企業概要と最近の業績
株式会社クオルテック
当社は、電子部品の品質・信頼性評価を専門とする第三者試験・分析サービス企業です。
事業の柱は、電子部品が様々な環境下で正常に機能するかを試験する「信頼性事業」と、電子顕微鏡などを用いて不良の原因などを調査する「観察分析事業」の二つです。
「電子機器の総合病院」として、自動車の電装化や半導体、航空宇宙分野など、先端技術を支える「ものづくり」の品質保証に貢献しています。
国内トップクラスの試験・分析設備と、長年培ってきた高度な技術力が強みです。
2025年6月期（2024年7月1日～2025年6月30日）の通期連結業績は、売上高が60億52百万円となり、前の期と比較して8.9%の増収となりました。
経常利益は12億35百万円で、前の期に比べて12.3%の増益と、増収増益を達成しています。
自動車の電動化や高機能化が進んだことを背景に、主要顧客である車載関連分野からの信頼性試験の受注が好調に推移したことが主な要因です。
また、パワー半導体をはじめとする次世代半導体分野からの試験・分析の需要も堅調でした。
旺盛な需要に対応するため、最新の試験装置への設備投資を積極的に行ったことも業績に貢献しました。
価値提案
トータルクオリティーソリューションという形で、製造業の品質向上を総合的に支援しています。
具体的には、故障解析や信頼性試験、研究開発のコンサルティングなどをワンストップで提供している点が大きなポイントです。
イメージとしては、ものづくりに関する問題を何でも相談できる「頼れる相談役」のような存在になっています。
【理由】
製造業界では製品サイクルが速くなり、高品質化が求められる一方で、専門的な解析や試験を内製化するのは難しい企業も多いです。
そこでクオルテックのような専門会社が一手に引き受けてサポートすることで、顧客企業の手間やコストを削減しつつ、高度な品質向上を実現できるためです。
主要活動
分析・故障解析や信頼性試験、新素材や新工法の研究開発サポート、微細加工など、幅広い技術サービスを行っています。
壊れやすい部分を見抜いて改良するだけでなく、新しい技術を検証して製品に適用するなど、多彩なアプローチを実施しています。
【理由】
ものづくりの工程では、一つの分野だけでなく多方面にわたる知識と設備が必要です。
クオルテックは複数の専門家と高度な設備を整えることで、最適な方法を選択しやすくし、より効率的に問題解決する体制を築いたのです。
リソース
高度な分析装置や試験機器、レーザを活用した微細加工設備などが挙げられます。
また、各分野に精通したエンジニアや研究者など人材の層も厚いです。
【理由】
品質を客観的に評価するためには、最新の検査装置や試験設備が欠かせません。
同時に、それらを使いこなせる人材がいないと活用が難しいです。
そのため、設備投資を積極的に行いながら、優秀な専門家を確保することで、高レベルの品質評価や技術支援を提供してきました。
パートナー
自動車や家電、精密機械、化学製品、電子部品、半導体、バイオテクノロジーなど、多種多様な製造業の企業を顧客としてサポートしています。
【理由】
幅広い業界と連携することで、様々な課題を積み重ねてきた実績をもとに、多角的な知見を蓄えられるからです。
一つの業界だけだと見落としがちな技術や手法も、他業界での経験が活きてくるケースが多いといえます。
チャネル
直接営業によるアプローチやウェブサイトでの情報発信、技術セミナーや展示会の開催などが行われています。
企業の技術担当者と直接コミュニケーションを取り、問題や要望をスピーディーに把握する仕組みが整えられています。
【理由】
高度な技術サービスは、顧客が「何を依頼すればいいのか」明確にわからない場合も少なくありません。
そこで、リアルな場で対話を重ねながらニーズを聞き取り、ソリューションを柔軟に提案できる場として展示会やセミナーを活用しているのです。
顧客との関係
単発の取引だけでなく、継続的な技術サポートやコンサルティングを重ねていく関係が重視されています。
新素材の導入や不良発生時の迅速な解析など、長期的なパートナーシップとしての色合いが強いです。
【理由】
製造業では製品開発が長期にわたるうえ、トラブルが発生したときも継続して同じパートナーと協力したほうが原因追及や改善策の立案が早く進むからです。
