企業概要と最近の業績
株式会社セレスポはイベントの企画から運営までを総合的に手掛ける会社で、全国に広がる拠点を活かしながら官公庁や企業のイベントを多数受注してきました。大規模スポーツ大会や地域の祭典、企業が開催する記念式典など幅広いジャンルのイベントに対応できる柔軟性が特徴です。最近ではオンラインイベントやハイブリッド形式の催し物へのニーズも増えており、経験豊富なスタッフによる高品質なサポートが評価されているようです。
近年は外部要因として、官公庁からの指名停止措置の影響がありましたが、これが徐々に解消されてきたことで公共案件が回復し、受注の幅が再び広がりつつあります。2025年3月期第3四半期累計(2024年4月から12月)の売上高は113億6,300万円となり、前年同期比で54.2%もの大幅増となりました。さらに営業利益は11億1,500万円と、前年同期の6,500万円の損失から一転して黒字を確保しています。同様に経常利益は11億2,600万円、四半期純利益においても4億8,200万円のプラスとなりました。いずれの指標も前年同期比で大きく改善していることから、事業の回復基調が明確に見られます。
官公庁への依存度が高いビジネスモデルはリスク面もありますが、企業や団体からの案件増加や案件単価の上昇が業績を支えている点は注目に値します。特に企業イベントでは、商品発表会や周年記念行事などの特別なプロジェクトの受注が続いているほか、広報やマーケティング目的のイベントの需要も高まっていると考えられます。イベント事業は景気や社会動向に左右されやすい一方で、適切なリスク管理や新しいイベント形態への柔軟対応を続けることで、さらなる成長が期待されます。こうした背景を踏まえると、積極的な成長戦略とリスク分散が今後のカギを握るでしょう。
ビジネスモデルの9つの要素
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価値提案
株式会社セレスポが提供する最大の価値は、多様なイベントをワンストップで企画・運営できる点にあります。依頼した側が企画会社や施工業者を別々に探す手間を減らし、まとめて任せられる安心感を得られることが大きな強みです。さらに、経験豊富なスタッフが現場の細かなニーズに応えられるため、クオリティの高いイベントを実現できるところが顧客から評価されています。なぜそうなったのかというと、イベント業界では制作面・デザイン面・運営面など専門性が高く分業化されがちですが、同社は各工程を横断するノウハウと人材を長年蓄積してきました。この蓄積されたノウハウによって、現場対応力が強化され、突発的なトラブルにも対処できる柔軟性を保っています。また、全国展開する拠点網により、地域独自の文化や特性を踏まえたイベント企画が可能になったことも価値を高める要因の一つです。イベント参加者が「楽しかった」「思い出に残る」と感じるような体験価値を創り出すことで、クライアント企業のブランド力や自治体のプロモーション効果を高めるサポートに貢献しています。今後はオンライン配信やハイブリッドイベントなど新しい形態への対応が増えることで、さらなるバリューを生み出せる体制が求められるでしょう。同社の強みである総合力と各地に点在するネットワークが、この新しいニーズにもマッチしやすく、継続的に高い付加価値を提供できると考えられます。これらの要素が合わさって、多様なニーズに柔軟に応える総合力という価値を提案し続けているのです。 -
主要活動
同社が中心的に行う活動は、イベントの企画段階から当日の運営管理、そして事後のフォローアップまでを一貫して請け負うことです。企画面ではイベントのコンセプト立案や全体構成のデザイン、ステージやブースの演出方法の提案などを行います。施工面では舞台の設置や機材の準備、音響・照明の手配など専門的な部分を管理し、イベント当日はスタッフの配置や来場者への案内誘導など、安全かつスムーズに運営するための統制を担います。なぜそうなったのかというと、もともとイベント運営では複数の専門会社を調整する必要があり、それらの連携ミスや情報共有不足が大きなトラブルの原因になりがちでした。同社は企画から運営まで一貫して引き受ける仕組みを整えることで、こうしたリスクを最小限に抑え、品質を安定させることに成功してきました。