企業概要と最近の業績
株式会社丸井グループ
百貨店の「マルイ」やショッピングセンターの「モディ」を運営する小売事業と、「エポスカード」を中心としたフィンテック事業を一体で展開する独自のビジネスモデルを持つ企業です。
小売事業では、商品を仕入れて販売する従来の百貨店モデルから、定期借家契約を主体としたショッピングセンター運営へと転換を進めています。
フィンテック事業では、クレジットカードサービスの提供に加え、家賃保証や少額短期保険など、多様な金融サービスを手がけています。
これら2つの事業のシナジーを創出し、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会の実現を目指しています。
2026年3月期の第1四半期の連結業績は、営業収益が前年の同じ時期に比べて13.7%増の1,192億3,100万円となりました。
営業利益は25.1%増の149億1,800万円、経常利益は28.5%増の149億9,800万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は25.1%増の100億3,700万円と、大幅な増収増益を達成しました。
主力のフィンテック事業において、エポスカードのショッピング取扱高やキャッシング残高が順調に増加したことが業績を牽引しました。
小売事業においても、店舗のリニューアル効果やアニメ・ゲームといったコンテンツとの協業が奏功し、客数と売上が増加しました。
価値提案
マルイやモディといった実店舗を軸にしながら、エポスカードをはじめとする金融サービスを掛け合わせ、幅広い顧客にとって使いやすい価値を提供しているのが特徴です。
単なる店舗販売にとどまらず、家賃や公共料金など生活必需的な支払い機能を強化し、日常のあらゆるシーンでメリットを生み出そうとしています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、小売だけでは収益が不安定になりやすい一方、クレジットカードや家賃保証といった継続収入の仕組みを取り入れることで、経営の安定性を高める必要があったからです。
こうした融合型の価値提案によって、リピーターや長期利用者を増やし、グループ全体の存在感を一段と強めています。
主要活動
店舗運営を通じてテナント誘致や接客体験を提供しつつ、クレジットカード関連の与信業務や家賃保証サービス、オンラインでのショッピング機能などを展開しています。
最近ではECとの連携を強めることで、自宅でも気軽にマルイ系のサービスを利用できるようにしている点も注目されています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、リアル店舗のみならずオンラインへの需要が高まり、EC利用が増えてきた背景があります。
また、カスタマーからの要望に応じて家賃保証や定期払いなどを充実させることで、既存の顧客を離さずに幅広く囲い込む戦略が採られました。
リソース
全国に展開するマルイやモディの店舗網と、エポスカード会員の膨大なデータベースが大きな強みです。
店舗網によってリアルの接点を維持しつつ、会員データからは消費傾向や嗜好を分析し、効果的なサービス開発や販促に役立てています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、長年の小売事業を通じて積み上げたノウハウとクレジット事業の膨大な取引履歴を融合させることで、他社にはない総合力を発揮する狙いがあったためです。
これによってネットと店舗の両方を活用するオムニチャネル施策が可能になり、多様なニーズに対応しやすくなりました。
パートナー
D2Cブランドや個人事業主との連携をはじめ、他社施設やECサイトとの提携も拡大しています。
単にテナントを集めるだけでなく、イベントやポップアップストアなどを活用して新しいブランドを育てる場を提供することも重要な役割となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、差別化が難しくなった消費環境の中で、独自性のある商品や体験を求める顧客が増えたためです。
多様なパートナーを受け入れるプラットフォームを整えることで、常に新鮮な魅力を発信し、店舗への集客力を高めることが可能になります。
チャンネル
実店舗を中心に、公式オンラインサイトやモバイルアプリを組み合わせ、顧客との接点を多重化しています。
リアル店舗ではスタッフによる接客やイベントの開催を重視し、オンラインでは時間や場所を問わず商品やサービスを利用できる環境を整えています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、店舗だけに依存していては商圏が限られ、他社と差別化が難しくなる一方、ネット販売も合わせればエリアの制約を超えて売上を伸ばせるからです。
さらに、アプリを通じてクレジットカードの利用状況やポイントを確認できるため、顧客満足度の向上にもつながっています。
顧客との関係
