企業概要と最近の業績
株式会社プロレド・パートナーズ
当社は、企業の経費削減に特化した経営コンサルティング会社です。
最大の特徴は、コスト削減の成果が出た場合にのみ報酬が発生する「完全成果報酬型」のサービスモデルです。
賃料や光熱費、物流費といった様々な間接材コストの分野で、専門知識を持つコンサルタントが査定から改善実行までをハンズオンで支援します。
成果が出なければクライアント企業に費用負担は発生しないため、リスクなくコスト削減に取り組める点が強みです。
その他にも、業務改善や戦略策定などの固定報酬型コンサルティングも手掛けています。
2025年10月期の第3四半期連結決算では、売上高が25億59百万円となり、前年の同じ時期と比較して21.5%の減収となりました。
営業損益は5億63百万円の赤字となり、前年同期の1億58百万円の黒字から大きく悪化しました。
経常損益も5億40百万円の赤字となっています。
主力の成果報酬型コンサルティングにおいて、プロジェクトの開始遅延や、成果創出に時間を要する案件が増えたことなどが、業績不振の主な要因です。
価値提案
成果報酬型コンサルティングを中心に、顧客企業のコスト削減や経営改善の成果に直接コミットしています。
プロサインCREなどの独自のITシステムや分析ツールを駆使し、企業ごとにカスタマイズしたソリューションを提供しています。
役員経験者がハンズオン支援を実行することで、単なるアドバイスにとどまらず実行力を伴う改革を実現しています。
【理由】
なぜそうなったのかという背景として、企業がコンサルティングに求めるハードルが高まっていることが挙げられます。
単に提案資料を作成するだけでは価値が認められにくい時代になり、どれだけ業績やコスト削減に貢献できるかが重視されています。
そこで株式会社プロレド・パートナーズは成果報酬型というモデルを導入し、コスト削減・業務改善が実際に成果を生むかどうかを最優先に掲げています。
さらに、成果を可視化しやすいようにデータ分析やデジタルツールを整備し、クライアント企業との協働を強化しました。
このように、実利を追求するコンサルティング手法を確立することで、持続的な支持を得ているといえます。
たとえば、企業の購買品目や在庫管理の改善において、質を落とさずにコスト削減を実現できた場合、その削減額をもとに報酬が算出される仕組みを整えています。
このような仕組みは、コンサルティングに対する顧客企業の満足度と費用対効果を高めるだけでなく、プロレド側のモチベーションを維持するうえでも効果的です。
成果が出れば出るほどコンサルティング料が増えるため、より深く顧客企業へコミットする動機になります。
市場の変化が速い現代において、企業がすぐに結果を求める傾向が強まっているため、このモデルは非常に時流に合った戦略といえます。
主要活動
コストマネジメントを成果報酬型で実施し、間接材や直接材の調達コストを引き下げる活動。
伴走型コンサルティングやハンズオン支援など、現場と密接に連携したプロジェクト推進。
SCMや物流の最適化コンサルティングで、サプライチェーン全体の効率化をサポート。
【理由】
なぜそうなったのかという観点では、コストマネジメントやSCMなどは企業経営に直結するため、需要が高いコンサルティング領域です。
人件費や材料費が上昇しやすい経済環境下では、企業は少しでも無駄を削減したいという強いニーズを持っています。
さらに、多店舗展開企業では店舗運営コストや物流経路の最適化が大きな課題となりやすいため、その課題解決を得意とする同社の活動は大きな差別化要因になります。
現場での伴走型コンサルティングを採用するのは、トップダウンの指示だけでは実行が進みづらいという企業の悩みを解消するためです。
プロジェクトリーダーが常駐または密に連携し、各ステップをともに確認しながら課題に取り組むことで、計画倒れを防ぎつつ成果を最大化する仕組みを作り上げています。
結果として、クライアント企業とコンサルタントの強い信頼関係が生まれ、高い継続率につながります。
このように同社の主要活動は、企業の収益改善に直結するテーマを扱いつつ、現場レベルでの伴走を強化することで高い実行力を持ったコンサルティングを実現しています。
実行プロセスにも深く入り込むため、成果報酬モデルとの相性も良く、顧客満足度をさらに高める要因となっています。
リソース
専門知識と実行力を兼ね備えたコンサルタントチーム。
独自の分析ツールや情報データベース、PRO-SIGN CREなどのITサービス。
投資事業組合を活用した資金とノウハウ。
【理由】
なぜそうなったのかという点では、成果報酬型や伴走型コンサルティングを成功させるためには、優秀な人材の確保が不可欠になります。
コストマネジメントやSCMの最適化、そしてM&Aや事業譲渡などのハンズオン支援まで幅広い領域をカバーするには、業界ごとの専門家が多角的に連携する必要があります。
