企業概要と最近の業績
セーフィー株式会社
2025年12月期第1四半期の決算短信によりますと、売上高は4,223百万円（前年同期比22.5%増）と大幅な増収を達成しました。
一方で、営業損失は20百万円（前年同期は99百万円の損失）、経常損失は26百万円（同117百万円の損失）、親会社株主に帰属する四半期純損失は62百万円（同126百万円の損失）となり、赤字幅は大幅に縮小しています。
クラウド録画サービスの月額経常収益（ARR）が123億円（前年同期比26.8%増）に達するなど、課金カメラ台数が順調に増加したことが増収に貢献しました。
特に、卸売チャネルでの販売が好調だったことがカメラ台数の成長を牽引しています。
損失幅の縮小は、増収効果に加え、販売費及び一般管理費を抑制したことによるものです。
2025年12月期の通期業績予想については、2月に公表した数値を据え置いています。
【参考文献】https://safie.co.jp/ir/
価値提案
株式会社セーフィーは高品質な映像管理とAI解析を活用し、利用企業にとって分かりやすく、導入しやすいクラウドサービスを提供しています。
クラウド録画サービスによって24時間いつでも映像が確認できるだけでなく、人数カウントや動きの検知などAIによる高度な分析を行うこともできます。
【理由】
従来は専用の録画装置や管理ソフトが必要で初期投資が大きくなりがちでしたが、クラウドを使うことで初期費用と管理コストを抑え、拠点が増えても手間をかけずにシステムを拡張できるようになったからです。その結果、建設現場や小売業などさまざまな業種が映像データを有効活用しやすくなり、セーフィーは幅広い顧客層を獲得できるビジネスモデルを確立しているのです。
主要活動
同社の主要活動はクラウドプラットフォームの開発と運用、さらにAI技術の研究開発です。
カメラで撮影した映像を安定してクラウドに保存し、必要なときにすぐ取り出せる環境の維持を行っています。
そしてAI解析の分野では、人の動きを自動で認識したり、画像の中から特定の物体や人物を検出する技術を日々高めています。
【理由】
現場の安全管理や小売店での販売促進など映像解析のニーズが多様化しており、単なる録画だけでは差別化が難しくなってきた背景があります。そのため、先進的なAI機能を組み込むことで映像を「ただ見るだけ」で終わらせず、経営や顧客体験の向上に役立つヒントを得られる仕組みを提供できるようになりました。
リソース
株式会社セーフィーにとって大切なリソースは、高度なクラウドインフラとAI技術を支えるエンジニアチームです。
サービスが安定稼働し、拡張性を維持するためにはクラウド上のサーバー構成やセキュリティ、データ処理技術を熟知していることが求められます。
【理由】
映像データは容量が大きく、リアルタイムでの解析には高度な開発力が必要だからです。さらにAI機能を支えるための研究開発や実装を行う優秀な人材の確保も欠かせません。
これらのリソースがそろっているからこそ、クラウド録画とAI解析を両立し、高画質かつ使い勝手のよいサービスを提供できるのです。
パートナー
同社は販売代理店やOEM提携企業との協力を重視しています。
カメラメーカーとの連携や建設現場に機材を納入する企業との協力体制を築くことで、幅広い業界にクラウドカメラを導入しやすくしています。
【理由】
クラウド録画サービスを単体で売り込むだけではカバーしきれない業種が多いためです。パートナーを通じて自社のソリューションを広めることで、設備工事や運用まで一気通貫に提供できる環境を整えています。
このように、強固なパートナーシップがあるからこそ、スピーディーに市場のニーズに応えながら事業拡大を実現しやすくなっています。
チャンネル
自社の営業チームによる直販活動と、販売パートナー経由の拡販が主要なチャンネルです。
公式サイトやオンラインでの説明会を行いながら、実機デモを活用してセキュリティ効果や利便性を訴求しています。
【理由】
映像サービスは導入後のサポート体制も重要であり、直接コミュニケーションを取ることで不安を解消しやすいからです。一方で代理店やシステムインテグレーターを通じて提案を行うことで、セーフィーがカバーしきれない地域や業種へリーチできるメリットがあります。
このように多様なチャンネルを持つことで、新規顧客の獲得チャンスが広がっています。
顧客との関係
BtoB向けに継続的なサポートを提供しているため、契約後も顧客からの問い合わせや要望にこまめに対応する仕組みがあります。
【理由】
クラウド録画サービスは日常的に利用されるため、映像のトラブルやAI解析の精度向上など細かなフォローが必要になるからです。セーフィーは週次で顧客の声をレビューし、サービスの改善や新機能の開発に役立てているため、顧客満足度を高めやすい体制を整えています。
