企業概要と最近の業績
株式会社パスコ
当社は、セコムグループに属する、国内最大手の空間情報サービス企業です。
主な事業は、航空機や人工衛星、ドローンなどを用いて地上の情報を収集し、そのデータを解析・加工して、顧客の課題解決に役立つ情報やソリューションを提供することです。
その技術は、国や地方自治体による社会インフラの管理や防災計画、民間企業によるエリアマーケティングや資産管理など、幅広い分野で活用されています。
「空間情報のプロフェッショナル」として、安全・安心で快適な社会の実現に貢献しています。
2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が102億18百万円となり、前年の同じ時期と比較して7.7%の増収となりました。
経常損失は11億81百万円(前年同期は14億25百万円の損失)となり、損失幅が縮小しました。
官公庁を主な顧客とする当社の事業は、年度末に向けて業務の完成・納品が集中するため、第1四半期は例年損失を計上する傾向にあります。
当期においては、国土強靭化政策などを背景に、防災・減災やインフラ維持管理に関する業務の受注が堅調に推移し、売上は増加しました。
また、業務の効率化を進めたことなどにより、前年同期に比べて損失幅が大きく改善しました。
【参考文献】https://www.pasco.co.jp/
価値提案
株式会社パスコの価値提案は、「空間情報を活用して社会課題を解決する」ことにあります。
たとえば災害対策では、衛星や航空写真から得られるデータを組み合わせ、被害の予測や早期対応に役立つ仕組みを提供します。
【理由】
なぜこうした価値提案が生まれたかというと、近年の気候変動や都市化による災害リスクの増大が背景にあります。
社会の安心・安全を守るうえで、正確な測量データや高度な解析技術が不可欠となりました。
同社は長年の実績をもとに培ったノウハウを活かし、国や地方公共団体など多様な顧客ニーズに対応するため、このような価値提案を軸に事業を展開しているのです。
空間情報が単なる地図データにとどまらず、政策立案から民間の新サービスにまで応用されるようになり、その重要性が高まったことも理由の一つです。
主要活動
同社の主要活動は「空間情報の収集・分析・提供、そしてコンサルティング」です。
航空機や衛星を使って各地の地形や構造物を画像化し、それらを高精度な地図やデータベースにまとめます。
その後、GISなどのシステムを通じてユーザーが利用しやすい形に加工し、最適なソリューションを提案するのが主な流れです。
【理由】
なぜこのような活動が重要かというと、国土整備や社会インフラ管理において、正確な情報の可視化が不可欠だからです。
従来は限られた機関だけが利用していた高度な地理データも、クラウド技術や高速通信の普及によって一般企業や自治体も活用しやすくなりました。
これにより測量からデータ分析、さらには運用支援まで一貫してサポートする同社の活動が、多くの場所で重宝されるようになったのです。
リソース
同社のリソースは高度な技術力や専門人材、そして最先端の計測機器です。
長年にわたる測量のノウハウやリモートセンシング技術の蓄積も大きな強みとなっています。
【理由】
なぜこれが強力なリソースといえるかというと、空間情報のビジネスでは精度が何よりも重要であり、高度な測量機器や解析ソフトウェアを使いこなす人材がいなければ質の高い成果物を作れないためです。
また、同社が自社で航空機や人工衛星のデータを取得し、それを独自に解析して提供できる点は参入障壁にもなっています。
これによって大手企業や行政と長期的に取引する基盤ができあがり、リピーターの獲得にもつながっているのです。
パートナー
国や地方公共団体、海外の政府機関、そして民間企業が同社の主要パートナーです。
インフラ整備を進めるにあたっては公共事業が多く、測量や地図作成のノウハウを必要とする機会が大きいからです。
【理由】
なぜこのようなパートナーシップが重要かというと、公共事業では長期かつ大規模なプロジェクトが多く、継続的に正確なデータを提供する企業が不可欠だからです。
また、海外では衛星画像の需要が急激に増えており、国際機関からの発注も期待できます。
同社にとってはこうしたパートナーとの関係を深めることで新たなビジネスモデルも生まれ、技術開発やデータ活用の幅がさらに広がるメリットがあります。
チャンネル
同社のチャンネルは「直接営業」「ウェブサイト」「パートナーシップ」が中心です。
専門性が高い業界のため、営業担当者が直接ヒアリングを行いながらプロジェクトを受注するケースが多いです。
一方で、ウェブサイトを活用した情報発信やオンラインでの問い合わせなども増えてきています。
【理由】
なぜこうしたチャンネルが選ばれているかというと、空間情報技術はカスタマイズ性が高いサービスなので、顧客ごとに要望をしっかり吸い上げることが欠かせないからです。
また、自治体や大手企業とのつながりは長期的なパートナーシップとして確立すると、継続的に追加オーダーや新プロジェクトにつながるため、これらのチャンネルをうまく使い分けているのです。
顧客との関係
同社は「プロジェクトベースの協力」と「長期的なパートナーシップ」の両面で顧客と関係を築きます。
案件ごとに要求される測量範囲や分析レベルは異なるため、最初は個別の契約を結ぶことが多いです。
