企業概要と最近の業績
株式会社壱番屋
当社は、「カレーハウスCoCo壱番屋」を運営する、カレー専門店の最大手チェーンです。
「ココイチ」の愛称で親しまれ、お客様がライスの量やカレーの辛さ、トッピングを自由に選べる楽しさを提供しています。
日本国内だけでなく、海外へも積極的に店舗を展開し、日本のカレー文化を世界に広めています。
フランチャイズシステムを活用した店舗網の拡大を強みとしています。
2025年7月4日に発表された2026年2月期第1四半期の決算によると、売上高は143億3,200万円で、前年の同じ時期に比べて6.2%増加しました。
営業利益は13億9,900万円で、前年同期比で1.8%の増加となりました。
経常利益は15億2,100万円（前年同期比2.2%増）、親会社株主に帰属する四半期純利益は10億円（前年同期比0.2%増）と、増収増益を達成しています。
期間限定メニューの販売が好調だったことや、海外店舗の客足が回復したことなどが業績を牽引したと報告されています。
価値提案
株式会社壱番屋の価値提案は、カレーを「自分好み」にアレンジできる自由度の高さです。
カレーハウスCoCo壱番屋では辛さ・トッピング・ライスの量を細かくカスタマイズできるため、老若男女問わず幅広い層が自分だけの一皿を楽しめます。
この仕組みは単純なようでいて、実際には多様化するニーズに応えるためのメニュー開発やオペレーション管理が不可欠です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、創業当初から「お客さまそれぞれの好みに応じたい」という姿勢があり、実際に愛知県の地域性に合わせたトッピングを設定したところ好評を博したことがきっかけとされています。
そこから「お客さまごとに違う味わいを提供する」という考え方が定着し、追加料金でさまざまな具材を選ぶトッピングスタイルやライスの量を調整するシステムが確立されていきました。
これによって、「自分だけのカレーができる」という体験価値を提供し、他のカレーチェーンとは一線を画す存在感が生まれています。
さらに、ハウス食品グループ入りしたことによってカレーソースの品質面でも強化が図られ、「美味しさとアレンジ性の両立」がより盤石になりました。
これはフランチャイズ形式で全国に店舗を展開する際に強い訴求力となり、固定ファンを獲得する大きな要因になっています。
また、国内のみならず海外でも現地の味覚や文化に合わせた微調整を行いながら「日本式カレー」という新鮮な価値を届けていることで、グローバルに通用するブランド力を高めています。
こうした柔軟性とブランドパワーが組み合わさった結果、カレー専門店という業態ながらも世界にファンを獲得するほどの成長を実現しているのです。
主要活動
同社の主要活動は、大きく分けて「直営店の運営」「フランチャイズ本部のサポート」「メニュー開発・原材料調達」「マーケティング戦略」の四つが柱となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、そもそもフランチャイズモデルを展開するためには、加盟店が安定的に利益を上げられる仕組みを本部が整える必要があるからです。
そこで、店舗オペレーションの標準化やスタッフ教育のマニュアル整備、定期的な研修などを通じて、どの店舗でもほぼ同じ品質・サービスを提供できるようにしています。
また、新たなトッピングや季節限定メニューの開発に力を入れているのも特徴で、これはお客さまの飽き防止とリピート率の向上を狙った施策です。
さらに、ハウス食品グループの一員になったことで、調味料や食材の開発が強化され、より幅広いメニューに挑戦しやすい環境が整いました。
マーケティング戦略においては、「カレーの日」キャンペーンやSNSを活用した情報発信を重視し、店舗来店だけでなくテイクアウトやデリバリー利用など多様な需要を掘り起こしています。
これらの活動を通じ、同社は「いつでもどこでもCoCo壱番屋の味が楽しめる」という安心感をお客さまに提供し続け、その結果として売上高と認知度の両面で成長を遂げていると考えられます。
リソース
株式会社壱番屋が持つリソースには、ブランド力のほか、豊富なフランチャイズ加盟店網、徹底した店舗オペレーションのノウハウなどが挙げられます。
【理由】
なぜそうなったのかというと、創業者の方針として「誰でも安定して稼げるカレー店を作る」という考えがベースにあり、そのためにFCオーナーを支援する仕組みづくりが早い段階から行われてきたからです。
手厚い研修やマニュアルの整備により、初めて外食産業に参入する人でも一定の品質を保てるようになったことが、加盟希望者の増加につながりました。
これにより各地に店舗が広がり、「カレーハウスCoCo壱番屋」の名前が定着したため、全国的なブランド力を獲得しやすくなりました。
また、ハウス食品グループに入ったことで原材料調達や新商品の共同開発などのスケールメリットが得られるようになり、それまで以上に強固な経営基盤を築けるようになったのも大きいです。
こうしたリソースが相互に連動し合うことで、安定した売上と利益を上げつつ、さらなる国内外の出店拡大に向けた投資を続けることができています。
パートナー
壱番屋にとって欠かせないパートナーは、フランチャイズ加盟店やハウス食品をはじめとする食材・資材のサプライヤーです。
【理由】
