株式会社タツモ 成長戦略の鍵を握るビジネスモデルを徹底解説

機械

企業概要と最近の業績

株式会社タツモ

半導体や液晶パネル、有機ELパネルなどを製造する過程で使われる、様々な精密装置を開発・製造しているメーカーです。

事業は大きく3つの分野に分かれています。

1つ目は、半導体の製造工程でウェーハを剥がしたり、貼り合わせたりする装置などを手がける「半導体関連事業」です。

2つ目は、液晶や有機ELパネルのガラス基板に液体を精密に塗る「コーター・デベロッパー」という装置などを製造する「ディスプレイ関連事業」です。

3つ目は、工場内で製品を自動で搬送するシステムなどを扱う「その他(物流・FA関連)事業」です。

2025年8月6日に発表された最新の決算によりますと、第2四半期累計(2025年1月〜6月)の売上高は109億8,500万円となり、前年の同じ時期と比較して34.4%の大幅な増加となりました。

半導体関連事業では、次世代半導体向けの装置の受注が好調で、売上が大きく伸びました。

ディスプレイ関連事業においても、顧客であるパネルメーカーの設備投資が回復してきたことにより、受注が増加しました。

これらの増収効果により、営業利益は11億4,900万円となり、前年の同じ時期の9,200万円の損失から黒字に転換し、業績は大きく改善しました。

【参考文献】https://www.tatsumo.co.jp/

価値提案

株式会社タツモの価値提案は、顧客の求める高精度や高信頼性に応えるための完全オーダーメイド装置を提供している点です。

半導体製造工程では微細な作業が必要であり、装置のほんの少しの誤差が歩留まりを大きく左右します。

同社はその高い技術力を活かし、精密な制御やクリアランスを実現できる設備を設計しています。

【理由】
AIや自動運転など新しいテクノロジーが普及するにつれ半導体の開発競争が激化し、より厳密な製造工程が求められているからです。

この要望を満たすには汎用品よりも特注のほうが顧客に最適なソリューションを提供できるため、オーダーメイドの強みが重要となりました。

主要活動

同社の主要活動は、製品の開発や設計をはじめ、装置の製造そして販売まで一貫して行うことです。

特に半導体製造装置では、顧客の生産ラインに合わせて細部を調整する工程が欠かせません。

【理由】
半導体や液晶パネル製造装置は大量生産される汎用機でカバーできない特殊な要望が多いためです。

設計から納品後のサポートまでワンストップで請け負うことで、顧客が安心して導入できる体制を築き、リピート受注にもつなげやすくなっています。

リソース

リソースとしては、高度な技術力を有したエンジニアや研究者、そして先進的な開発設備が挙げられます。

【理由】
半導体関連の装置は小さな誤差やクリーン度の違いが製品の品質を大きく左右するため、高いスキルと精密な組立が欠かせないからです。

また、岡山県岡山市を中心に展開する開発拠点や工場群では、実際の生産装置をテストしながら改良を重ねることが可能です。

こうしたリソースがあるからこそ、高度な顧客ニーズに応えられる体制を確立しています。

パートナー

パートナーには、国内外の半導体メーカーやフラットパネルディスプレイ企業などの顧客企業、そして関連する子会社や部品のサプライヤーが含まれます。

【理由】
装置のカスタマイズには専門分野を熟知した企業との連携が不可欠であり、一社単独では成しえない大規模なプロジェクトが多いからです。

協力関係を深めることで最新部品の安定供給や共同開発がスムーズに進み、より高性能な装置を生み出せるというメリットがあります。

チャンネル

チャンネルは主に直接営業や技術サポートの部門です。

【理由】
高度な装置を販売する場合、専門知識をもつスタッフが顧客の要望を正しく把握し、装置仕様の提案から導入後のアフターサービスまで担当する必要があるためです。

顧客に対しては、東京など都市部の営業所や岡山の本社・工場を拠点に密着した対応を行い、細かい相談を受ける仕組みを整えています。

顧客との関係

顧客との関係は、オーダーメイド製品を通じて極めて密接です。

