株式会社カヤバのビジネスモデルと成長戦略がすごい

輸送用機器

企業概要と最近の業績

カヤバ株式会社

カヤバは、油の力を巧みに操る「油圧技術」をコアとする世界的な機械メーカーです。

主力事業の一つである自動車部品分野では、乗り心地や操縦安定性を支えるショックアブソーバで世界トップクラスのシェアを誇っています。

もう一つの主力である油圧機器分野では、建設機械や産業車両に使われる油圧シリンダやバルブなどを製造し、社会の基盤づくりを支えています。

その他にも、航空機の操縦システムやコンクリートミキサー車など、その技術は陸・海・空の幅広い領域で活かされています。

2025年8月7日に発表された2026年3月期第1四半期の連結決算によりますと、売上高は1,185億9,100万円となり、前年の同じ時期と比較して7.8%の増収となりました。

主力事業である自動車部品部門、油圧機器部門ともに、主に海外での販売が好調に推移したことが要因です。

利益面では、この増収効果に加えて、円安によるプラス効果や生産性改善の取り組みが実を結びました。

その結果、営業利益は70億200万円と前年の同じ時期に比べて47.9%の大幅増、経常利益は90億7,900万円で58.7%増となりました。

親会社の株主に帰属する四半期純利益は59億1,300万円で、前年の同じ時期から73.1%増加しています。

【参考文献】https://www.kyb.co.jp/

価値提案

油圧技術を核にした振動制御とパワー制御ソリューションを届けること。

【理由】
なぜそうなったのかといいますと、建設機械や自動車などは安全性と快適性が求められ、衝撃を和らげるショックアブソーバーの品質が製品価値に直結するからです。

さらに、世界的に見てもインフラ整備やモビリティのニーズは高く、信頼性ある振動制御が社会インフラの支えとなります。

株式会社カヤバは長年培った油圧技術を強みに、高性能な部品や装置を安定的に提供することで、顧客の「静かな乗り心地」や「高い操縦安定性」といった課題を解決しています。

このような技術的優位が、同社の大きな価値提案となっています。

主要活動

油圧機器の研究開発・製造・販売。

【理由】
なぜそうなったのかを考えると、油圧技術をコアにしているため、自社で開発から生産、販売まで一貫して行う体制が必要でした。

建設機械向け製品は使用環境が過酷で高い耐久性が求められますが、製造から販売までを自社主導にすることで、品質管理と技術サポートが徹底しやすくなります。

四輪・二輪車用のショックアブソーバーでも同様に、海外拠点での生産体制を整えることで市場ニーズに応じたスピーディーな供給が可能になります。

これらの活動を通じて、グローバルに安定した売上を生み出しています。

リソース

国内外の製造拠点や開発チーム、長年の油圧技術の蓄積。

【理由】
なぜこうなったかといえば、油圧技術は一朝一夕に身につくものではなく、素材の選定から高度な生産管理まで多岐にわたる知見が必要だからです。

たとえば国内では、厳しい品質基準をクリアした設備や人材を揃えることで、独自のノウハウを形成しています。

海外に複数の工場を持つことで、地域ごとの需要変化にも柔軟に対応できるリソースを確保しています。

こうした豊富な設備と人材によって、安定した開発力と高品質な製品ラインナップを支えています。

パートナー

建設機械メーカーや自動車メーカー、代理店ネットワーク。

【理由】
なぜパートナーと連携する必要があるのかというと、同社の製品は自動車や建設機械など、最終完成品の一部に組み込まれる部品であるため、完成車メーカーや機械メーカーと信頼関係を築くことがビジネスの要になるからです。

