株式会社ファンデリーの成長戦略を徹底解剖 ビジネスモデルで読み解く今後の展望

小売業

企業概要と最近の業績

株式会社ファンデリー

2025年3月期の連結業績は、売上高が34億3百万円となり、前の期と比較して11.5%の減収となりました。

営業損失は3億66百万円、経常損失は3億65百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は3億83百万円となり、いずれも赤字が継続しています。

主力のヘルスケアフード事業において、マーケティング手法の見直しによる広告宣伝費の抑制や、会員数の減少が減収の主な要因として挙げられています。

また、周辺事業として展開していた有料職業紹介事業を2024年3月に終了したことも影響しました。

利益面では、売上総利益が減少したことに加え、システム関連費用やM&A関連費用などの営業外費用が発生したことも赤字幅の拡大につながりました。

【参考文献】https://www.fundely.co.jp/

ビジネスモデルの9つの要素

価値提案

ファンデリーの価値提案は、栄養士や管理栄養士による対面に近い形でのカウンセリングを通じて、一人ひとりの健康状態に合わせた食事を提案することです。

単なる健康食品の販売にとどまらず、生活習慣病予防や栄養バランス改善といった具体的な健康課題を解決へ導くサービスを提供しています。

こうした個別最適化のアプローチが可能なのは、医療機関や介護施設との連携、自治体からの紹介などのネットワークを構築しながら、顧客のリアルな声を直接収集しているからです。

また、共働き世帯や単身者の「時短ニーズ」とも相性が良く、コロナ禍を経て急拡大した宅食市場の需要に応える形で、利用者の幅をさらに広げています。

ファンデリーならではのきめ細かなサポートこそが、高いリピート率や継続的な利用につながっているのです。

主要活動

同社の主要活動は、健康食の開発と製造、そして販売に加えて、栄養相談やマーケティング支援を行うことです。

まず、自社工場で冷凍食や特別食を製造し、顧客が抱える健康課題やライフスタイルに合わせたメニューを組み立てます。

また、栄養士によるアドバイスを提供することで、単なる商品の売り切りで終わらず、継続的に顧客の食生活改善をサポートしています。

さらに、マーケティング支援事業では、食品メーカーなどのパートナー企業のサンプル配布やプロモーションにも携わり、自社顧客基盤を活用して相乗効果を狙います。

こうした活動の背景には、信頼を軸とした長期的な顧客関係を築きたいという考えがあり、単なる宅配サービスを超えたトータルヘルスケアに近いビジネスモデルを構築している点が大きな特徴になっています。

リソース

ファンデリーが事業を展開する上で重要なリソースとなるのは、自社工場や栄養士・管理栄養士の人材、そして医療や介護などの専門領域との結び付きです。

自社工場を持つことで、旬の食材を用いた冷凍食を安定的に生産できるほか、衛生面や品質管理の徹底も行いやすくなります。

これにより、顧客の安心感を高め、リピート利用へとつなげられます。

また、栄養士・管理栄養士の存在は、顧客へのカウンセリングを実現し、きめ細かな健康状態の把握とアドバイスを提供する上で不可欠です。

さらに、医療機関や介護施設とのネットワークがあることで、生活習慣病患者や高齢者など食事制限が必要な方々へのサービス展開が円滑に進みます。

これらのリソース同士を有機的に組み合わせることで、専門性の高いサービスと安定供給体制を両立させています。

パートナー

同社のパートナーは、医療施設、介護施設、保健所、調剤薬局など多岐にわたります。

食事制限が必要な方や、栄養管理を重視する方との接点を多く持つ機関と連携することで、潜在ニーズを的確に捉えられるだけでなく、信頼性の高い紹介ルートを確立しています。

また、食品メーカーや関連企業との協業により、自社サービスを利用する顧客に新商品のサンプルを配布するマーケティング事業を展開し、業界内でのプレゼンスを高めています。

こうしたパートナーシップは、同社が提供する健康食サービスだけでなく、情報提供やサンプル配布といった付加価値にもつながっており、関係各所とのwin-winなビジネスを実現する大きな要因となっています。

チャンネル

ファンデリーのチャンネルは、カタログやECサイト、電話、FAXなど多様な手段を整えている点が強みです。

高齢者やデジタルに慣れない層には電話やFAXでの注文対応を行い、若年層や共働き世帯にはECサイト経由で簡単に商品を購入できる仕組みを提供しています。

また、医療機関からの紹介が重要な獲得チャネルとなっており、カタログを活用したオフラインでの促進とオンライン販売を組み合わせることで、幅広い顧客層へのリーチを実現しています。

こうした複数チャネルを統合的に運営することで、顧客がどのような状況でも注文しやすい環境を整え、継続利用を促すという戦略をとっているのです。

顧客との関係

同社の顧客との関係は、個別カウンセリングを行うことで深い信頼を築く点に特徴があります。

オンラインや電話を通じ、栄養バランスやカロリーコントロールが必要な方の相談に丁寧に応じることで、単に食事を売るだけでなく、その人の健康状態を総合的にサポートする姿勢を示します。

