企業概要と最近の業績
株式会社エンビプロ・ホールディングス
当社は、資源リサイクル事業を中心に、グローバルな資源循環を担う企業グループの持株会社です。
中核事業として、鉄・非鉄金属スクラップや廃プラスチック、廃タイヤなどを回収・加工し、国内外のメーカーに原料として供給しています。
また、使用済みリチウムイオン電池のリサイクルや、建物の解体工事、中古機械の海外販売など、多岐にわたる事業を展開しています。
グループ各社の専門性を活かし、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
2025年6月期第3四半期の連結累計期間において、売上高は506億9,500万円となり、前年の同じ時期に比べて1.3%の増収となりました。
しかし、営業利益は11億7,400万円(前年同期比60.0%減)、経常利益は12億2,300万円(前年同期比61.8%減)と、増収ながらも大幅な減益で着地しました。
海外の製造業の景気減速などを背景に、主力の鉄スクラップをはじめとする資源価格が下落したことが、利益を圧迫する主な要因となりました。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、リチウムイオン電池リサイクル事業における補助金収入などがあったものの、5億1,200万円(前年同期比68.1%減)となりました。
【参考文献】https://www.envipro.jp/
価値提案
金属やプラスチック、リチウムイオン電池など幅広い資源をリサイクルし、持続可能な社会づくりに貢献する。
安定的な資源供給と環境負荷の低減を両立させるためのソリューションを提供する。
【理由】
地球温暖化や資源枯渇などの環境問題が深刻化する中で、再生資源を活用した循環型経済の重要性が世界的に高まっています。
株式会社エンビプロ・ホールディングスはこの流れをビジネスチャンスと捉え、鉄スクラップやレアメタルなどの再利用技術を強みにしながら、幅広い顧客層に対してリサイクルサービスを提供することを価値提案の柱としています。
多様な業界からのニーズに対応できるリサイクル技術と販売ネットワークの構築が、企業の存在感を高めるカギとなっています。
主要活動
廃金属やプラスチック、使用済みリチウムイオン電池の回収と再資源化。
海外市場への輸出や取引先とのマッチングを通じたグローバルトレーディング。
環境に配慮したコンサルティングや関連サービスの提供。
【理由】
リサイクルは素材ごとに専門知識と高度な設備が必要であり、その分野に特化した企業はまだ限られています。
株式会社エンビプロ・ホールディングスは長年の実績で培ったノウハウを生かし、廃棄物の回収から選別、加工、販売までを一貫して行う体制を構築しました。
さらに海外の取引先とも連携し、国際流通を拡大することで取扱量を増やしています。
このような活動の幅広さが同社の強みを支えており、今後もビジネスモデルの差別化要因として作用すると期待されます。
リソース
多様なリサイクル施設と充実した設備。
廃棄物の選別や再資源化に精通した人材。
海外を含む幅広い取引先や顧客へのアクセス。
【理由】
金属やプラスチックなどは、それぞれ異なる加工工程と設備を必要とします。
株式会社エンビプロ・ホールディングスは独自のリサイクル技術を磨き続け、複数の施設で効率よく資源を再生できる体制を整えました。
また人材面でも、長年の実務を通じて専門知識を蓄えたスタッフを多数育成し、複雑なリサイクル工程に対応できる組織づくりを進めています。
グローバルなネットワークを持つことで、国内だけでなく海外からも安定的に廃棄物を調達でき、付加価値の高い再資源化が可能になっています。
パートナー
産業廃棄物を排出する製造業者や自治体。
資源を必要とする商社や海外バイヤー。
リサイクル技術の開発を進める研究機関や関連企業。
【理由】
リサイクル事業の成功には、安定的な廃棄物の供給と販売先の確保が不可欠です。
そのため株式会社エンビプロ・ホールディングスは、多様な業界と連携を深めることを重視してきました。
特に製造業者や自治体との協力は、一定量の資源を継続的に確保するうえで大きな意味があります。
また海外バイヤーとの連携により、市況に応じて資源を世界市場へ供給しやすい構造を築いています。
このように多数のパートナーを巻き込むことで、企業価値を高めるビジネスモデルが形成されています。
チャンネル
顧客との直接取引による安定した受注体制。
オンラインでの情報発信と取引先獲得。
グローバルネットワークを活用した輸出入ルート。
【理由】
元々リサイクル業界は対面での契約や取引が主流でしたが、近年はデジタル技術の進歩によりオンラインによるマッチングや情報収集が活発になっています。
株式会社エンビプロ・ホールディングスはこうした変化に対応するため、オンライン上でも自社のサービス内容をわかりやすく発信し、新規顧客獲得につなげています。
さらに海外展開を推進する上で、複数の物流ルートや地域特性に合わせた取引方法を確立することが求められます。
これらのチャンネル戦略によって、より広範な市場でリサイクルビジネスを拡大しているのです。
顧客との関係
長期契約に基づくパートナーシップ。
資源循環をサポートするコンサルティングやアフターフォロー。
企業の環境意識向上を後押しするソリューション提案。
【理由】
リサイクルを安定的に行うためには、単発の取引よりも継続的な関係が大切になります。
