企業概要と最近の業績
株式会社オオバ
都市計画や区画整理、社会インフラの整備などを行う建設コンサルタント会社です。
道路・公園・上下水道などの調査・計画・設計や、防災・減災まちづくり、環境調査などを手掛けています。
官公庁を主な顧客とし、安全・安心な社会資本整備に貢献しています。
2025年5月期の連結業績は、売上高が255億8,300万円（前期比4.5%増）、営業利益は25億1,200万円（同8.2%増）と増収増益でした。
経常利益は25億3,500万円（同8.5%増）、親会社株主に帰属する当期純利益は17億5,800万円（同7.9%増）といずれも好調です。
国土強靭化計画に基づく公共投資が底堅く推移したことを背景に、主力の調査・計画・設計業務の受注が堅調でした。
特に、全国各地の防災・減災対策や、インフラの老朽化対策に関連する業務が増加し、業績向上に貢献しました。
【参考文献】https://www.ohba.co.jp/
価値提案
株式会社オオバは、まちづくりと環境保全、そして社会インフラの整備を一貫してサポートできる点が大きな強みです。
単なる土木や建築の設計にとどまらず、自然環境への配慮や地域住民の暮らしやすさ、さらには行政や企業の経営効率も考慮しながらプロジェクトを進めることで、多様なステークホルダーに価値を生み出しています。
こうした総合建設コンサルタントとしての役割は、インフラ整備が不可欠な日本社会において欠かせない存在となっており、IR資料のなかでも強みとして頻繁に挙げられています。
【理由】
なぜそうなったのかといえば、少子高齢化や地域活性化の必要性、気候変動への対応など、複合的な課題に対してワンストップで解決策を提供できる企業が必要とされているからです。
主要活動
コンサルティングや設計業務、測量や調査のほか、システム開発に至るまで多岐にわたる業務を担っています。
まちづくりの計画段階では行政や自治体と協力し、将来の人口動態や交通量、環境影響などを踏まえた実現可能性の高い計画を立案します。
そして、土木や建築の設計段階では技術力と経験を活かし、安全性や耐久性を重視した設計を行います。
環境分野では、生態系調査や影響予測を踏まえた提案を行い、測量や地理情報システムを駆使して正確なデータを提供しつつ、最適な土地管理方法の提案も手がけています。
【理由】
なぜこのように複合的な活動を展開しているのかというと、インフラ整備や地域開発には多様な専門領域が絡むため、一貫して品質の高いサービスを提供しなければ、プロジェクト全体の成功を保証できないからです。
リソース
技術力を持ったエンジニアやコンサルタント、全国各地に築き上げた拠点やネットワーク、そして蓄積してきたノウハウが同社の重要なリソースです。
都市計画や土木設計、環境アセスメントなど、専門性の高い分野で活躍できる人材を数多く擁しているため、幅広い依頼に対応できます。
さらに、長年にわたって培ってきた測量技術とGISなどのデジタル技術の融合によって、従来のアナログ作業を効率化し、正確なデータに基づく意思決定をサポートできる点も大きな強みです。
【理由】
なぜこのリソースが確立されたのかといえば、日本各地の多種多様な現場を経験し、プロジェクトを成功に導いてきた実績が人材育成と技術開発を加速させ、結果として豊富なリソースを獲得しているからです。
パートナー
官公庁や地方自治体、民間企業だけでなく、大学や研究機関と連携しているケースもあります。
大規模なインフラ整備や環境評価には多角的な視点が求められるため、関連分野の専門家や学識経験者と協力し、最新の研究成果を取り入れながらプロジェクトを進めることが欠かせません。
民間企業との協業では、不動産開発やITソリューションに強みを持つ企業とタッグを組み、より付加価値の高いサービスを提供することも重視しています。
【理由】
なぜこうしたパートナーを積極的に組み込む背景には、単独ではカバーしきれない領域を補完し合いながら、総合力を高めることで競争力を維持しようという狙いがあります。
チャンネル
同社は全国各地に拠点を構え、直接営業を通じて地域の行政や企業と関係を深めています。
ウェブサイトによる情報発信や、建設・環境関連の展示会やセミナーなど業界イベントへの参加も積極的に行い、潜在顧客へアプローチしています。
さらには、DX推進を背景にオンラインでの情報交換やプロジェクト管理が進んでいるため、デジタルプラットフォーム上でのやり取りも重要なチャンネルです。
【理由】
なぜこうした複数のチャンネルを持つ必要があるのかというと、まちづくりや環境保全のプロジェクトは地域性や専門性が高く、一つの手段だけでは十分な情報提供や信頼関係の構築が難しいからです。
顧客との関係
プロジェクトベースの契約形態がメインですが、長期的なパートナーシップを築くケースも少なくありません。
例えば、市街地再開発のプロジェクトでは、計画の立ち上げから設計、そして工事完了後のモニタリングまで一連のプロセスが数年に及ぶことが多いため、継続的にサポートする必要があります。
環境コンサルティングでも、長期間にわたる調査やアセスメントが必要になるため、継続的な信頼関係を維持することが重要となります。