その結果、契約を継続しやすくなり、リカーリング収益の拡大につながる好循環を生み出しています。
顧客セグメント
建設業や小売業だけでなく、工場や物流、サービス業など幅広い業種がセーフィーの顧客層です。
【理由】
映像が必要とされる現場は多岐にわたり、防犯や安全管理だけでなく、マーケティングやサービス品質の向上などにも映像データが活用されるようになったからです。例えば飲食店では、混雑状況をリアルタイムに把握したり、オフィスではセキュリティ強化と受付管理に役立てるなど、用途が多様化しています。
このようにニーズの広がりから、多くの業界に対して柔軟にソリューションを提供できる体制を整えています。
収益の流れ
主な収益はクラウド録画サービスの月額利用料やAI解析サービスの追加料金など、定期的に発生するリカーリング収益が中心です。
さらにカメラ本体の販売や関連機器の提供からも利益を得ています。
【理由】
映像データを保存・解析する仕組みは継続利用が前提となるため、月額課金モデルとの相性が良いからです。導入する企業が増えるほど安定収益が積み上がり、会社としては長期的な資金計画を立てやすくなります。
その一方で顧客側も必要な期間だけ柔軟に利用できるため、両者にとってメリットのある仕組みになっています。
コスト構造
開発に関わるエンジニアなどの人件費と、大容量の映像データを扱うためのクラウド運用費が主なコストです。
【理由】
顧客が増えるほど映像データの保存量やAI解析の負荷が増え、サーバーやネットワークにかかる費用も拡大するからです。さらに最新のAI技術を導入するには研究開発投資が必要であり、常に革新的なサービスを提供するためにはコストを惜しまない姿勢が求められます。
このように投資が大きくなる一方で、顧客数が増えればスケールメリットも得られやすく、長期的には収益性を高めることが可能と考えられています。
自己強化ループ
株式会社セーフィーでは、利用企業からの要望や問い合わせを短いスパンで集約し、サービス開発に反映する体制を取っています。
例えば週単位で顧客の声を確認して、困っている部分や欲しい機能を素早く把握することができます。
こうしてアップデートされたサービスが利用者に再度提供されると、さらに使用感に対する新たな意見が集まり、改良サイクルを回すことができるのです。
これによって顧客満足度が高まり、契約継続率が上昇し、追加サービスの利用も増えていきます。
結果的に会社に安定した収益がもたらされ、その収益がまた開発投資に回り、高性能なAI解析や機能強化へとつながります。
こうした自己強化ループによって、市場のニーズに合わせた迅速な進化が可能となっています。
採用情報
初任給や平均休日といった具体的な条件は公表されていませんが、高い技術力を持つエンジニアをはじめ、クラウドやAIに精通した人材を積極的に求めています。
AI解析や大容量データの運用に関わる職種は専門性が高いため、採用倍率も一定程度高いことが予想されます。
セーフィーのような成長企業で先端技術に関わりたい方にとっては、大きなやりがいを得られる環境と考えられます。
株式情報
株式会社セーフィーは銘柄コード4375で上場しています。
現在は事業拡大を重視しているため配当金は行っておらず、利益の多くを研究開発や市場拡大に振り向けています。
一株当たりの株価は日々変動しているため、投資検討の際には最新の価格やIR資料をチェックする必要があります。
成長段階のテクノロジー企業として評価される一方、先行投資に伴うリスクもあることから動向が注目されています。
未来展望と注目ポイント
今後はAI解析をさらに強化し、映像に映る人や物の動きをより高精度に分析する技術が鍵になるとみられています。
これにより、防犯や安全管理だけでなく、マーケティングデータの収集やサービス品質の向上など新しい使い方が広がっていくでしょう。
さらにクラウド録画サービスの需要は、リモートワークやオンラインサービスの普及とともに増加が見込まれます。
セーフィーは既に屋外向けのSafie GOやウェアラブルタイプのSafie Pocketなど、用途に応じた多彩な製品を展開しています。
今後はより多くの業種や企業規模に合わせたサービスアップデートが期待され、それに伴うリカーリング収益の拡大も見込まれます。
現時点では先行投資による営業損失が続いていますが、技術力と拡張性によって黒字化へ向けた道筋をつかめるか注目されています。
これからも導入企業の数やAIの開発状況に合わせて、大きな成長機会が訪れる可能性が高い企業といえるでしょう。
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