企業概要と最近の業績
株式会社ステップ
神奈川県を拠点に、小・中・高校生を対象とした学習塾の運営を行っています。
高校受験STEPや大学受験STEP、個別指導STEPなど、生徒の年齢や目的に合わせた多様なブランドを展開しています。
「楽しくて、厳しい塾」をモットーに、地域に根差した教育サービスを提供しています。
2025年9月期第3四半期の連結業績は、売上高が140億8,300万円(前年同期比6.2%増)、営業利益は35億1,200万円(同8.5%増)と増収増益でした。
経常利益は35.2億円(同8.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は23億5,800万円(同8.1%増)といずれも好調です。
主力の小・中学部、高校部ともに生徒数が前年同期を上回り、順調に推移しました。
特に、春期講習の申し込みが好調であったことや、新規に開校した校舎が順調に生徒数を伸ばしたことが全体の業績を牽引しました。
価値提案
株式会社ステップが提供している価値の中心は、生徒一人ひとりの学力と志望校合格を実現させるための教育サービスです。
学習塾というと合格実績ばかりが注目されがちですが、同社は対面授業だけでなくオンライン学習や保護者との綿密なコミュニケーションも重視しています。
地域の学校のカリキュラムや受験傾向を熟知している講師陣を揃えることで、生徒が抱える学力面やメンタル面の課題にきめ細かく対応できる点が大きな強みです。
こうした取り組みを通じて、生徒が「自分で勉強する力」を育むことを重視し、結果として成績向上と志望校合格につなげています。
【理由】
なぜそうなったかというと、少子化や競合の激化により、単純に合格実績だけを追求するだけでは差別化が難しい中で、講師と生徒の信頼関係や家庭を巻き込んだ連携を通じた学習支援こそが価値となり、保護者の満足度にも直結すると考えられているからです。
主要活動
主な活動として、定期的な授業の実施や季節講習、模擬試験など多面的な教育プログラムの企画運営を行っています。
さらに、講師をはじめとするスタッフの育成や研修も重要な業務で、指導技術の向上を図ることで塾全体のサービス品質を高めています。
地域の情報を収集して教材に反映し、各学校の定期テストや受験傾向に合わせたオリジナル教材を開発している点も注目されています。
【理由】
なぜこうした活動が中心になったのかというと、よりきめ細やかな指導が必要とされる現代の教育ニーズに対応するためです。
単に学力向上だけでなく、勉強習慣の確立や学習意欲の維持など、多角的なアプローチを実践することで生徒と保護者の満足度を高め、長期的な信頼関係を築いていこうと考えているからです。
リソース
リソースとしては、まず現場で生徒を直接指導する経験豊富な講師陣が挙げられます。
合格実績を高める上で、優秀な講師の存在は欠かせません。
加えて、神奈川県内に166スクールという拠点をもつ施設網も大きな資産になっています。
通いやすい立地に教室を配置することで、生徒が無理なく通塾し、継続的に学びやすい環境を提供できます。
教材の開発力や教育システムのノウハウも重要なリソースで、長年にわたり蓄積してきた指導データをもとに独自の教材を作り続けている点が強みです。
【理由】
なぜ豊富なリソースが必要かというと、競合が多い教育業界で勝ち残るには、高品質な指導を安定して提供し続ける仕組みが欠かせないためです。
パートナー
同社が連携する相手としては、教材会社やテスト実施機関などの教育関連企業が挙げられます。
また、地域の学校とも情報交換を行うことで、学校別のテスト傾向や学習目標に合わせた指導を提供できる体制を整えています。
さらに、外部講師や専門家を招聘して特別セミナーを開催するなど、多角的な学習サポートを実現しています。
【理由】
なぜパートナーが重要かというと、教育の品質を高めるためには一社だけではカバーしきれない専門情報や最新技術を取り入れる必要があるからです。
こうした連携を強化することで、独自のノウハウをさらに発展させ、競合優位性を維持しようとしています。
チャンネル
生徒との接点としては、スクールでの対面指導が中心となっていますが、オンライン授業や映像配信教材などデジタル技術を活用したチャンネルも積極的に導入しています。
これによって、体調不良や学校行事などで通塾できない場合でも学習を継続できる仕組みを整えています。
保護者向けには説明会や個別面談の場を設け、塾の教育方針や生徒の学習進捗を直接共有しています。
【理由】
なぜ複数のチャンネルが必要になったのかというと、多忙な生徒や保護者が増えている中で、柔軟に学習を継続しやすい環境を整えなければ競合に埋もれてしまうからです。
また、新しい学習ツールやシステムを活用することで、より多くの生徒にきめ細かな指導が行えるためです。
顧客との関係
顧客との関係は生徒だけでなく、その保護者とも密接に築かれています。
定期的に開催される保護者面談や進路相談を通じて、生徒の学習状況や成績推移を共有しながら、家庭学習の改善点などについてもアドバイスを行います。
保護者に安心感を与えることで、生徒が長期的に通塾しやすくなり、口コミによる新規入塾も期待できます。