さらに、海外市場への展開には現地の販売代理店や部品流通網が欠かせません。

こうしたパートナーシップを通じて、製品の開発段階からメーカーと協力し、ユーザーが求める性能を実現しているのです。

チャンネル

直接販売と代理店販売の両軸。

【理由】
なぜチャンネルを分けているのかは、世界各地の需要に合わせて素早く対応するためです。

大口取引先には直接対応し、要望を細かく聞き取ってオーダーメイドの開発やサポートを行う一方、中小規模の市場や地域別のニーズには代理店を活用してカバーしています。

この二重のチャンネル設計により、売上の安定化と地域ごとの市場拡大を両立しています。

顧客との関係

長期的な取引を重視し、技術サポートを密に行う。

【理由】
なぜこうなったかというと、油圧機器やショックアブソーバーは安全面や耐久面で厳しい要求があるため、長期にわたる信頼関係が欠かせないからです。

定期的なメンテナンス情報の提供や、製品設計の最適化に向けた技術協力を行うことで、顧客との結びつきを強めます。

結果として、継続的なリピート注文や追加の開発案件が生まれ、双方にとってメリットのある関係が構築されています。

顧客セグメント

建設機械業界と自動車業界。

【理由】
なぜこれらを主な顧客としているのかを考えると、ショックアブソーバーや油圧機器の大口需要が集中するのがこの2業界だからです。

建設機械では大型の油圧機器が必要とされ、自動車業界では四輪・二輪いずれも乗り心地やハンドリングにショックアブソーバーが欠かせません。

高品質かつ安定供給できる同社にとって、これらのセグメントは優先度が高く、多くの売上を支える基盤になっています。

収益の流れ

製品販売収入を中心としたビジネスモデル。

【理由】
なぜこのような構造になっているかというと、部品メーカーとして生産したショックアブソーバーや油圧機器を販売することで主な利益を得ているからです。

建設機械や自動車用の純正部品として長期的な取引が見込まれるほか、アフターサービスや部品交換需要などの安定収入もあります。

このように、多方面で収益を確保している点が同社の強みといえます。

コスト構造

製造コストや研究開発費、販売管理費など。

【理由】
なぜコストが多岐にわたるかといえば、高い技術力を維持するためには研究開発が必要であり、大型設備を稼働させる製造現場の維持費も大きいからです。

さらに、海外拠点の運営には輸送コストや人件費が発生します。

ただし、国内事業が好調なため、利益を再投資して新製品開発や市場拡大に踏み切れる余力がある点は強みといえます。

自己強化ループ

自己強化ループはどのように機能しているのでしょうか。

同社の場合、国内事業の好調が売上高と利益の拡大につながり、その利益を研究開発や設備投資に回すことで、さらに技術力と生産能力が向上します。

その結果、新しい顧客を獲得しやすくなり、海外市場への展開も加速しやすくなるのです。

この循環がうまく回ると、売上が伸びた分だけ投資を行い、新製品や新市場を開拓できるため、さらに収益を高めることができます。

特に国内不動産ビジネスからの利益が大きかった2024年3月期は、こうした余剰資金を活用しやすい環境が整いました。

一方で、中国の需要減退などリスク要因もあり、全体としては地域バランスを取りつつ持続的な成長を目指す戦略が重要になります。

この自己強化ループをいかに保ち、リスクをうまくコントロールしていくかが今後のカギとなりそうです。

採用情報

採用情報については、公に示されている初任給や平均休日、採用倍率といった具体的なデータは現在確認できません。

ただし、専門性の高い技術分野であることから、研究開発や製造エンジニアなどの職種では人材育成に力を入れていると考えられます。

詳しい条件や求める人材像などは、企業の公式サイトや就職情報サイトで最新情報をチェックすることをおすすめします。

株式情報

株式情報としては、証券コード7242で上場しており、一般投資家でも株式を購入できます。

配当金や1株当たり株価は公開データを都度確認する必要がありますが、業績好調が続けば投資家にとっても魅力的な銘柄となる可能性があります。

企業としては収益の安定化を図りながら、株主還元の方針にも注目が集まりそうです。

未来展望と注目ポイント

未来展望と注目ポイントについては、まず中国をはじめとするアジア市場の需要動向が大きなカギを握ると考えられます。

建設機械向け油圧機器で苦戦する一方、国内事業の利益をテコにして新たな成長戦略を描けるかが重要です。

また、電動化や自動運転など自動車業界が大きく変化する中で、同社のショックアブソーバー技術が新しいモビリティの快適性や安全性をどう支えていくのかにも期待が寄せられています。

長年の油圧技術をさらに発展させることで、環境負荷を低減しながら高性能を維持する取り組みも必要になるでしょう。

建設機械の世界的な需要やインフラ投資も継続的に見込まれるため、グローバル展開と地政学リスクへの備えが同社の将来を左右します。

国内市場で培った技術力と資金力を活用し、海外拠点を強化することで、より安定した売上拡大が可能になるかもしれません。

今後もビジネスモデルやIR資料を注視しながら、株式会社カヤバの動向をチェックしていきたいところです。

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