そのため、同社は経営や財務の専門家、物流や調達のスペシャリストなど多様なバックグラウンドを持つ人材を擁しています。
さらに、顧客企業のデータを効率よく活かすためには、現場の状況を可視化できるシステムやツールが必須となります。
たとえば、店舗情報のマスター管理を行うPRO-SIGN CREを用いることで、チェーン展開を行う企業のコスト構造や業務フローを精緻に把握できるようになります。
加えて、投資事業組合からの運用益は、同社自身の資金力を高めるだけでなく、投資先企業との連携や新たなビジネスチャンスの創出にもつながっています。
こうした人的資源、技術的リソース、そして資金力をバランスよく配置することで、成果報酬型コンサルというリスクとリターンが大きい業態でも安定して事業を続けられる仕組みが構築されています。
結果として、現場で必要とされる情報と専門家のノウハウが合わさり、顧客企業に対する包括的なサポートが可能になっています。
パートナー
サプライヤーやITベンダーとの協力により、コスト削減やシステム導入を効率化。
投資事業組合を通じた外部企業との協業や共同出資。
多店舗展開支援における不動産関連や建築関連企業との連携。
【理由】
なぜそうなったのかに関しては、コンサルティングだけでなく、実際の現場に踏み込む際にパートナーの存在が重要だからです。
成果報酬型でコスト削減を行う場合、調達先の交渉や新たなサプライヤーの選定が必須となりますが、その際に各業界に精通したパートナー企業の協力が欠かせません。
ITベンダーと連携する理由としては、クライアント企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させるために、技術的なサポートを得る必要があるためです。
こうした協力関係を築くことで、実行フェーズでのスピードアップやスムーズな導入が期待できます。
また、投資事業組合の運用先や共同出資先の企業とは、ただ投資するだけでなく、同社のハンズオン支援を組み合わせて企業価値を高めるシナジーを生み出しています。
これらのパートナーとの連携は、単なる業務提携にとどまらず、コスト削減から組織改革まで包括的にカバーする上で極めて重要です。
クライアント企業にとっても、専門家同士が連携しながら複雑な課題を統合的に解決する点は大きなメリットです。
このようにパートナーとの協働体制を築くことで、幅広いサービスを迅速かつ確実に提供できる柔軟性が実現されています。
チャンネル
直接営業による経営層へのアプローチ。
ウェブサイトやセミナーを活用したリード獲得。
パートナー企業経由での紹介や共同プロモーション。
【理由】
なぜそうなったのかというと、コンサルティングサービスは基本的に企業の悩みに応じたオーダーメイド性が高いため、直接的なコミュニケーションが欠かせません。
特に経営層や部門責任者との面談を通じて、現場の課題や目標を細かくヒアリングしながら提案を練り上げるスタイルが成果報酬型コンサルティングには向いています。
ウェブサイトやセミナーを活用するのは、幅広い業界の企業に対して同社のサービス内容を知ってもらう機会を増やすためです。
セミナーで事例紹介や最新のコスト削減手法を学んだ企業が、プロレドに相談を持ちかけるという流れも少なくありません。
また、パートナー企業からの紹介は、すでに信頼関係がある状態で案件が進むため、成約率が高くなります。
投資事業組合などを通じて関係性を構築した企業や、ITベンダーと共同開催するセミナーなどの取り組みを通じ、顧客候補へ効率的にリーチしているのが特徴です。
このように複数のチャンネルを組み合わせることで、潜在顧客から具体的な課題解決を求める顧客まで、幅広い層にアプローチできる体制を整えています。
成果報酬型だからこそ、導入前にしっかりと企業課題を整理し、コンサルタントとすり合わせるステップが大切なので、直接対話を重視するチャンネル設計となっています。
顧客との関係
伴走型のプロジェクト支援を通じた長期的なパートナーシップ。
成果報酬によるリスク分担で高い信頼関係を構築。
定期的な経営会議やモニタリングを実施し、継続的なフォローを実現。
【理由】
なぜそうなったのかとしては、従来のコンサルティングは成果が出るかどうかが見えにくいことが課題でした。
しかし成果報酬型である同社の場合、コスト削減や売上向上がはっきり数字として表れると、その分だけ報酬が決定されるため、顧客も安心して依頼しやすいのです。
さらに、伴走型で現場に入り込むことで、顧客企業と二人三脚の形を取り、プロジェクト内で生じる問題をスピーディに解消できます。
その結果、単発の案件で終わるのではなく、長期的に企業変革を担うパートナーとして認識されるようになります。
また、コンサルティング成果を維持・拡大するには、定期的なモニタリングが不可欠です。
そこでプロレドは、経営会議や定例ミーティングに継続的に参加し、問題を早期に発見して再度対処できる体制を整備しています。