【理由】
なぜこのような関係性が求められるのかといえば、一つの案件が完了しても地域や環境の課題は刻々と変化していくため、アフターサポートや追加調査などが必要になり、長期的な関係が企業の成長につながるからです。
顧客セグメント
官公庁や地方自治体を中心とした公共セクターが大きな割合を占めていますが、民間企業や個人の土地所有者など、近年は顧客層が広がっています。
たとえば、企業が保有する事業用地の開発や環境調査、個人の土地所有者が抱える資産管理や有効活用に対するニーズも増えています。
こうした顧客セグメントの拡大は、人口減少や経済環境の変化に伴い、新たな土地利用や都市開発の方法を模索する動きが活発化しているからです。
【理由】
なぜ多様なセグメントが必要かといえば、公共案件だけでは受注が不安定になりやすいため、民間や個人の需要にも対応して収益基盤を安定させる必要があるからです。
収益の流れ
主にコンサルティングフィーや設計・調査の受託料、システム開発の売上などから成り立っています。
大規模なプロジェクトでは調査や設計だけでなく、環境影響評価や測量業務など、複数のサービスが組み合わさることで高い付加価値を生み出します。
また、土地管理やアセットマネジメント支援に関するコンサルティングでは、成果に応じて報酬が変動する成果報酬型の契約を取り入れる場合もあります。
【理由】
なぜこれらの収益形態が確立しているのかというと、案件の種類によって求められるスキルや作業量が異なり、それぞれの分野に合わせた柔軟な料金設定を行うことで、多様な顧客ニーズに応えやすくしているからです。
コスト構造
もっとも大きなコスト要素は人件費で、専門知識を持つ人材を確保し続けるためには教育や研修にも投資が必要です。
また、システム開発やGISなどの技術力を維持・向上するためには技術開発費がかかります。
営業活動にも一定のコストがかかりますが、全国規模での展開を支えるためには欠かせない費用といえます。
【理由】
なぜこのようなコスト構造になっているのかといえば、プロジェクトの成功には優秀な人材と最新技術が不可欠であり、それらを支える体制への投資が長期的な成長戦略に直結するからです。
自己強化ループ
株式会社オオバは、デジタル化やDX推進を経営の重要課題に位置付けることで、業務プロセスの効率化だけでなく、新たなサービス創出にも力を入れています。
一度プロジェクトを成功させると、技術的な知見やデータが蓄積され、それを次の案件で生かすことで、さらにサービス品質が向上します。
このように、実績を積むほどに新たな受注や高付加価値の提案が可能になるという好循環が生まれています。
さらに株主還元策として配当性向を高めることで、投資家の支持を得やすくし、株価や企業価値が上昇すると資金調達面でも有利になり、DX投資や人材強化へ再投資する余力が高まります。
こうして収益拡大と事業強化が相互に作用する自己強化ループが成立し、長期的な企業価値向上を目指しているのです。
採用情報
初任給についての具体的な数値は公表されていませんが、新卒・中途問わず技術職やコンサルタント職など多様な職種で採用活動を行っています。
年間休日は124日とされており、ワークライフバランスの確保にも配慮があるといえます。
採用倍率に関する数値は確認できませんが、土木や建築、環境分野の専門人材を求めているため、該当分野の知識や資格があると有利になる傾向があるようです。
株式情報
同社は東証プライムに上場しており、2024年5月期の年間配当額は1株あたり37円となっています。
総還元性向を引き上げ、配当性向もおおむね50％を目安としていることから、株主重視の姿勢がうかがえます。
2025年2月27日時点の株価は1株あたり988円で推移しており、建設コンサルタント業界全体の市場動向や受注状況によって今後の株価変動が注目されます。
未来展望と注目ポイント
株式会社オオバは、インフラの老朽化や自然災害の多発など、日本社会が直面する課題に対応するうえで大きな役割を担っています。
都市部での再開発や地域創生に向けたまちづくりの需要も高まっていることから、今後も大規模な公共事業や官民連携プロジェクトに参加する機会が増えると期待されています。
また、土地の有効活用や環境アセスメントの必要性が一層強まる時代において、同社が持つ総合的なコンサルティング機能はさらなる発展の余地があります。
DX推進による業務効率化と新規サービス開発が進むことで、競合との差別化や国際展開への可能性も視野に入ってくるでしょう。
こうした取り組みが実を結べば、まちづくりと環境保全を両立しながら企業としても持続的に成長していく姿が期待されるのではないでしょうか。
さらに、株主還元の拡充は投資家の支持を集めやすく、安定した資本基盤を築くことで次なる成長戦略に弾みをつけることが可能になります。
今後の取り組みやIR資料の更新をこまめにチェックすることで、新たな事業展開や業績動向をいち早くつかむことができそうです。
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