そのため、長期的に組むことで結果的にコストと時間を抑え、より良い製品づくりに専念できます。
顧客セグメント
品質向上を重視する製造業全般が対象となっています。
電子部品や自動車部品などの高精度が必要な企業はもちろん、環境耐性や安全性が求められるあらゆる分野からの依頼があります。
【理由】
製造品の品質が市場評価に直結する時代となり、どの業界でも品質管理が重要視されています。
特に高精度・高性能化が求められる製品分野ほど専門家の力が必要で、クオルテックの総合力が活かされるのです。
収益の流れ
各種技術サービスを提供することで顧問料や試験費用、コンサルティング費用などを得ています。
研究開発のサポート費用や、微細加工に関する受託加工サービスの報酬も含まれます。
【理由】
製造業各社は品質面の課題に対して確実な解決を望むので、技術力や分析能力を持った専門会社に外注する傾向があります。
そこで、クオルテックは多様なメニューを用意し、問題解決の規模や内容に応じて収益を得られる仕組みを築き上げているのです。
コスト構造
最先端の試験設備や分析装置の保守・運用コスト、専門スタッフの人件費や研究開発費用などが主な支出です。
【理由】
常に新しい技術や装置を取り入れなければ、顧客からの高度な要求に応えられなくなります。
そのため定期的な設備投資や専門人材の教育費などが大きなコスト要因となっていますが、これを惜しまず行うことで競合他社との差別化を図っています。
自己強化ループ（フィードバックループ）
クオルテックは多彩な技術サービスを提供することで、顧客の製品品質を飛躍的に高めています。
製品の故障が減ったり、開発スピードが上がったりすることで、クオルテックへの信頼度がさらに高まり、新規の依頼や追加の相談が増えるという良い循環が生まれています。
こうした結果、同社は設備投資や専門人材の採用に充てる資金を確保しやすくなり、より高度なサービスを提供できるようになります。
さらに品質や技術開発に関する知見が蓄積されるため、次の顧客や既存顧客への提案力が強化されます。
このように「顧客からの評価向上→売上拡大→サービスや設備の質がさらに向上→さらに顧客評価が高まる」というポジティブな循環が繰り返されることで、クオルテックの存在感は今後ますます大きくなると考えられます。
採用情報
クオルテックの初任給は公開されていませんが、年間休日は120日以上でワークライフバランスを重視していることがうかがえます。
新卒入社3年間の定着率は93パーセントと高水準であり、職場の働きやすさやキャリアの成長が期待できるでしょう。
採用倍率に関しては公式発表は見当たりませんが、専門性が求められる仕事のため、一定の競争率があると考えられます。
株式情報
クオルテックは東証グロース市場に上場しており、証券コードは9165です。
1株当たりの株価は直近で1,349円が報じられています。
配当金に関しては最新のIR資料などで確認する必要がありますが、上場後も企業成長に向けて積極的な投資を行っている印象です。
未来展望と注目ポイント
クオルテックは、これからも高度化する製造業のニーズに合わせてサービス内容を拡充し、成長を続けると見られています。
とくに自動車業界では電動化や自動運転技術が進み、電子部品や半導体の品質向上が今まで以上に重要になります。
同社は既に幅広い業界との取引実績を持っており、これらの新分野にもその技術力を活かせるため、さらなる需要拡大が期待されます。
また、環境対応やリサイクル技術など、持続可能な社会を目指す流れにおいても、試験や解析のプロフェッショナルとしての活躍の場が増えそうです。
こうした時代の変化に対応するために、クオルテックは設備投資や研究開発を積極的に行い、最新の知見を取り入れながら顧客企業をサポートしていくでしょう。
結果的に、製造業界全体の品質水準を底上げする存在となり、国内外からの注目がさらに高まるのではないでしょうか。
分かりやすくまとめると、これからの未来で必要とされる「壊れにくく、安全で、長く使える製品」をつくるために、重要な役割を担う会社としての存在感をますます強めていく可能性が大いにあります。
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