企業概要と最近の業績
株式会社ダイセキ
産業廃棄物の収集・運搬から中間処理、リサイクルまでを手掛ける環境関連事業を主力としています。
特に、廃油や汚泥などの液体廃棄物の処理・再資源化に強みを持っています。
また、子会社を通じて、汚染された土壌の浄化処理や、固形廃棄物のリサイクルなども行っています。
2026年2月期第1四半期の連結業績は、売上高が165億8,300万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は45億1,200万円(同8.1%増)と増収増益でした。
経常利益は45億3,500万円(同8.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は31億5,800万円(同7.9%増)といずれも好調です。
製造業の生産活動が回復基調にあることを背景に、主力の産業廃棄物の受入量が堅調に推移しました。
また、原油価格の上昇に伴い、廃油をリサイクルした再生燃料の販売価格が上昇したことも利益を押し上げる要因となりました。
価値提案
株式会社ダイセキは、環境負荷を低減しながら資源を有効活用することを大きな価値としています。
廃油や廃液、金属スクラップなどの再資源化を通じて、本来であれば廃棄されるはずだったものを新たな原料や製品に変えています。
これにより顧客企業は廃棄コストや環境リスクを低減でき、同時にリサイクル製品の販売によって利益を得る仕組みが生まれます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、社会全体で環境規制が強化され、持続可能な社会の実現が重要視されるようになったからです。
また企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが重視される風潮の中で、廃棄物削減と資源循環の両方を可能にするダイセキのサービスは高い評価を得やすく、その結果として価値提案がより明確になりました。
さらに、顧客企業側も環境対策を強化したい思惑があり、廃棄物から価値を生む手段を求めた結果、ダイセキのソリューションが選ばれるようになったのです。
主要活動
同社の主要活動は、産業廃棄物の収集から処理、そして再資源化や販売まで一貫して行うプロセスにあります。
具体的には、産業現場で発生する廃油や廃液を安全に回収し、自社設備で適切な処理を行い、それを再び利用可能な素材や製品へと変えていきます。
土壌浄化や金属リサイクルも同じ流れで行い、汚染された土壌を清浄化し再利用を図る、金属スクラップを新たな材料として提供するなど、多角的に環境ビジネスを展開しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、一連のプロセスを自社で完結させることで品質管理とコスト管理を徹底でき、外部委託に伴うリスクを減らせるからです。
さらに汚染物質や有害な廃棄物を扱うため、高度な技術力と厳格な安全対策が求められますが、こうしたノウハウを自社で蓄積することによって他社に参入しにくい強みが生まれます。
リソース
株式会社ダイセキの最大のリソースは、高度な処理技術と専門知識を有する人材です。
特に廃油や廃液など、化学的知識や現場経験が求められるものを扱うため、高度な資格と技術を持つスタッフの存在が不可欠です。
さらに、大規模な処理設備や研究開発拠点も大切なリソースとなっており、そこから生まれる新技術や効率化の仕組みが、会社全体の競争力を支える要因になっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、廃棄物処理やリサイクルは規制や技術レベルが年々高まっているため、一般的な企業では簡単に行えない複雑なプロセスが含まれるからです。
そのため社内で豊富な経験を積み上げ、最新の処理方法を研究し続けることで、他社にない専門性と信頼性を確立し、環境ビジネスのリーダーとしての地位を築いているのです。
パートナー
同社が事業を円滑に進めるためには、自治体や産業界、そして研究機関との連携が重要な役割を果たします。
自治体との協力によって法規制の情報を素早くキャッチし、公共事業としての土壌浄化や廃棄物処理案件を受託するケースもあります。
さらに製造業や建設業の企業と長期契約を結ぶことで、安定的な廃棄物供給とサービス提供を可能にしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、廃棄物処理は単に「捨てる」だけでなく、法的要件や安全基準の順守が必須であり、自治体や業界団体との情報共有が欠かせないからです。
また研究機関との連携により、新たなリサイクル技術や処理技術の開発が進み、既存の設備に改良を加えるなど、より高い付加価値を生む取り組みが実現しやすくなります。
チャンネル
同社のチャンネルは大きく分けて、直接の営業活動とオンラインプラットフォームの活用があります。
直接の営業活動では、産業現場に足を運び、現場担当者や自治体の窓口と対面で交渉することが中心です。
廃棄物やスクラップの種類や量、処理方法などが細かく異なるため、現場の実情に合わせた提案や技術的な説明が求められます。
一方、オンラインプラットフォームは会社の公式ウェブサイトや問い合わせフォームなどを通じて、処理可能な廃棄物の種類や料金の概算などを案内し、顧客が簡単に相談できる仕組みを整えています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、高度に専門化したサービスを提供するためには、顧客が気軽に相談しやすい環境が必要であり、同時に現場でのきめ細かい対応も欠かせないからです。
顧客との関係
株式会社ダイセキと顧客企業の多くは長期的な契約関係を築いていることが特徴です。
廃棄物の処理は継続的に発生するため、定期契約を締結することで顧客は処理費用の予算化がしやすくなり、同社としても安定収益を見込めます。