さらに、イベント終了後には効果測定や改善点の洗い出しを行い、次回以降の企画に活かすサイクルを回しています。その結果、リピート顧客が増加し、長期的な信頼関係を築くことができています。また、近年ではオンライン配信やデジタル技術を活用したイベントの企画・運営も主要活動の一環として組み込まれています。コロナ禍以降、非対面での催し物が注目を集めるようになり、企業の記者発表会や製品リリースのライブ配信など、多様なニーズに応える活動も行っています。これらの積極的な取り組みによって、新しい時代のイベントニーズを取りこぼすことなく吸収しているのが同社の強みとなっています。 -
リソース
同社が持つリソースは、大きく分けて人材、拠点ネットワーク、そして蓄積された専門ノウハウにあります。人材面では、企画・デザイン・舞台演出などクリエイティブなスタッフだけでなく、大規模イベントを運営し慣れたディレクターや現場管理のスペシャリストが数多く在籍しています。なぜそうなったのかというと、イベント成功に欠かせないのは柔軟な対応力であり、突発的な変更やトラブルに即応できる人材の存在が不可欠です。同社は長年の実績を通じて多様な現場を経験し、そこで得たノウハウを組織内に吸収しながら人材育成を行ってきました。拠点ネットワークに関しても、全国展開によって地方の特性を熟知したスタッフが地元の協力会社や自治体と連携しやすくなっています。これにより、遠方のイベントでもクオリティを落とさず運営できる体制を持っています。さらに、デジタル技術やオンラインプラットフォームを活用した新しいイベント形態にも対応できる研究開発のリソースを内包している点が特徴です。たとえば、動画撮影やライブ配信に必要な機材やノウハウを内部で保有することで、外部委託に比べてスピーディにプランを実現しやすい状況が作られています。こうしたリソースの充実によって、顧客が求めるイベントのイメージを高いレベルで具現化し、成功へと導く土台が築かれています。 -
パートナー
同社が業務を円滑に進めるためには、協力会社やサプライヤーとの連携が欠かせません。特に舞台機材や照明設備、会場装飾などの専門分野は、外部のパートナー企業と強固なネットワークを築くことでスムーズに手配することが可能です。なぜそうなったのかというと、イベントの種類によって必要とされる機材や規模が大きく変動するため、自社内だけですべてをまかなうのは非効率になりがちです。そのため、信頼できる外部企業とパートナーシップを組むことで、柔軟に対応できる体制を維持しています。さらに、官公庁や自治体とも良好な関係を築いており、公共イベントや地域活性化プロジェクトを進めるうえで必要な許認可や手続き面のサポートを得やすくなっています。また、同社は長い歴史の中でパートナー企業との信頼関係を深めてきたため、緊急時に機材の追加手配やスタッフの増員が必要になった際にもスピーディに対応してもらえる強みがあります。このように、複数のパートナーと相互補完的な役割を担うことで、同社のサービス全体の品質と顧客満足度を高められているのです。イベントの成功には数多くの要素が絡み合いますが、その土台を支えるのは強固な協力体制であり、それが高品質なイベント運営へとつながっています。 -
チャンネル
イベント案件の獲得には直接営業が欠かせませんが、WebサイトやSNS、さらには顧客からの紹介も同社にとって重要なチャンネルとなっています。なぜそうなったのかというと、イベントの規模や内容が多様化している現代では、従来型の営業だけでは対応しきれない場面が増えています。Web上で企画実績や運営例をチェックしたうえで問い合わせが入るケースも多く、デジタル時代ならではの情報発信が見込み顧客を取り込む手段として機能しているのです。また、官公庁や大企業の案件は入札制度や既存のパートナー枠が影響するため、関係構築が長期的に求められます。そのため、過去の実績をアピールしつつ、行政や企業のニーズに合わせた提案書を作成し、直接訪問してヒアリングを行うといった地道な営業活動も続けられています。一方で、社内で実績を上げた成功事例をSNSなどで紹介し、それを見た他の企業から問い合わせが入るという好循環も生まれています。こうしたチャンネルの多様化によって、多種多様なイベント案件を取り込むことができ、その結果として売上増や知名度向上へとつながっているのです。 -
