企業概要と最近の業績
株式会社モビルスは、AIやチャットボットなどのテクノロジーを活用したサポートサービスを展開している企業です。コンタクトセンター向けに複数のSaaS製品を提供しており、金融機関やメーカー、官公庁など幅広い分野で導入が進んでいます。直近の業績としては、2024年8月期の売上高が15億3,400万円となり、前年同期比で4パーセントほど減少しました。また、営業利益は3億5,200万円の赤字となっており、プロフェッショナルサービスを中心とするカスタマイズ事業のビジネスモデルシフトの遅れが影響したと考えられます。ただし、生成AI技術の開発や新たなソリューションの提供を積極的に進めることで、今後の収益改善が期待されています。
ビジネスモデルの9つの要素
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価値提案
株式会社モビルスは「SupportTech」という考え方を掲げ、顧客対応をより効率的かつ質の高いものにすることを目指しています。電話やチャットなど、従来のコンタクトセンターが抱えていた「人手不足」「対応時間の長さ」「オペレーターの属人的なノウハウ」などの課題を、AIや自動化システムを活用して解決する点が大きな特徴です。なぜそうなったのかというと、多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを推進する中で、顧客サポートのクオリティ向上とコスト削減を両立させるニーズが高まったからです。こうした市場の要請に応えるために、同社はチャットボットやAI応答システムなど、高付加価値のソリューションを「価値提案」の中心に据えています。 -
主要活動
同社の主要活動は、コンタクトセンター向けSaaS製品の開発と提供にあります。具体的には、AIチャットボットを搭載したMOBI BOTや有人応答との連携を可能にするMOBI AGENT、AI電話応対システムであるMOBI VOICEなどのプロダクトを開発し、企業のサポート部門へ導入する支援を行っています。なぜそうなったのかというと、カスタマーサポートは企業と顧客の接点として非常に重要であり、そこにイノベーションをもたらすことが企業の競争力強化に直結すると考えられているからです。同社は、これらの製品やサービスを通じて高いサポート品質を目指し、同時に業務効率化を促進することを主要活動としています。 -
リソース
自社開発のAI機能群「MooA」は、問い合わせへの自動応答精度を高めるための重要なリソースです。さらに「Secure Path」というセキュアなコミュニケーション機能を備えており、顧客情報を安心して取り扱える点も強みです。なぜこうしたリソースを持っているかというと、同社が創業当初からコンタクトセンター領域にフォーカスし、蓄積したノウハウをもとに独自技術を開発してきたからです。その結果、AIやセキュリティ機能を組み合わせた付加価値の高い製品を提供できるようになっています。 -
パートナー
テクマトリックス株式会社との資本業務提携や、40社以上の販売代理店とのネットワークを構築している点が特徴です。なぜこれらのパートナーシップを結んでいるのかというと、SaaS製品をより広く普及させるには、販売経路や導入後のサポート体制を充実させる必要があるからです。自社だけで行うよりも、実績ある企業や専門分野に強みを持つパートナーと協力することで、製品力やサービスの価値をより多くの顧客に届けることが可能になります。 -
チャンネル
同社は直販だけでなく代理店やOEMを通じて、自社製品をさまざまな業界に展開しています。なぜそうしているのかというと、コンタクトセンターのニーズは金融、メーカー、公共機関など幅広く存在し、それぞれの領域ごとに異なる販売チャンネルや専門知識が必要となるからです。代理店やOEMパートナーを活用することで、各業界に適した方法で製品を紹介しやすくなり、導入企業の拡大につながっています。 -
顧客との関係
カスタマーサクセスを重視したコンサルティングを行っています。具体的には、製品を導入して終わりではなく、導入後も顧客企業に寄り添い、運用に関するアドバイスや活用方法の提案を行うことで高い満足度を追求しています。なぜそうなったのかというと、AIチャットボットや電話応対システムを最大限活用するには、企業ごとの運用フローや課題に合わせて調整を行う必要があるからです。こうした手厚いサポートによって、顧客との長期的な信頼関係を築いている点が強みとなっています。 -
