企業概要と最近の業績
株式会社マルマエ
真空技術と精密加工技術を強みとし、主に半導体や液晶パネル(FPD)をつくる製造装置向けの部品を手がけている企業です。
半導体や液晶パネルの製造には、真空状態にした大きな装置の中で、ミクロン単位の精密な制御が必要とされます。
同社は、そうした真空装置内部で使われる、金属製のチャンバー(容器)やフレームといった大型で複雑な形状の部品を、高い精度で削り出す加工を得意としています。
これらの部品は、国内外の大手製造装置メーカーに納入されています。
2025年7月10日に発表された最新の決算によりますと、第3四半期累計(2024年9月〜2025年5月)の売上高は80億7,500万円となり、前年の同じ時期と比較して3.1%減少しました。
主力の半導体分野では、一部の顧客向けに次世代半導体製造装置用の部品供給が始まったものの、世界的な半導体市況の調整局面が続いている影響で、受注は全体として低調に推移しました。
FPD分野においても、顧客の設備投資が抑制されたことにより、受注が減少しました。
これらの結果、営業利益は12億1,300万円で、前年の同じ時期と比べて33.1%の大幅な減益となりました。
【参考文献】https://www.marumae.com/
価値提案
高精度で高品質な精密部品を安定的に提供する点が大きな魅力となっています。
半導体製造装置などの分野では、ミクロン単位の精度が要求されるケースが多く、少しの誤差が歩留まりの低下を招いてしまいます。
そこでマルマエは、高度な切削加工技術と熟練スタッフによる品質管理を徹底し、装置メーカーが求める品質を常に満たすよう努めています。
【理由】
こうした価値提案が生まれた背景には、競合他社との差別化が必須であることや、顧客側が高い技術力を持つパートナーを求めていたことがあります。
結果として、高難度の部品加工をこなせるマルマエにとっても技術力を武器に大手メーカーと長期取引を結びやすくなる好循環を形成しているのです。
主要活動
精密部品の切削加工と製造が中心ですが、単なる下請け加工にとどまらず、技術提案や試作品の製作にも力を入れています。
少量多品種に対応しながら、要求された精度や素材に合わせて最適な加工方法を探り、お客様の要望に応える仕組みを構築しています。
【理由】
なぜこうした活動になったかというと、半導体業界では技術革新が早く、試作段階での精度確立や短納期対応がビジネスの継続拡大に直結するからです。
さらにマルマエは、試作品を通して新たなノウハウを獲得し、その成果を量産工程へフィードバックする仕組みを整えています。
これにより顧客満足度を高めながら自社の技術力も磨かれるという好循環が生まれています。
リソース
高度な加工設備と、それを扱いこなす熟練技術者が大きな柱です。
複雑かつ精密さが求められる部品を作るには、最新鋭の工作機械や計測機器が必要ですが、それだけでは十分ではありません。
マルマエは長年培ってきたノウハウを持つ技術者を育て、設備の特性を最大限に引き出せるようにしています。
【理由】
こうしたリソースに重点を置くようになったのは、設備と人材がどちらか片方だけでは高精度な加工が成り立たないためです。
高額な設備投資を行う一方で、人材育成にも継続して力を注ぐことで、高付加価値を生み出す体制を保ち続けています。
パートナー
半導体やFPD製造装置メーカーとの取引がメインになります。
特に大手メーカーとのつながりが強く、長期的な協業関係を築いていることが特徴です。
【理由】
なぜこうしたパートナーシップが形成されたかというと、装置メーカー側も高度な技術力を持つ加工パートナーと継続的に協力したいというニーズがあるためです。
またマルマエとしても、安定的な需要を持つ大手企業との取引はリスク分散や長期的な売上確保の面で大きなメリットがあります。
相互の信頼関係を積み重ねることで、新しい技術開発や試作案件にも積極的に取り組める土台ができているといえます。
チャンネル
直接営業による取引が主体です。
限られた業界の中でも、顧客企業との打ち合わせを密に行いながらオーダーメイドの製造条件を詰めていくやり方をとっています。
【理由】
これが必要になった理由としては、精密部品の加工には細かな仕様変更や試作結果の共有など、きめ細やかなコミュニケーションが不可欠だからです。
注文のたびに詳細な打ち合わせを行うことで、要望を正しく理解し、品質維持と納期短縮を同時に実現できます。
こうした密な連携が信頼を高める要因となり、新たな受注や量産拡大にもつながっています。
顧客との関係
技術サポートを含む密接な関係を築いています。
単に完成品を納めるだけでなく、開発段階から素材選定や加工手法について一緒に検討するケースも多いです。
【理由】
こうした緊密なやりとりが当たり前になったのは、半導体製造装置分野ではトラブルやエラーが生じれば生産効率に直結するためです。