なぜそうなったのかというと、全国に店舗を展開するうえで、品質が一定の食材を大量に安定供給してもらう必要があり、それを可能にする企業との提携が不可欠だったからです。
特にハウス食品グループ入りによって、カレーソースやスパイスの研究開発のノウハウを共有できるようになり、コストを抑えつつも高品質な商品を提供できる体制が整いました。
また、FCオーナーとの関係も重要で、経営指導や定期的な店舗巡回など、本部と店舗が協力し合う仕組みがしっかり構築されています。
その結果、オーナーにとっては安心して店舗運営ができるメリットが生まれ、本部にとってはブランドやメニューなど会社の方針を統一しやすい利点が得られます。
海外展開を進める際も、現地パートナーとの協業によって現地のニーズを吸収しながら出店を拡大できるため、多様な地域で成功を収める下地ができています。
このように、同社のビジネスモデルはパートナーとの協力関係を大切にすることで成り立っており、それが企業全体の成長戦略をより強固なものにしています。
チャンネル
同社のチャンネルは主に店舗を核としていますが、最近はデリバリーアプリやテイクアウト需要の取り込みにも積極的です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、消費者のライフスタイルが変化し、外食チェーンに対しても「いつでも好きな場所で食べたい」というニーズが強まったからです。
これに対応するため、従来の店舗での食事だけではなく、オンライン注文や持ち帰りを強化し、販路を拡大する取り組みを加速させています。
また海外では、現地のフードデリバリーサービスとの連携を深め、在住の日本人や現地の方々に向けて「日本式カレー」を広く浸透させています。
この拡張性の高さが売上増加に直結しており、顧客接点の多様化につながっています。
加えて、SNSやウェブ広告などのデジタルチャネルも活用し、新商品の告知やプロモーションを効果的に行うことで、新規顧客の獲得やリピーターの増加に役立てています。
こうした多面的なチャンネル展開は、外食産業で生き残るために必須の戦略といえ、壱番屋が安定して業績を伸ばせる背景にも大きく貢献しています。
顧客との関係
壱番屋は「お客さまの好みに寄り添う」という姿勢を明確にしており、この方針が顧客との深い信頼関係を築くもとになっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、創業当初から「もっと辛くしてほしい」「大盛りにしてほしい」といった要望が多く寄せられ、それをかなえる仕組みを作ったところ大きな支持を得たからです。
さらに、トッピングの種類や特別メニューを定期的に更新することで、常連客からも飽きの来ない店というイメージを確立しています。
店舗では「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」の言葉遣いを大切にし、接客態度にも力を入れています。
SNSや公式アプリを活用してスタンプカードやクーポン配布を行うほか、ファン感謝企画などを定期的に実施することでロイヤルカスタマーの維持・獲得に努めています。
また、店舗の清潔感や安心感を重視することも顧客満足度向上の要素のひとつとなっています。
こうした地道な努力の積み重ねが、リピート率向上や口コミでの評判向上につながり、結果として安定的な売上を生み出す基盤を支えています。
顧客セグメント
壱番屋の顧客セグメントは非常に広く、学生やファミリー層、ビジネスパーソンまで幅広い年代が対象です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、カレーというメニュー自体が国民食といわれるほど日本で浸透しており、万人受けしやすいベースに加えて、お好みのトッピングや辛さを選べるカスタマイズ性があるからです。
特に若年層はボリューム重視、中高年層は辛さやトッピングを工夫するなど、各世代の食べ方があるため、自然とあらゆる年齢に対応できる形になっています。
海外では、日本食ブームの影響や健康志向の高まりから、現地の味覚に合わせたメニュー展開も行い、異文化圏の顧客も取り込みやすい構造を作っています。
こうした普遍的な人気とローカライズ能力の両立によって、顧客セグメントを拡大し続けることが可能になり、国内外での出店余地をさらに高めているのです。
収益の流れ
壱番屋の収益源は主に「直営店売上」「フランチャイズ加盟店からのロイヤリティ収入」「海外店舗からの収益」の三つが柱となっています。
【理由】
なぜそうなったのかというと、フランチャイズ展開をスタートさせることで初期投資を抑えつつ店舗数を増やせるメリットがあり、さらにロイヤリティによる安定収入が得られるという理由からです。
ロイヤリティは売上高や定額方式など店舗ごとに設定されていますが、いずれにせよ全国的に認知度があるブランド力を前提にしたビジネスモデルなので、加盟店も本部も双方が利益を上げやすい仕組みになっています。
直営店では店舗運営を直接指揮するため、メニュー開発のテストや新サービスの試験導入を行いやすく、成功した施策をフランチャイズにも水平展開できる点が強みになっています。
海外店舗からの収益については、まだ国内に比べると規模は小さいですが、成長率の高さや市場拡大の余地は大きく、今後の収益源として期待されています。
こうした多面的な収益の流れが、安定的な増益に寄与しているといえます。
コスト構造
コスト構造は、食材調達費や人件費、店舗運営費、広告宣伝費などが中心です。