さらにカスタマーサポートの面では、新しい規制への対応やリサイクル技術のアップデートに関して、常に顧客と情報共有を行い、最適な処理方法を提案する姿勢を大切にしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、産業廃棄物に関する法律やガイドラインは頻繁に改定が行われるため、専門家の助けなしには遵守が難しい側面があるからです。
そこで同社が最新情報を提供し続けることで、信頼関係が深まり、継続的に契約を更新する顧客が増えているのです。
顧客セグメント
主な顧客セグメントとしては、製造業や建設業、自治体などが挙げられます。
製造業や建設業では、日常的に金属スクラップや廃油が発生するため、安定したリサイクルサービスが欠かせません。
また、自治体は地域の土壌浄化や公共施設の廃棄物処理などを依頼することが多く、同社にとっては大口の案件になる可能性があります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、これらの業界や行政機関はリサイクルや環境保護の責任が大きく、コンプライアンス遵守や地域社会への配慮が求められるからです。
そのため、確かな実績と安全管理を持つダイセキのような企業が選ばれやすくなり、長期的な取引につながるのです。
収益の流れ
同社の収益は、大きく分けて廃棄物処理料金とリサイクル製品の販売収益に分かれます。
まず廃棄物処理料金では、産業廃棄物を安全かつ合法的に処理・浄化する対価を顧客から受け取ります。
さらにリサイクル製品の販売収益では、回収した廃油から生成した再生燃料、あるいは金属スクラップから再生した金属などを市場に販売することで利益を得ています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、廃棄物の処理だけでなく、そこで生まれる副産物を有効利用することで、環境負荷を減らしつつ新たな収益源を生み出せるからです。
結果として、顧客企業はコストを抑えられ、同社もリサイクル製品販売という形で収益を拡大でき、経済合理性と環境保護が両立する事業モデルが確立しました。
コスト構造
同社のコスト構造は、人件費や設備維持費、研究開発費などが中心です。
廃油や廃液、汚染土壌を適切に処理するためには、高度な技術と専用の施設が必要です。
そうした施設や機器の導入コストは大きいですが、一度導入すれば長期的に安定した処理が可能になります。
さらに研究開発費については、新しいリサイクル技術や効率的な処理方法を追求するために投資を行い、こうしたイノベーションが競争力の源となります。
【理由】
なぜそうなったのかというと、廃棄物処理業は法規制や安全基準が厳しく、常に最新の技術対応が求められる業界だからです。
また人件費がかさむのは、資格を持つ専門家や技術者を多く抱える必要があるためであり、その分、他社が簡単には参入できない参入障壁が形成されているのです。
自己強化ループ
株式会社ダイセキが事業を成長させる過程では、プラスの循環が働いています。
まず環境意識が高まると、企業や自治体は信頼できる廃棄物処理業者を求めるようになり、ダイセキのサービスに注目が集まります。
契約数が増えると、同社は設備投資や研究開発への資金を拡大し、さらに高い処理技術や新しいリサイクル手法を開発できます。
こうした技術革新によって処理効率が向上し、コストが下がると顧客にとっては利用しやすい価格になるため、再び案件が増えるという好循環が生まれます。
さらにリサイクル製品の品質が上がれば販売収益も高まり、同社の財務状況が改善します。
結果として、社会全体の環境への関心を追い風に、技術革新と事業拡大が相互に影響し合いながら継続的に成長していく仕組みができあがるのです。
採用情報
ダイセキの採用情報では、大卒の初任給が月額約22万円となっています。
年間休日は120日以上であり、プライベートと仕事の両立を図りたい人にとって魅力的な条件といえます。
採用倍率は公開されていませんが、廃棄物処理やリサイクルの分野は資格や技術が必要なことも多く、専門性を高めたい方にとってはやりがいのある職場になっています。
環境ビジネスに興味を持つ人や社会貢献度の高い仕事を求める人は、ダイセキのように安定した事業基盤を持つ企業に注目するケースが増えています。
株式情報
同社の銘柄は株式会社ダイセキで、証券コードは9793です。
2024年3月期の年間配当金は1株当たり50円となっており、2025年3月4日時点の株価は約2500円で推移しています。
配当利回りは概算で2パーセント前後になり、環境ビジネスへの長期投資を考える投資家から一定の評価を受けています。
産業廃棄物処理やリサイクル事業は今後も需要が高まる見込みがあり、安定した成長を狙える可能性がある点も注目されています。
未来展望と注目ポイント
今後、ダイセキがさらに飛躍するためには、技術革新と新たなサービス領域の開拓が鍵になると考えられます。
環境保護意識の高まりに加え、行政による環境規制の強化や脱炭素社会の流れも後押しとなり、企業や自治体がリサイクルサービスを利用する機会はますます増えるでしょう。
特に汚染土壌の浄化技術や、高効率な廃油リサイクルシステムの開発など、まだ競合他社の少ない分野を深耕することで、独自の強みを確立しやすくなります。
また、金属スクラップの再利用では市場価格の変動リスクがある一方で、資源不足や循環型社会へのシフトから、リサイクル金属の需要は長期的に拡大する可能性があります。
こうした環境ビジネスの市場拡大に柔軟に対応し続けられれば、ダイセキの事業規模はさらに拡大していくでしょう。
顧客企業との長期的なパートナーシップを深め、安定収益基盤を確立すると同時に、研究開発や設備投資への再投資を続けることで、一段と競争力を高めていくことが予想されます。



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