株式会社エンビプロ・ホールディングスは製造業者や自治体と長期にわたる契約を締結し、定期的に廃棄物や使用済み資源を回収する仕組みを整えています。
またコンサルティングを通じて、環境負荷を下げたい企業や自治体のニーズに合わせた最適なリサイクルプランを提供しているのも特徴です。
こうした取り組みが顧客満足度と信頼を高め、リピート受注や追加契約につながっています。
顧客セグメント
大手から中小まで幅広い製造業者。
地域の廃棄物管理を担う自治体や公共団体。
国内外の商社や流通業者。
【理由】
株式会社エンビプロ・ホールディングスは多様な資源を扱うことで、様々な業界からのリサイクルニーズに対応できます。
自動車関連や家電メーカーなど、大量の金属スクラップを排出する企業からプラスチック製品を扱う会社まで、顧客層は幅広いです。
さらに自治体とは、地域の環境保全を一緒に進めるという公益性の高いパートナーシップを築いています。
海外の商社やバイヤーと連携することで、日本国内で需要が落ち込んでも別の市場へ資源を流通させ、収益の安定化を図れる点も大きなメリットとなっています。
収益の流れ
リサイクルサービスを提供する際の処理費用やコンサルティング収入。
再生資源を販売することで得られる売上。
新たな技術やノウハウを提供するライセンスフィーなどの可能性。
【理由】
リサイクル事業の収益は、廃棄物を適切に処理する際のサービス料金や、再生資源を素材として販売する際の価格によって大きく左右されます。
株式会社エンビプロ・ホールディングスはその両輪を最大化するため、効率的なリサイクル技術を投入し、コストを抑えながら高品質な再生資源を市場に提供しています。
さらにコンサルティングを付加価値として取り入れることで、単なる処理サービスにとどまらず、顧客企業の環境負荷低減やコストダウンを支援する存在となり、高い評価を得やすい仕組みをつくり上げています。
コスト構造
人件費と設備維持費が中心を占める。
国内外の物流費や電力費などの変動コスト。
新技術開発や研究開発への投資。
【理由】
リサイクル施設の運営には大型の機械設備や安全管理システムが欠かせません。
これらの稼働や維持には安定した電力と熟練したスタッフの労働力が必要です。
またスクラップやプラスチックなどを海外へ輸送する場合、為替変動や燃料価格によるコストリスクも考慮しなければなりません。
株式会社エンビプロ・ホールディングスは企業体力を高めるため、新技術を導入しリサイクル工程を効率化することでコスト最適化を図っています。
これにより、価格競争が激しい市場の中でも継続的に利益を確保する戦略が可能になります。
自己強化ループ
株式会社エンビプロ・ホールディングスの事業には、いくつかの自己強化ループが存在しています。
まずリサイクル事業を拡大すれば、より多くの廃棄物を集めることができ、安定的な資源確保につながります。
これにより再生資源の販売量が増え、売上が拡大すると同時に、新たな設備投資や技術開発への資金を生み出しやすくなります。
さらに技術革新が進むほどリサイクル効率が向上し、処理コストが下がり、より競争力のある価格で資源を市場に供給できます。
こうした循環が続くと利益体質が強化され、海外進出や新規事業への投資余力も生まれます。
最終的に企業が幅広いリサイクルソリューションを提供できるようになることで、顧客からの信頼がさらに高まり、市場シェアを拡大していくという好循環が形成されるのです。
採用情報
初任給や平均休日、採用倍率については正式に公表されていませんが、環境分野の関心が高まる中でリサイクルや金属加工の知識を持つ人材が求められていると考えられます。
今後も事業拡大が見込まれるため、技術者や営業担当、海外取引に対応できる人材など幅広い分野で採用のニーズが高まる可能性があるでしょう。
公式の採用ページなどで最新情報をこまめにチェックすることをおすすめします。
株式情報
同社は銘柄コード5698で上場しており、2025年2月17日時点で1株当たり383円の株価がついています。
時価総額は約116億円で、1株あたり15円の配当金が予想されており、配当利回りは約3.92パーセントです。
リサイクル市場が拡大していることや持続可能な社会への意識が高まっていることもあり、環境関連銘柄として投資家からの注目が集まりやすいといえるでしょう。
ただしレアメタル価格や電力コストなどの影響を受けやすい側面もあるため、中長期的な視点から市場動向を見極めることが大切です。
未来展望と注目ポイント
今後は電気自動車や再生エネルギーの普及によって、リチウムイオン電池をはじめとする廃棄物のリサイクル需要が急速に拡大すると予想されています。
株式会社エンビプロ・ホールディングスはすでにリチウムイオン電池の再資源化技術を強みにしており、新しい工場や設備の増強により市場ニーズを積極的に取り込みやすい状況にあります。
またグローバルトレーディングの分野では為替リスクはあるものの、海外にも販路を広げることで需要の波をうまく捉えられる点が魅力です。
成長戦略としては、さらなる技術開発によるリサイクル効率の向上や、多国籍企業とのパートナーシップ強化が挙げられます。
環境保全と経済活動を両立する企業としてのイメージを高めることも、今後の企業価値向上につながるでしょう。
こうした取り組みを通じて、社会課題を解決しながら事業を拡大していく姿勢に今後も注目が集まりそうです。
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