顧客としては部品の安定供給と品質を確保するために、製造工程全体を理解しているパートナーと協力するのが合理的です。
マルマエはこうしたニーズに応え、細かな要望や問題点を共有しながら改善を進めることで長期的な契約につなげています。
顧客セグメント
半導体やFPD製造装置メーカーが主要な顧客層です。
先端テクノロジーを扱う企業が中心となるため、高い信頼性と精度が求められています。
【理由】
こうした顧客層を狙うようになった背景には、半導体産業自体が世界規模での需要拡大を続けているという環境要因と、マルマエが高難度の加工技術を持っているという強みが合致している点が挙げられます。
一方でディスプレイ関連企業からの需要もあり、今後は有機ELや次世代パネル製造などの分野で、さらなる拡大が見込まれています。
収益の流れ
精密部品の製造や販売を通じて収益を得ています。
単発の注文だけではなく継続的な量産依頼や保守部品の提供など、さまざまな形で案件が動いていることが特徴です。
【理由】
なぜこの形がとられているかというと、顧客の装置開発から量産立ち上げ、安定稼働まで長期にわたってサポートを行う必要があるからです。
製品ライフサイクル全体で部品供給を行うことで、安定収益を生み出す仕組みになっています。
受注が増えるほど加工ラインの効率も上がりやすく、利益率の向上にも寄与する構造があるといえます。
コスト構造
設備維持費や人件費、材料費が中心となっています。
高度な機械を導入すると初期費用がかかりますが、それだけではなくメンテナンスや定期的な更新コストも発生します。
さらに質の高い技術者を育成・確保するための人件費も欠かせません。
【理由】
なぜこの構造になっているかというと、競争力を保つには最新の設備と優れた人材が必要だからです。
少量多品種という特性上、設備を効率的に稼働させるための調整や人材の柔軟なスキルアップも重要になります。
こうしたコスト負担をかけつつ高精度を提供することで、他社がまねしにくい強みが生まれています。
自己強化ループ
マルマエでは設備稼働率の向上と試作力の強化が相互に良い影響を及ぼす循環を形成しています。
設備稼働率が上がれば機械単価が下がり、結果的に原価を抑えて営業利益率が高まります。
余裕が生まれた利益を再度設備投資や人材育成に回すことで、より高度な加工が可能になります。
その一方で、試作に力を入れプログラマーや技術者が成長すれば、新しい案件にも柔軟に対応できるようになり、顧客に対して魅力的な提案ができるようになります。
こうした流れが新規受注の拡大を呼び込み、それが再び稼働率向上につながるという好循環が続いているのです。
この循環がうまく回れば回るほど、マルマエは加工技術のさらなる洗練と収益拡大の両方を手に入れることができるため、長期にわたって成長を維持する原動力となっています。
採用情報
初任給や年間休日数、採用倍率といった具体的なデータは公開されていません。
ただし、高精度な加工技術を支える現場では、経験者だけでなく意欲的な若手の募集もあるとされています。
少量多品種の生産に対応するためには柔軟な発想やスキルが必要になるので、技術面やものづくりに興味を持つ人材にとってはやりがいの大きい職場といえます。
さらに新しい装置導入や生産効率化が進む環境下で、実践を通じたスキルアップが期待できます。
株式情報
銘柄コードは6264で、2022年8月期には1株当たり48円の配当金が支払われています。
最新の株価については状況により変動するため、証券会社のサイトやIR資料などで確認することが望ましいです。
半導体需要は世界的な視点でも拡大傾向にあるため、マルマエの取り組みや決算状況は投資家の間でも注目度が高まっていると考えられます。
未来展望と注目ポイント
今後は半導体だけでなく、新しいパネル技術やそれに付随する装置部品など、幅広い分野での活躍が期待されています。
世界的に見ると電子機器の高性能化や自動車の電動化が進む中、半導体不足が叫ばれるほど需要は伸びています。
そのため、高精度な切削加工が必要になるシーンはますます増えるでしょう。
マルマエにとっては、この需要に対してどれだけ迅速かつ柔軟に応じるかが成長のカギになってきます。
さらに設備の高度化や自動化を推進することで、より大きな案件にも対応できる体制を整える見込みです。
試作段階からのアプローチで新しい案件を獲得し、量産へとつなげる力も強化していくでしょう。
また、自社の技術者育成をさらに進めることで、競合他社との差別化を図る戦略も考えられます。
このように、マルマエはビジネスモデルを活かしつつ新たな装置や技術に挑戦していくことで、長期的な飛躍を実現する可能性を十分に秘めています。
今後の動向に注目が集まる企業といえるでしょう。
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