【理由】
半導体やディスプレイ製造は企業ごとに製造ラインの条件や製品コンセプトが異なり、微調整が必要となるからです。

製造装置の仕様を詰める段階で顧客との綿密なコミュニケーションが発生し、納品後もアフターサービスや改良提案を続けることで信頼関係を築いていきます。

その結果、長期的なパートナーシップが育まれています。

顧客セグメント

顧客セグメントとしては、半導体メーカーやディスプレイ製造企業が中心です。

【理由】
同社の装置がこれらの企業の製造工程に深く関わり、微細化や高精細化を必要とする最先端分野で特に効果を発揮するからです。

幅広い業界のトレンドを追いかけるのではなく、特定の分野に特化することで技術開発の精度や顧客ニーズへの対応力を高めてきました。

収益の流れ

収益の流れは主に製品の販売収益と、導入後のメンテナンスや改良などのアフターサービス収益から成り立ちます。

【理由】
高度な製造装置は一度導入して終わりではなく、定期的な保守や部品交換、技術アップデートが必要だからです。

このアフターサービスが顧客の安定稼働に直結するため、同社としても継続的な収益の確保と顧客満足度の向上を両立できる仕組みとなっています。

コスト構造

コスト構造は研究開発費と製造コスト、人件費が主になります。

【理由】
半導体やディスプレイ製造装置の革新速度が速く、常に研究開発を怠ると競合に遅れをとるからです。

また、オーダーメイド製造には高度な技能を持つエンジニアが欠かせないため、人件費が大きなウェイトを占めることも特徴といえます。

自己強化ループ

株式会社タツモが成長を続けられる理由の一つとして、自己強化ループが挙げられます。

半導体やディスプレイの製造企業から寄せられる要望を丁寧にヒアリングし、実際の装置に反映させることで新たな技術が蓄積されていきます。

そして、こうして生まれた最新技術をふたたび新規顧客への提案に活かし、さらに採用を獲得することで追加の投資が可能になるという好循環が生まれるのです。

また、装置を導入した顧客からのフィードバックが次の製品開発に直結するため、製品の精度や信頼性が着実に高まり、自然と競合他社との差別化が進んでいきます。

こうした流れが続くほど、タツモ自身の技術力と知見が拡大し、さらに多角的な分野にも進出しやすくなるというメリットが生まれます。

採用情報と株式情報

採用情報においては、設計職(機械、電気、ソフト)やセールスエンジニア(営業)を募集しています。

勤務地は本社や工場のある岡山県、そして東京営業所などです。

初任給や平均休日、採用倍率は公表されていませんが、高度な専門知識が求められることからエンジニア志望の方に注目されやすいと考えられます。

株式については、東証プライム市場に上場しており、銘柄コードは6266です。

配当金に関するリリースも定期的に行われており、最新の配当方針や1株当たり株価はIR資料や金融情報サイトを参照して確認すると安心です。

未来展望と注目ポイント

今後はAIや自動運転、電気自動車などの分野で半導体の需要がさらに増加すると予想されており、製造装置を手掛けるタツモにとっても新たなビジネスチャンスが広がると期待されています。

既に自動車の省エネ化や安全性能向上などで半導体の重要性が高まっていますが、5Gや高速通信の普及によってさらに高性能なチップが求められるため、装置への要求も厳しくなります。

このとき、オーダーメイドで高精度・高信頼性を実現できるタツモの技術力が強みとなるでしょう。

さらにFPD製造装置の分野でも、スマートフォンや大型ディスプレイなどの需要が拡大を続けています。

こうした成長戦略を踏まえると、同社の装置開発力はますます重要度を増し、新技術の実装も加速していくことが考えられます。

新しいパートナー企業との協業や研究開発投資の拡大によって、高付加価値製品のラインナップを拡充することで、競合との差別化も進むでしょう。

これらの展開から目が離せない企業といえます。

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