企業概要と最近の業績
株式会社丸三証券
1910年創業の歴史を持つ、独立系の証券会社です。
「お客様本位」と「堅実経営」を経営の基本理念としています。
対面でのコンサルティング営業に強みを持ち、全国の営業拠点を通じて、個人投資家を中心に資産運用サービスを提供しています。
株式や投資信託、債券などの金融商品の販売・仲介を主な業務としています。
お客様との長期的な信頼関係を大切にし、地域社会の発展に貢献することを目指しています。
2026年3月期の第1四半期の業績は、純営業収益が前年の同じ時期に比べて13.7%増の42億3,100万円となりました。
経常利益は25.1%増の14億1,800万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は25.1%増の10億3,700万円と、増収増益を達成しました。
株式市場が堅調に推移したことを背景に、株式の委託売買手数料が順調に増加したことが業績に貢献しました。
また、投資信託の販売も好調でした。
価値提案
投資信託をはじめとする金融商品を、対面でわかりやすく紹介することで、投資経験が浅い方でも安心して相談しやすい点が価値となっています。
日本株に特化した豊富な知識を武器に、顧客の資産形成をサポートするアドバイスを行っています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、ネット証券が台頭する中でも、人間関係に基づく信頼感を求める投資家層が一定数存在するためです。
人の目を通じたきめ細やかな説明や相談に応えることで、独自の存在感を築いてきました。
主要活動
投資信託や株式の販売、債券の取り扱いなど、顧客のニーズに合わせた金融商品を幅広く扱っています。
個人投資家に対するリテール営業を中心とし、店舗における対面相談と定期的なフォローアップを実施しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、創業以来、個々の相談に耳を傾ける企業文化があり、大手オンライン証券がカバーしづらいきめ細かなサポートを提供してきたからです。
この対面型の強みが売上拡大や手数料収益の底上げにつながっています。
リソース
経験豊富な営業スタッフの存在と、彼らを支える研修体制が重要なリソースになっています。
顧客に直接対応できる全国の支店ネットワークや、日本株に関する専門的な情報収集力も強みです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、長年培った知見やノウハウが蓄積されており、個人投資家からの相談ニーズが高い分野に特化した人材を確保しているからです。
これによって顧客満足度を高め、長期的な顧客関係を築くことが可能となっています。
パートナー
投資信託を提供する運用会社と連携し、ラインアップを充実させています。
株式の売買を行う金融商品取引所や、関連する金融機関とも密な取引関係を構築しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、対面営業で扱う金融商品を増やすためには外部との連携が不可欠だからです。
幅広い商品をそろえることで、多様な投資目標を持つ顧客へきめ細かい提案を行いやすくなっています。
チャンネル
店舗での直接応対を中心に、電話や郵送を活用してきました。
インターネットの活用は大手ネット証券と比較すると遅れているものの、オンラインサービスの基盤は徐々に整備されています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、歴史的に顧客との直接の信頼関係を重視していたため、対面チャネルを優先してきた背景があります。
しかし、若年層や働き盛りの世代に対応するためにはデジタル化の強化が求められています。
顧客との関係
担当者が定期的に状況をヒアリングし、運用状況を細かく報告することで密接なコミュニケーションを図っています。
店舗での相談やセミナー開催を通じ、顧客の金融リテラシー向上にも取り組んでいます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、投資信託や株式への不安を持つ顧客が多く、顔を合わせて安心感を与えることが成約に結びつくからです。
結果として、長期的な取引や資産形成のパートナーとして選ばれやすくなっています。
顧客セグメント
中高年層や退職世代など、まとまった資産運用ニーズを持つ層が中心です。
若年層も増えつつありますが、デジタル取引を好むユーザーが多いため、取り込みの余地が残されています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、創業当初から蓄積された顧客基盤が年齢層の高い層に多く、対面営業を重視したスタイルが中高年層との相性が良かったためです。
今後は若年層を取り込む戦略が成長のカギになります。
収益の流れ
投資信託の販売手数料や信託報酬が安定的な収益源です。
株式や債券の売買仲介手数料も重要な収益要素となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、対面での丁寧なアドバイスを提供することで、投資信託を継続保有する顧客を増やし、信託報酬による継続収益を獲得できる構造を築いているからです。
コスト構造
人件費や支店の維持費が大きなコスト要素になっています。
システム維持費などの固定費も一定のウェイトを占めますが、対面サービスに特化する以上、人員配置への投資は欠かせません。
【理由】
なぜそうなったのかというと、店舗網を広く構え、顧客に直接アドバイスする営業スタイルを重視しているためです。
効率化のためのデジタル施策も進行中ですが、対面型の強みを活かすには一定のコストが伴います。
自己強化ループ(フィードバックループ)
丸三証券が強みを発揮できる背景には、自己強化ループがうまく働いていることが挙げられます。
対面営業によって得られる顧客の信頼と満足度が高まると、顧客はリピート取引や紹介を通じて新たな顧客を呼び込みます。
すると、投資信託の販売額が増加し、信託報酬による収益がさらに拡大していきます。
また、日本株に強い専門知識を持つことで取引量が増え、株式手数料も上昇しやすくなります。
こうしたサイクルが回るほど利益体質が改善し、新たな投資や人材育成に再投資することが可能になります。
この循環が繰り返されることで、ブランド力や信頼度がいっそう高まり、企業の成長が加速していくのです。
採用情報
丸三証券の初任給や平均休日、採用倍率は公式には公表されていませんが、金融業界の一般的な水準を想定することが多いようです。
実際に就職活動を考えている方は、会社説明会や採用イベントなどで直接確認すると安心です。
株式情報
この企業の銘柄コードは8613です。
2024年3月期の配当金は年間で60円となっており、投資家への還元にも力を入れています。
1株当たり株価は2025年2月26日時点で971円でしたが、市場の状況により変動するため、こまめなチェックが大切です。
未来展望と注目ポイント
丸三証券は中高年層を中心とした対面営業に強みを持つ一方、ネット証券の台頭が著しい現代においてデジタルチャネルの強化が大きな課題といえます。
オンラインサービスをさらに充実させることで若い世代の支持を広げられれば、成長の余地はまだまだ残されています。
また、日本株に特化した専門性を維持しつつ、海外市場や新たな金融商品にも対応できる体制を整えることで、多様な投資ニーズに応えられるようになります。
既存顧客への手厚いフォローと新規顧客開拓の両立を図りながら、豊富な知見と安定した収益構造を活かした成長戦略を打ち出せるかが今後の注目点となるでしょう。
さらに、IR資料などを活用して投資家に分かりやすい情報発信を続けることで、企業価値の向上にも期待が高まります。
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