店舗ではイベントやワークショップの開催を通じて直接コミュニケーションを深め、オンラインではアプリやメールマガジンで定期的に情報を配信し、顧客一人ひとりに寄り添う体制を整えています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、フィンテック事業を含めたサービスの利用を長期継続させるには、顧客とのつながりを強化し、他社サービスへの乗り換えを防ぐ必要があるからです。
こうしてリアルとオンラインの両面で関係を築き、継続利用や口コミによる新規顧客獲得を目指す仕組みが形成されました。
顧客セグメント
若者から高齢者まで幅広く、特にファッションだけでなく生活支払い分野にも踏み込んだことで、多様な世代が利用しやすくなっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、カード会員の多彩なライフステージに対応するうちに、学生や新社会人からファミリー層やシニア層までカバーする必要性が生まれたからです。
ファッションを楽しむ若年層には店舗のショッピング体験を重視し、安定志向の層には家賃保証などの実務的なメリットを用意することで、幅広い支持を得ています。
収益の流れ
店舗からのテナント賃貸収入と、エポスカードを中心としたクレジット手数料収入が大きな柱です。
さらにEC売上や家賃保証の保証料なども加わり、複数の収益源を確保しています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、従来の小売一本足打法では消費動向に左右されやすく、安定的な収益を確保するのが難しくなっていたためです。
クレジットや保証など定期的に発生する手数料収入を組み合わせることで、景気の波をある程度吸収しながら収益を高められる構造を目指しました。
コスト構造
ポイント還元などのキャンペーン費用、人件費、店舗運営コストなどが主要なコスト要因です。
最近はクレジット取扱高が増えたことでポイント費用が拡大していますが、それでも会員を増やすメリットのほうが大きいと判断されています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、カード利用を促進すれば利用手数料が安定収益となり、中長期的に見ると十分な利益に結びつくからです。
加えて、テナントの定借化や店舗内のオペレーション効率化を進めることで、運営コストの抑制にも取り組んでいます。
自己強化ループ
株式会社丸井グループでは、小売事業とフィンテック事業が互いに利用者を増やし合う好循環を作り出しています。
店舗で買い物をするお客さまは、エポスカードを作成して支払いをすることでポイントを貯めやすくなり、家賃払いや公共料金の支払いにも活用できるため「どうせなら全部まとめたい」と考える人が増えます。
するとクレジットカード利用がさらに拡大し、ポイント還元やキャンペーンをきっかけに、また店舗でのショッピングを楽しむ人も増えるのです。
このように、一度カード会員になった顧客が小売と金融の両面でサービスを使い続けることで、安定的な手数料収益と店舗への誘導が同時に促進され、グループとしての信頼感や利便性も高まります。
結果として利用者の満足度が上がり、紹介や口コミで新規会員を呼び込む流れも生まれます。
こうした相乗効果が積み重なることで、外部環境の変化があっても大きく揺らぎにくい事業基盤が形成されているのです。
採用情報
最新の初任給や平均休日、採用倍率などについては、正式に公表されていませんが、毎年の採用活動では小売や金融に興味を持つ学生が幅広くエントリーしている傾向があります。
近年ではITやデータ分析などの専門領域を目指す人も増えており、職種の選択肢も多彩になっています。
詳細を知りたい場合は公式の採用ページを確認するのがおすすめです。
株式情報
株式会社丸井グループは証券コード8252で上場しており、配当金は年間101円に設定されています。
株価は日々変動があるため、証券取引所や金融情報サイトでの最新データを確認するとよいでしょう。
過去と比べると配当水準が向上しており、安定した業績拡大の成果を還元する姿勢も見られます。
未来展望と注目ポイント
これからの丸井グループは、小売とフィンテックの融合を一層深めることで成長戦略をさらに強化していくと考えられます。
まずはエポスカードの会員基盤を活かし、家賃保証や公共料金をはじめとした定期払いのサポートを拡充することが期待されます。
定期的に利用されるサービスほど、安定的な手数料収入につながりやすく、顧客の生活そのものを支える存在になるほど離脱率も低くなります。
また、店舗ではテナントの定借化を推進しながら飲食や体験型サービスを拡大し、来店目的のバリエーションを増やす方針が続くでしょう。
これにより、カード会員がリアル店舗を訪れた際の満足度向上と追加購入の促進が期待できます。
さらにオンラインの強化も注目ポイントです。
ECやモバイルアプリを使って気軽にポイント確認やショッピングができる環境を整えれば、遠方の顧客にもアプローチしやすくなります。
リアルとネットを組み合わせた多層的なサービス提供こそが、丸井グループの強みをより際立たせる鍵になるのです。
このような流れを受けて同社は、消費スタイルの変化が激しい時代でも、安定的に成果を上げる企業として一層注目される存在になるでしょう。
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