顧客セグメント
金融機関やメーカー、官公庁・自治体など、堅牢なセキュリティが必要とされる領域を中心に顧客基盤を広げています。なぜこのようなセグメントを狙うかというと、情報管理や正確な回答が重視されるため、AIやチャットボットによる効率化とセキュリティ対策が特に求められる環境だからです。その結果、同社の安全性と高い技術力が評価され、500社を超える導入実績につながっています。 -
収益の流れ
サブスクリプションモデルによる継続課金と、プロフェッショナルサービスによるカスタマイズ収益の2本柱を持っています。なぜそうしているのかというと、基本的には月額や年額での安定収益を得つつ、企業ごとに異なる要望に合わせたカスタマイズ案件で追加の収益を獲得できる仕組みが望ましいと考えているからです。サブスクリプションで顧客の囲い込みを行いつつ、プロフェッショナルサービスでさらに高付加価値のビジネスを展開することで、安定と成長の両立を図っています。 -
コスト構造
人材採用や研究開発への投資が大きなコストとなっています。AI技術は日々進歩し、さらに高セキュリティかつ高性能なシステムを開発するには高度な人材と継続的な研究開発が欠かせません。なぜそうなったのかというと、同社がめざすカスタマーサポートの進化は、テクノロジーのレベルアップなくしては実現できないからです。競合優位を保つためにも、最新の技術動向を追いかけながら積極的にコストをかける方針をとっています。
自己強化ループについて
株式会社モビルスの自己強化ループは、新しいAI機能を開発して自社のSaaSに組み込むことで高品質なサポートを実現し、導入企業の満足度を高めるところから始まります。そこから得られる良い評判や導入実績がさらなる顧客を呼び込み、さらに多様な業界ニーズに応えるための新技術開発や追加機能が進む、という好循環が生まれます。AI分野ではデータが増えるほど精度が上がり、実際の運用から得られるフィードバックも製品強化につながります。そのため、導入企業数の拡大と技術開発のサイクルが互いを後押しし、同社の成長を加速させる構造となっているのです。こうした循環がうまく機能するほど、ビジネスモデルやサービス品質はさらに磨かれ、同社のブランド力も高まっていきます。
採用情報と株式情報
採用面については、初任給や平均休日、採用倍率の詳細は公式には公表されていません。ただし、AIやSaaS領域は競争力のある市場であり、技術力と成長性をアピールする企業が多くの優秀な人材を求めている傾向があります。株式会社モビルスも研究開発や営業体制を強化しているため、人材募集は継続的に行われていると想定されます。
株式情報としては、銘柄が「4370」であるものの、配当金や具体的な1株当たりの株価については公式に明言されたものが見当たりません。株価は市場環境や業績発表のタイミングで変動するため、最新の情報は証券会社や金融情報サイトなどを参照すると良いでしょう。
未来展望と注目ポイント
今後は、生成AIの活用やビジネスモデルシフトの成功が成長のカギになると考えられます。とくに、コンタクトセンターが必要とする回答精度や運用効率を飛躍的に高めるには、AIの機能拡充が不可欠です。株式会社モビルスは既にチャットボットや電話応対システムで実績を持っているので、新技術をさらに取り込むことで差別化を図ることができるでしょう。また、カスタマイズ事業の立て直しもポイントとなります。標準化できる部分と付加価値を提供できる部分を明確に分け、サブスクリプションモデルとプロフェッショナルサービスを両立させることが、収益安定と拡大に直結します。これらの戦略を進めることで、株式市場でも注目を集めながら次のステージへと成長する可能性を秘めています。今後のIR資料や経営方針の発表に注目するとともに、AIを核とした成長戦略をどのように具体化していくかが、さらなる飛躍を占う重要なポイントになるのではないでしょうか。
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