しかし、その後のメンテナンスや追加調査などが必要になる場合もあり、長期契約へと発展するケースが少なくありません。
【理由】
なぜこのように多面的な関係を築けるかというと、空間情報は一度データを取得すれば終わりではなく、定期的に更新する必要があるからです。
都市計画や防災計画も時代や環境の変化に合わせてアップデートする必要があります。
同社の専門知識は長期にわたって活用しやすく、顧客との結びつきを強固にする効果も生んでいます。
顧客セグメント
顧客セグメントは国や地方公共団体、民間企業、海外政府機関など多岐にわたります。
各種インフラ整備や災害対策で空間情報が欠かせない公共部門はもちろん、保険会社や不動産会社などリスク分析を必要とする民間も増えてきました。
【理由】
なぜこのように顧客層が広がっているかというと、データ解析技術の進歩により、地図データの活用分野が広がったからです。
たとえば農業やエネルギー業界でも、精度の高い地形情報を使って効率を上げる取り組みが行われています。
こうした動向により、同社のサービスは専門性が高い分野から一般事業者まで幅広く受け入れられているのです。
収益の流れ
収益はプロジェクト契約やサービス提供による受注型が中心です。
一度契約してデータ取得や分析を行えば、その対価として報酬が得られます。
さらに、システム運用やコンサルティングを継続するケースもあるため、保守・サポート費用が追加で発生する仕組みです。
【理由】
なぜこのモデルが成り立つかというと、空間情報は一度取得すると付加価値が高いだけでなく、最新性を保つためのアップデートも定期的に求められるからです。
また、公共事業などは長期的に安定した予算枠で進められるため、安定収益に寄与しています。
さらに、民間企業のDX推進やIR資料での投資判断にも地理データが活用されるようになり、新規受注のチャンスを広げています。
コスト構造
主なコストは「人件費」「技術開発費」「設備投資」です。
測量や解析を行う専門人材を確保し、教育するためのコストがかかります。
また、航空機やセンサーなどの計測機器は高額であり、定期的なメンテナンス費も発生します。
【理由】
なぜこうしたコスト構造になっているかというと、空間情報ビジネスは高精度かつ最新の技術を用いる必要があるからです。
技術進歩のサイクルが早い分、開発やアップデートに常に投資を行わなければ競争力を維持できません。
さらに、データを蓄積し管理するクラウド基盤の維持費用なども発生するため、初期投資と継続的な運用コストを考慮しながら事業を伸ばしているのです。
自己強化ループ
同社には高度な技術力と実績が新たなプロジェクトを呼び込み、さらに技術力と実績を強化していくという好循環があります。
まず大規模な公共事業や災害対策で成果を出すと、「パスコなら安心」という評価が生まれます。
その結果、次のプロジェクトも任されやすくなります。
その過程で新しい技術を開発したり、人材を育成したりする機会が増えていき、さらに高精度なサービスを提供できるようになります。
こうした循環が続くと社内にノウハウが蓄積し、他社がまねしにくい独自ポジションを確立できるのです。
また海外での実績を積むほどに世界規模での信頼度も高まり、新興国でのインフラ整備プロジェクトなどのオファーが増えることも期待されます。
このように、実績→評価→受注→技術力強化→さらなる実績という自己強化ループが同社の安定的な成長を下支えしています。
採用情報
同社では初任給を公表していませんが、高度な専門知識を磨ける環境が用意されています。
年間休日は120日以上で、ワークライフバランスにも配慮しています。
採用倍率は公開されていませんが、地図や測量技術に興味を持つ理系出身者だけでなく、データ解析やコンサルティングに意欲のある文系人材も活躍が期待できる分野です。
株式情報
株式会社パスコは東証スタンダードに上場しており、証券コードは9232となっています。
資本金は87億5,848万円で、投資家向けのIR資料を定期的に発信しています。
配当金や1株当たり株価は市場状況によって変化するため、最新の情報は各種証券会社のサイトなどで確認が必要です。
今後の事業拡大とともに株式市場での注目度も高まると期待されています。
未来展望と注目ポイント
空間情報は災害対策だけでなく、都市計画、物流、農業、エネルギーなど幅広い分野で利用される可能性があります。
今後はAIやビッグデータ解析を組み合わせることで、より効率的かつ高度なサービスを展開していくでしょう。
たとえば自動運転やスマートシティの分野では、高精度の地理情報が安全確保の要となります。
また国際的にも衛星画像や測量技術への需要が高まっており、新興国のインフラ開発や災害支援など、大型プロジェクトへの参画が見込まれています。
さらに、気候変動による天候リスクが増加している現代では、定期的な地形データ更新の重要性が増しています。
こうした環境変化と社会ニーズを捉え、同社が持つ長年の経験と高度な技術力を活かすことで、継続的な成長が期待されます。
今後は新たなビジネスモデルやサービス開発によって、国内外問わず大きな飛躍を遂げる可能性が高いでしょう。
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