これにより、顧客は自分専用のアドバイザーがついているような安心感を得られます。

さらに、長期利用を見据えた定期購入プランを用意し、症状や生活スタイルの変化に合わせたメニュー提案を随時アップデートしていくことで、リピート顧客が増えていきます。

結果として、商品販売にとどまらない親密な関係が構築されるのです。

顧客セグメント

顧客セグメントは、生活習慣病患者やその予備軍、高齢者、さらに忙しい若年層まで多岐にわたります。

特に食事制限や栄養管理が必要な方にとって、栄養士のアドバイスは非常に心強い存在であり、高いニーズを生み出しています。

また、共働き世帯や単身者は時短や手軽さを重視するため、冷凍食品の定期配送サービスとの相性が良いと言えます。

一方で、コロナ禍を経験したことで外出を控えたい層の需要も増加し、健康維持のために自宅で手軽にバランスの良い食事を摂りたいという層にも訴求できる体制を整えています。

こうした幅広い層を取り込むことで、安定した売上の土台を築いている点が、同社の大きな強みとなっています。

収益の流れ

同社の主な収益の流れは、健康食や冷凍食の販売収益が中心です。

一定周期で購入する定期便や個別注文によって売上を積み重ねていますが、顧客に合わせた丁寧な栄養カウンセリングが付加価値となり、高いリピート率を実現しています。

また、食品メーカーからのサンプル配布業務やマーケティング支援サービスの受託収益も収益源となっており、自社の顧客基盤を活かしたBtoBビジネスとして拡大を続けています。

このように複数の収益柱を持つことで、宅配事業だけに依存しない安定経営を実現しており、新規事業への投資やサービス拡張の資金を確保しやすくしています。

コスト構造

ファンデリーのコスト構造は、製造原価や人件費、広告宣伝費が大きな割合を占めています。

自社工場での食材調達や生産ラインの稼働に伴うコスト、栄養士や製造スタッフをはじめとする人件費がベースとなります。

また、知名度向上のための広告宣伝費にも積極的に投資を行っており、特にカタログ配布やオンライン広告など、ターゲット顧客にアプローチしやすい手法を選んでいます。

さらに、顧客対応に力を入れているため、カウンセリングやフォローアップの運営費用もコストとして計上されます。

しかし、その結果としてサービス品質が高まり、リピート購入や定期契約につながるため、同社の成長を下支えする重要な投資領域となっています。

自己強化ループ(フィードバックループ)

ファンデリーの強みを支えるのは、栄養士によるカウンセリングから得られる顧客情報を新メニュー開発やサービス改善に反映させる自己強化ループです。

顧客は自身の健康状態や味の好み、調理スタイルを直接伝えられるため、より最適化された商品や献立が提案されます。

その結果、利用者の満足度が高まり、長期的に定期購入や継続利用を選択する傾向が強まります。

さらに、集積されたデータを分析することで、新たなニーズを掘り起こしやすくなり、市場に先行する形でメニューやサービスを拡充していくことが可能になります。

こうした好循環は、顧客の健康管理を継続的に支援できるだけでなく、売上増加につながり、その増収を再投資することでサービス品質が一層向上するという好影響を生み出しています。

結果として、同社が安定的に拡大するための原動力となっているのです。

採用情報

同社の初任給や平均休日、採用倍率などに関しては、公表されていません。

栄養士や管理栄養士を中心に、人材を積極的に採用している印象があります。

特に顧客とのカウンセリングで直接コミュニケーションを図ることが求められるため、栄養指導やカウンセリングスキルを身につけたい方には魅力的な職場と言えるでしょう。

株式情報

この企業は東証に上場しており、銘柄は株式会社ファンデリーで証券コードは3137となっています。

配当金や1株当たり株価に関しては公開情報が見当たりません。

今後のIR資料や決算説明会での発表などをチェックしながら、投資判断を行うことが望ましいでしょう。

未来展望と注目ポイント

ファンデリーは、ライフスタイルの変化と健康志向の高まりを背景に、宅食サービスへの需要が今後も拡大すると見込まれる中で、栄養士の専門性を活かした差別化が大きな武器になっています。

医療機関や介護施設だけでなく、自治体との連携を強化しながら、食生活の課題を抱える多様な人々にアプローチすることで、さらなる成長余地が期待できるでしょう。

加えて、マーケティング支援事業の拡大を通じて、メーカー側のプロモーションニーズと顧客への提案力を結びつけるBtoBモデルも注目度を増しています。

こうした複数の収益軸を確立しながら、自社工場の生産体制をアップデートし、商品ラインナップを拡充することで、市場に先駆けた新サービスの提供が可能となります。

健康増進や予防医療に焦点が当たり続ける社会情勢を見据えて、ファンデリーがどのようにビジネスモデルを進化させ、新たな価値を創造していくのかに、大きな期待が寄せられています。

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