この取り組みによって、コスト削減だけでなく組織改革や人材育成など、より広範な経営課題にも踏み込みやすくなり、結果として顧客企業との信頼をさらに強めます。
こうした深い関係性が築かれると、新規サービスの導入や追加契約などがスムーズに行われ、長期にわたる関係性の中でより大きな価値を生み出すことが可能になります。
顧客セグメント
間接材や直接材のコスト削減を必要とする製造業や小売業。
多店舗展開企業で店舗管理や在庫最適化に悩む流通・サービス業。
組織改革を志向し、人材育成や業務オペレーションを改善したい大手から中堅企業まで。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、さまざまな業界で人件費や原材料費の上昇が深刻化しており、コスト最適化は経営課題の最上位に位置づけられることが多いからです。
特に多店舗展開している小売や飲食、サービス業は、店舗ごとの売上・コスト構造を把握するだけでも莫大な手間がかかるため、専門家の伴走型コンサルティングが非常に役立ちます。
また、製造業においては原材料価格の高騰や物流費の上昇が継続的に問題化しているため、コストマネジメントを外部に委託することが大きなメリットとなりやすいのです。
プロレドはこうしたニーズを踏まえ、成果報酬型で直接的に費用削減額を出すことができるサービスを展開することで、多くの企業にフィットする形を作りました。
さらに、組織改革を目指す企業や、リーダー不足に悩む企業向けにハンズオン支援や伴走型支援を行うことで、単なるコスト削減コンサル会社の枠にとどまらず、経営全体を見渡せるパートナーとしての地位を確立しています。
このように業種や規模に関わらず、多面的な経営課題にアプローチできる汎用性の高さが、同社の顧客セグメント拡大に貢献しているのです。
収益の流れ
成果報酬型コンサルティングによるフィー。
固定報酬型コンサルティングの安定収入。
PRO-SIGN CREなどのサービス利用料やライセンス収入。
投資事業組合運用益や事業譲渡益などの特別利益。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、成果報酬型コンサルティングは顧客のコスト削減成果に応じた収益となるため、外部環境に左右されやすい一面もあります。
しかし同社は固定報酬型コンサルティングも並行して提供することで、ある程度の安定収益を確保しています。
また、PRO-SIGN CREのような定期的な利用料が発生するサービスを複数展開することで、収入源を多様化し、成果報酬だけに依存しない経営を実現しているのです。
さらに、投資事業組合の運用益や事業譲渡益は一時的な収益を大きく押し上げる可能性を秘めています。
2023年10月期に純利益が黒字となった要因の一つが、プロサインBSM事業の譲渡益や投資事業組合からの運用益でした。
こうした特殊要因がなければ営業利益ベースで赤字になるリスクもあるため、同社は今後、ITサービスや固定報酬コンサルの拡大を通じて安定的に利益を生む体制づくりを強化していくことが重要となります。
とはいえ、成果報酬型のコンサルティングが同社の大きな強みであることは間違いなく、企業がコスト削減に成功すればするほどプロレドにもメリットが大きい仕組みです。
この両面をバランスよく発展させることで、業績のボラティリティを抑えつつ、成長余地を確保するモデルが形成されています。
コスト構造
コンサルタントや専門家の人件費。
ツールやシステム開発・運用にかかる費用。
プロジェクト関連経費や販管費。
【理由】
なぜそうなったのかを考えると、成果報酬型やハンズオン支援を行うには高度な専門知識と実務経験を備えた人材が必要であり、人件費がコスト構造の大きな割合を占めます。
さらに、同社はPRO-SIGN CREなどのデジタルサービス開発を進めているため、システム開発や運用に関わるエンジニアやサーバー費用なども無視できません。
プロジェクト関連経費としては、顧客企業に常駐あるいは頻繁に訪問するための交通費や宿泊費、必要に応じた調査費用などが発生します。
販管費については、営業活動やマーケティング活動に加え、投資事業組合やM&A関連のリサーチなども含まれており、幅広い用途に使われています。
成果報酬型の場合、プロジェクトが成功するまで収入が発生しにくい一方で、人件費やツール運用費は常時かかってきます。
したがって同社のコスト構造は、安定収益を生む固定報酬型やライセンス収入などで支えながら、成果報酬型プロジェクトへの先行投資をまかなう形になっています。
この構造は、成功すれば大きなリターンが得られる一方、プロジェクトが不発に終われば負担が大きくなるリスクも抱えています。
そうしたリスクを軽減するため、投資事業組合の活用による運用益や事業譲渡などを組み合わせ、財務リスクを分散しているのが同社の特徴的な経営手法です。
自己強化ループ(フィードバックループ)
自己強化ループとは、同社が行うコンサルティング活動の成果が新たな顧客獲得や追加サービスの開発につながり、その結果がさらに同社のブランド価値やノウハウを高めるというプラスの連鎖を指します。