顧客との関係
同社は案件ごとに契約を結んでサービスを提供する形をとっていますが、リピート率が高い顧客も多く見られます。これは、イベントの成功実績やスタッフの対応品質に対する評価が高まり、次回も依頼したいという信頼関係が生まれるためです。なぜそうなったのかというと、大規模イベントほど安全管理や段取りの良さなどが極めて重要になりますが、同社は過去の膨大な運営実績に基づいたノウハウを持っています。顧客からすると、自社が開催したいイベントの意図をくみ取り、細かい要望にも迅速に対応してもらえる安心感が大きいと感じられます。また、イベント後のフォローアップや追加提案などのサポート体制がしっかりしていることで、長期的なパートナーシップを築きやすいのです。官公庁や自治体の場合は入札という形式を取るものの、同社の経験値の高さが評価されてリピート発注につながるケースもあります。イベントの特性上、計画から本番までの期間が限られる場合もあるため、気心の知れた業者に依頼できるメリットは大きいといえるでしょう。こうした継続的な関係が売上の安定やリスク分散にも寄与しており、企業の成長を支える要素となっています。 -
顧客セグメント
顧客セグメントは官公庁、企業、団体、個人など非常に幅広いですが、売上の主軸を占めるのは官公庁と企業です。大規模なプロジェクトを実施する予算や意志があるのは、やはり公共セクターと法人が中心になりやすい傾向があります。なぜそうなったのかというと、イベントの規模が大きくなるほど必要な人材や資材、そして予算が増えるためです。官公庁の場合は地域振興や観光促進を目的としたイベントに力を入れることがあり、同社の全国拠点ネットワークと運営ノウハウが求められます。一方、企業の場合は新製品の発表や周年記念、株主総会の開催など、定期的にイベントを行うニーズがあります。団体や個人向けの小規模イベントもカバーできる体制は整っていますが、全体の売上に占める比率としては大口案件が多い官公庁や企業のほうが大きくなりがちです。とはいえ、最近ではオンラインセミナーや地域特産品のプロモーションイベントなど新しい形態の案件も増えており、幅広いセグメントにアプローチすることで、安定した収益源を確保する狙いもあるようです。この多様な顧客層をバランスよく取り込むことで、経営リスクを分散しつつ成長を続けている点は注目に値します。 -
収益の流れ
同社の主な収益はイベントの企画・運営などの受注によるものです。具体的には、企画費、制作費、舞台装飾や機材手配費、当日の運営管理費などをパッケージで請求するケースが多く見られます。なぜそうなったのかというと、多様な工程を一手に引き受ける総合サービス企業としての強みを最大限活かす料金体系を構築しているためです。加えて、オンライン配信の構築サポートや映像制作、デジタル技術を活用した演出などをオプションとして追加することで、収益の幅を拡大しています。案件の規模によって単価は大きく変わりますが、一つのプロジェクトで高額な売上を計上できるのがイベント業の特徴でもあります。さらに、長期的な顧客とのリテンションが高い場合は、定期的なイベントやキャンペーンの企画依頼が入りやすくなり、一定の安定収益を見込めます。こうした仕組みによって、同社は官公庁や企業からリピートを取りやすくし、着実に売上を積み上げるモデルを確立しているのです。 -
コスト構造
イベントを運営するにはスタッフの人件費や資材費、外注費など多岐にわたるコストが発生します。人件費に関しては、正社員だけでなくアルバイトや派遣スタッフを必要に応じて調整しながら使うことで、一時的に大きな人数を動員することを可能にしています。なぜそうなったのかというと、大型イベントのシーズンや特定の週末に稼働が集中することが多く、柔軟な労働力の確保が必要だからです。資材費や外注費では、舞台設営会社やデザイン会社に支払うコストが大きな割合を占めます。拠点ネットワークを活かして地元企業と連携することで運送費用や保管費用を削減し、全体のコストを抑える工夫も行われています。また、オンラインイベントに必要な配信機材やシステムの導入費用も新たに加わっており、これらをバランスよく管理することで利益率を確保するのが大切です。同社の場合、一定の規模や継続的な受注があるからこそコスト効率の改善が可能であり、規模の経済が働きやすい体制を構築しているといえます。