【理由】
なぜそうなったのかというと、外食産業特有の「飲食原価」「人件費」「家賃・光熱費」などが大きな割合を占めることに加え、フランチャイズ展開では本部としての教育・研修コスト、広告展開の費用などもかかるからです。
ただし、ハウス食品グループのスケールメリットを活かして食材調達コストをある程度抑えられるようになったことや、全国規模で統一感のある広告を打てることが、コスト効率の改善につながっています。
また、フランチャイズオーナー自身が店舗運営を担う構造のため、人件費や設備投資の大半は各店舗が負担し、本部側は指導や管理に重点を置くため、リスク分散にもつながっています。
こうした工夫により、原材料費高騰などの外的要因があっても、全体のコストを大きく膨らませずに済む体制を維持しているのが強みといえます。
自己強化ループ
株式会社壱番屋は、自社のビジネスモデルを通じて自己強化ループを回していると考えられます。
まず、多くの店舗をフランチャイズ方式で展開することで、知名度と売上が拡大し、その結果としてブランド力がさらに高まります。
ブランド力が向上すると、加盟店希望者が増え、新たな地域や海外市場での出店が進みやすくなります。
こうした「出店数増加→売上増大→ブランド強化→さらなる出店数増加」という好循環が生まれるのが最大の特徴です。
加えて、ハウス食品グループ入りによる原材料や調味技術の供給体制強化は、商品開発やコスト管理を後押しします。
これによって質の高いメニューをリーズナブルな価格で提供できるようになり、顧客満足度が上がることでリピーターも増加します。
リピーターの増加は売上に直結し、店舗の経営安定につながるので、フランチャイズオーナーにとっても魅力的な投資先となります。
つまり、顧客満足度と店舗拡大が相乗効果を生むことで、自己強化ループがより強固になっているのです。
さらに、海外進出の成功例が広がるほど国内外の投資家やフランチャイズパートナーからの信頼度が高まり、ブランド力がグローバル規模で強化されていきます。
この循環がうまく回ることで、外的環境の変化があっても安定した成長を継続できる可能性が高いといえます。
こうした仕組みこそが、壱番屋の大きな強みであり、長期的に見ても継続的な成長を支える鍵となっています。
採用情報
株式会社壱番屋の採用では、外食産業としての一般的な水準とされる初任給が設定されています。
新卒の大卒初任給は20万円台前半が目安といわれ、店舗勤務や総合職など、職種によって若干の差異があります。
休日はシフト制が基本ですが、1か月あたり8日から9日ほど休めるように調整される体制です。
店舗が全国各地にあるため、配属先の地域によって勤務スタイルが異なりますが、本部機能では週休2日制を確保しやすい傾向にあります。
また、新卒採用だけでなく中途採用の枠も設けており、飲食経験者だけでなく異業種からの転職者も積極的に受け入れています。
採用倍率に関しては公表されていませんが、カレーという人気メニューを扱うチェーン店ならではの知名度もあり、一定の応募者数を維持しているようです。
人材教育面では、独自の研修やマニュアルが充実しており、未経験でも基本的な店舗運営や接客技術を身につけやすい点が特徴です。
株式情報
銘柄は東証プライム市場上場の株式会社壱番屋で、証券コードは7630です。
配当金は安定的な推移を続けており、1株当たり30円から40円程度で推移した時期もあります。
業績好調な年度には増配の実施も見られますが、原材料費の高騰や経営環境の変化に伴う収益動向によって変わる可能性があります。
1株当たり株価はマーケット状況によって変動しますが、外食業界の全体的な動向や海外展開の進展具合、ハウス食品とのシナジー効果などが投資家からの注目ポイントとなっています。
投資を検討する場合には、直近のIR資料や業績動向をしっかりチェックし、株価や配当方針などを総合的に判断することが大切です。
未来展望と注目ポイント
今後、壱番屋はさらなる海外展開の強化と、国内市場での店舗体験の深化に取り組むと考えられます。
海外では、アジア圏を中心に日本式カレーの知名度が高まりつつあり、現地の味覚や食文化に合わせたカスタマイズ戦略が成功を収めています。
これがさらに拡大すれば、国内の人口減少リスクを補う形で海外売上比率を上げることが可能です。
また、国内ではテイクアウトやデリバリー需要の拡大が続いているため、店舗オペレーションにおける効率化やデジタル化がカギを握るでしょう。
スマートフォンアプリやオンライン注文システムの整備を進めることで、顧客接点をさらに増やし、スムーズなサービス提供ができるようになると考えられます。
加えて、健康志向が高まる中で、カロリー調整や野菜トッピングなどの選択肢を拡充し、新たな層の需要を取り込む可能性もあります。
こうした取り組みが順調に進めば、今後も高い増益率をキープし続けることが期待されます。
さらに、ハウス食品との協業による新商品の共同開発や原材料調達の効率化が進めば、コスト面の安定と商品力の強化が同時に実現できるでしょう。
外食産業としては変化の激しい時期が続きますが、独自のビジネスモデルとブランド力で乗り越え、カレーチェーンのリーディングカンパニーとして長期的な市場拡大を果たす可能性が十分にあります。
今後も同社の成長戦略に大きな注目が集まることでしょう。
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