているため、多方面の専門知識を結集しないと最適なシステムをつくれないからです。
チャンネル
- 直販営業が中心であり、スタッフが直接薬局やクリニックへ訪問することで、システムの導入を提案しています。
- 展示会やオンラインセミナーなどのデジタルマーケティングを活用し、最新の機能や事例を積極的に紹介しています。
- なぜこのチャンネルが選ばれているかというと、医療・介護の現場では信頼関係が大切であり、対面での丁寧な説明やオンライン上でのわかりやすい情報提供が導入の決め手となるからです。
顧客との関係
- システム導入後はアフターサポートや定期的なアップデートを提供し、利用者が困らないように手厚く支えています。
- トラブル時の対応や新機能の相談にもスピーディーに応じ、現場からの要望を次のバージョンに反映するしくみを整えています。
- なぜそうしているかというと、医療・介護現場でシステムが止まると業務が滞り、患者さんや利用者さんに影響が出るため、信頼性の高いフォローが必要とされるからです。
顧客セグメント
- 調剤薬局、クリニック、介護施設など、医療や福祉のサービス提供者を中心に顧客を広げています。
- オンライン資格確認システムやクラウド型電子カルテの導入によって、さらにクリニックなどの中小規模にも利用が進み、販路が拡大しています。
- なぜこれらのセグメントを狙うかというと、患者数増加や在宅医療の拡大などで、デジタル化が求められる領域が拡大しているからです。
収益の流れ
- システムの販売収益が大きな柱であり、初期導入費やライセンス料から利益を得ています。
- 保守サービスやアップデートの提供による定期収益もあり、長期的な安定収益につながっています。
- なぜこのような形態になったかというと、単発の販売だけでなく、システム維持や機能追加が不可欠な医療・介護の現場では、継続的なサポート収益が成立しやすいからです。
コスト構造
- システム開発にかかる研究開発費やサポート人件費、営業費用などが主なコストです。
- また、広告宣伝費や新たな機能拡充のための投資もかかり、特に導入企業が増えるタイミングでは販管費が上昇する傾向があります。
- なぜコストが大きくなるかというと、医療や介護の分野は法改正や制度対応が必要なケースが多く、その都度システムをアップデートする必要があるからです。
自己強化ループ
株式会社イーエムシステムズでは、システムを導入してくれた医療機関や介護施設からのフィードバックを開発チームがすぐに取り入れ、機能の改良や新サービスの開発につなげる仕組みを作っています。たとえば、利用者から「電子カルテと調剤システムをもっと連携させたい」という要望があれば、次のバージョンで追加機能を実装するといった具合です。こうした改善によって、システムの使い勝手が向上し、評判が広がると新規の導入が増えるという好循環が生まれています。さらに、関連会社やパートナー企業とも情報交換を密に行うことで、新しい機能やオプションの開発が促され、現場での活用範囲が広がるという自己強化ループを作り出しています。これらの積み重ねが、医療や介護現場の信頼を得て、業績を伸ばす土台となっているのです。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率などの詳細については公表されていませんが、ITスキルや医療・介護の知識を活かせる職種が多いと考えられます。システム開発者や導入サポート担当、営業職などが必要とされるため、ソフトウェアに興味がある方や社会貢献度の高い仕事をしたい方にとっては魅力的な企業といえそうです。
株式情報
株式会社イーエムシステムズは証券コードが4820で、市場でも医療・介護分野のIT化ニーズを背景に注目される銘柄です。配当金に関しては公表情報がなく、株価は2025年2月3日時点で1株あたり790円となっています。業績推移や今後の成長性を見ながら、IR資料をチェックすることで投資判断の材料にできるでしょう。
未来展望と注目ポイント
これから高齢化社会がさらに進むにつれ、医療や介護の現場では効率化とデジタル化が一層求められるようになります。オンライン資格確認システムや在宅医療の拡大など、新しい取り組みも次々と始まるため、その波に乗る形でイーエムシステムズのシステム需要も伸びていくと考えられます。また、既存の「MAPs」シリーズだけでなく、関連会社との共同開発や他社とのアライアンスを通じて、新しいサービスや機能が増えれば、さらなる差別化が期待できます。さらに、海外展開やクラウド技術の強化といった成長戦略を打ち出すことで、より幅広い顧客層を取り込める可能性もあるでしょう。医療・介護分野の社会的意義が高いことを踏まえて、今後も継続的に事業を拡大し、収益性との両立をはかる姿勢が注目されます。これらの動きを追っていくことで、イーエムシステムズがどのように次のステージへ進むのか、その成長過程を見守るのが楽しみです。
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