自己強化ループについて
同社の自己強化ループは、イベント受注の増加がさらにイベント品質を向上させ、顧客満足度を高めることで新規顧客を呼び込むという好循環にあります。まず、新しく受注した案件が成功すると、現場で得られたノウハウやスタッフの経験値が蓄積されます。その経験を次のイベントで活かすことで、施工や運営のクオリティがより高いレベルに到達するのです。さらに、それによって顧客が抱く「信頼感」が強まり、リピート発注だけでなく、口コミや紹介を通じた新規案件の獲得につながります。同社の強みである全国拠点ネットワークや幅広い人材は、より多くの案件をこなすことで連携力を強め、オペレーションの標準化を進められるようになります。スタッフ間の情報共有やトラブルシューティング事例が増えれば増えるほど、想定外のリスクにも即座に対応できるようになるので、イベント運営の総合力がさらに向上します。これによってまた新たな案件が舞い込み、売上と利益が安定的に拡大するというフィードバックループが完成しているのです。官公庁や大企業案件は一度成功すると、その後の入札参加や追加発注に優位性を持ちやすいため、大型案件ほど自己強化ループを強固にしやすいと考えられます。このように、受注拡大と品質向上の相乗効果を生み出す仕組みが同社の安定的かつ持続的な成長を支えるエンジンとなっているのです。
採用情報
同社の採用情報では、初任給は月給22万円程度からスタートすることが多いようです。年間休日数は120日ほど確保されており、イベント業界の中では比較的休みがしっかり取れる環境だといわれています。採用倍率は職種や時期によって異なりますが、人気の職種では10倍以上になることもあるため、応募者としては業界への熱意や企画力などをしっかりアピールする必要がありそうです。現場での経験値が重視されるため、新入社員であっても早期からプロジェクトに携わる機会が多く、成長を実感しやすい職場環境といえます。
株式情報
株式としては、証券コード9625で上場しており、2025年3月期の期末配当予想が1株当たり30円と発表されています。前期実績の23円から増配となり、業績回復に伴う株主還元の強化がうかがえます。2025年2月10日時点では1株当たり1,102円ほどの株価がついており、業績の伸びが株価にも反映されるかどうか注目されているところです。配当利回りもそれなりに期待できる水準であり、投資家にとっては成長性と安定的な配当の両方を兼ね備えた銘柄としてチェックしておく価値があるでしょう。
未来展望と注目ポイント
今後の展望としては、官公庁への依存度を下げつつ、企業イベントやオンライン開催のサービスを拡充していくことが大きなテーマになると考えられます。イベントは景気や社会情勢の変化に影響を受けやすい一方で、企業のマーケティングや地域振興という観点からは今後も高い需要が見込まれます。さらに、オンライン配信やバーチャル空間を使った新しいイベント手法の進化が続いており、これに素早く適応して付加価値を高められるかどうかがカギを握りそうです。全国ネットワークと蓄積されたノウハウは他社には真似しにくい資産ですが、そこであぐらをかくことなく、新技術や新たな顧客層へのアプローチを積極的に展開する必要があります。また、指名停止措置の影響が大きかった過去の教訓から、リスク分散と企業ガバナンスの強化を図ることで安定経営を目指している点にも注目したいです。自社内でのデジタル技術やクリエイティブ力の強化を進め、他社との差別化を図ることができれば、企業や地方自治体が実施する大型プロジェクトをさらに多く手がける可能性も高まるでしょう。今後は国際的なスポーツ大会や観光イベント、企業の海外展開に伴う国際的イベントなど、大きなチャンスが訪れる局面が来るとも期待されています。これらのチャンスをつかみ取りながら、安定的な収益基盤を強化することで、さらに大きな成長曲線を描くことが期待されるでしょう。
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