たとえば、成果報酬型で大きなコスト削減を実現した企業が、その成功事例を社内外で紹介することで、プロレドの評判が高まり、新規顧客からの問い合わせや問い合わせ経路が増加します。
そこから新たな契約やプロジェクトが生まれれば、さらに多くの成功事例を積み上げることができます。
これがいわゆるフィードバックループとして機能し、同社の業績拡大に寄与しているのです。
また、投資事業組合から得られる運用益や事業譲渡で生まれた資金をシステム開発や人材採用に再投資することで、コンサルティングの質を高めることができます。
具体的には、より高度な分析を可能にするツールを開発したり、多様な業界に精通した専門家を採用したりすることで、プロジェクトの成功確率を上げ、結果としてさらなる成功事例を積み重ねやすくなります。
成果が積み重なるほど顧客満足度も高まり、顧客からの紹介やリピート契約の可能性が高まるのです。
こうしたサイクルが回り続けると、同社の認知度や信用力が強化され、より大きな案件や高難度のプロジェクトにも挑戦できるようになります。
このように自己強化ループが働くことで、コンサルティング事業と投資事業の両面から相乗効果を生み出し、同社の成長スピードを加速させる構造が生まれています。
成果報酬型の特質上、一度の成功で築かれた信用は次の成功をより生みやすくなるため、ポジティブな循環が生じやすいのが同社の強みといえます。
採用情報
初任給は現時点で具体的な金額が公表されていません。
ただし、コンサルティング業界では即戦力や高いスキルを求められることが多いため、競合他社の水準と比較しても大きく差はないと考えられます。
平均休日や採用倍率に関しても詳細な公表がありませんが、コンサルファームという特性上、プロジェクトにより業務量が左右されやすい傾向があります。
一方で、成果報酬型という特性上、成功に対するやりがいが大きく、若手でも顧客の経営改善やコスト削減に直接貢献できるチャンスがある点は魅力といえます。
採用倍率は比較的高い部類に入る可能性がありますが、経営や財務、事業改善など幅広いテーマに取り組めるため、キャリアアップを目指す方にとってはチャレンジする価値があるでしょう。
株式情報
同社は証券コード7034として上場しており、配当金や1株当たり株価については、マーケットの状況や会社の成長方針により変動します。
現状では、投資事業組合を通じた運用益や事業譲渡が大きな収益源のひとつとなるケースもあり、配当方針がどのように変化するかが投資家の関心事になっています。
実際の株価は市場の需給や業績見通しなどによって上下するため、投資を検討する際は最新のIR情報をチェックしながら判断する必要があります。
コンサルティング業界は景気や企業活動の活発さに左右される面がありますが、コスト削減や組織改革などのテーマは景気に関係なく一定の需要が見込まれることも多い領域です。
そのため、同社が安定的に案件を獲得できる体制を維持し続けるならば、株主還元に対してもプラスに働く可能性があります。
未来展望と注目ポイント
今後の成長戦略としては、成果報酬型コンサルティングと固定報酬型コンサルティングのバランスを取りながら、安定した収益源を確保していくことが重要と考えられます。
成果報酬型は成功時に大きなリターンが見込めますが、一方でリスクも高いため、ITサービスや固定報酬コンサルによる安定利益がどれだけ伸びるかがカギになるでしょう。
また、投資事業組合からの運用益や事業譲渡による一時的な利益をどう再投資していくのかが、同社の成長スピードを左右すると考えられます。
さらに、プロサインCREのようなデジタルソリューションを複数展開し、多店舗展開企業やSCM最適化に悩む企業の需要を掘り起こすことで、新たな顧客を取り込む機会が拡大する可能性があります。
インフレや物流網の不安定化が続く世界情勢では、コストマネジメントやSCMコンサルがより重宝されるため、同社にとっては追い風となる面もあります。
また、組織改革やハンズオン支援といった付加価値の高い領域で実績を積み重ねることができれば、大手企業からの依頼が増え、さらなるブランド力の向上が見込まれます。
一方で、営業利益が赤字となった今期の状況を見ると、今後も新たなサービス開発や先行投資が重なると、収益が安定しにくい時期があるかもしれません。
そうしたタイミングを乗り越え、コンサルティングとITサービス、投資事業などをバランスよく成長させることが、同社にとっての主要課題になりそうです。
企業が求めるニーズと同社のサービスが合致し続ける限り、株式会社プロレド・パートナーズのビジネスモデルは今後も拡大余地が大きいと言えるでしょう。
成果報酬型という先進的な仕組みをどのように発展させていくのか、多くの投資家や経営者が注目しています。
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