【理由】
なぜ保護者との連携が重視されるようになったのかというと、学習塾の選定や契約は多くの場合保護者が主導するからです。
さらに、家庭でのサポートが学習成果に直結することが多いため、保護者を含めた三位一体の体制が不可欠だと考えられています。
顧客セグメント
小学生から高校生までの幅広い年代を顧客対象とし、学校の進度や受験レベルに合わせたコースを多数用意しています。
特に、地元の公立中学校や高校への進学対策に強みを持っており、一部では私立校受験や大学受験にも対応しています。
小学生段階から通塾を開始し、中学・高校と継続して通う生徒も多い点が特徴です。
【理由】
なぜ複数の学年をカバーする必要があるかというと、少子化で生徒数が減少傾向にある中、幅広いニーズに応えることで生徒一人ひとりとの長期的な関係を築くためです。
さらに、低学年から高学年まで一貫した指導を行うことで、学習習慣や基礎学力を総合的に育成できるというメリットもあります。
収益の流れ
主な収益は月謝などの授業料と、季節ごとの講習料、そして教材費です。
学年やコースによって料金が変動する仕組みを導入し、受験期になるとより集中的な指導を行うコースを提供しています。
こうしたコース選択制によって、生徒の目標やレベルに合わせた無理のない学費設定が行われているのが特徴です。
【理由】
なぜこのような収益構造が確立されたのかというと、安定した売上基盤を築きながらも、季節講習や特別講座で需要が高まる時期に追加の収益を確保する仕組みが教育サービス業では一般的だからです。
このバランスにより、通常期と繁忙期の経営リスクを分散できる利点もあります。
コスト構造
主に人件費が大きなウエイトを占めています。
優秀な講師を確保し続けるためには、それなりの給与や研修制度を整える必要があるためです。
また、施設運営費も無視できません。
多くのスクールを維持するには賃貸料や光熱費などがかかるため、立地選定や教室規模に工夫を凝らして効率的に教室を展開しています。
教材開発費については、自社でオリジナル教材を開発するコストがかかる一方、独自性の高い指導が提供できるため、長期的には差別化要因として機能します。
【理由】
なぜコストがこうした構造になっているかというと、教育サービスの質を決める要因が人材と教室設備に大きく依存し、また競合他社との激しい戦いの中で差別化を図るために独自の教材開発が重要視されているからです。
自己強化ループ
株式会社ステップでは、高品質な教育サービスと地域に密着した指導を行うことで、生徒の学力が着実に向上し、実際の受験やテストにおける合格実績も上昇傾向を維持しています。
学習塾選びには口コミや評判が大きく影響するため、いったん合格実績が高まると、知人や保護者間での紹介などから新規入塾者がさらに増えるという好循環が生まれます。
このように生徒数が増えれば、投資余力が高まり、講師の育成や新たなサービス開発に力を入れられるようになります。
その結果、指導内容がさらに充実し、合格実績も伸びるという自己強化ループが形成されています。
地域の学校情報を把握する力も強まるため、次年度以降のカリキュラム作成に活かすことができ、企業としての競争力がさらに高まる点も見逃せません。
採用情報
株式会社ステップの初任給は大卒で220,000円となっており、短大・専門学校卒で210,000円、大学院卒で230,000円です。
休日は土日、祝日に加えて、年末年始や夏季休暇なども取得できます。
こうした条件もあり、毎年応募者は多く、採用倍率が比較的高い水準にあるといわれています。
教育業界においては講師の質が企業の成長を左右することから、研修制度やキャリアアップのためのサポートも充実しており、働きながら指導力を高めやすい環境が整えられています。
株式情報
銘柄コードは9795で、学習塾業界でも比較的知名度の高い存在です。
株価は2172円前後で推移しており、時価総額は344億円ほどあります。
配当金については大きく変動は少ないものの、安定的に支払われていることが注目されるポイントです。
教育業界は景気変動の影響を受けにくい特性があるため、比較的に安心感のある銘柄として認知されている面もあります。
未来展望と注目ポイント
少子化が進行する中でも、学習意欲の高い層や保護者のニーズは多様化しており、個別最適化された学習の需要は今後も拡大する見込みがあります。
株式会社ステップは神奈川県内での地域密着戦略を継続しながら、オンライン授業の活用やICTを使った学習管理に力を入れることで、新たなマーケットも開拓しようとしています。
また、現場の講師を育てる研修体制の強化により、高品質な教育を安定的に提供し続けることを目指しています。
教育業界全体では大手他社との競争も激化しているため、合格実績や指導の質を維持しながら、保護者にとって魅力的なサービスをどれだけ提供できるかが鍵となるでしょう。
地域密着と最新技術の融合を上手に行うことで、さらなる成長戦略を描けるかどうかが今後の注目ポイントとなっています。
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